(街頭スピーカー)「『夕やけこやけ』」
(子供)じゃあまたね!
(子供)バイバーイ!
(街頭スピーカー)「『夕やけこやけ』」
(稲村夏実)キャー!!レイラ逃げて!レイラ!キャー!
(レイラの鳴き声)
(ガラスの割れる音)
(鳴き声)
(鳴き声)
(鳴き声)
(レイラの鳴き声)
(ガラスの割れる音)
(レイラの鳴き声)
(本山邦夫)ああ…!
(山田洋一)火事だ!おい消防車!消防車!
(山田)火事だ!おい!
(山田)火事です!火事!
(本山)手伝ってください早く!
(レイラの鳴き声)
(山田)大丈夫ですか!?おい!
(本山)火傷してる!
(山田)早く早く!
(救急車のサイレン)
(鳴き声)
(鳴き声)
(稲村耕治)夏実…!
(相川康代)今まで何してたんですか!?夏実がこんなことになったのに!
(レイラのうなり声)
(鳴き声)
(釜本公平)なっ…何だおい!
(鳴き声)
(芦田裕子)ケガしてるのかな?かわいそう…。
うん?あっ…ケガしてるんだ。
かわいそう…。
あんたの犬?散歩する時は紐を付けてください。
今噛まれそうになったんだからね。
噛まれそうにだなんて大げさですよ。
何が大げさだよ。
あんたね放し飼いにしておいてそんなこと言えるのか?放し飼いってこの犬は…。
(神津敏子)レイラ!
(敏子)レイラ!よしよしよし…。
レイラどこ行ってたの?レイラ行こう。
レイラ!おいで。
あなた犬嫌いなんでしょ。
ああ大っ嫌いだ!
(パトカーのサイレン)行くぞ。
(深町刑事)はい。
(田島刑事課長)あっちっと待て。
お前達2人は稲村家の現場に行ってくれ。
えっ何ですか?中央消防署から報告書が来てな。
出火原因は失火の可能性が強いが断定するまでには至ってないそうだ。
今日も現場検証するそうだ。
ここ2か月で連続3件の放火事件があったから結論を出し渋ってるんですかね。
お前に行ってほしいのは本庁の捜査一課が出向いてくるからだ。
本庁から?形式的なものだから適当に済ませてこい。
うまくやってこいよ。
まったく…何で俺なんだよ。
ふふふっ…。
深町!お前も行くんだよほら。
あっはい…。
行けほら。
(カメラのシャッター音)ご苦労さまです。
ああどうも。
火元の原因わかりましたか?多分ここの奥様の趣味の籐工芸をする時に使う火が発火性の強いニスやシンナーに引火したと思います。
じゃあ放火じゃなく失火?ええ多分。
もう少し分析して報告します。
なるべく早くお願いします。
はい。
そんなに早く結論を出す必要はないんじゃありませんか?あんた誰?捜査一課の芦田裕子です。
どうも。
あんた今朝の…。
あなた犬嫌いの!お知り合いですか?バカ誰がだよ。
私多摩西署の釜本です。
私は深町です。
犬がいたの?ええ。
火事を発見し救助した3人の男の証言では犬の鳴き声で気づいたそうです。
(2人)あの犬…。
(塚町)あの犬って何ですか?被害者が収容されている病院連れて行ってください。
救助者の3人の身元は調べたの?はい。
1人は山田洋一。
近くの商店の店員27歳。
それと保険の外交員37歳本山邦夫。
残りの1人は?それが救助してすぐその場を去っていったらしいんです。
釜本さんどう思います?我々もその人物特定するために動き出してますが…。
まあ失火の可能性が強いとなればその必要もなくなりますね。
レイラ。
いい子だからここで待ってるのよ。
帰って。
帰ってください!何で夏実を見舞っちゃいけないんです?私が知らないとでも思ってるの!?あなたが夏実を殺そうとしたのよ。
何で私が自分の妻を殺す必要があるんです!?落ち着いてください。
帰ってください。
稲村さん。
何ですか?火事のことでちょっと。
ああ…。
昨夜もお話ししたとおり私は大阪に出張していたので何も知らないんですよ。
大阪に行かれたことは私共も調べさせていただいて間違いないことがわかっているんですが…。
1つだけ訊きそびれたことが。
何です?どなたが連絡したんですか?火事のことあなたに。
うちの社の者です。
そうですか…。
あっ稲村さんゴルフしますか?えっ?
