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他愛もない言の葉、それにどんな意味があるのだろう 「ステラ!」 アークエンジェルに着艦するや否や、引きずり出したコックピット部分を床に降ろし、シンはシャッターが開くのももどかしげに飛び出した。 すでに待ち構えていたクルーが歪んだコックピットのハッチを引き剥がすのが見えた。 「ステラ……!」 他の人間が目に入っていない様子で割り込んでくるシンに、誰も文句を言わず、その場を譲ると、計器の破片が散ったシートに横たわっている少女の姿が赤い瞳に映った。 ぼんやりと巡らされた瞳が、必死な顔のシンを見つけ、ふわりと和らぐ。 「シン……また、会えた」 「ステラ、俺……!」 緩々と伸ばされた手を取り、シンはステラを覗き込んだ。 細い、頼りない感触は今にも力を失って滑り落ちそうで、シンは焦燥に駆られた。 「ごめん、ステラ。俺が、あの時、君の手を離したりしたから」 それは必要だったのだと分かっている。 『エクステンテッド』として、育てられた少女の怪我を治療するには一度『地球連合』に戻さなければならなかったのだと。 コーディネーター並みの身体能力を得るために、施された数々の投薬と記憶操作。 肉体的にも、精神的にも、『壊れて』いく少女を助けたくて、軍規に違反すると分かっていて、逃がした。 だが、それは、こんなことのためではなかった。 シンが唇を噛み締めた瞬間だった。 「やくそく」 「え」 「シン、約束、守ってくれた……」 別れる際の、悲痛な声は今も脳裏に刻まれている。 ただ、ひたすらにシンの名を呼ぶ少女に、できたのは、最初に交わした約束をもう一度繰り返すことだけだった。 ――また、会えるから。会いにいくから。 「ステラ……」 「ちがう?」 その問いかけに、シンはゆっくりとかぶりを振った。 そして、静かに、何かが緩やかに溶けるように微笑みが浮かび上がる。 「違わない」 手に取った少女の手を自身の頬に当て、シンは安心させるように微笑む。 「違わない。だから」 世界を揺らすような振動に、シンは内心歯噛みする。 行かなくてはならない。 憎しみではなく、ただ、守るために……この温もりを失わぬように終わらせなくてはならない。 シンの想いを、願いを汲み取り、その力を躊躇いもなく貸してくれた存在の面影にシンは心の裡で頷く。 「だから、待ってて」 「シン?」 「必ず、戻ってくるから、帰ってくるから待ってて」 「まつ?」 ぼんやりと繰り返すステラに、シンは必死に頷いた。 「約束、するから……!」 必ず、と約するそれに保証など、どこにもなかった。 それでも、そう告げる必要があった。 (あの人も、何度も『約束』したのだろうか) 死ぬ訳にはいかない、そう呟いた『彼』も、こうやって約束を口にしたのだろうか。 「やくそく?」 「ああ、だから……っ!」 口を噤んだシンを見つめ、ステラは緩々と儚い微笑みを浮かべた。 「うん……まってる」 「!」 「シン、ステラとの約束、守ってくれた……だから、まってる」 「ステラ……」 強く信じる強さ、それはどこから生まれるのだろう 「アスラン、ミネルバが!」 徐々に収束する暴虐の光が砲口に満つめ、アスランは耳に届いたカガリの悲鳴に唇を噛み締めた。 狙われているのは淡紅色の高速戦艦。 狙っているのは、たった今、アスランが離れたザフトの戦艦。 映像は入らなかったが、エターナルからミネルバに向けられた通信は、二人が乗るセイバーでも傍受していた。 ラクスの言葉は届かなかったのか。 否。 不意に脳裏に過ぎったミネルバの艦長を思い出し、アスランは眉をひそめる。 ザフトの軍人として優秀な彼女は、かと言ってアスランのように諾々と『ザフトの軍人』で在り続けるほど愚かではない。 