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韓国のMERS死者4人に 感染病院名を初めて公表
韓国政府は5日、中東呼吸器症候群(MERS(マーズ))コロナウイルスに感染した70代の男性が死亡したと発表した。韓国でMERSによる死者は4人目。感染者も5人増え、計41人になった。日本人の感染者は確認されていない。
文亨杓(ムンヒョンピョ)・韓国保健福祉相は5日朝、急きょ記者会見し、感染者41人のうち、30人がソウル近郊の京畿道平沢(キョンギドピョンテク)市の平沢聖母病院で感染したと発表した。「不安をあおる」として病院名を公表してこなかったが、感染拡大を防ぐため方針を転換した。韓国政府は、最初の患者が入院した5月15日から病院が閉鎖された29日までの間、病院を訪れた人は感染した可能性があると説明。この期間に訪問した人を全員、調査する方針を明らかにした。
一方、ソウル市の朴元淳(パクウォンスン)市長は4日夜、感染した同市の医師が隔離される前日に1500人規模の会合に出席していたと発表した。朴市長は政府側がこれまで医師について十分に対応しなかったとし、会合の参加者全員に、自宅待機し感染を防ぐ措置を取るよう要請する考えを明らかにした。
これに対し、韓国保健福祉省は5日、医師が参加した会合では緊密な接触はなく、時間も長くなかったとし、「大規模な人員に対する隔離措置は適切ではない」と批判。大統領府関係者も朴市長の発表について「不安感と混乱が大きくなり、非常に憂慮している」と話した。(ソウル=東岡徹)