(早坂辰夫)社長はなさいません。
早坂…何しに来たんだ?取引先から契約の件はなしにしたいと電話がございまして…。
こんな時ですが社長にすぐに取引先のほうに行っていただきたいと思いまして。
わかった。
失礼。
(敏子)警視庁の刑事さん?警視庁の方が来られたということはやっぱり夏実を殺そうとした放火だったということですか?いえそういうわけでは。
じゃあなぜ?実は今朝犬を見かけまして。
レイラ?レイラ見つかったんですか!?そうなんです。
私ここに来たのはレイラを見つけてここまで連れてきたことを言おうと思って。
何で早く言ってくれないの?ごめんなさい…。
あのでも…お姉さん夏実のご主人と揉めててすごく興奮されていたから…。
レイラ…レイラ!失礼ですがあなたは?夏実の友人の神津敏子です。
派遣の介護士をしていて週3日夏実のお世話をしてます。
レイラ!レイラ…。
レイラ。
(康代)レイラ…。
レイラ。
あなたが夏実助けてくれたのね。
ありがとうレイラ。
よくやったね。
ありがとうレイラ。
別に犬が助けたわけじゃないだろ。
ただワンワンほえてただけだ。
ええ。
犬嫌いのあなたにはわからないのよ何も。
おいちょっと!何だよ何もって…。
しかし芦田警部って…美人ですね。
バカ野郎お前!
(うなり声)
(警報音)
(遠山房子)503号室!人工呼吸器の電源がダウンよ!
(レイラのうなり声)こらー!どきなさい!!どきなさい!
(鳴き声)
(房子)稲村さん!脈が弱くなってる…。
稲村さんしっかりして!
(房子)何してるの!?早く取り替えて!
(三井幸恵)はい!!夏実!何があったんですか?犬が人工呼吸器を倒したんです。
あと1分遅かったら大変なことになってました。
レイラが…!?
(自転車のブレーキ音)レイラが?ええ。
人工呼吸器を倒して電源を切ったんですよ。
幸い発見が早くて大事には至らなかったし犬がやったことですからお知らせすることもないかと思ったんですけど…。
お姉さんがどうしても警察に知らせてほしいと。
(康代)何かの間違いです。
レイラがそんなことするはずありません。
しかし犬が部屋にいて人工呼吸器が倒されていたんですよ?でもレイラじゃない!その前に誰かが出て行ったとかは?いえ誰も見ていません。
師長ちょっといいですか?失礼します。
で肝心のレイラはどこ行っちまったんだ?それが…どこにもいないんです。
どうなってんだか…。
ヤバイことしちまったんでどこか逃げちまったんじゃないのか?釜本さん!いやそうとしか考えられんだろ。
でもレイラが夏実を危険な目に遭わせるようなことするわけありません。
いやしかしですね…。
私もそう思います。
はあ?信じてくださるんですか?はい。
ちょっとごめんなさい。
はっ?何よ!どういうつもりだ?何が?人工呼吸器ひっくり返したのは犬じゃなければ誰だっていうんだ?それを見つけるのが私達の仕事でしょ。
稲村夏実さんを誰かが殺そうとしたっていうのか?そうよ。
いい?夏実さんは誰かに執拗に狙われているのよ。
何を根拠にそう断言できるんだ?それはレイラが!いえ犬が主人をそんな目に遭わせるはずがないから。
バカバカしい。
犬が犬がって…。
普通に考えれば火事は失火。
今回の件も犬の仕業なんだよ。
レイラは感じたのよ。
夏実さんの危機を。
(ため息)犬が危機を感じた?犬の本能よ!犬は…。
犬は…。
飼い主と犬は一心同体なの。
犬嫌いのあなたにはわからないでしょうがね。
(ため息)何なんだよ…。
(パトカーのサイレン)
(カメラのシャッター音)釜本さん。
おう。
厄介なことになってきたぞ。
稲村社長…。
どうなってるんだか…。
財布から現金やカードが抜き取られています。
物盗りの犯行ですかね?
(深町)稲村耕治氏の死亡推定時刻は昨夜の午後8時から10時の間。
凶器は鋭利な刃物と思われますが今のところ発見されてません。
強盗目的の殺害か。
よーし現場周辺の聞き込みに重点を置いて捜査してくれ。
以上。
(一同)はい!待ってください!今回の事件は稲村の自宅の火事と関係している可能性もあります。
あれは失火だったんじゃないのか釜本。
ええ。
その結論は消防署のほうからまだ報告来てませんが多分…。
放火の可能性も考えるべきです。
放火だとしたら今回の事件もその放火も稲村耕治に恨みを持つ同一犯の犯行ということですか?その可能性も否定できませんが疑問もあります。
火事が起きた時刻が夕方の5時ということ。
そうです。
犯人はなぜわざわざ稲村のいる可能性の低い夕方5時に放火したりしたんでしょうか。
稲村に恨みを持ってるなら彼がいる時間を狙って放火するはずです。
それはつまり放火じゃなく失火ということになりますよ。
違います。
犯人の目的は奥さんの夏実さんの殺害だったのかもしれません。
奥さんの殺害?はい。
夏実さんは病院でも誰かに人工呼吸器を倒されています。
それは犬が倒したと聞いてるが。
どうなんだ?釜本。
はいそうです。
ボヤ騒ぎはただの失火。
人工呼吸器は犬が誤って倒した。
そう考えれば今回の殺人はまったく無関係だ。
いたずらに捜査を混乱させる推測は控えてもらえませんか!レイラ…。
レイラは見ていた。
レイラは何もかも知っているのかもしれない。
レイラを捜し出すしかない!何だ?そのレイラっていうのは…。
(深町)犬ですよ。
稲村家の犬。
人工呼吸器をひっくり返してどこかへ逃げちまったという犬か。
違います!レイラは人工呼吸器をひっくり返していません。
私レイラを捜します。
そんなことやってる時ですか!?我々が見つけ出さなきゃいけないのは犬じゃなくて犯人ですよ。
犬を追ってるひまなんかないんですよ。
以上。
頼むよ。
