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フィリピン大統領歓迎の宮中晩さん会
6月3日 20時49分

フィリピン大統領歓迎の宮中晩さん会
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国賓として来日したフィリピンのアキノ大統領を歓迎する宮中晩さん会が、3日夜、皇居で開かれました。
フィリピンのアキノ大統領は3日午後7時すぎに皇居宮殿に到着し、天皇皇后両陛下の出迎えを受けました。
両陛下主催の晩さん会には、皇太子ご夫妻や、秋篠宮ご夫妻と次女の佳子さまなどの皇族方のほか、安倍総理大臣や日本とフィリピンの交流に力を尽くした人たちなど149人が出席しました。
佳子さまが宮中晩さん会に臨まれたのは初めてです。
はじめに、天皇陛下が歓迎のおことばを述べられました。
この中で天皇陛下は「先の大戦においては、日米間の熾烈な戦闘が貴国の国内で行われ、この戦いにより、多くの貴国民の命が失われました。私ども日本人が深い痛恨の心と共に、長く忘れてはならないことであり、取り分け戦後70年を迎える本年、当時の犠牲者へ深く哀悼の意を表します」と述べられました。
そのうえで、「戦後の国交回復から今日に至るまで、両国は、共に手を取り合い、友好関係の増進に努めてまいりました。近年、関係がますます緊密になっていることを、誠に喜ばしく思っています」と話されました。
これに対して、アキノ大統領は「貴国とわが国との関係は立ち止まることなく、一層緊密さを増しています。過去に経験した痛みや悲劇は、相互尊重、尊厳、連帯に根ざした関係構築に努めるという貴国の約束によって、癒やされてまいりました」とスピーチしました。
テーブルにはフィリピンの国旗をイメージした観葉植物が飾りつけられ、フィリピンの愛唱歌なども演奏されるなか、晩さん会は和やかな雰囲気で進められました。

天皇陛下のおことば

 この度、フィリピン共和国大統領ベニグノ・アキノ三世閣下が、国賓として我が国を御訪問になりましたことに対し、心から歓迎の意を表します。ここに、今夕を共に過ごしますことを、誠に喜ばしく思います。
 貴国と我が国の人々の間には、16世紀中頃から交易を通じて交流が行われ、マニラには日本町もつくられました。しかし、17世紀に徳川幕府はキリスト教を禁じ、鎖国令を出して日本人の外国への渡航、外国人の入国を禁じました。そのため、キリシタン大名であった高山右近と内藤忠俊は、徳川幕府により、日本人キリスト教徒と共にマニラに追放されました。本年は、高山右近がマニラで病没してから、ちょうど400年に当たります。我が国は19世紀半ば、鎖国政策を改め、諸外国と国交を開くことになりました。20世紀初頭には、多くの我が国の人々が貴国に渡り、両国民の間の交流は盛んになりました。
 しかし、先の大戦においては、日米間の熾(し)烈な戦闘が貴国の国内で行われ、この戦いにより、多くの貴国民の命が失われました。このことは私ども日本人が深い痛恨の心と共に、長く忘れてはならないことであり、取り分け戦後70年を迎える本年、当時の犠牲者へ深く哀悼の意を表します。
 戦後、1956年の国交回復から今日に至るまで、両国は、共に手を取り合い、友好関係の増進に努めてまいりました。今や、約1万8千人の日本人が貴国に住み、20万人を超えるフィリピン人が我が国に滞在しております。その中には我が国の福祉施設に勤める人々もあり、高齢化する社会の中で大変重要な役割を担ってくれています。私どもが福祉施設を訪れた時、介護に当たる人々の中にフィリピンから来たと紹介される人もありました。
 我が国の青年海外協力隊は発足した1965年から間もなく貴国において活動を開始し、今までにその総数は1600名近くに達しています。近年、経済、文化、そして人の交流など幅広い分野で両国関係がますます緊密になっていることを、誠に喜ばしく思っています。
 今から53年前、当時皇太子であった私は、ガルシア大統領を国賓としてお迎えしたことに対する答訪として、昭和天皇の名代という立場で、皇太子妃と共に、貴国を訪問いたしました。その時、マカパガル大統領御夫妻を始め、貴国国民から温かく迎えられたことは、忘れ難い思い出となっております。また、カヴィテにアギナルド将軍御夫妻をお訪ねし、スペインとの独立戦争に勝利し、1898年フィリピンの独立が宣言されたバルコニーに将軍御夫妻と共に立ったことは、誠に感慨深いことでありました。
 1986年2月、閣下の母君は、大統領に御就任、その年の11月、我が国を国賓として御訪問になり、私は皇太子として、大統領をお迎えいたしました。その後、1989年2月の昭和天皇の大喪の礼、翌年11月の私の即位の礼にも、御列席いただいたことに深く感謝しております。
 閣下は、2010年の御就任以来、我が国を度々御訪問になっていらっしゃいます。2011年9月には東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城県石巻市を御訪問になり、復興のための義援金が贈られました。このほかにも貴国からは、緊急物資や医療チームの派遣など、様々な支援を頂いております。また、昨年6月には広島市を御訪問になり、平和記念公園の原爆慰霊碑に献花をなさいました。我が国に対する温かいお気持ちに対し、心より感謝の意を表します。
 閣下が、御就任以来、国民の声に真摯に耳を傾け、貴国の平和と発展のため、貧困対策を始めとする諸課題に献身的に取り組んでいらっしゃることに、深く敬意を表します。また、我が国との関係強化に意を用いていらっしゃることを心強く思います。この度の御訪問が、両国の相互理解と友好協力関係の一層の発展に資する、実り多いものとなることを切に願っております。
 ここに杯を挙げて、大統領閣下の御健勝とフィリピン国民の幸せを祈ります。

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