韓国で中東呼吸器症候群(MERS=マーズ)の感染が拡大する中、私教育(塾や家庭教師など)の一大拠点であるソウル市江南区の子どもを持つ親たちも混乱に陥っている。子どもたちを家の外に出さない親たちが増加し、学習塾が集まっている同区大峙洞では休業を余儀なくされる塾も少なくなかった。
大峙洞の学習塾が集まる地域で小学生対象の英語塾を経営している塾長(41)は3日「いつもは午後10時まで授業を行っているが、きょうは午後4時の授業で終わりにし、日曜日まで休業することにした。大峙洞の小学生対象の塾はほとんど休業していると思っていい」と話した。近くの別の学習塾の塾長(42)は「午前中に塾内部の消毒を行い、保護者たちに『塾に来ても大丈夫だ』というメールを送ったが、半分くらいしか来なかった。あすからは休業することにした」と話した。
江南地区の子どもを持つ親たちの間では、さまざまなデマも流れている。2日夜、インターネットのコミュニティーサイトに掲載された「大峙洞の○○○学習塾の塾生がMERSに感染したと判定され、親にメールで通知された」という書き込みが発端になった。この書き込みは、大峙洞のマンションで家庭内隔離されていた50代の女性がゴルフに出掛けたという事実と、未確認のうわさがごちゃ混ぜになり、大峙洞の親たちが主に活動しているコミュニティーサイトや、モバイルメッセンジャーなどを通じて急速に広まった。このメッセージの内容の一部は事実でないことが確認されたが、大峙小学校を含む周辺の小学校は4・5日の2日間、休業することを決定した。
3日、大峙洞の学習塾に子どもを連れてきたある親は、小学生の娘が咳をすると「ここで咳をしちゃだめ」と叱った。同洞の学習塾で数学の授業を受けた中学2年生の女子生徒(14)は「きょう学校に行ったら、先生と生徒の半分がマスクを着用していた」と話した。小学生の息子を持つ主婦(42)は「カカオトーク(スマートフォン向け無料チャット・通話アプリ)で出回っている話はデマだけど、病院がMERSの感染源と名指しされている状況で、医師たちが多く住む大峙洞の学校がなぜ休校しないのか分からない」と不安感を示した。MERSに感染した子どもがいるとのうわさが出たP数学塾は「同じ名前の塾だけでも大峙洞には数えきれないほどあるのに、今日1日で100件もの問い合わせの電話が殺到した。事実と異なる内容の話が広がり続けているため、虚偽事実流布容疑で警察に届け出た」と話した。