(一同)はい!待ってください!釜本さん!どうして止めたの!?あなたもただの強盗殺人だと思ってるの?犬を信じるのは勝手だが我々に犬の本能ですって説明して信じてもらえると思うのか?でも今回のはそんな単純な強盗殺人なんかじゃない!あなたと議論してるひまはないんですよ。
稲村の会社あのビルの最上階だ。
輸入雑貨販売業。
稲村家の土地建物は夏実さんの亡くなった父親が建てた彼女名義のものだし彼女には多額の生命保険がかけられてた。
まあたとえ家が燃えても100坪の土地と保険金を合わせればざっと3億近くになる。
稲村には奥さんを殺す動機が十分にあったということね。
いや…まあそう決め付けるなよ。
今時生命保険に入ってることなんて珍しいことじゃないだろ。
それにそんなことで奥さん殺してたら日本中ヤモメだらけだ。
康代さん。
何しに…?誰?あの男の人。
副社長の早坂です。
どうも。
どうぞ。
あのもしかしてあの時の…?えっ?ああ…!あの時はどうもありがとうございました!いえいえ。
今日は社長のことで?ええ…。
大変ですね。
社長が急にお亡くなりになって。
ええ。
何から手を付けていいものやら…。
稲村社長を恨んでいる人物に心当たりはありませんか?すぐに思い浮かぶ人物はいません。
火事があった日稲村社長は大阪に出張なさってたんですよね?ええ。
大阪で午後の3時から大事な商談がありまして。
ですから朝から出かけられていました。
1人で行かれたんですか?はい。
いつも1人で出張されるんですか?いえいつもとは…。
実は今回の商談は社運が懸かっている重要な商談でしたので…。
ぜひ私も同行させていただきたいと申し上げたんですが…。
断られた?はい…1人で行くと。
なぜですか?理由はわかりません。
夏実さんのお姉さん相川康代さん…。
相川さんが何か?先ほどこちらに来ていたのでは?ええ。
私が相川さんに来ていただいたんです。
資産管理?ええ。
夏実さんが相続する社長名義のうちの会社の株と夏実さんに支払われる社長の保険金1億円。
夏実さんが意識不明である以上資産の管理は身内であるお姉さんにお願いするしかないと思いまして。
そんな難しいこと私には…。
いやご心配なく。
面倒な手続きは顧問弁護士が全てやってくれますから。
そうですか…。
財産が相川さんに。
(早坂)はい。
ああ早坂さん社長になるんですよね?ええ。
実は気が重いんですが…。
気が重い?どうしてですか?レストラン経営に手を出して失敗してその負債が尾を引いていて財政的に厳しいものですから…。
知ってたのか?早坂のこと。
ええちょっと。
でもそれより何で私の足さっき踏んだのよ?何でもかんでも変だと思ったこと相手選ばず訊くもんじゃないんだよ。
でもそのお陰でひょっとしたら康代さんに莫大な財産が入るかもしれないってことわかったじゃない。
どうして相川康代はあの時あんなに興奮してたのかな。
帰って。
帰ってください!何で夏実を見舞っちゃいけないんです?私が知らないとでも思ってるの!?「知らないとでも思ってるの!?」って何のことかしら?そのへんのことを調べてみる必要があるな。
それに…あの男の人。
稲村社長はレストラン経営に失敗した。
(携帯電話の操作音)
(電話)はい刑事課。
あっ釜本さん。
えっ?ええええ。
レストラン関係の人物…稲村社長に恨みを持ちそうな人物を洗い出すんですね。
はい了解。
行くぞ。
はい。
あの…どこ行くんですか?決まってんだろ。
相川康代だ。
その件は釜本さんに任せるわ。
任せる?ちょっとまさか犬捜すつもりじゃ…。
ええ私はレイラを捜す。
レイラは全て見てるはず。
なあちょっと…レイラが見つかればこの人犯人ですとかワンワンって教えてくれるっていうのか?ええ教えてくれるわ。
バカバカしいな。
ああはいはいじゃあわかりましたよ。
勝手にしてください。
ええそうさせてもらいます。
そう…。
(ため息)すみません。
はい。
最近迷い犬見かけませんでしたか?さあ…見ませんねぇ。
そうですか…ありがとうございます。
(ノック)
(敏子)はい。
刑事さん…。
妹さんの容態どうですか?変わりありません。
意識もまだ…。
そうですか…。
昨夜8時から10時にかけてどちらにいらっしゃいましたか?病院にいましたけど。
それを証明できる方どなたかいらっしゃいますか?病室には夏実と2人っきりでしたし…。
刑事さん。
私が耕治さん殺したって疑ってるんですか?いやそういうわけじゃないんですが…。
夏実のことで私が取り乱して耕治さんに詰め寄ったせいですね。
仕事熱心な耕治さんが夏実のことをあまり顧みてくれないように思えたからあんな態度をとってしまったんです。
それだけです。
あの時確かあなた…。
私が知らないとでも思ってるの!?…とおっしゃいましたがどういう意味ですか?そんなこと私言ったんでしょうか?はい。
夏実がこんなことになってイライラしてたので何を言ったか思い出せません。
そうですか…。
では今日稲村さんの会社に行かれましたよね。
はい。
早坂さんに呼ばれて…。
葬儀のこととか。
わかりました。
どうも。
ああ会社の前で男の人とお話しされてましたよね?どなたですか?道を訊かれただけで…知りません。
そうですか…。
どうもありがとうございました。
帰巣本能…。
レイラ!レイラ!レイラ!レイラ!レイラ!レイラ!いるんでしょう?レイラ。
レイラ!レイラ!ああ…レイラ…。
やっぱり帰ってきてたのね。
自分の家に。
レイラおいで。
おいでレイラ。
ああ…もう大丈夫よ。
レイラ。
レイラかわいそうに。
(鳴き声)もう大丈夫よ。
もう大丈夫よ。
(鳴き声)かわいそうにレイラ…。
もう大丈夫よ。
もう大丈夫よ。
(街頭スピーカー)「『夕やけこやけ』」
(鳴き声)
(鳴き声)
(鳴き声)レイラ?どうしたの?
