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夢は洋画をかけ廻る

タイトルは、松尾芭蕉最後の句と言われる「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」由来です。病に伏してなお、夢が枯野をかけ廻るとは根っからの旅人だったのですね。

「メリーに首ったけ」:キャメロン・ディアスの出世作は下ねた満載のロマンティック・コメディ

メリーに首ったけ」(原題:There's Something About Mary)は、1998年公開のロマンティック・コメディ映画です。ファレリー兄弟監督による下ねた満載のコメディは、このキャメロン・ディアスの出世作となり、彼女の人気を決定づけました。

 

 

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監督: ボビー・ファレリー

    ピーター・ファレリー

出演: キャメロン・ディアス(メリー・ジェンセン・マシューズ )

    ベン・スティラー(テッド・ストローマン)

    マット・ディロン(パット・ヒーリー)

    リー・エヴァンス(タッカー、ノーマン・フィップス)ほか

 

高校時代、学園一の人気者である憧れのメリー(キャメロン・ディアス)とプロムへ行くチャンスを手にしながら、人には言えないような事故を起こして入院するハメになった、内気で不器用なテッド(ベン・スティラー)。メリーとの仲もそれきりになってしまった13年後、メリーが忘れられないテッドは探偵のヒーリー(マット・ディロン)にマイアミに住む彼女の調査を依頼します。ところがそのヒーリーがメリーに一目惚れしてしまい、テッドに彼女をあきらめるように嘘の報告をします。メリーをあきらめきれないテッドは彼女の住むフロリダへと旅立ちます・・・。

 

下品なコメディとすれすれと言う人もいますが、軽くて、ちょっとセクシーなこのロマンティック・コメディは、可笑しくて、楽しめます。キャメロン・ディアスベン・スティラーもまだ若く、公開時26歳だったキャメロン・ディアスは、可愛い高校生をごく自然に演じています。この映画は興行収入は100万ドル以上の成功を収めましたが、キャメロン・ディアスベン・スティラーがこの映画に良く合っていたことが、その要因のひとつではないかと思います。彼らは無理する事なく、自然に演じている様に見えます。リー・エバンスにも触れないわけにはいきません。特に松葉杖をついたまま鍵を拾うシーンが圧巻ですが、他のパフォーマンスも好感が持てます。彼は、イギリスの一流のコメディアン、作家、俳優、そしてミュージシャンです。

 

監督を務めたファレリー兄弟は実の兄弟で、共同で監督・脚本・製作をこなします。過激で馬鹿馬鹿しくも愛すべきコメディ、それも感動する、いわゆるロマンティックコメディを多く撮っています。どの作品でも本物の障害者を障害者の役で必ず登場させますが、障害を個性の一部というスタンスで捉え、あくまでハンデキャップを持つ一人の人間として描いています。作品中には良い障害者もいれば悪い障害者もおり、障害者差別と批判する人もいますが、アメリカの障害者からは高い支持を得ています。

 

1996年公開の「キングピン/ストライクへの道」で損失を出してしまったファレリー兄弟は、これが最後の作品になるかも知れないと思い、彼らが思い描く限りのヒステリックなブラックコメディを作ろうと心に決めました。「メリーに首ったけ」が大ヒットしたおかげで、彼らは映画を撮り続けることができました。ショッキングな(?)ジッパーのシーンは、ファレリー兄弟の両親が、彼らの姉妹のパーティで若い男を救う羽目になった実際の事件に基づいています。

 

撮影は、楽しい雰囲気で進んだようです。エキストラの多くはファレリー兄弟の友人で、夜のパーキングロットに集うゲイの多くは、クルーメンバーが演じました。テッドが担架で運ばれるシーンで誤って担架がこけてしまったのですが、面白かったのでそのまま使ってしまったとか、メーリーが飛び出した子犬を追って窓の外を見るシーンでは、ファレリー兄弟がお尻を出して待ち構えていたとか・・・(笑)撮影には、キャメロン・ディアスの実父がつきそっていたのですが、ファレリー兄弟はこの実父まで撮影に巻き込みました。テッドが釈放される際に、見送りに赤い服を着た囚人達にはやし立てられますが、長髪で髭をはやしたキャメロン・ディアスのお父さんは、囚人のど真ん中で堂々たる囚人っぷりを演じています。

 

当初、テッド役のベン・スティラーにスタジオ側が反対しており、ベン・スティラーを第一候補としたファレリー兄弟は、対抗馬に当時まだ無名だったオーウェンウイルソンを担ぎだしました。スタジオ側は、これにさらに抵抗を示し、嫌々ながらベン・スティラーの起用に合意しました。他に、ジム・キャリーも候補に上がっていたようですが、誰がやっても濃いですね(笑)また、映画公開後、リー・エバンスのイギリス訛りが史上最悪のフェイクとの批判を受けたのも笑えます。彼はイギリス人なのでフェイクではないのですが、映画では彼が普段使う英語はブリストル訛りではなく、スノッブで気取った英語をかなり誇張して話しています。

 

高校のシーンはフロリダ州プランテーションのシティ・ホール近辺で撮影しています。オープニング・シーンでは、左に見える木の上で歌を歌っています。市議会のメンバーは映画のラフカットを見て下品さに落胆し、クレジットに市の名前を入れぬよう、要求したそうです(笑)

 

オープニング・シーンの撮影場所(フロリダ州プランテーションのシティ・ホール近辺)

 

テッドがマイアミで泊まったホテル(カルドゾ ホテル サウス ビーチ)

 

メリーがマイアミで住んでいた水辺の家は、近くに建設中のコンドミニアムのクレーン事故により壊れてしまいました。水辺の家はコンドミニアムの一部として開発されていましたが、リーマンショックのアオリを受けて、コンドミニアムも水辺の家も、再び日の目を見る事がありませんでした。

 

ファレリー兄弟監督作品

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