将来人類は水中に都市を築いて暮らすようになるかもしれません。
そこには高い水圧をはじめ多くの危険があります。
海は地球に残された最後の未知の世界です。
私たちは海底について月面よりも知らない事が多いのです。
しかし技術の進歩によって「海底に住む」という夢が現実のものになるかもしれません。
水中都市建設の可能性を追います。
海は地球の表面積のおよそ70%を占めています。
地球で暮らす以上表面積の70%を占める海を活用しない手はありません。
どんな形でもいずれ人類は海の中に進出する事になるでしょう。
人類は海の中に入る事はあっても長期間滞在する事はありません。
しかしいつか海の中で生活をする必要が出てくるかもしれません。
気候変動や環境の悪化などにより陸上に住みにくくなるかもしれないからです。
陸上からの援助に頼らず自給自足で生活できる水中都市を造る事はできるのでしょうか?課題と解決策を探ります。
簡単な事ではありません。
海の中を訪れる人は大勢いますが海の中でずっと暮らし続けた人間はこれまでに1人もいないんです。
水中生活に挑もうとしている人がいます。
32歳の海洋生物学者ロイド・ゴッドソンです。
幅1.5メートル長さ2.6メートルの狭い箱をドイツのテーマパークにある水族館の水槽に沈めます。
その箱の中で2週間生活する予定です。
今あるのはキャンプ用のベッドと小さなテーブルだけです。
これから食べ物を運び入れてキッチンも組み立てないといけません。
電力の一部は自転車をこいで発電します。
とても不便な生活です。
20世紀後半に作られた水中の居住施設はひどいものでした。
以前の居住施設は言わばステンレスでできた繭みたいなものでとても住みにくい環境でした。
あんなものに閉じ込められたまま長い間暮らしたいとは誰も思いません。
アメリカ海軍が1964年に作った「シーラブ1」もその一つです。
トイレは故障し緊急時の脱出も簡単にできないなど基本的な部分で欠陥だらけでした。
水中都市の実現にはさまざまな課題があります。
それらを克服しなければ未来は閉ざされたままです。
水中都市の実現までには7つのステップがあります。
適切な場所を見つける。
居住施設を設計する。
水圧に耐えられる材料を用いる。
水中で建設する。
食料などを自給自足する。
海の中を自在に動ける乗り物を開発する。
最後に海の中に新しい社会を築く。
ステップ1は居住に適した場所を見つける事です。
まず必要な条件は電力と食料が得られる事。
自然の猛威を避けられる深さも必要です。
あまり浅い場所ではハリケーンなどの影響を受けるため危険です。
深すぎてもいけません。
深くなればなるほど水圧が増して危険が大きくなるからです。
水深3メートルでも耳の鼓膜が破れる危険性があります。
水深10メートルでは水面の2倍の気圧がかかります。
では住むのに適した場所はどこなのでしょうか?海底については月や火星の表面よりも分かっていない事が数多くあります。
月や火星の表面と違い海の底は見えませんからね。
しかし高性能なセンサーを搭載した人工衛星ができた事で状況は変わりました。
人工衛星からのデータと最新の画像技術を組み合わせる事でこれまで分からなかった海底の地形が明らかになってきたのです。
居住地の候補に挙げられているのはアメリカ北西部の沖合にある海底火山です。
さまざまな研究機関や民間企業が既に調査を始めています。
今のところ北太平洋の海底の山々が有力候補です。
すぐ近くで豊かな食料を手に入れる事ができるでしょう。
海底の山々は長さ6,400キロに及ぶ海底山脈の一部です。
海底では火山の活動によって「ブラックスモーカー」と呼ばれる噴出口から熱水が噴き出しています。
熱水にはさまざまな鉱物が含まれています。
鉱物を得るために海底を掘り返して環境を破壊する必要はありません。
熱水の中から鉱物を取り出して運べばそのまま資源として使えます。
こうした場所は居住地よりも工業用地に向いています。
水中都市で生活する人々はもっと浅く太陽の光が届く場所を好むはずです。
光が届く水深およそ200メートルまでは動植物も豊富です。
条件を満たす候補地はアメリカ東海岸フロリダ沖の大陸棚です。
比較的浅い海が沖合まで広がっています。
調査が進んでいる場所の一つがコンクリーフです。
10日間の水中生活実験が20年にわたり繰り返されています。