(鳴き声)
(街頭スピーカー)「『夕やけこやけ』」
(鳴き声)
(街頭スピーカー)「『夕やけこやけ』」レイラどうしたの?お腹すいたの?
(鳴き声)
(街頭スピーカー)「『夕やけこやけ』」レイラ…。
あなたこのことを…。
レイラ…このことを…。
(鳴き声)このことを…。
(ため息)
(深町)釜本さん!おう。
どうだった?大変なことがわかりましたよ。
何だ?稲村社長がレストラン経営に乗り出して失敗した時クビにされた社員がいるんです。
誰だ?相馬憲太郎44歳。
レストラン関係の責任者です。
この相馬という男が稲村社長に恨みを?いやそれだけじゃないんです。
あの火事の件が気になって相馬の写真を借りて稲村夏実を救助した2人に見せたら間違いないこの相馬という人物が一緒に助けたと。
何?いなくなった救助者がこの相馬という男なのか?引っ張りますか?相馬を。
この男…。
稲村社長に恨みを持ってるのは間違いないとして社長がいない時に放火するのか?確かに…。
あの美人の芦田警部も同じこと言ってましたもんね。
あれっ?一緒に動いてるんじゃないんですか?犬捜しだ。
犬捜し!?犬が本当に見ていた犬が知っていると思ってるんですかね?ああ思ってるよ。
彼女は本気で思ってるよ。
(鈴)
(深町)それらしい人物は現れなかったですね。
まっ犯人がわざわざお参りにくるわけないだろう。
(葬儀場の音楽)あの女性稲村の奥さんの介護をしていた人ですよね?ああ。
犬見つかったんですか?ええ。
見つけたわ。
で犯人教えてくれたんですか?そのうち話してくれますよ。
芦田警部は犬とお話しができるんですか?
(葬儀場の音楽)おい!相馬か?間違いないです。
あの人会社の前で康代さんと…。
稲村の会社クビになった社員だ。
レストラン関係の責任者。
引っ張りますか?よし。
待って!明日まで待って。
何なんです?こんな忙しい時にこんなところに全員呼び出して!すぐ終わります。
見ていてください。
レイラよろしくね。
(鳴き声)
(カセットテープ)「『夕やけこやけ』」
(鳴き声)
(カセットテープ)「『夕やけこやけ』」夕方5時『夕やけこやけ』のメロディーが流れると紐を引っ張るという条件反射がレイラには仕込まれていたんです。
それはわかったが放火とどう関係するんですか?
(一同)おお…!
(鳴き声)消火!