ラクスの言葉を何も考えず、拒むとは考え難かった。 ならば。 唐突に、アスランは理解した。 『彼』が、また巧みに誘導したのだ――退けぬように、苦渋の末の途であるかのように。 アークエンジェルに向かっていたセイバーに制動をかけ、アスランは厳しい顔つきで砲門をミネルバに向ける。 「アスランっ!!」 アスランの行動に気づいたカガリが顔色を変えて、その手にしがみつく。 「お前、何考えてるんだよ!?」 「カガリ、離せ……! 早くしないと」 カガリは息を呑み、次の瞬間、その拳がアスランの鳩尾に埋まっていた。 「っ!?」 カガリを抱えているという回避不能な状態での一撃を受け、アスランは苦痛に呻いた。 そんなアスランを見つめ、カガリがぽろぽろと涙を零す。 (…………泣きたいのは俺の方なんだが) そんな思いのアスランに気づかず、カガリは激しく詰り出す。 「このバカ!! お前、極端なんだよ!! 違うだろ!? そうじゃないだろ!?」 「……っ!!」 「戦いたくないのに、殺したくないのに、それをするヤツがあるか!!」 カガリは強く首を横に振り、続ける。 「『戦争』だからなんていう理由は認めない……! 私は、こんなの認めない!」 潤んだ琥珀の双眸に、アスランは言葉を失う。 「ミネルバを撃って、沈まなかったとしても、誰も傷つかない訳じゃない。お前がそんなの望んでいる訳じゃないの、私は知っているから!」 「カガリ……」 「独りで思いつめて、ホントお前成長してない!! だから、バカだって言うんだ!!」 「だったら!」 思わず、アスランは叫んでいた。 「だったら、どうしろって言うんだ! それしかないのに!」 戦うしかないのに。 守れるものはどちらかしかないのに。 アスランの叫びに、カガリは一瞬息を止め、そして、緩々と表情を綻ばした。 「……両方とも守るんだ」 「!?」 「欲張りでも何でもいい。それが『本当の願い』なら、それを『現実』にするために力を尽くせばいい」 「カガリ……?」 「それなら、迷う必要なんてない。それに」 カガリは不意に視界の片隅に移ったモニターに希望を見つけた。 「お前一人が無理する必要なんて、どこにもないんだから!」 過去が残す痛み、それを凌駕するものは何だろう 「艦長、エターナルが!!」 鋭い叫びに、マリューは息を呑んで示されたモニターに映し出されたものを凝視した。 回避不能な距離と位置。 まっすぐに差し向けられた砲口。 収束していく光の粒子と熱量の限界。 ラクスの言葉はミネルバに届かなかったのか。 アスランが乗るセイバーの離脱を確認したことで気を緩めていた自身に歯噛みしながらマリューは叫んだ。 「援護をっ!!」 悲鳴にもマリューの叫びに返った言葉も悲鳴にも似ていた。 「ダメです、間に合いません!」 「くっ!」 次なる手段を考えを巡らした瞬間、視界の片隅に虚空を走り抜ける煌きを見つけた。 まっすぐに向かう先は淡紅色の戦艦。 『破壊者』が降らせる無情の閃光を舞うように回避し、搭乗する者の想いを力に変え、突き進む姿は状況も忘れて見惚れるまでに輝かしい。 一瞬、その手にある巨大なビーム砲がミネルバを捕捉しようとする。 だが、それはすぐに下げられ、代わりに加速して二隻の間に滑り込むのが見えた。 その光景に、マリューの脳裏に焼きついた記憶が蘇る。 「や」 溢れる光の奔流。 そして、訪れる空白の瞬間が。 「止めて――――っ!!!」 マリューの絶叫と、光が炸裂したのは同時だった。 「艦長!!」 その呼びかけに、マリューは咄嗟に閉じていた瞳を緩々と開けた。 「あ……あぁ」 掠れた声に、隠しようもない安堵が滲んでいた。 すべてを無に帰す暴虐の閃光を、白く輝く光の『盾』が受け止めていた。 