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実況! サハダイヤモンド株主総会  その1

2015年06月04日

実況! サハダイヤモンド株主総会  その1


 今年も3月決算上場会社の株主総会シーズンが近づいてきました。その中には毎年必ず「えっ」と絶句するような株主総会がありますが、今年は何といってもサハダイヤモンド(JASDAQ上場・コード9898)の株主総会から目が離せません。

 6月下旬にあるはずのサハダイヤモンドの株主総会開催日まで、何回かにわけてその虚々実々の「駆け引き」を実況することにします。たまにはこういった話題も取り上げないと本誌も飽きられてしまうからです。

 サハダイヤモンドは2011年5月に中国のダイヤモンド販売会社・欧陸之星鑽石(上海)有限公司の支配下に入りました。欧陸之星鑽石(上海)とはベルギー本社の世界的ダイヤモンド販売会社・Eurostarの中国法人といわれており(実際はよくわかりません)、その代表者である姜(ジャン)氏がサハダイヤモンドの代表取締役社長を兼任して現在に至ります。

 サハダイヤモンドはその傘下に、世界的なダイヤモンド産地のサハ共和国(ロシア内の自治共和国のようなものです)のダイヤモンド研磨会社・サハダイヤモンド(ロシア)があり、そこで研磨したダイヤモンドを欧陸之星鑽石(上海)が輸入・販売しています。

 2012年3月末現在の株主名簿では、姜氏がオフショアに所有するペーパーカンパニー・Eurostar HK(これも問題ですがベルギー本社のEurostarとは何の関係もありません)と、その姜氏の関係者の中国人が保有する株数を合計すると9680万株(発行済み株数の29.06%)ありました。

 ところが姜氏とその関係者は保有株の売却を進め、2014年9月末時点ではEurostar HKが1483万株(発行済み株数の4.45%)しかなく、姜氏の関係者の中国人はすべて株主名簿から消えていました。2015年3月末時点でも変化はないと思われます。

 しかしサハダイヤモンドの4.45%を保有するだけの姜氏および欧陸之星鑽石(上海)は、姜氏を含む3名の取締役(総勢6名)をサハダイヤモンドに送り込み、残る3名の日本人取締役の中にも中国人(名前は日本名)1名を送り込み、完全に経営権を掌握したままです。
 
 さらにサハダイヤモンドの株主であるEurostar HKは姜氏の個人所有であり、姜氏はサハダイヤモンドの現職代表取締役社長でもあるため、保有株の売却を巡ってはインサイダー取引の疑いも出てきます。ただ姜氏は上海在住のため仮に日本の証券取引等監視委員会が問題視しても全く手を出せません。

 それよりサハダイヤモンドの一般株主(日本人株主)にとって最大の問題とは、姜氏および欧陸之星鑽石(上海)と完全に利益が相反していることです。つまりサハダイヤモンドの一般株主は、いつ株式価値が大きく毀損するかわからない不安な状態が続いていることになりますが、ここはあとから(次回以降)出てきます。

 ここからが本題ですが、今年の株主総会に向けてサハダイヤモンドの一部株主が独自の取締役候補を推薦する株主提案を提出したようです。株主提案はサハダイヤモンド株式を1%以上あるいは議決権300個以上を半年間以上保有している株主が提出することができますが、株主総会開催日の8週間以上前に提出する必要があります。

 ところがゴールデン・ウイーク前に株主提案を受け取ったはずの姜氏は、驚くほど過剰反応したようです。

 だいたい株主提案が提出されたとしても、どれくらいの株主がその株主提案に賛同するかなどは全く未知数であり、真っ当な経営を続けていれば何ら恐れる必要はないはずです。

 先日の大塚家具の株主総会などをみても、株主総会というものはその時点で経営権を握っていれば(圧倒的多数の株式を保有していなくても)大変に有利なもので、会社提案を退けて株主提案が承認されることなど「まず」ありません。

 しかし 姜氏は驚くほどの迅速さで、株主提案が提出された事実を伏せてIRを止め(任意開示ではあります)、弁護士事務所を雇って対策を練るように指示し(大変に高額な弁護報酬をとる某弁護士事務所を雇ったようですが、そもそも姜氏の経営権を守るためなのでサハダイヤモンドにこの報酬を負担させれば背任となります)、だいたい月1回の取締役会も電話でしか参加していない姜氏がわざわざ来日して陣頭指揮をとっているようです。

 そして前から決められていた株主総会の日程を、提出された株主提案が8週間以上前に届いていない日を逆算して強引に前倒しするよう指示したようです。そうすると今度は株主総会招集通知を開催日の14日以上前に発送しなければならず、その議案はすべて発送前にIR(これは法定開示)しなければならないため、すでに綱渡りの日程になっています。

 まあ株主総会開催日の決定は取締役会の専権事項なので、正式に取締役会に諮っていれば日程を前倒ししても法律的には大きな問題ではありませんが、それでは何でそんな株主提案1つに過剰反応しているのでしょう?

 よっぽどやましいところがあるのかと、疑ってみたくなります。

 しつこく続くことになりそうです。

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珍株主総会
石山gateway、グローバルアジア、サハダイヤ、LCA、SOL、今年は産業廃棄物の大掃除に特捜部やら組対三課やら、大忙し。
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