実験施設がある場所は水深およそ15メートル。
日光が差し込み海洋生物も豊富です。
問題はハリケーンが多い事です。
ハリケーンが来るたびに居住者を避難させる事などできません。
ハリケーンに耐えられるしっかりとした居住施設を作る必要があります。
居住施設を水深30メートルまで下げれば被害はほとんど避けられるはずです。
この辺りに水中都市を造るもう一つのメリットは巨大なエネルギー源が存在する事です。
「メキシコ湾流」は世界で最も流れの速い海流で水量はアマゾン川の数百倍にもなります。
水中都市の建設場所が決まったら更に詳しい調査を進める一方周りの環境に合った居住施設の設計を行います。
ステップ2は居住施設の設計です。
アメリカのフロリダ沖水深30メートルの海底に造ります。
施設はできるだけ魅力的なものであると同時に住む人の命を確実に守るものでなくてはなりません。
人間は水中では呼吸ができません。
深い海の中では高い水圧もかかってきます。
施設には水圧に耐え人の命を守る十分な安全性が求められます。
「アクエリアス」はアメリカの水中実験室です。
アメリカフロリダ沖水深18メートルの場所にあります。
水深30メートルまでスキューバダイビングをする場合1回の潜水時間はおよそ20分が適正だとされています。
水圧が高い場所から水面に戻る時に生じる「減圧症」を防ぐためです。
潜水中呼吸によって取り込まれた気体は血液などに溶け込みます。
水面に一気に浮かび上がると圧力の変化で気泡になります。
炭酸水のボトルを振って急にキャップを取ると泡が吹き出しますが体内で似たような現象が起きるのです。
血液の中に生じた気泡が血管を塞ぐ事で人体にさまざまな影響が生じ最悪の場合死に至る事もあります。
これが減圧症です。
ダイバーが減圧症を防ぐ方法は2つあります。
1つは少しずつ水面に上がっていく方法。
もう一つは水中と同じ気圧の施設に入りあとで減圧する方法です。
ドイツで水中生活に挑戦中のロイド・ゴッドソンがいるのは水深4メートルです。
ダイビングではこの程度の水圧なら健康にほとんど影響はないと考えられています。
食料は2週間分あります。
ゴッドソンは短時間のダイビングではなくここで2週間生活します。
どんな影響が出るかは分かりません。
ゴッドソンがいる箱の中は周囲の水圧と同じ気圧に調整されています。
水槽の外から絶えず空気を送っています。
「毎分およそ230リットルの新しい空気がそこのチューブから出てきます。
でも空気が吹き出す音はほとんどしません。
とても静かです」。
寝る時は事故が起きていないか外から確認できるよう明かりを1つつけておきます。
寝ている間に事故が起きないようカメラで監視してもらいます。
カーテンを閉めて魚におやすみを言います。
一方アメリカのフロリダ沖ではアクエリアス水中実験室が水深18メートルのところに置かれています。
水圧は陸上の気圧のおよそ2.8倍。
ゴッドソンの実験室と同様アクエリアスの室内も周囲の水圧と同じ気圧に保たれています。
気圧を同じにする事で水が室内に侵入するのを防ぎます。
気圧が同じであるためアクエリアスを拠点にすれば研究者たちは減圧症を気にする事なく長時間ダイビングをする事ができます。
研究者たちは1日に6時間から9時間ほど調査のためのダイビングを行っています。
ヤン・コブリックは1960年代から70年代にかけて宇宙飛行士が訓練するための水中施設を運営していました。
そのうちの一つはフロリダの水中ホテルになりコブリックが案内役を務めています。
周囲の水圧と同じ気圧に保たれています。
水深30メートルで周囲と同じ気圧の施設に1週間滞在した場合水面に戻る時には丸2日間かけて浮上しないと減圧症になってしまいます。
そのような施設に人々が何年も住む事は可能なのでしょうか?高い気圧は人間の健康をむしばむため長期滞在は不可能だとヤン・コブリックは考えています。
高い気圧のもとで長期間呼吸し続けると酸素中毒になる危険性があります。
酸素は人間にとって絶対に必要なものですが取り込む量が多すぎると健康上の問題を引き起こすんです。
より深い海で活動する海軍のダイバーは酸素中毒などの問題を避けるため普通の空気とは違う特殊な混合ガスを吸入します。
しかし何日も吸い続ければ別の形で健康に害を及ぼす可能性があります。
