出生率:9年ぶり低下…出生数は減少加速 14年
毎日新聞 2015年06月05日 20時32分(最終更新 06月05日 22時21分)
厚生労働省は5日、2014年の合計特殊出生率(1人の女性が一生に産む子どもの数に相当)が1.42と前年より0.01ポイント低下したと発表した。05年に過去最低となる1.26を記録して以来9年ぶりの低下。出生数は前年を2万6284人下回る100万3532人で4年連続で過去最少を更新した。辛うじて100万人は維持したが、今のペースが続けば15年は戦後初めて100万人を割り込みそうだ。【阿部亮介】
出生率が上昇基調にあったのは、第2次ベビーブームの団塊ジュニア(1971〜74年生まれ)が30歳代になってから「駆け込み出産」したことが寄与していたとみられる。しかし、この世代が40歳代となり、後に続く35〜39歳の出生率の増加幅は前年より半減した。一方、25〜29歳が前年より大きく下落。20〜24歳も前年より下がっており、若い世代の低下も全体の出生率を押し下げた。
団塊ジュニアが40歳代になったことで、子どもを産む女性の数は急減し、出生数はさらに減少する可能性がある。これに対し死亡数は127万3020人と戦後最多を更新。死亡数が出生数を上回る「自然減」は8年連続で、減少幅は明治以降で最大を記録した。
晩婚・晩産化の傾向も続く。平均初婚年齢は夫で31.1歳、妻29.4歳と前年より夫で0.2歳、妻で0.1歳上がった。第1子出産時の母親の平均年齢も前年より0.2歳上がって30.6歳に。75年(25.7歳)から40年で5歳高くなっている。婚姻件数は64万3740組で前年より1万6873組減り、戦後最少だった。
政府の地方創生本部は昨年12月に2060年の人口1億人維持を目標とした「長期ビジョン」を打ち出し、30年に1・8まで回復させるシナリオを描いているが、出生率上昇に歯止めがかかったことで一層の対策が求められそうだ。
都道府県別の出生率は高い順に(1)沖縄(1.86)(2)宮崎(1.69)(3)島根、長崎(1.66)。最低は東京の1.15だったが、前年より0.02ポイント上昇した。