真剣勝負の中で得た「実戦知」
今日は「誰が電通人をつくるのか」というテーマで、僕がどういう人たちと出会うことで成長してきたのかをお話しします。教えていただいたことと、そこから学んだことを紹介することが、教えてくれた方々への最大の恩返しになると思うからです。肩書は当時のまま、話させてもらいます。
僕は大学受験の時に日本初の理工系の芸術大学の九州芸術工科大学の受験に2回失敗して、立教大学法学部に進学しました。学生時代には、コピーライター養成講座を受講したものの、わずか2日で退学するという経験もしています。受験の失敗とコピーライター養成講座の挫折で、自分にはクリエイティブの才能はないと思っていました。しかし、2浪もした自分が就職試験を受けることができたのはマスコミだけ。10社受けて合格したのは電通だけでした。1977年に電通に入社して、配属されたのは第2CD局。クリエイティブの才能がない自分にはいじめとしか思えなくて、もしかしたらすぐにクビになるかもしれないと思っていました。
そういう超マイナスのスタートをした自分を育ててくれたものは何だったのか。それは、これまで出会ってきたプロフェッショナルな人たちです。いいかげんなことは決して許さない。そんな彼らとの真剣勝負で獲得した「実戦知」(仕事の現場から得た知見)が、パワーとなり、僕を育ててくれたのだと思っています。