(鳴き声)よしよしいい子だ。
どういうことだ?自動発火装置。
自動発火装置?簡単な仕組みです。
餌を出すために作られた紐を引っ張ると…。
それにつながった別の紐が引っ張られ…。
アルコールランプに仕掛けた自動発火装置のスイッチが入る仕組みになっているんです。
(一同)おお…。
そうか…。
そうなってたのか…。
(街頭スピーカー)「『夕やけこやけ』」ああっ!ああ!キャー!!レイラ逃げて!レイラ!放火だったのか…。
いたいけな犬を…レイラをタイマー代わりに使った卑劣で悪質極まりない放火殺人未遂事件です。
絶対許せません!芦田警部の実験の結果を踏まえて放火と断定し稲村社長殺害と同時に捜査を開始する。
(深町)同一犯と考えるべきでしょうか?夫婦が狙われたことを考えればその可能性が強い。
そこで稲村社長に恨みがありなお火事の現場にいた元社員相馬を任意で調べる。
会議の時何考えてたの?今回の事件整理してたんだ。
私も犯人像を考えた時考えられるのは身内関係か会社関係しかない。
会社関係で考えられる相馬は確かに変な行動をとってる。
副社長の早坂は社長になっても大きな負債抱えてるから何の得にもならない。
身内関係は姉の康代さん。
もし夏実さんが死んだら全ての財産は彼女に入る。
実の妹を殺す!?最近多いよ。
身内の殺し。
でも夏実さんをあんなに心配してるしレイラもよく懐いてる。
そうか…。
あの条件反射をレイラに仕込んだのは康代さん!こんにちは。
あっ刑事さん。
ちょっとお話伺いたくて…。
お時間ありますか?あっはい。
すいません。
あとお願いします。
はい。
いってらっしゃい。
夏実さんの様子いかがですか?まだ意識が戻らないままなんです。
康代さんは?お姉さんはずっと泊まり込みでほとんど一日中付き添ってるんです。
体が持たないから私が代わるって言ってるんですけど夏実のことが心配だからって。
お姉さん夏実のことになると人が変わっちゃうんです。
夏実があんなふうな体になったのは自分のせいだっていつも自分を責め続けてますし…。
どういうことですか?1年前夏実はお姉さんの運転する車で事故に遭って半身不随になったんです。
夏実つかまって!つかまってて!お姉ちゃん!
(クラクション)助けて!
(クラクション)キャー!当時お姉さんには婚約者がいたんですけど自分のために結婚を取りやめたと夏実から聞きました。
お姉さんひどく責任を感じて何もかも自分で抱え込もうとしたんでしょうね。
そんなお姉さんの性格を気遣って夏実は私に介護を頼んできたんです。
どうして介護士頼む必要があるの?私がいれば十分じゃない。
姉さん私の世話をするために大沢さんとの婚約解消したんですってね。
そうじゃないのよ夏実。
私これ以上姉さんの負担になりたくないのよ。
ようやく姉さんが好きな人と結婚できると思ったのに私のせいでダメになるなんて絶対嫌。
夏実のせいじゃない。
あなたをこんな体にしてしまった私が悪いの。
最近お姉さんポツンと言われました。
疲れたって。
夏実さんの世話に疲れたという意味ですか?ええ多分。
相馬という男を知ってますか?相馬?知りません。
稲村社長のお通夜の日に帰り際に話されてた男ですよ。
ああ…あの男!私が香典を預かってるのを見てたんですかね?金を出せって。
なぜ警察に届けなかったんですか?怖かったんですけど被害がなかったものですから。
相馬さん病院に来たことありますか?あの…その相馬とかいう男今度の事件に何か関係してるんですか?いえそういうわけでは…。
相馬が社長を脅迫していたか?はい。
相馬が会社を辞めてから来たのは二度ほど。
あっそういえばあの時…。
(相馬憲太郎)奥さんに言ってやるからな!何ですか?奥様に言うって。
俺が会社をクビにしたことを根に持ってるのか俺が浮気してることを知ってるなんて言いやがった。
まさか…。
バカな。
俺は浮気なんかしてない。
だから一銭も払わんと言ってやったんだ。
本当に浮気はしてなかったんですか?社長のプライベートなことはわかりませんがなかったと思います。
(田島)稲村社長に解雇されて恨んでたようだな。
恨みたくもなりますよ。
あいつの思いつきで始めた事業を押し付けられてうまくいかないと俺1人に責任を負わせたんだから。
(田島)この帽子お前のだろう。
火事の現場に落ちていたんだよ。
DNA鑑定すればすぐわかることだよ。
稲村に復讐するため放火したのか?違う。
放火したのは俺じゃない。
だったらどうして逃げたんだ?逃げたんじゃない!じゃあ何なんだ?放火したのは俺じゃないって!!ホントだよ!たまたまあの近く通りかかったら犬が鳴いてて…俺は稲村の奥さんを助けたんだ。
仮にそうだとしても何をしに稲村の家の近くに行ったんだ?毎日毎日職探しであちこちうろうろしてるんだよ。
たまたまあの近くを通りかかったからもし稲村がいたら恨み言のひとつでも言ってやろうと思って立ち寄っただけだよ。
稲村社長が殺された日夕方から何してた?再就職のことで渋谷で知り合いと会ってた。
時間は?7時から2時間ぐらい。
その後は?そのまま自宅に戻った。
