なによりも生保制度の改革[注9]こそが急務なのだと強調する。その重要性に比べれば、生保バッシングなど取るに足らないということなのだろう。一点突破・全面展開の、まさにジャンヌ・ダルクのようなパワーを私は彼女に感じた。
「生活保護は恥」という思想
続いて本誌編集者が「片山さんがある種の理念を持っていることは理解できる」としたうえで次のように質問した。
---片山さんの話を聞いていると、生活保護を受けることが、「いけないこと」のようにも感じてしまうのですが・・・。
これにも片山議員は、自信たっぷりに応じた。
「生活保護というのは日本の文化からすれば恥です。人様の税金で生活しようとするのですからね。それがいいことなんだと、権利を謳歌しようなどと国民が思ったら、国は成り立たなくなる」
生活保護が恥---その言葉に思わず「はあ・・・」と溜め息を漏らした私は、会場でも圧倒的に少数派であったはずだ。片山議員が「国は成り立たなくなる」と言い終えた瞬間、待ってましたとばかりに会場からは一斉に力強い拍手が沸いた。
おそらく、これが生活保護をめぐる世の中の"空気"なのだと思う。頭の良い彼女はそのことを十分に理解しながら言葉を発しているはずだ。
実は、私が片山議員と向き合って話したのは、このときが2度目である。
その1ヵ月前にも、私は同議員と『週刊朝日』(7月20日号)の企画で、やはり生活保護を題材に対談を行っている。
その際には「恥」といった言葉こそ出なかったものの、生活保護に対する彼女の物言いがあまりにも紋切り型であることに私は脱力した。
〈(河本問題は)日本のモラルはここまでダメになったのかという衝撃ですよ〉
〈大阪の西成で、65人の居住者のうち64人が受給者だというマンションを見てきましたが、一部屋が4畳半か6畳一間とかだよ。私が1982年に大蔵省に入省したときの寮なんて、それより狭かった〉
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