施設の内部を混合ガスで満たすのは現実的とは言えません。
合理的な解決法は施設の内部を陸上と同じ1気圧にする事です。
しかしそのためには外の高い水圧に耐えられる設計が必要です。
これまでの実験施設とは違う宇宙ステーションのような構造が必要です。
施設は住居エリアと作業エリアの2つに分けられます。
作業エリアだけは周りの水圧と同じ気圧になっているためダイバーは施設と水中を簡単に行き来できるようになっています。
しかし同じ施設内に気圧の違う2つのエリアを造り多くの人々が長期間暮らせるようにするのは技術的に極めて難しい挑戦です。
水深30メートルの場合水圧は陸上の気圧の4倍です。
それだけの水圧に耐えるには陸上の建物よりもはるかに頑丈でなくてはいけません。
ステップ3は水圧に耐えられる建築材料と建設方法を見つける事です。
マイケル・シュットは船や水中の建造物を設計しています。
ドイツでゴッドソンが水中生活の実験をしている施設にもシュットの開発した材料が使われています。
水族館と水中居住施設の違いは中に魚がいるかどうかです。
それを除けば窓や全体の構造については共通する部分がたくさんあります。
コンピューターを駆使して高い水圧のもとで建築材料がどう変化するのかを計算します。
材料の耐久性を事前に分析できるためより正確な設計ができるようになりました。
おかげで外をのぞくための窓も昔と違いずっと大きく作れるようになりました。
透明なアクリルは高い水圧に耐えられる上に海水による腐食にも強い優れた材料です。
アクリルを使えば水中都市の人々は雄大な海の景色を楽しむ事ができるでしょう。
施設の設計よりも更に困難な事があります。
設計されたものを実際に海の中に建設する事です。
施設をいくつものパーツに分けてあらかじめ造船所で造るのが効率的です。
専門知識がある潜水艦の建造技師たちが適任です。
各パーツができたら海底まで降ろし組み合わせていきます。
ここからはステップ4水中での建設です。
多くの作業はロボットに任せる事ができますが人間が直接関わる必要もあります。
しかし水中での建設作業は危険を伴うため安全の確保が大きな課題です。
潜水艇の設計と製造をしているフィル・ニュイッテンはかつてプロのダイバーでした。
潜水用のヘルメットには常に空気が送られてくるので快適です。
呼吸が楽だし海上とも簡単に連絡を取る事ができます。
しかし減圧症の危険性に変わりはありません。
深い海で作業した場合ダイバーは高い気圧を保った特殊なタンクに入ったまま船に戻りゆっくりと時間をかけて気圧を下げていきます。
(ニュイッテン)もし300メートルの深海で作業するような事があったら陸上の気圧に体を慣らすのに数時間どころでは済みません。
おそらく9日程度はかかるでしょう。
ニュイッテンは水圧という問題を乗り越える新たな方法を考え出しました。
通常の潜水服では減圧症の危険を逃れる事はできません。
そこで開発したのが言わば「身につける潜水艇」です。
水圧に耐えられる強さと作業ができる柔軟さ相反する2つの要素を両立させるのに苦労しました。
ニュイッテンが開発した潜水服は内部が陸上と同じ気圧に保たれています。
そのため300メートルの深海で作業をしたとしても減圧症の問題を気にせずに済みます。
(ニュイッテン)そう。
そうやって動かすんだ。
高い水圧のもとでも手を滑らかに動かせなくてはなりません。
水中都市を建設する時にはこうした潜水服が役立つでしょう。
次はニュートラルの位置に戻して。
ニュイッテンはダイバーの行動範囲を更に広げるため超小型の潜水艇も開発中です。
現在の科学技術を応用すれば人間の体より少し大きい程度の潜水艇が作れるはずです。
水中を飛ぶように進むものです。
遠隔操作用のアームでダイバーの腕と同じくらい器用に作業をこなす事が目標です。
チェックが完了し潜水実験が始まります。
超小型潜水艇が実用化されれば水中都市の住民も自由に周囲の海を散策できます。
(ニュイッテン)人々が水圧を気にする事なく海底で働き生活し遊べるようになればいいと思います。
人類は陸上の気圧に適した進化を遂げてきました。
しかし高い水圧のもとでも設備があればより自由な行動が可能になります。
武骨な開拓基地などではなく魅力的な街が海底に造られるでしょう。
施設の大部分は陸上と同じ気圧に保たれそこが生活の中心になります。
