上映プログラム

「発注者なしに自主的につくられるもの」この“創作物の最もピュアなかたち”が、自主映画にはあります。

自主な心、自主な視点、自主的な他者へのアプローチ。それらの塊である自主映画を、一週間に固めてご紹介します。

自主であるということを、世界的に通用する言葉で言うなら「インディペンデント」

インディペンデント魂を持った先人たちが、数多の困難な時代にも道を切り開いて来ました。
不可能を可能にするインディペンデント。その入門のための一週間。お楽しみください。

[ 5/30(土) 5/31(日) 6/1(月) 6/2(火) 6/3(水) 6/4(木) 6/5(金) ]

5月30日(土)

オールナイト

PFFの始まった1977年は、日本中が8mmカメラを使っての映画製作の情熱に沸き立っていた。
大学はもとより、高校、果ては中学まで広がった映画研究会。もともとホームビデオのように、家族の行事を記録するために普及していた8mmフィルムを使い劇場映画のような長編をつくろうとする、その無謀な冒険から、現在第一線で活躍する映画監督たちは映画づくりを学んでいった。
劇場に今や貴重品となった8mm映写機を持ち込んで、8mmフィルムを上映する、そんなオールナイトイヴェントも3年目。今年はインディペンデント映画の父もお迎えする。

成島出監督来場!マイベスト インディペンデント映画とともに

『みどり女』

[1985年/140分/カラー/8mm]
監督・制作・脚本:成島 出/撮影:遠藤孝史
出演:日野明子、琢磨裕子、原田文明、長谷川雅一
◎1986年一般公募部門入選

成島 出監督の原点がここに!衝撃の140分

緑色の性器を持つ女みどりと、彼女を愛する3人の男の物語。全体を貫く、乾いた、ストイックなトーン、4人の役者のリアリティ溢れる演技、そして映像の恐ろしいまでの緊迫感。長谷川和彦監督絶賛の8㎜長編力作。

© 1958 Gena Enterprises.
東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品

『アメリカの影』

[1959年/82分/白黒/35mm]
監督:ジョン・カサヴェテス
出演:レリア・ゴルドーニ、ヒュー・ハード、ベン・カラザース、アンソニー・レイ
配給:ザジフィルムズ

インディペンデント映画の父 
アメリカ映画はここから変わった

NY、マンハッタンに暮らす、黒人の血を引いたヒュー、レリア、ベンの三兄妹。白人社会の中で、それぞれに肌の色からくる疎外を体験していく様を、台本なしで演出。スコセッシ始め後進の映画監督たちに衝撃を与えた。

『いそげブライアン』

[1985年/67分/カラー/8mm]
監督・制作・脚本・撮影:小松隆志/撮影:蟇田忠雄
出演:伊藤裕康、村越壮希、木名瀬幹子、柚木理恵
◎1986年一般公募部門入選

プロレスファン必見!?観る者を高揚させる痛快作

最強のタッグ、ブライアンとチャーリーは離ればなれになり対照的な人生を歩む。その生き様を、大量のモノローグとたたみかけるイメージでパワフルに描き、PFF映写スタッフからファンクラブが発足し熱狂が拡がった伝説作。

『雨女』

[1990年/72分/カラー/ビデオ(オリジナルフォーマット:8mm)]
監督・制作・脚本・撮影:矢口史靖
出演:槙井美和、駒場香代子、山口昭三郎
◎PFFアワード1990グランプリ

毒と狂気に満ち溢れた、忘れられない衝撃作

降りしきる雨の中、他人の迷惑もかえりみず突っ走る常軌を逸した2人の女。あるときはドキュメンタリー、またあるときはB級ホラーのノリで、無為な気分と無鉄砲さが結末へ向けて転がり出す…全く先の読めない展開に誰もが驚愕!

