韓国社会には法律やルールを「自分ではなく他人が守るもの」という意識が広くまん延している。一般市民の間で小さなルール違反に目をつむるケースが繰り返された結果、ルールを守らないで社会の秩序を乱す人間たちの方が逆に態度が大きくなっているのが韓国の現状だ。MERS患者と隔離対象者の一部が示した行動やうその言葉も、このような韓国社会の実情をそのまま反映したものだ。彼らにはおそらく罪の意識さえないのだろう。
今の時代、どこかの国で伝染病が発生すると、その感染の範囲は瞬時に国境を越えてしまう。ここ数年だけでもSARS、新型インフルエンザ、エボラ出血熱などが世界中を恐怖に陥れた。政府の対応力も問題だが、韓国では市民意識によって伝染病に効果的に対応するのはどうやら不可能なようだ。地下鉄やバスはもちろん、エレベーターのように密閉された空間の中でさえも、くしゃみやせきをする際に手で口を押さえることもしないケースなど韓国では全く珍しくもない。
米国や日本などでは小学校の時から公衆衛生に関する教育を行い、伝染病予防や他人に迷惑を掛けないための行動の仕方を教えている。個人の責任や意識が伝染病対策のスタートであり根本になるという当然の事実を、これらの国々ではわきまえているからだ。ただ韓国で今すぐこのように市民の意識を高めることはできないだろう。だとすれば香港のように伝染病への感染が疑われる渡航者を強制的に隔離するといった制度を導入し、危険地域への渡航の事実や体調不良を報告しない場合の処罰を強化せざるを得ないだろう。今回の問題を通じ、韓国社会に広がる無責任な意識や行動が、結果的に国民一人一人に跳ね返ってくるという当然の結果をあらためて目の当たりにした。この現実については国民も誰もがあらためて深く考えてほしいものだ。