新型ウイルス「MERS」 日本上陸のリスクを検証しました。
06/03 01:35
韓国で広がっている新型ウイルスで、2人が死亡、25人の感染が確認されたほか、感染の疑いがある700人以上が隔離措置を受けています。
死亡率4割ともいわれる、ウイルスの日本上陸のリスクを検証しました。
小屋に閉じ込められ、隙間から首を出すラクダ。
韓国・ソウル市内の動物園では、ラクダ2頭が隔離される事態になった。
ヒトコブラクダが感染源ともいわれる新型ウイルス「MERSコロナウイルス」への警戒が高まっている。
ソウル市内の病院には、MERSの簡易検査を行うための仮設の隔離施設が設けられているが、周囲には、警戒線が張られるなど、ものものしい雰囲気となっている。
隔離用のテントには、症状のある人は必ずマスクを着用し、病院職員に知らせるよう、注意喚起の文字があった。
ソウル市民は「知らずに病院に来たけど、ここを通るのは怖いです」と話した。
およそ3年前に発見され、主に中東で流行している「MERSコロナウイルス」。
感染すれば、重い肺炎などを引き起こして死亡することもあり、患者の致死率は、およそ36%とのデータもある。
この強力なウイルスが、韓国で拡散したきっかけは、5月4日に、中東4カ国への出張から帰国した、68歳の男性だった。
帰国後、4つの病院で受診や入院を繰り返した結果、医療スタッフや入院患者に、次々と2次感染。
1日、71歳の男性と57歳の女性が死亡した。
さらに、2次感染者のうちの1人が、感染を知らぬまま入院先を変えた結果、同じ病室になった2人に3次感染。
現在、あわせて25人の感染が確認されている。
韓国では、感染の疑われる人を、適切に隔離しなかった政府の対応に批判が集中した。
朴槿恵(パク・クネ)大統領も、その非を認めた。
朴大統領は「初期対応に不十分な点があった」と述べた。
現在、感染の疑いがある、およそ750人が、専門機関、または自宅で隔離措置を受けている。
しかし、2次感染者のうちの1人については、感染が発覚したのは、香港経由で中国の広東省に入ったあとだった。
その被害は、韓国の周辺国にも及び始めている。
仁川(インチョン)空港の検疫所では、MERSへの警戒を呼びかける看板を設置したほか、中東からの乗客に限り、直接、体温を測るなどの対策をとっている。
中東・カタールから帰国した韓国人からは、不安の声が聞かれた。
カタールから帰国した韓国人は「わたしの隣に座っていた人が、せきをたくさんしていたので、不安でした。検査をしっかり受けたいです」と話した。
一方、韓国・ソウルから羽田空港に帰国した日本人は、「(MERSについて、注意喚起は?)いえいえ、全然ありませんでした」、「(空港で何か対策は?)空港では、わたし、特に見かけませんでしたね」などと話した。
このMERSコロナウイルスは、インフルエンザほどの感染力はないとみられるものの、せきやくしゃみなどによる飛沫(ひまつ)感染で、人から人へと感染すると考えられるという。
東京慈恵会医科大学の浦島充佳教授は「潜伏期間中であれば、ほかの人に感染する可能性は、極めて低いと思います。分裂を繰り返すうちに進化して、新しい性格を備える可能性もありますから、そういった意味で、情報には注目してほしい」と話した。
日本の水際対策は大丈夫なのか。
厚生労働省は1日、全国の都道府県に対し、院内感染対策などを徹底するよう通知した。
空港などの検疫所には、看板が設置され、中東からの帰国者に、発熱などがあれば、相談するよう呼びかけている。
このウイルスの感染のメカニズムは、まだはっきりと解明されていないが、主に、せきやくしゃみなどの飛沫感染が考えられている。
一方で、結核などとは違い、感染者がいた場所を、あとから訪れて感染するような、空気感染はしないとみられている。
また、握手など、触れるだけでは、感染する可能性は低いということだが、医療行為や近親者による濃厚接触など、接触感染の可能性はあるかもしれないという。