誰かそのことを証明してくれる人は?そんなのいるわけないだろう!こっちは女房も子供もいなくなっちまったんだから。
相馬の奴知らないやってませんのってしぶとい奴だ。
状況証拠ばかりですからね。
面通しさせてください。
面通し?誰が?レイラです。
何言い出すんですか。
犬に面通しさせろ?はい。
いい加減にしてください。
犬がこの人です!放火したのも稲村を殺したのもこの人です!って教えてくれるんですか?稲村殺しはともかく夏実さんの人工呼吸器に何かしようとした人物をレイラは見てるはずです。
たとえ見ていたとしても犬語がわかるんですか?犬の意思は十分わかります。
バカバカしい。
犬に面通しさせたなんてマスコミに知れたら人権問題だと大変なことになりますよ。
それにこの警察署は笑いものになりますよ。
犬に面通しさせたなんて。
絶対レイラは見てたはずです。
何かサインをくれます。
(田島)深町!今日のところは相馬を放せ。
あっはい。
(田島)本庁のお偉いさんの言うことはわかりません。
深町。
相馬から目を離すな。
はい。
(鳴き声)ああ…レイラ。
慰めてくれるの?私のこと。
(鳴き声)わかってくれるのね。
私のこと。
レイラありがとう。
(鳴き声)絶対見つけ出すからね。
夏実さんをあんなひどい目に遭わせた犯人を。
ねえレイラ。
(鳴き声)いらっしゃいませー。
コーヒー。
はい。
人工呼吸器が倒れた時あなたもそこに駆けつけたんですよね?ええ。
何か異常に気がつきませんでした?何でもいいの。
話して。
あの…これ私の勘違いかもしれないんですけど人工呼吸器のアラームが切られて設定値が下げられていました。
どういうこと?人工呼吸器の設定が患者さんの適正値から外れて危険な状態になるとアラームが鳴るようになってるんです。
そのアラームが切られて設定値が下げられてたというのね?はい多分。
でもそれなのにどうやって異常に気がついたの?患者さんの安全のため警報はもう1つあって万一電源が切れた時は別系統で異常を知らせるアラームが鳴るようになってるんです。
やっぱり…。
レイラが人工呼吸器を倒して電源を切って夏実さんの危機を知らせたんだわ。
あっ!釜本さん!やっぱりレイラが夏実さんを助けたのよ。
人工呼吸器のアラームを切って設定値を下げて夏実さんを殺そうとした犯人がいるの。
レイラはその犯人を見ている。
いくらなんでも犬を買いかぶりすぎだ。
第一どうやってレイラはアラームを切られたことを知った?普通の人間だって専門家でない限りわからないんだぞ。
犬だからわかったの!夏実さんの危険を本能で感じて人工呼吸器の電源を切って知らせたの!
(ため息)
(ノック)先日お話ししました稲村社長の保険金1億円と夏実さんが相続される資産の書類に印鑑が必要なものですから持ってまいりました。
それはどうも。
あのここにはありませんので後日でよろしいでしょうか?はい結構です。
ところで夏実さんの様子はいかがですか?ええまだ…。
調べさせてもらいましたよ。
あなたのことを。
私の何を?なぜそんなに犬を信じるのか腑に落ちなかったんで。
えっ?バロン…あんたが飼ってた犬だ。
1年ほど前薬物中毒の男が突然遊んでる子供達を襲った。
しかしあんたは1人の犠牲者も出さずにその男を逮捕した。
(子供達の悲鳴)うわーっ!ほら!うわーっ!うわーっ!ははは!
(子供達の悲鳴)ステイ!ステイ!
(子供達の悲鳴)
(バロンのうなり声)あっ…ああ!
(泣き声)
(バロンの鳴き声)
(バロンの鳴き声)バロン!ああ…!うっ!バロン…バロン!バロン!嫌だ…嫌…。
バロン!
(泣き声)犯人は逮捕できた。
でも私を助けてくれたバロンは私の身代わりに…。
そこで協力してくれたのが早坂副社長だった。
ええ…。
あんたに犬信じるなというのは無理な話だな。
釜本さん!いやあれだよその…。
気持ちはわかるが俺が信じるかっていうのは…。
いえいいんです。
わかっていただけただけで。
私うれしいです。
あっいや…。
ああところでおもしろい情報つかんだんだ。
稲村はレストラン経営の失敗に懲りずにまた新しい事業に手を出そうとしたらしい。
新しい事業?介護ビジネスだ。
稲村はレストランの失敗で抱えた負債を帳消しにし新会社設立の資金を作る必要があった…。
そこで夏実さんを殺して彼女名義の土地と生命保険金合わせて3億手に入れようとした。
(ため息)あんたが暴いた放火のトリックなら大阪にいても可能だろう。
ええ。
相馬は稲村から浮気のことを奥さんにばらすと脅して金を取ろうとしたが相手にされず直接奥さんの夏実さんに話すつもりで稲村の家に行ってあの火事騒ぎに巻き込まれた。
夏実さんを助けたのは死んでしまってはお金が引き出せないから?多分。
そう考えると相馬は放火と人工呼吸器の工作に関してはシロだ。
じゃあ…稲村が死んでしまった今人工呼吸器に細工したことを証明できるのは…。
怪しい人物が1人いる。
人工呼吸器の操作に慣れた人物だ。
ああ…介護士の神津敏子さん?ああ。
神津敏子だ。
彼女は新会社…介護ビジネスにかかわってた。
早坂副社長達は素人が手を出せる分野じゃないと反対したが稲村は専門家のパートナーがいるから安心しろと神津敏子を責任者にしたそうだ。
