2012年当時、まだ18歳だったBoyan Slat氏は、高校生の時に着想を得た海洋ゴミ回収システム「The Ocean Cleanup Array」を「TEDxDelft 2012」で紹介した。その後、翌年には本格的にプロジェクトの開始を発表、クラウドファンディングで投資を募り、19歳の若さで200万ドルもの資金を集め話題を呼んだ。
彼の構想はテストを重ねて着々と進行しており、21歳となった今、2016年の運用開始を発表した。驚くことに設置される場所は「対馬」だそうだ。
システムは驚くほどシンプル。プラスチックのほとんどは水面を浮遊しているため、海流によって運ばれてくるゴミを棒状の「浮き」で収集する。ゴミは自然とV字の中心部の塔に集まり格納される。可動に必要なエネルギーは太陽光と海流から賄うことができるそうだ。
網を利用していないため、海洋生物を傷つけない。さらに、集まったゴミは回収後にリサイクルすることができる。
対馬には長さ2kmもの浮きが設置され、少なくとも2年ほど作業が行われる予定だそうだ。その後、システムをアップデートし5年以内にカリフォルニア・ハワイ沖の間へ長さ100kmにも及ぶ大型機材を設置すると発表している。
目的は太平洋ゴミベルトに浮かぶ海洋ゴミを回収すること。今ある海洋ゴミの42%を回収することができると予想している。その量は、少なく見積もって7万トンを超えるそうだ。
プラスチックゴミが及ぼす影響範囲は広い。海洋生物への影響はもちろん、食物連鎖により毒素が伝わっていくことで、人間へと健康被害も広がる。当然ゴミを回収する費用も莫大だ。
彼の目標は太平洋ゴミベルトに浮かぶゴミを全て回収すること。計算上では、今後10年でその半分を回収できる目論見だという。運用コストも低く、集めたゴミや自然エネルギーを再利用して稼働できることもあり、今後の活躍には期待が集まっている。
Licensed material used with permission by The Ocean Cleanup Array