「オリ、ハルコン」 改修時、フリーダムに搭載されたDSシステム――『System Code Divine Sword――O.R.I.H.A.R.C.O.N』――『神に捧げられし剣』。 使いようによっては、絶対的な破壊を意味するそれをマリューはぼんやりと思い出した。 バルトフェルトによると、キラがオリハルコンを『剣』として使ったのは一度だけ。 扱いに難しいオリハルコンは『盾』として使う方がより難度が高い。 けれど、それを為してしまうのがキラのキラたる所以だった。 あの時、『彼女たち』には叶うことのなかった願望が『彼ら』によって叶えられた現実に、マリューの裡に刻まれた傷跡が和らぐのを感じた。 「艦長」 その瞬間、マリューは浮かんでいた涙を勢い良く拭った。 「ええ。あちらはキラくんに任せましょう。私たちはあの『破壊者』を止めます!!」 正誤の判らぬ選択、それを受け止めるのは何故だろう 「やれやれ……また、すごいものを持ち出してきたな……」 咄嗟に浮かした腰を脱力気味に下ろしながら、ネオは呆れたように呟いた。 「大佐、今のは」 驚きを隠せないイアンの言葉に、ネオはかすかに苦笑を滲ませた。 「噂に聞く、『オリハルコン』、かな……。てっきり眉唾ものかと思っていたが」 エターナルとミネルバの間に割り込み、その砲火に身を晒したフリーダム。 焼き尽くされると思った。 再び、繰り返されるのかと思った。 それも、この自分の目の前で。 「オリハルコン……?」 「あぁ、オーブに潜り込ませていた工作員が掴んできた情報さ」 モルゲンレーテの極一部の関係者のみが携わっていたらしく、その詳細を手に入れることはできなかったが、概要だけでも信じがたい内容だった。 政権を実質握っていたセイラン家ですら、その事実を知らなかったことには笑いさえ誘うものがあった。 『アルテミスの傘』に代表される光波防御帯を上回る絶対の『盾』。 物理攻撃は当然、たった今見たように陽電子砲、そして――ジェネシスですら防ぐという。 「『O.R.I.H.A.R.C.O.N』――『Optics reflected ineffective harmonious ultimate compound network-System』――光学反射無効化による究極調和複合網状組織システム、ね。全く、これだからオーブは侮れない」 ザフトや地球連合ではなく、平和を謳い、その理念を掲げる国――その意志を継ぐものたち――こそが、最たる力を持つことの皮肉さにネオは表情を歪ませた。 無意識のうちに、仮面の上から自身の顔に残る傷をなぞる。 「『敵』に回すと彼ら以上、怖いものはないな」 まっすぐな眼差しは否応なしに自身の立場の曖昧さを突きつけてくる。 「大佐」 「ああ、カオス、アビスを出せ。『デストロイ』を潰すぞ」 「分かりました」 即座に返った了承に、ネオは小さく驚いた。 最終的に頷くにしろ、確認の一言もないとは実直なイアンにしては珍しい。 ネオの驚きを察して、イアンはかすかに笑みを馳せた。 「こちらに配属される前、私は第八艦隊に所属していました」 「!」 その言葉の意味するものに気づいて、ネオは息を呑む。 「ですから……悪くはありません」 何を、と問いたくなる衝動をネオは堪えた。 「……そう、か」 そして、ネオはおもむろに拳を握り、立ち上がった。 「俺も出る。こっちは任せるぞ」 途切れたはずの絆、再び結ぶ行為を何と言うのだろう 「ちょ、何、何なのよ!?」 不意に伝わってきた衝撃の余波にルナマリアはわめいた。 「落ち着け、ルナマリア」 冷静に諭すような言葉に、ルナマリアは目尻を上げた。 「あんたって、本当に動じないわよね!」 「そうでもない」 そう呟いた相手の意識がどこに向いているのか、ルナマリアは察して思わず溜め息を吐いた。 