(ため息)
(携帯電話)ちょっと失礼。
はい釜本。
えっ?神津敏子。
ええ。
何か現金のようなものを相馬に渡していました。
あっ刑事さん。
何か?あのちょっとお話を。
神津敏子さん。
あなたは介護派遣の会社を作ることになってたそうですね。
ええ。
稲村さんに出資してもらって。
稲村さんとの関係はそれだけじゃありませんよね?どういう意味かしら?不倫関係。
何が言いたいの?まあまあ…。
神津さんあなたレイラが5時に『夕やけこやけ』のメロディーを聞くと自分で餌を食べることを知ってましたか?ええ。
お姉さんの康代さんが夏実の負担を少しでも軽くするためにレイラを仕込んだんです。
(カセットテープ)「『夕やけこやけ』」レイラこの曲だよ。
この曲だよレイラ。
いい?この曲だよ。
はい。
はい。
これだよこれ。
これで…。
ほら。
ほら出たでしょ。
ねっ?そうそうそう。
よしよしよしよし。
(カセットテープ)「『夕やけこやけ』」レイラ!よしよし。
(敏子の声)康代さんがレイラに条件反射を仕込んだんです。
そのことを知って稲村と組んで失火に見せかけて放火した。
何で私が放火なんか…。
もちろん夏実さん殺害のためですよ。
でも夏実さんは助かってしまった。
だから今度は人工呼吸器に細工した。
ちゃんと証拠があって言ってるの?ええ。
レイラは見てました。
レイラ?犬が見てたなんて。
はははは!あははは!私は放火なんかしてないわ。
それに人工呼吸器の操作もしてません。
犬が見ていたなんてバカなこと言ってないで稲村社長を殺した犯人は誰なの?早く捕まえてよ。
あなた…!失礼しました。
行くぞ。
おいちょっとまずいだろそんなことしちゃ!だって絶対彼女がやってる!いや確かに心証はクロだが証拠がない!だからこれからその証拠を…。
おいおいちょっと…また犬に訊くつもりなのか?そうよ。
レイラは絶対見てるもの!まったく…犬のことになるとホント人格変わるんだからなぁ。
おいでレイラ。
おいでレイラ。
ねえレイラいい子だから犯人教えて?レイラ。
(うなり声)うっ…。
(うなり声)やっぱり!ただじゃれてるだけじゃないのか?違う!レイラは敵意を持って噛みついてるの。
俺には遊んでるとしか見えないけどな。
ううん。
レイラの目遊んでる時の目じゃない。
(鳴き声)おい…。
(鳴き声)レイラ!おいちょっと…!レイラ!レイラ!おいどこへ行った?あっ!神津敏子のところ!レイラ!やっぱりレイラは見てたのか。
そう。
そうよ!レイラ!よくやったわねレイラ。
よし。
敏子を徹底的に調べ上げるぞ。
キャー!
(衝突音)おいでレイラ。
(カメラのシャッター音)ドアの鍵は掛かってませんでした。
他殺か?ええそう思います。
何で犬までいるんだ?いやそれは…。
まさか犬を使って追い込んだんじゃないだろうな?それは…。
それはありません。
あっ今お帰りですか?ええ…。
あの…夏実に何か変化ありませんでしたか?ええ別にありませんよ。
そうですか。
ありがとうございます。
夏実…ごめんね。
3件の連続放火事件は逮捕し単なる愉快犯であったが肝心の稲村耕治殺害同夏実放火殺人未遂の解決するに至らずなお神津敏子墜落事件が発生した。
我々としては一刻も早く事件の解明を求められている。
釜本今日までの捜査報告を。
はい。
夏実の姉相川康代の証言によれば稲村夫婦の仲はよくなかった。
しかし我々の捜査によると相川康代本人がこの稲村耕治を嫌っていたことは事実です。
そのへんのことを調べ直したところ妹の夏実が自動車事故で下半身不随になった時運転していたのが姉の相川康代。
その車の所有者が妹の夏実。
まあ我々の所轄外の事故だったんですが姉の相川康代はブレーキに誰かが故意に細工したと言い張り調べ直してほしいと言ってきたそうです。
(田島)再調査したのか?ええ。
しかし故意にやったかどうかは判明せず事故扱いで終了です。
相川康代は誰かと言っているが夫の稲村を疑っていたということですか?夏実さんの放火事件後相川康代は稲村に対して…。
耕治さんあなたが夏実を殺そうとしたのよ。
…と感情をむき出しに言っていたこと。
また妹の夏実さんにはかなりの資産があり相川康代は稲村にそれを取られることを恐れていたと思われ稲村殺害の容疑は否定できませんね。
(深町)昨夜の神津敏子の件も相川康代がやったと考えていいんですか?どうなんだ?はい。
かなり疑わしいですがそこらへんの裏付けはこれからです。
そこまでやるかなぁ?稲村と介護士の神津敏子が愛人関係だったとすれば妹かわいさにやったと考えても不自然ではないな。
人工呼吸器を細工したのは確かに介護士の神津敏子が機器の扱いをよく知っていることから彼女と思いますが被疑者が死亡では断定できませんね。
いやレイラが昨夜証明してくれたよ。
おい!お前まで何言い出すんだよ。
レイラは確かに以前神津敏子に見せていた反応とはまったく違いました。
よしよしよし…。
(うなり声)反応だけでなく敏子のマンションに我々を導いてくれたんです。
それでレイラはあの時あのマンションにいたのか。
おい釜本。
いつからお前も犬の信奉者になったんだ?