来場ゲスト

成島 出監督

◎プロフィール
相米慎二監督らの助監督を経て、04年『油断大敵』で監督デビュー。11年『八日目の蟬』で日本アカデミー賞をはじめその年の映画賞を独占。最新作は『ソロモンの偽証』。

5月31日(日)

武蔵野美術大学映像学科+NPO法人おおむら里山村づくり委員会(長崎県大村市)「スナメリの詩プロジェクト」

里山と映像のつくり手を結ぶプロジェクト発進!武蔵野美術大学教授が呼びかけ、PFF入選作家らインディペンデントな若手映像作家、クリエーター、学生たちが長崎県大村市に集結。里山村や市民と恊働で10作の短編映画を生み出した。地元高校生3名も初監督、1本が中国の国際映画祭で受賞。大村の歴史や今をふまえ、ジャンルを超えて、ユニークな物語を描画する。「スナメリ」とは、大村湾に人知れず数百頭が共棲するという小型イルカのこと。

『爆走高校生2』

[2015年/11分/カラー/ビデオ]
監督:伊東瑞輝、伊藤晶美/撮影:後藤理一郎/録音・メイキング:瀬川哲朗
出演:二森英一、小川優稀奈、野上鉄晃、尾崎 晶

あの日の記憶のまま少女は微笑むこの街で

男子高校生が、カメラ越しに出会った少女を追う青春自転車爆走劇。時を超え、少女の面影と風景に再会する。プロジェクト発進前のワークショップで初めてカメラを手にした地元高校生が撮り上げた切ない青春譚。

『一万年後の子供』

[2015年/15分/カラー/ビデオ]
監督:廣原 暁/制作:青木思穏/撮影:下川龍一/録音・整音:渡辺一輝
出演:松尾将吾、植木田康次郎、一木大和、太田悠斗

子供が子供らしく遊べる幸せが続くことを

ゲームのメダル話に湧く森の秘密基地。仲間外れの少年ショウゴは…。水田、里山、遺跡現場に子供たちの歓声が木霊する。地元小学生主演による『世界グッドモーニング!!』『HOMESICK』廣原監督最新作。

『きおく きろく いま』

[2015年/16分/カラー/ビデオ]
監督:水本博之/助監督:酒井貴史/撮影:野中裕樹、徳永菜保
出演:橋口ハセ

映像をトレースし着色し存在の核を掴む

キリシタン大名大村氏の領土であった長崎・外海。禁教令、貧困、原爆の記憶を抱える土地で祈り続ける95歳の聖女へのインタビューが、1500人の市民が描く4000枚の“いま”と融合するアニメーション作品。

来場ゲスト

廣原 暁監督、水本博之監督、小口詩子氏(総合プロデューサー/武蔵野美術大学映像学科)ほか

「スナメリの詩プロジェクト」の皆さんが集結します!

6月1日(月)

「さよなら多摩美映像学科 こんにちはたまふぃるむ」青山真治&大久保賢一セレクション作品特別上映

近年刺激的な作品を送り出すことで益々注目が高まる多摩美術大学造形表現学部映像演劇学科が、その歴史に終止符を打ち3年後に消えると聞き、緊急特集を。ここ数年のPFF入選作品を挙げるだけでも『ニュータウンの青春』『山犬』『あの日から村々する』『故郷の詩』『愛のはずみ』『疾走ラブレター』『人に非ず』『丸』と多彩なタイトルが、強烈なつくり手たちが。でも大丈夫。これからは「たまふぃるむ」として活動が続くという、その話もここで!

『残光』

[2014年/40分/カラー/ビデオ]
監督:広田智大

生と死の重なりをみつめる明瞭で濃密な世界

多摩美上野毛から生まれた”たまふぃるむ”は、演劇と映画を横断する俳優たちの質の高さと、撮影美術録音等の技術スタッフの力量を結集する。その力が最も鮮やかな形をとっている。その晴れ渡った暗さに瞠目。刮目。

『襟売ってよ』

[2014年/40分/カラー/ビデオ]
監督:大河原 恵

ユニークな文体によって「映画」を変えた一作

「ある家族の再会の一日」と聞いて、このような展開、場面、セリフを想像することは不可能だ。大河原恵の脚本演出は、細部、トータルともに無類。その個性をつぶさないことのみを”たまふぃるむ”はめざした。

来場ゲスト

広田智大監督、大河原 恵監督、甫木元 空監督、大久保賢一氏(多摩美術大学)

6月2日(火)

未体験ではすまされない 少女映画の金字塔 インターナショナルバージョン

少女映画史に残る傑作『おとぎ話みたい』が、異例の“インターナショナルバージョン”としてテアトル新宿に帰ってくる!山戸結希が学生時代最後に監督した“少女の遺作”。その全編にきらめく卓越した言語感覚が英語字幕と一緒に踊る。更にPFF入選短編『Her Res ~出会いをめぐる三分間の試問3本立て~』特別併映も決定!

