イルカ飼育施設:脱退表明はなし 協会総会初日
毎日新聞 2015年05月28日 22時53分(最終更新 05月28日 22時56分)
兵庫県姫路市内のホテルで28日開幕した日本動物園水族館協会(JAZA)の今年度総会で、協会側は和歌山県太地町の追い込み漁で得たイルカを入手禁止としたうえで世界動物園水族館協会(WAZA)残留を決めた経緯について、会員に説明した。イルカを飼育している施設から今後の入手についての不安や不満の声が次々と出る一方、反対する会員の脱退表明などはなかった。総会は29日も開かれ、午前中に閉幕する。
総会には、加盟152施設のほぼ全員が出席。協会総裁として出席された秋篠宮さまがあいさつの中でイルカ問題や追い込み漁に触れ、「日本に古くから伝わる文化の問題と、協会がWAZAという組織の一員であることは分けて考える必要がある」とし、残留決定には「難しい判断をしたことと推察するが、協会全体として将来的にプラスに働くことと思う」と話した。
総会は非公開で、出席した荒井一利会長(千葉・鴨川シーワールド総支配人)によると、イルカを飼育している施設の関係者から「追い込み漁が非難されるのはおかしい」と主張する声があった一方、協会の規制内容が分からず不安を訴える意見があったという。今後、イルカを飼育している水族館と具体的な規定などについて話し合う方針。
太地町から入手したバンドウイルカ3頭を飼育するあわしまマリンパーク(静岡県沼津市)の佐藤充館長は「イルカ入手禁止の説明は納得できなかったが、JAZAが立場上苦しいのは十分分かった」としながらも、今後については「協会脱会を含め検討する」と話した。【畠山哲郎、山縣章子、川畑展之】