米上院:テロ情報収集再開へ 「米国自由法案」可決

毎日新聞 2015年06月03日 10時53分(最終更新 06月03日 11時58分)

 【ワシントン西田進一郎】米国家安全保障局(NSA)が行っていた不特定多数の大規模通話記録収集に一定の制限を設ける「米国自由法案」が2日、下院に続いて上院でも可決され、オバマ大統領の署名を経て成立した。大規模通話記録収集の根拠となっていた愛国者法の規定が1日午前0時に失効し、対テロ情報収集活動の一部が停止に追い込まれていたが、新たな法の下で再開される。

 米国では2001年9月の米同時多発テロを受け、愛国者法が成立。NSAは同法の規定に基づき、テロ阻止のため一般市民など不特定多数の通話履歴を大規模に収集していた。しかし、中央情報局(CIA)元職員のスノーデン容疑者が13年に実態を暴露し、行きすぎた活動だと批判が高まった。大統領は昨年3月、監視対象の絞り込みや記録を政府ではなく電話会社に保持することなどの見直し案を発表した。

 米国自由法案は、見直し案に沿った内容で、通信会社が通話記録を保管するとし、NSAなどの情報機関が記録を利用する場合は外国情報監視裁判所の承認が必要と定めている。下院は同法案を5月に可決したが、上院は過半数を握る共和党内の意見が大きく割れたため5月31日までに米国自由法案も可決できず、情報収集活動の一部が停止を余儀なくされていた。

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