© 寝具劇団

『おとぎ話みたい インターナショナルバージョン
Like A Fairy Tale

with English subtitle
[2013-2014年/51分/カラー/ビデオ]
監督・脚本・編集:山戸結希/音楽:おとぎ話/撮影:今井孝博/照明:中西克之
出演:趣里、岡部 尚、おとぎ話、小林郁香
http://posthumous-work-of-girl.com/

21世紀最強の少女映画を駆け抜ける!

昨年12月の上映時には連日満員御礼、テアトル新宿の実写レイトショー記録を13年ぶりに塗り替えた青春映画。主人公と駆け抜ける劇場空間に共感と驚嘆が広がってゆく。「あなただけが、私の田舎でした。」

特別併映

『Her Res ~出会いをめぐる三分間の試問3本立て~
Her Res - 3 cases in which you will find me in 3 minutes

with English subtitle
[2012年/12分/カラー+白黒/ビデオ]
監督・脚本・撮影・編集:山戸結希/ピアノ演奏:堀 静香/録音:大和田麗衣
出演:飯島みなみ、上埜すみれ、今村貴子、由比絵理子
◎PFFアワード2012入選

女の子2人の出会いにまつわる実験的恋愛短編

ボーイッシュな女の子みなみと、癒し系ガールすみれ。あの娘の心を手に入れるには?どんな出会いで、どんなきっかけがあれば恋愛に発展できるの?不思議な映像パワーで綴られた、ショート・ラブ・ストーリー集。

来場ゲスト

山戸結希監督、有馬和樹氏(おとぎ話)、上埜すみれ氏(『Her Res』出演)

◎山戸結希監督プロフィール
上智大学在学中に撮影した処女作『あの娘が海辺で踊ってる』が東京学生映画祭審査員特別賞を受賞。『5つ数えれば君の夢』はシネマライズの監督最年少記録で公開された。

6月3日(水)

「大学の卒業制作がそのままメジャー公開」夢は実現する!

1980年。そこにはいわゆるメジャーと呼ばれる映画会社の所有する映画館か、あるいは名画座があるだけ。単館系という事象は後年生まれる。学校で映画を学び、その卒業制作がそのまま劇場公開へと続く夢。そのまさかの実現を成し遂げた主演の山田辰夫が輝く驚愕のロック映画を今!撮影の笠松則通氏に実現への日々を伺うトークも。

『狂い咲きサンダーロード』

[1980年/98分/カラー/16㎜→35㎜ブローアップ]
監督・脚本:石井岳龍(聰亙)/脚本:平柳益実、秋田光彦
出演:山田辰夫、戎谷広、大池雅光、中島陽典

日本映画史上最高に凶暴でピュア

暴走族や右翼から命を狙われながらも、権力に屈せずひとり戦い続ける特攻隊長・仁。若干22歳の監督が日大芸術学部卒業制作から東映系全国公開へ。のちの自主映画の歴史を変えることになる渾身のロック映画。

来場ゲスト

笠松則通氏(映画キャメラマン)

◎プロフィール
日本映画大学画芸術学部映画学科で出会った石井聰亙(現・岳龍)監督と共に『狂い咲きサンダーロード』『シャッフル』『爆裂都市 BURST CITY』らを撮影。その後、阪本順治監督(『大鹿村騒動記』)、松岡錠司監督(『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』)、豊田利晃監督(『青い春』)、李 相日監督(『悪人』)らの作品を手掛け、日本アカデミー賞の優秀撮影賞を5度受賞している、日本を代表するキャメラマンのひとり。

6月4日(木)

高校生が、大学生が実現!素晴らしい特撮の世界

アマチュア映像制作集団DAICON FILMの総力を結集した大特撮大怪獣映画。山陰の地方都市・米子に甦った八本首の大怪獣「ヤマタノオロチ」と防衛隊との攻防を、自主映画とは信じがい迫力満点の映像で描き、当時のファンの間で伝説的な存在となった。監督の赤井孝美らスタッフに加え、後に平成ガメラの特技監督として名を馳せる樋口真嗣も参加、すべてが人の手によって作り上げられた驚異のミニチュアワークは必見!

