円安にMERS、韓国経済に悪材料相次ぐ

円安にMERS、韓国経済に悪材料相次ぐ

 過去最低の年1.75%まで政策金利を引き下げ、不動産景気を回復させるために規制緩和を行い、なんとか景気回復の火を絶やさぬようにしてきた韓国経済が2つの悪材料で再び揺らいでいる。

 円安効果が本格化し、輸出中心の大企業が影響を受けているほか、中東呼吸器症候群(MERS)という突発要因が生じ、内需も冷え込みかねない状況だ。防疫当局が初期のMERS感染封じ込めに失敗したのに続き、政府の経済チームも円安とMERSというダブルの悪材料にこれといった動きや危機意識を示せずにいる。昨年4月のセウォル号沈没事故当時、「大規模事故が経済に与える影響は限定的だ」として、安易に対応した結果、経済心理が急速に冷え込み、景気が冷え込んだ過ちをまたも繰り返している。

■円安で輸出急減

 3日のソウル外国為替市場で、ウォン・円相場は100円=891.97ウォンを付け、2008年2月以来7年3カ月ぶりのウォン高水準となった。その影響で、過去10年以上、2桁台の伸びを示してきた韓国の輸出が年初から異例の減少を示している。最大の輸出相手国である中国経済の減速も重なり、5月の韓国の輸出は前年同月比で10.9%も減少した。これで年初来5カ月連続のマイナスとなる。 

 円安の恐るべき効果は、海外市場で日本の自動車メーカーと価格競争を繰り広げる現代自動車の不振にはっきりと表れている。現代自の5月の米国での販売は前年比で10.3%減少した。そのショックで現代自の株価は2日に10.36%暴落し、3日も2%以上下落した。一方、日本の中堅自動車メーカーであるスバル、三菱は5月にそれぞれ12%、32%販売を増やした。日本の造船企業は円安を追い風に今年1月、船舶受注量で7年ぶりに首位に躍り出た。旅行市場では、韓日両国の外国人観光客数が逆転。1-4月の訪日観光客数は589万人だったが、訪韓観光客数は459万人にとどまった。

■予想外の悪材料MERS

 韓国経済を支えてきた輸出が揺らぐ状況で、MERSショックが長期化すれば、消費心理が急速に冷え込むのは明らかだ。伝染病は経済に悪影響を及ぼす。新型肺炎SARSが流行した2003年初め、中華圏の経済は大きな打撃を受けた。03年第2四半期の中国の経済成長率は7.9%で、前期(10.8%)を大きく下回った。香港も同年第1四半期に4.1%だった成長率が第2四半期にはマイナス0.9%に落ち込んだ。MERSによるショックが景気減速につながる前に政府は先手を打つべきだとの声が高まっている。

 全国経済人連合会(全経連)の李承哲(イ・スンチョル)副会長は「韓国経済は輸出減、内需低迷という慢性病で体力が落ちた状態であり、MERSという急性の合併症で経済心理が急速に冷え込み、不安感が高まった散々な状況だ」と話した。与党セヌリ党の金武星(キム・ムソン)代表も3日、国会での党最高幹部による会合で、「MERSの事態が悪化すれば、セウォル号事故よりも大きな経済的ショックが生じかねないという危機意識を持たざるを得ない」と述べた。

李陳錫(イ・ジンソク)記者
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