DeNAの池です。
7月初めにDeNAの学会派遣制度によりイタリア、フィレンツェで行われたEuroPython2013に参加してきました。
参加動機
DeNAエンジニアには後述する国際学会派遣制度という制度があります。またEuroPythonでは、他のPyConとは違ったEuroPythonならではの発表、開発コミュニティとの交流を図ることができるため参加をしました。
国際学会派遣制度とは?
DeNAエンジニアの技術向上をサポートする制度になり、世界最先端の技術に触れるための制度になります。 世界中の国際会議、セミナー、フォーラムなどへの参加を奨励し、関連費用を会社が負担してくれるというもので、四半期毎に応募および審査があり、複数名のエンジニアが派遣されています。
EuroPython2013とは?
今回参加したEuroPythonとは、年に1回ヨーロッパ地域で行われるプログラミング言語Pythonのカンファレンスです。 Pythonのカンファレンスは毎月一つ以上は世界のどこかで行われており、アジア太平洋ではPyCon APAC、主にアメリカで行われるPyCon USなどがあります。
概要
- 場所: フィレンツェ イタリア
- 期間: 7/1~7/7
- 参加者: 532人
イベント
EuroPython 2013は大きく3つのイベントに分かれています。
カンファレンス(7/1~7/5)
EuroPythonのカンファレンス本体で5日間(実際は7/5が半日のため4.5日間)開催されました。
チュートリアル(7/2~7/5)
カンファレンスと時間を同じく開催れる有料チュートリアルセッションです。2トラック x 午前・午後 x 5日で開催されました。
スプリント(7/6-7/7)
スプリントは日本のハッカソンに該当するもので、Pythonに関するプロジェクトの開発を集中して行うための催しです。カンファレンス後の2日間、カンファレンス会場であったホテルの会議室で開催されました。
会場
EuroPython2013ではホテルの一部を貸しきったため、EuroPythonならではのサービス提供がありました。
大ホール
カンファレンス参加者全員(600人)を収容できるホールです。
カンファレンスルーム
大小様々なカンファレンスルームが7ルームあります。
オープンスペース
オープンスペースでは椅子、机、電源が提供されています。各コミュニティで作業目的を決めて、一緒に開発するのがよく見られる光景ですが、もちろん一人でコードを書いてもよいですし、雑談もOKです。
立食スペース
ホテルの一部を貸しきったため、午前と午後、そして昼食の各45分はコーヒーブレイク、ランチで公開提供されました。内容は後述します。
イベント詳細
イベントの内容についてはスライド資料とビデオがまとめられています。 発表者が公開を了承した発表動画についてはYoutubeに公開されています。
- スライド資料(非公式): http://eventifier.co/event/europython13/slides
- ビデオ:http://www.youtube.com/user/PythonItalia
また、過去のEuroPythonの発表動画については、pyvideo.orgにて公開されています。
スプリント
スプリントはカンファレンス終了後に2日間ホテルの大ホールを貸し切り行われました。 次のようなコミュニティが開発、チュートリアルを行いました。
- CPYTHON
- DJANGO OAUTH TOOLKIT
- FLASK / JINJA2 / WERKZEUG / BABEL
- KIVY
- MOINMOIN WIKI
- NUITKA
- OPENSTACK + MIST.IO
- PLONE SPRINT, SUBSTANCE D, TWISTED, BATOU, DJANGO-ADMIN2, PY.TEST
私は、兼ねてから興味があったkivy.orgが主催するkivyスプリントに参加しました。 kivyはPythonにより一つのコードでAndroid/iOS/Mac OSXアプリケーションを動かすことができるOSSのアーキテクチャです。 kivyスプリントで参加者は、バグチケットを消化や、ゲーム製作、ドキュメントを整備など様々な参加スタイルでした。 私はkivyのコア開発者とAPI/サンプルの確認、今後の充填開発機能について情報共有しました。
感じたこと
EuroPythonのカンファレンスを通じて感じたことを紹介します。
1つ目は、カンファレンスの内容では、Pythonの哲学について語られることが多かったことです。
具体例としては、基調講演"The Next 20 Years of Python"において、Pythonの設計者 Guido van Rossumの投稿"Python's Design Philosophy - The History of Python"からPythonの設計方針を引用し、強調されたことです。
- Borrow ideas from elsewhere whenever it makes sense.