モニターに視線をやれば、懐かしいとさえ思う戦艦と淡紅色の高速戦艦、そして、二隻の間に佇む白い機体。 「今のって、タンホイザー、よね……」 思い返した感覚に、ルナマリアは背筋に小さな震えが走るのを感じた。 ミネルバの艦首はエターナルに向けられている。 その事実が示す、一つの『現実』。 ミネルバはタンホイザーをエターナルに向けて放ったのだ。 そして、恐らくフリーダムの介入により、その危機は回避された。 唇を噛み締め、ルナマリアは呟いた。 「大丈夫よ」 「……ルナマリア?」 「大丈夫、あの人はミネルバを墜とさない。だから、大丈夫。あんたの大切な人は無事よ」 「ルナマリア」 驚きが滲んだ声に、ルナマリアは小さく微笑した。 「行くわよ、レイ。こんなとこにいちゃ、何もできやしないわ」 「だが、俺は」 「『敵』じゃないんでしょ、私も、そして、あんたの大切な人も――レイにとっては」 「……」 「裏切りなんて言わせないわ。だから、行きましょう」 愚かな行動、それでも、無意味ではないと信じられるだろう モニターを彩る閃光の輝きに、思わず握り締めた拳に力が加わった。 間に合わなかったのだろうか。 不意に過ぎった不安を察したかのように、その手に重なる温もりにミーアは顔を上げた。 「大丈夫」 静かな呟きは確かな強さを持って、響いた。 「大丈夫だから、絶対」 まっすぐにモニターを見つめる横顔に、眩しいまでの強さを見つけて、ミーアは瞳を細めた。 「……強いんですね」 「そう、皆、強いわよ」 くすりと笑って、ミーアはかぶりを振った。 「いいえ、違います。私は、ミリアリアさんが強いな、って」 「?」 自嘲の笑みを浮かべるミーアに、ミリアリアは驚いて見つめた。 「誰かを信じられるってすごいですよね」 「ミーア」 「きっとね、あの人たちはわたしの『言葉』を信じたんじゃなくて、ミリアリアさんの言葉を信じたんだと思います」 ラクス・クラインの言葉だと言い切ったミリアリアの言葉を。 すっと動かして視線の先には、ナスカ級戦艦の姿がある。 仏頂面で偉そうに「信じてやる」と言い放った怜悧な容貌の少年。 不敵に笑いながら「任せておけって」と軽く、それでも強く言い切った褐色の少年。 ザフト軍はラクス・クラインの『言葉』を受け、彼らを同行させて、事の成り行きを見守ると約束してくれた。 ただし、期限付きで。 条件に上がった時間内に、地球連合を現在の戦線から退かないと、ザフト軍は再び動き出す。 現在の戦線――つまり、今、キラたちが戦っている、この宙域だ。 通信可能な距離までくれば、そのことを伝えることができる。 「……後は、あの人の思惑次第よね」 無意識に零れたミリアリアの呟きに、ミーアの肩がびくりと震えた。 代名詞で示された者が誰か、すぐに分かった。 「あの人……あの人は何を考えているの……っ」 ラクス・クラインの『影』として、ミーアは選ばれた。 そして、望まれるまま、語り、歌い、プラントの人々の前で笑った。 戦争を悼みながら、それを忌避するように語りながら、巧みに人々を戦いに導いた。 その象徴であったにも関わらず、その思惑は今になっても分からない。 プラントの人々の多くが持つ、地球連合――ナチュラルに対する憎悪があるとは思えない。 「ミーア?」 ミリアリアの呼びかけにかぶりを振り、ミーアは俯いた。 何をしてきたのだろう、自分は。 何のために。 「……大丈夫よ」 優しい声に弾かれ、ミーアは顔を上げた。 ミリアリアは微笑んで続けた。 「絶対、大丈夫だから、信じて。取り返しのつかないことになる前に、ミーアは気づいたんだから」 「間に合う、のかな……」 「間に合わせるの!」 力強く断言して、ミリアリアはミーアの手を強く握った。 「そのために私たちは頑張っているんだもの。無駄じゃない、絶対無駄になんかしない。