水中都市の中心的な建造物が完成すると人々を受け入れる準備が始まります。
まずは水中都市を維持するための電力空気水食料の供給源を見つけなくてはなりません。
水中都市は最初のうちは生きるために必要なものを外部からの供給に頼る事になるかもしれません。
しかしステップ5の自給自足をできるだけ早く実現する必要があります。
海底での生活には多くのものが必要です。
水酸素食料など生きていく上で欠かせないものを調達しなくてはなりません。
大きな課題は電力です。
ドイツの水族館で2週間の水中生活に挑んでいるロイド・ゴッドソンは実験10日目を迎えました。
課題の1つは自転車をこいで必要な電気の一部を自給自足する事です。
発電目標は2,500ワットアワーですが予定どおりにはいっていません。
発電装置の効率が悪いため1日10時間もこがなくてはなりません。
湿度の高さや陸上の1.4倍の気圧は健康に悪く医師からこぐのを控えるよう指示されました。
2〜3日休んだらだいぶ体調が良くなったのでできるだけこいでいます。
頑張ればまだ目標を達成できる可能性もあります。
目標の2,500ワットアワーはアメリカの平均的な家庭が1日に使う電力量のにすぎません。
水中都市に100家族が暮らす場合1日に必要な電力量は最低でも300万ワットアワーです。
有力なエネルギー源の一つと考えられているのが「波力発電」です。
ヘビのような形をした巨大な装置を海面に浮かべ波のエネルギーで電気エネルギーを生み出します。
しかし更に巨大なエネルギー源は海の中にあります。
気象学者で海洋エネルギーについて研究しているハワード・ハンソンはフロリダの沖およそ15キロのところを流れる海流メキシコ湾流がエネルギー源になると考えています。
毎秒3,000立方メートルにもなる膨大な量の海水が南フロリダのすぐ沖を流れているんです。
流れの速さは時速8キロ。
世界中の全ての川を合わせたよりもはるかに多い水量が流れ続けています。
この大自然の力で電力を生み出すにはどんなシステムが必要なのでしょうか。
発電装置をケーブルにつなぎいかりをつけて海に沈めます。
装置は水中で浮くようになっているのでちょうど海の中でたこを揚げているような状態になります。
そしてメキシコ湾流が装置についたローターを回し電気を作り出します。
このような海流発電の装置を4組設置すれば100家族が住む水中都市の電力を全て賄う事ができます。
十分な電力が確保できたら次に重要な課題は海面から酸素を取り入れる事です。
同時に人々の呼吸によって排出される二酸化炭素の除去方法も考えなくてはなりません。
水中都市とよく似た密閉環境である潜水艦では乗組員1人が1日におよそ500リットルの二酸化炭素を排出します。
対策を取らなければ空気中の二酸化炭素は危険なレベルに達します。
現在はここにある2つの二酸化炭素除去装置を使用しています。
艦内全ての空気がこの装置を通り抜けます。
二酸化炭素は「モノエタノールアミン」という薬品を含む溶液に吸収されます。
その溶液を温めて二酸化炭素を分離します。
分離した二酸化炭素は艦の外に排出されます。
しかし潜水艦で使われている薬品は値段が高く廃棄も難しいため水中都市で使うのには適していません。
有力視されているのは自然の力を借りて二酸化炭素を除去する方法です。
水中生活に挑戦中のゴッドソンが以前試した方法です。
施設の空気は「クロレラ」という藻で満たされたパイプの中を通ります。
植物であるクロレラが二酸化炭素を吸収します。
培養液の状態をチェックします。
しかしこの時はうまくいきませんでした。
二酸化炭素の増加により12日目にはゴッドソンの血圧が危険なレベルにまで上昇しました。
(ゴッドソン)高いな。
その後培養方法が改善されました。
クロレラだね?そうです。
これを街の廃水で育てているんだ?そのとおりです。
NASAアメリカ航空宇宙局の生物工学者ジョナサン・トレントはクロレラを海水で育てるための特殊な膜を開発しました。
クロレラを海水で育てるのは初めての試みです。
長いプラスチックの膜を海面近くに漂わせます。
膜の中身は生きた二酸化炭素除去装置であるクロレラです。
クロレラは上から差し込む日光そして水中都市から送り出される二酸化炭素と廃水を使って光合成をします。
(トレント)クロレラは二酸化炭素を除去し酸素を作り出します。
