シャープ:45〜59歳対象に3500人希望退職募集
毎日新聞 2015年06月03日 21時02分(最終更新 06月03日 21時20分)
経営再建中のシャープは7月27日から8月4日まで本社と国内の主要グループ企業に在籍する45〜59歳の社員を対象に約3500人の希望退職を募集する。退職日は9月30日。2012年12月に実施した前回(募集数2000人)は40歳からが対象だったが、今回は「若手社員の退職が相次げば再建に支障が出る」として、対象年齢を引き上げた。割増退職金は最も多い50歳で26カ月分前後などと、全年齢で前回より減らす。
賃金カットについては、今年8月から来年3月まで基本給を一般社員で2%、管理職で5%それぞれ減らす。冬の賞与は一般社員で前年実績の半分の1カ月分とするほか、管理職は業績次第で1カ月分からさらに圧縮することも検討する。残業や休日出勤時の割増額を法定基準の25〜35%まで引き下げ、単身赴任手当や家族手当、育児支援金も2%削減する。
労働組合との合意を経て正式に決める。希望退職に伴う割増退職金などの費用は約350億円を見込み、16年3月期に特別損失として計上する。一方で、人員削減で150億円(今年10月〜来年3月分)▽賞与半減で70億円▽賃金・手当カットで30億円−−の経費削減効果を見込む。
3年間で2度目の大規模な希望退職の募集を行うシャープは収益改善に人件費の大幅な削減が不可欠な一方、再建に必要な人材は確保しなければならない二律背反の状況に直面している。経営不振が続く中、ここ数年は40歳以下の若手・中堅社員が相次ぎ他社へ流出。「これ以上の若手が流出すれば、現場力が落ちる」(幹部)として、今回は希望退職募集の対象を「45歳以上」とした。
ただ、再建に必要な人材は若手に限らない。柱の液晶や家電事業で中核の人材が抜けたり、応募者が想定以上に膨らんだりすれば、再建に打撃を与えるリスクがある。【宇都宮裕一】