予防策としては、マスクや手洗い、うがい、そしてアルコール消毒が有効ということだが、韓国では、現在、院内感染でとどまっているため、専門家によると、これから旅行を予定している人も、過剰に不安になる必要はないという。
死亡率4割ともいわれる、ウイルスの日本上陸のリスクを検証しました。
小屋に閉じ込められ、隙間から首を出すラクダ。
韓国・ソウル市内の動物園では、ラクダ2頭が隔離される事態になった。
ヒトコブラクダが感染源ともいわれる新型ウイルス「MERSコロナウイルス」への警戒が高まっている。
ソウル市内の病院には、MERSの簡易検査を行うための仮設の隔離施設が設けられているが、周囲には、警戒線が張られるなど、ものものしい雰囲気となっている。
隔離用のテントには、症状のある人は必ずマスクを着用し、病院職員に知らせるよう、注意喚起の文字があった。
ソウル市民は「知らずに病院に来たけど、ここを通るのは怖いです」と話した。
およそ3年前に発見され、主に中東で流行している「MERSコロナウイルス」。
感染すれば、重い肺炎などを引き起こして死亡することもあり、患者の致死率は、およそ36%とのデータもある。
この強力なウイルスが、韓国で拡散したきっかけは、5月4日に、中東4カ国への出張から帰国した、68歳の男性だった。
帰国後、4つの病院で受診や入院を繰り返した結果、医療スタッフや入院患者に、次々と2次感染。
1日、71歳の男性と57歳の女性が死亡した。
さらに、2次感染者のうちの1人が、感染を知らぬまま入院先を変えた結果、同じ病室になった2人に3次感染。
現在、あわせて25人の感染が確認されている。
韓国では、感染の疑われる人を、適切に隔離しなかった政府の対応に批判が集中した。
朴槿恵(パク・クネ)大統領も、その非を認めた。
朴大統領は「初期対応に不十分な点があった」と述べた。
現在、感染の疑いがある、およそ750人が、専門機関、または自宅で隔離措置を受けている。
しかし、2次感染者のうちの1人については、感染が発覚したのは、香港経由で中国の広東省に入ったあとだった。
その被害は、韓国の周辺国にも及び始めている。
仁川(インチョン)空港の検疫所では、MERSへの警戒を呼びかける看板を設置したほか、中東からの乗客に限り、直接、体温を測るなどの対策をとっている。
中東・カタールから帰国した韓国人からは、不安の声が聞かれた。
カタールから帰国した韓国人は「わたしの隣に座っていた人が、せきをたくさんしていたので、不安でした。検査をしっかり受けたいです」と話した。
一方、韓国・ソウルから羽田空港に帰国した日本人は、「(MERSについて、注意喚起は?)いえいえ、全然ありませんでした」、「(空港で何か対策は?)空港では、わたし、特に見かけませんでしたね」などと話した。
このMERSコロナウイルスは、インフルエンザほどの感染力はないとみられるものの、せきやくしゃみなどによる飛沫(ひまつ)感染で、人から人へと感染すると考えられるという。
東京慈恵会医科大学の浦島充佳教授は「潜伏期間中であれば、ほかの人に感染する可能性は、極めて低いと思います。分裂を繰り返すうちに進化して、新しい性格を備える可能性もありますから、そういった意味で、情報には注目してほしい」と話した。
日本の水際対策は大丈夫なのか。
厚生労働省は1日、全国の都道府県に対し、院内感染対策などを徹底するよう通知した。
空港などの検疫所には、看板が設置され、中東からの帰国者に、発熱などがあれば、相談するよう呼びかけている。
このウイルスの感染のメカニズムは、まだはっきりと解明されていないが、主に、せきやくしゃみなどの飛沫感染が考えられている。
一方で、結核などとは違い、感染者がいた場所を、あとから訪れて感染するような、空気感染はしないとみられている。
また、握手など、触れるだけでは、感染する可能性は低いということだが、医療行為や近親者による濃厚接触など、接触感染の可能性はあるかもしれないという。
予防策としては、マスクや手洗い、うがい、そしてアルコール消毒が有効ということだが、韓国では、現在、院内感染でとどまっているため、専門家によると、これから旅行を予定している人も、過剰に不安になる必要はないという。