『八岐之大蛇の逆襲』

[1985年/72分/カラー/ビデオ(オリジナルフォーマット:16mm)]
監督・脚本・撮影:赤井孝美/特技監督:樋口真嗣/プロデューサー:澤村武伺/脚本:伊藤愛子
出演:高橋香具美、永山竜吐、米良健一郎、武田康廣

DAICON FILMが贈る、自主特撮映画の金字塔。

『天元突破グレンラガン』の制作で知られるガイナックスの前身「DAICON FILM」による特撮怪獣映画。ミニチュアを駆使した八本首の「ヤマタノオロチ」と防衛隊との攻防を迫力満点に、取り巻く人々の人間模様をコミカルに描く。

6月5日(金)

人形、クレイ、画、多彩に揃いました。PFF入選アニメーション特集

長編映画、ドラマのための映画祭。いつのまにかそんなイメージが独り歩きするPFFのコンペティション部門「PFFアワード」。実のところPFFアワードは、アニメーション、実験映画、ドキュメンタリーと、何でも応募可。勿論、どんなジャンル映画もどんな長さの映画も歓迎だ。過去にはアニメーション映画祭を定期的に開催していたことを知る人は少ない昨今、近年のアニメーション入選作品の一部を御紹介し、意外な一面をお伝えする。

『PARALYSIS』

[1992年/13分/カラー/ビデオ(オリジナルフォーマット:16mm)]
監督・制作・脚本・撮影:徳山高志・元子
◎PFFアワード1992佐藤工業賞

シュールさが癖になる人形アニメーション

1人の老人が暮らす家を舞台に、ある日の出来事が矢継ぎ早に展開し、やがて宇宙的な広がりの中、様々な物体が浮遊し始める。目の前で繰り広げられるイメージの流れにただ身を任すことを経験する至福の映像体験。

『21世紀の王様』

[2000年/48分/カラー/ビデオ]
監督・脚本・アニメーション製作:荻原義衛/音楽・音響効果:野見祐二、岩崎 健
声の出演:岩崎健、戸田和雅子、野見祐二、野見朗子、野見菜々子、荻原義衛
◎PFFアワード2001審査員特別賞

心躍る、元祖キモかわワールドを体感せよ!

民主主義が崩壊し“王様主義”の時代となった21世紀の御伽話。シュールで、エキセントリックな映像は荻原監督の頭の中に潜入した感覚に陥り息を呑む。アウトサイダー・アートに80年代歌謡曲が奔放的で気持ちいい。

『僕ら太陽を真ン中に』

[2000年/15分/カラー/ビデオ]
監督・映像製作:竹内 義/音楽:のびっつ(窪田ミチル/駒形犬吉)
◎PFFアワード2001エンターテインメント賞(レントラックジャパン賞)

愛さずにはいられない、手のひらサイズの生命体

ごく普通のアパートで”やつら”は生まれた。正体不明の生命体が、道路を、公園を、賃貸アパートを駆け巡る、愛の人形たち。実風景の中で愛らしいキャラクターが暴れまわるクレイアニメーション。

『舞いあがる塩』

[2007年/18分/カラー/ビデオ]
監督・脚本・編集・語り:水本博之
◎PFFアワード2008入選

巨匠ベルトルッチをも彷彿させる世界観を描く

砂塵が吹きすさび、空さえ褐色の世界。終わりゆく世界からの逃亡か、それとも生きるための旅なのか…。ドローイングやパペットをまじえ、精緻に作り込まれながらもざらついた肌理を見せる映像の渇きがすさまじい。

『乱波』

[2014年/5分/カラー/ビデオ]
監督・脚本・撮影・編集・録音・声の出演:中島悠喜
声の出演:妹尾想、曽根重千代
◎PFFアワード2014準グランプリ

息も吐かせぬ攻防!驚嘆の忍者アニメーション

忍者が走る!跳ぶ!手裏剣が飛ぶ!腕が飛ぶ!首も飛ぶ!一瞬で明暗が決する命のやり取りの緊張感と、実写では実現不能の超絶アクション。未体験のスピード感で、忍者軍団vs忍者軍団の死闘を描いた、瞬き厳禁の5分間!

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