年金情報流出:不審メール4種類 件名周知、感染17日後

毎日新聞 2015年06月03日 15時00分

衆院厚労委で個人情報流出について謝罪する水島藤一郎日本年金機構理事長(左)と塩崎恭久厚労相(右)=国会内で2015年6月3日午前10時33分、梅村直承撮影
衆院厚労委で個人情報流出について謝罪する水島藤一郎日本年金機構理事長(左)と塩崎恭久厚労相(右)=国会内で2015年6月3日午前10時33分、梅村直承撮影

 日本年金機構の年金加入者情報流出問題で、機構に送付された不審なメールが少なくとも4種類あったことが関係者への取材で分かった。最初に感染が確認された5月8日の時点で、機構は不審なメールに注意するよう職員に通知したが、メールの件名を示さなかった。4件すべてを例示したのは5月25日ごろだったといい、機構内でも「最初から件名を通知すれば被害拡大を抑えられたのではないか」との声が出ている。

 関係者によると、不審なメールの件名は、「厚生年金基金制度の見直しについて(試案)」に関する意見▽医療費通知▽厚生年金徴収関係研修資料▽給付研究委員会オープンセミナーのご案内−−の4種類。「給付研究委員会」のメールには本文の欄に「申し込みは添付ファイルの用紙からお願いします」と記され、ファイルが添付されていた。また、ほか2種類にも添付ファイルがあり、残る1種類には機構外のリンク先が記されていた。

 機構は5月8日「不審なメールが一部に届いている」として、心当たりがないメールは削除するよう呼びかける通知を出したという。しかし、メールの件名は記されておらず「どんなメールに注意すればいいのかわからない」と戸惑う職員もいたという。

 関係者によると、機構が次に注意喚起したのは5月18日ごろで不審メールとして「給付研究委員会オープンセミナーのご案内」の件名などを例示した。

 機構によると、メールによる不正アクセスがあったのは5月8〜18日。しかし、関係者によると、「給付研究委員会」以外の3種類の件名が職員に通知されたのは25日ごろで「不審メールの送信が続いている」と指摘していた。

 機構によると、福岡県内の事務所職員がメールに添付されたファイルを開け、5月8日に感染が確認された。また、東京都内の事務所の職員が同様にファイルを開け、18日に感染が確認された。

【野倉恵】

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