だから」 ナスカ級戦艦が速度を上げ、二機のモビルスーツが飛び出していくのを視界に認め、ミリアリアは呟いた。 「無駄になんかしてもらっちゃ困るんだから」 闇を歩き進める力、それを誇りに思えるのは知っているからだろう 「取り舵! あの巨大モビルスーツを破壊します!」 「艦長!」 「何!?」 クルーが弾かれるように鋭く報告する。 「『ボルテール』より打電!」 そして、続く内容に、タリアは思わず口元を綻ばした。 「そう、それが限界だったということね」 議会の承諾を得ずに、戦闘を回避しようとして辛うじて選べたのが『前線より敵の排除』という選択。 ボルテールが伝えた決定は『敵』を明確に指していない。 その判断を委ねると、あの若い指揮官は伝えたいのだろうか。 ナスカ級戦艦から飛来する二機のモビルスーツを認め、タリアは表情を引き締める。 この判断が正しいのか、間違っているのか。 それは分からない。 分からなかったが、躊躇いはなかった。 「トリスタン、イゾルテ、全弾装填! 照準! 彼らを援護します!」 「は、はいっ!」 アーサーが慌てて作業に入る。 「艦長」 「何、メイリン」 「ブレイズザクファントム、ガナーザクウォーリアが着艦許可を求めています」 伺うようにちらりと視線を向けるメイリンに、タリアは思案する。 この状況で帰投する意味を。 そして、タリアはゆっくりと頷いた。 「いいわ、許可します。補給が必要なら、そのように」 そして、タリアは正面を見据えた。 残された時間は少ない。 だが、無理だとは思わない。 想いを等しくする存在がここに集っていると信じられるから。 その心強さに、タリアは微笑み、次いで凛とした表情で言い放つ。 「機関最大! 回り込め!!」 『戦女神』の名は決して飾りではない。 「てぇ――――っ!!」 魂の帰る処、その存在を得ることができたことに名づけるならば。 「キラ!」 「ラクス!」 モニターに映った少女の顔に、張り詰めていたキラの口元がわずかに緩んだ。 「エターナルは?」 「問題ありませんわ。あちらの方々も分かって下さいました」 そう告げる言葉にちらりと視線をやれば、ゆっくりと転進するミネルバの艦影があった。 「そう……良かったね」 かすかに笑んでキラが告げれば、そこには真摯な眼差しが待っていた。 「ラクス?」 ふわりとラクスは花が綻ぶように微笑んだ。 「キラ、わたくしは――わたくしたちはここにいますわ。貴方が守って下さったから」 「!」 キラは息を呑んで、ラクスの言葉を反芻した。 緩やかに、じわりと膨らむ感情にキラは苦笑で誤魔化す。 すべてを見透かされるのは怖いが同時にひどく安堵する。 あの一瞬――エターナルに向けられた砲口に、取るべき行動を一瞬悩んだ。 引き鉄を引くのは容易だった。 (だけど) エターナルは動かなかった。 (ラクスは逃げなかったから) ミネルバから放たれる『意志』を受け止める気でいたから。 (だから、僕は) 撃つことができなかった。 それを悟ると同時に、キラの手足は動いていた。 間に合うのか、間に合わないのか。 焦れば、『盾』の展開に誤差が生じる。 座標軸もだが、その展開に傾ける出力計算はほとんど勘に近かかった。 DSシステムが表示されるのを待っていては間に合わなかった。 「ラクス」 「はい」 吐息に近い呼びかけに、返る声音はどこまでも柔らかい。 (今、ここに君がいればいいのに) そうしたら、心の底から安堵できるのに。 だが、今はそれが許されない。 ラクスの許に帰るのはすべてが終わってからだ。 「行こう」 向かうのは戦場。 その先にある未来。 数多の想いを連ねる『奇跡』は『運命』。 |
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