【社説】MERS対策、今こそ朴大統領は陣頭指揮を

 朴槿恵(パク・クンヘ)大統領は3日、大統領府で開催された中東呼吸器症候群(MERS=マーズ)対策のための緊急点検会議に出席し「さまざまな問題に積極的な姿勢で対応するため、専門のタスクフォース(特別チーム)を立ち上げ、これを通じて問題の根本原因や発生・感染経路などを徹底して分析し、その結果を国民に知らせねばならない」と述べた。この会議はMERSの感染患者が最初に発見されてから14日後、朴大統領が初めて直接招集したものだった。

 大統領府の発表によると、朴大統領は患者の治療方法や感染が確認された際の対応の要領、さらに感染経路や治療を担当する医師らの移動などについて検討を行うことや、患者の移動経路や隔離施設の現状などについて早急に把握することなどを指示したという。遅きに失した感はあるが、大統領が招集した最初の会議であるだけに、現状の分析や把握、今後の対応策などのほかは検討すべき内容もなかったのかもしれない。

 ただ患者の数はすでに30人にまで増え、隔離対象者は1364人に達している。このように患者や隔離対象者の数は今なお急速に増え続けているが、それ以上に国民の間で急速に広まっているのが病気に対する不安や恐怖心で、これは大統領府が想定するよりもはるかに深刻な問題だ。ところが朴大統領は緊急点検会議で「実態の把握」に加えて「国民への周知」という言葉を使い、国民の知る権利に配慮するような姿勢を強調するばかりだった。これでは現状に対する大統領の認識と国民の不安にずれがないか、誰もが疑問に感じざるを得ないだろう。

 朴大統領と国民の間で、現状に対する認識や感覚に大きなずれが生じている理由は幾つか考えられるが、その一つとして保健福祉部(省に相当)が現状を過小評価して報告していることを挙げることができる。同部の文亨杓(ムン・ヒョンピョ)長官は2日「MERSの感染が拡大した経路は医療機関の内部に限定されているため、対策の段階は『注意』を引き続き維持する」と発言した。対策の段階は「関心」「注意」「警戒」「深刻」の順に高くなるが、文長官によると今はまだ非常事態ではないということだ。

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