仏政府:アレバを救済 公的資本注入、原発離れで経営悪化
毎日新聞 2015年06月04日 23時45分
【ロンドン坂井隆之】フランス大統領府は3日、経営難に陥っている原子力大手アレバを政府主導で救済すると発表した。政府が公的資本を注入するほか、仏電力公社(EDF)がアレバの原子炉製造子会社の株式の過半数を買収する。アレバは東京電力福島第1原発事故後の先進国の「原発離れ」などで、経営が急激に悪化していた。
EDFとアレバは、いずれも仏政府が8割以上の株式を握る事実上の国営企業。原子力産業は仏国内で約40万人の雇用を抱えており、大統領府は声明で「原子力事業はエネルギーの独立を守る上で不可欠」と救済の必要性を強調した。
アレバは2001年に複数の原子力関連企業が統合して発足した原子力複合企業で、ウラン採掘から原子炉の製造、核燃料の再処理まで手掛け、仏政府の戦略に沿って積極的な海外展開を図ってきた。だが、福島第1原発の事故で、世界各地の原発新設計画の凍結や安全対策費の増加に見舞われたほか、日本の原発稼働停止により燃料販売も低迷した。フィンランドなどで建設中の最新鋭の原子炉にトラブルも相次ぎ、引当金の計上などで損失が膨らんだ。14年決算では48億ユーロ(約6700億円)の過去最大の最終赤字を計上。政府主導の救済が検討されてきた。