- "Things should be as simple as possible, but no simpler." (Einstein)
- Do one thing well (The "UNIX philosophy").
- Don't fret too much about performance--plan to optimize later when needed.
- Don't fight the environment and go with the flow.
- Don't try for perfection because "good enough" is often just that.
- (Hence) it's okay to cut corners sometimes, especially if you can do it right later.
また、これ以外にも、Pythonの開発コミュニティpocoo.orgで活動しているArmin Ronacher による発表"Thinking outside the Box"やMARC-ANDRÉ LEMBURGによる"EFFICIENT PYTHON DEVELOPMENT WITH SMALL TEAMS"において、設計やチーム構成、顧客にに関する考え方、ブレイークスルーについて発表されました。
2つ目は、参加者の多様性を感じました。
あらためて伝える必要はないかもしれませんが、EuroPythonがヨーロッパの地域カンファレンスであることに起因しているためか、ヨーロッパやその域外の様々な国からの参加者がいました。私が話した方々の国を上げていくと、アメリカ、イタリア、イングランド、ウクライナ、オランダ、カナダ、チェコ、ドイツ、日本、フランス、ポーランド、ロシア(50音順、略称表記)の方々と情報交換することができました。
3つ目は、英語重要、超重要。
ただ、そんなに英語が堪能ではなくても、心温かい方々は熱心にコミュニケーションを取ろうとはしてくれます。諦めずコミュニケーションを取ろうと思えました。もう一度お伝えします。英語重要です。
4つ目は、ある一定数、日本のコンテンツに興味を持ってくれていたので会話が弾みました。
例えば、日本の彫師の女性をテーマにして小説を書いている方と日本の文化について。大友克洋による漫画『AKIRA』や宮崎駿作品について熱く語られたことを覚えています。またヨーロッパの日系企業に勤めている方とも話すことができました。
5つ目は、ヨーロッパは物理的に遠いです。本当に遠いです。
もし海外のPythonカンファレンスに興味がある方は、後述する日本から比較的に近い台湾で行われる予定のPyCon APAC 2014を調べてみてはいかがでしょうか。
以上、私感をつらつらと書き始めるとどうやら終わりがみえないのでこのあたりで。
今後のPythonカンファレンスの紹介
次回のEuroPython 2014とPyCon US 2014、PyCon APAC 2014を簡単に紹介します。
PyCon US 2014 in Montreal
2000人規模の世界最大級のPythonイベントです。 PyCon USはいままでUSで行われていましたが、2014年4月中旬にカナダのモントリオールで開催されます。
EuroPython 2014 in Berlin
EuroPythonはヨーロッパリージョンのPythonカンファレンスです。2014年、2015年のEuroPythonは2年間連続でドイツのベルリンで開催されます。
なお、EuroPythonは本来2年連続で同一国都市で行い、ナショナルコミュニティを育成する予定でしたが、2011年から2013年まで3年間イタリアのフィレンツェで開催されました。
PyCon APAC 2014 in Taiwan
PyCon APACはアジア環太平洋リージョンのPythonカンファレンスです。 2013年はPyCon APAC 2013 in Japanといことで日本で行われました。PyCon APAC 2014はおとなりの国台湾で開催されます。
Pythonのカンファレンスtips
補足ですが、PythonカンファレンスのスケジュールはPythonコミュニティがGoogleカレンダーを提供しています。
もしみなさんも機会があれば、参加してみてはいかがでしょうか。
最後に
Special Thanks
同僚の皆さん、およびかげながらサポートしてくださったPythonコミュニティの各位、EuroPython運営者・参加者の皆さん、ブログを読んでくださった方々、そして、幼い息子と妻。バックアップしてくださって、ありがとうございました。
以上、EuroPython2013の参加レポートでした。