この酸素を水中都市に戻して利用できます。
しかも廃水をきれいな水に変えてくれます。
クロレラは数日ごとに収穫できるほど増えるはずです。
バイオ燃料にする事もできます。
しかしクロレラは乾燥重量のおよそ半分が品質の高いたんぱく質であるため食料として利用した方がいいでしょう。
しかし食材が毎日クロレラばかりでは人々も不満を覚えるはずです。
よりバラエティーに富んだ食材を手に入れる必要があります。
水中にある建造物は岩礁のような役割を果たすため多くの魚を引きつけます。
未来の水中都市も海産物の確保には困らないでしょう。
水中都市の環境維持に必要なものは全てそろいました。
いよいよ最初の移住者たちがやってきます。
そこで必要になるのは水中を自由に移動できる乗り物です。
新しい世界にやってきた人々を好奇心旺盛な海の哺乳類が出迎えます。
珍しい乗り物に興味があるようです。
ステップ6は人々が海の中を自由に移動できる乗り物を開発する事です。
すごい。
こっちへ来るぞ。
グレアム・ホークスが開発しているのはこれまでにない海の乗り物です。
ギリギリでぶつからずに済んだ。
本当にきれいだったな。
水中は空中と同じようなものです。
水中をもっとスピーディーに自由自在に動ける乗り物を作りたいんです。
潜水艇の基本的な原理は100年前とほとんど変わっていません。
現在使われている潜水艇は気球とよく似た原理で水に潜ります。
まず重量を重くして潜水する。
そして水中で重量を減らし水面に浮かび上がる。
最新鋭の原子力潜水艦以外はあまり機敏な動きはできません。
気球のような動きは海面と水中都市を結ぶのには役立ちます。
しかし海の中で本格的に暮らすのであればもっと速く自由自在に動ける乗り物が必要です。
(技術者)右舷起動。
左舷起動。
ホークスはこれまでにない新しいタイプの乗り物を開発しています。
(技術者)点灯。
ホークスは海の中を機敏に動き回るためには気球ではなく飛行機をヒントにすべきだと考えています。
空中を飛ぶ飛行機の技術を水中に応用する事で新しい乗り物を作ろうとしているんです。
飛行機によく似たデザインの試作機は水中を最高時速11キロで進み水深300メートルまで潜る事ができます。
2つのコックピットは水中都市の窓と同様水圧に強いアクリル製です。
従来の潜水艇と違い周囲をぐるりと見渡す事ができます。
絶景です。
壮大な海のパノラマを眺める事ができます。
あちこちにさまざまな魚がいますよ。
ホークスは更に深い場所まで行ける乗り物も開発中です。
船体はカーボンファイバーコックピットは透明なセラミックでできています。
高い水圧に耐えられるように設計されていて海の非常に深い場所に行く事も可能だと言います。
お望みとあれば最も深い海の底まで行く事もできますよ。
これが実用化されれば深海に対する恐怖を解消できます。
グシャっと巨大な水圧に押しつぶされる不安はもう感じなくていいリラックスしたままでいいんです。
自給自足可能な水中都市がほぼ完成に近づきました。
移住してきた人々はついに自分たちの新しい街を目にします。
中央の大きなドームは共用エリアです。
レストラン学校病院娯楽施設などがあります。
共用エリアを離れるとメイン通路があり住居エリアにつながっています。
住居は少々狭く4人家族の場合およそ46平方メートル。
しかし大きな窓から美しい海の眺めを楽しむ事ができます。
脇に設置されたドームには電力や酸素などを供給する重要な設備があります。
乗り物の格納庫を備えた作業エリアもあります。
都市の大部分は1気圧ですが作業エリアは楽に水中と行き来できるよう周りの水圧と同じ気圧になっています。
全ての設備がそろい人々の移住も完了しました。
最後のステップは海底に新しい社会を築き上げる事です。
アメリカフロリダ沖。
水深30メートルの海底に築かれた水中都市で人々が暮らし始めました。
ここに新たな社会を作り上げようとしています。
水中生活の大半は陸上と変わりません。
人々はそれぞれの仕事に出かけます。
技術者は設備のメンテナンスをし子供たちは学校に行きます。
陸上と違うのは日常的に水中探検が行われる事です。
数百メートルの深海まで行く事もあります。
窓から外を見るだけで海洋生物を観察する事ができます。
私は延べ30日間ほど海の中で暮らしましたがあんなすばらしい体験はありません。
海の中で眠り静けさの中でさまざまな生き物を見る。
海の世界が自分の周りをぐるりと囲んでいるんです。
私たちの水中実験室には海洋生物の研究者が大勢やってきます。
そして海洋生物の行動を一日中観察しています。
海洋生物の観察によって得られるものは生物学的な発見にとどまりません。
技術革新や新しいビジネスチャンスが生まれる事もあります。
(プラガー)クラゲの半透明な体を調べる事で光学の分野に役立つ情報が得られます。
体の色を周りの環境に合わせて瞬時に変えられるタコやイカもです。
海底には鉱物薬品食料エネルギーなどの供給源が数多く存在します。
それらを活用すれば水中社会は活気に満ちたものになるでしょう。
ドイツの水族館で2週間水中生活を送ってきたロイド・ゴッドソン。
実験終了の時が近づき多くのマスコミが取材に来ました。
(司会)おはようロイド。
「水中からおはようを言うのもこれが最後かと思うと寂しいな。
全て順調ですよ」。
前回の挑戦は設備の不具合が原因で予定よりも早く切り上げましたが今回はうまくいきそうです。
(司会)654321。
カウントダウン終了!おめでとう!
(拍手)ゴッドソンはもう一つの目標である2,500ワットアワーの発電にも成功しました。
小型のテレビカメラを2日間動かせる電力量です。
問題は1.4気圧の環境で2週間過ごした事で健康に悪影響が出ていないかどうかです。
この深さならほとんど問題はないはずですが減圧症のような症状が出る可能性もありました。
最初は全て順調に見えました。
うれしいですよ。
妻カロリーナの祝福を受け取材班の質問に上機嫌で答えるゴッドソン。
しかし何かがおかしいと感じました。
階段を下りると頭がふわふわした感じ。
軽いめまいのようなものを覚えました。
そして周りの人から顔が真っ青だと言われたんです。
トレーラーハウスで応急処置を受けました。
車内で30分間横になり100%の酸素を吸入しました。
(医師)もういいだろう。
診断では減圧症の明確な症状は確認されませんでした。
しかしこの一件で水中生活にはまだ解明されていない未知の危険が潜んでいる事が分かりました。
長期の水中生活が健康に及ぼす影響はまだはっきりとは分かっていません。
特に海底で作業をするダイバーは高い水圧の影響を受ける事になります。
快適な建物の中で暮らす人々も閉塞感や孤立感に苦しむ可能性があります。
海の中に送るのはロボットだけにした方がいいという意見もあります。
探査の目的だけなら人間が行く必要はありません。
しかし人間には未知のものを目指す探求心があります。
私は海の中を目指します。
なぜならどうしても行きたいからです。
行って大いに楽しみたいんです。
人間は探究心に満ちた生き物です。
その探究心が私たちを宇宙や海へと駆り立てるんです。
人類はいつか海の中に足を踏み入れる事になりそうです。
宇宙から地球を撮影した写真を見て多くの人が気づいた事でしょう。
この惑星は「海の星」なんです。
2015/05/25(月) 00:00〜00:45
NHKEテレ1大阪
地球ドラマチック「水中都市は実現できる!?」[字][再]
もしも水中で生活できたら?映画ではなく、現実の世界で研究を進めている人々がいる。海底は人類の新たな居住地となるのか?実験やCGを交えて実現の可能性を探る。
詳細情報
番組内容
宇宙よりも海底移住のほうが現実的!?海底に都市を築くことはできるのか?まずは場所選び。日光が届き、嵐の影響を受けない場所がいい。住居は水圧に耐えられる構造でなければならない。水中で安全に建築するには?酸素を得る方法は?食料を自給自足するには?様々な課題に対し解決策を探る。また、水族館の巨大水槽の中に沈めた狭い居住スペースで、2週間暮らす実験も実施。人間は水中で生活できるのか?(2010年米国)
出演者
【語り】渡辺徹
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
ドキュメンタリー/教養 – 宇宙・科学・医学
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32721(0x7FD1)
TransportStreamID:32721(0x7FD1)
ServiceID:2056(0x0808)
EventID:8612(0x21A4)