(一同笑い)
(ドアの開く音)課長!
(咳払い)今鑑識から報告が来た。
神津敏子の部屋から押収したスニーカーと病室にあった足跡が一致した。
(ざわめき)レイラ!レイラ!やっと認めたよお前のこと!よかったねー!
(鳴き声)よかったね。
お前警察犬になるか?ダメ!レイラは夏実さんの大切なパートナーなんだから。
ねっ?レイラ。
(鳴き声)う〜んいい子だ。
(ため息)俺もパートナーでも欲しいね。
えっ?独身だったんですか?悪いか?いえ…。
(鳴き声)
(ノック)すみません。
少しお時間いただけますか?ここでよろしければ。
夏実のそばを離れたくありませんので。
(2人)失礼します。
昨夜神津敏子さん自宅のマンションから転落死しました。
敏子さんが!?どうして?相馬憲太郎という男を知ってますよね?いえ知りません。
道を訊かれただけですから。
昨夜10時頃こちらに戻られたそうですがどこで何をしていたんですか?昨夜は自宅に。
自分の着替えや家の掃除をしに戻りました。
疲れててついうたた寝して気づいたらそんな時間になっていたんです。
そうですか…。
あの…レイラ今どこにいるんでしょうか?我々が預かっています。
夏実さんがこんなことになってしまい大変かなと思いまして。
夏実にレイラを会わせてあげたい。
彼女嘘ついているな。
看護師さんの話では昨日の夜7時頃に男の人から電話があって出かけたって言ってますからね。
それに相馬を知ってるかと訊いた時知らないって言っておきながら即座に道を訊かれただけですと答えた。
あれは明らかに相馬を知っている答え方だ。
確かに相馬っていう名前にすぐ反応した。
共犯…。
相川康代と相馬憲太郎の?
(刺す音)ああっ…!稲村社長の検視報告書によれば背中に1か所腹部に3か所それから顔にもかなりの切り傷があった。
私もその報告書気になってた。
一見怨恨の線が強いんだけど背中とお腹の傷の深さが…。
(鳴き声)ごめんね。
放っておいて。
相川康代から目を離さないほうがいいな。
うん。
(電話)はい。
ああ深町か。
ああわかった。
身柄を拘束しろ。
はい了解。
(深町)相馬ー!待てー!今相馬が誰かと連絡を取っていると深町からあった。
相川康代にしたに違いない。
至急調べろ。
了解。
お前あっち行け!はい!すいません。
今相川康代さんに電話ありませんでしたか?ああありましたよ。
男の方から。
ありがとう。
どうも。
付き添いの方は?
(幸恵)電話の後何か急いで出て行きましたけど。
緊急配備お願いします。
相川康代が病院から失踪しました。
(無線の声)「了解」時間的にそう遠くに行ってないはずだ。
お待ちしていました。
早坂さんやっぱりあなただったんですね。
何がです?神津敏子さんをマンションから突き落として殺したのは。
何を言うんですか。
私には彼女を殺す理由がありませんよ。
あなたしかいない!あなたが彼女を殺して私に疑いが向くように電話で呼び出したのは。
そんなことより私は見てしまったんです。
あなたが稲村社長を殺したのを。
警察に言うつもりはありません。
ただ…5000万どうにかしてもらえませんか。
(鳴き声)レイラどうしたの?どうしたの?レイラ。
(レイラの鳴き声)止めて。
(レイラの鳴き声)早坂…!?呼び出したのは早坂だったのか。
私は車の事故の時から稲村を信じなかった。
あいつは必ず夏実を殺すと思った。
火事の時確信した。
あいつがやったって。
相川さんそんなことはどうでもいいんですよ。
私は今…。
どうして?どうしてみんな夏実から何から何まで奪っていくの!?私は夏実さんのことを思って会社を立て直すためにどうしても5000万…。
嘘よ!私は聞いてしまったの。
(稲村)早坂。
お前株に失敗してその返済に会社の金随分使い込んでるだろう。
神津敏子が調べたんだよ。
(早坂)すいません。
でも近いうちに土地の運用で金の入る予定が…。
1か月!1か月だけ待ってやる。
1か月だぞ。
はい…。
神津敏子はな介護サービスの事業だけではなくゆくゆく重役にするつもりだ。
その時お前はどうなってるかなぁ。
私もその後あなたと社長の話を聞きましたよ。
(稲村)離婚しろ?
(康代)あなたが二度も夏実を殺そうとしたのを私知ってます。
(稲村)証拠でもあるんですか?自動車のブレーキに細工したのもレイラを使って放火の細工をしたのもあなたよ!そんなに大きな声出さなくても…。
私警察には言いません。
夏実の名誉のためです。
ですから…もうこれ以上夏実を苦しめないで!そう興奮しないで。
落ち着いてからまた改めてゆっくり話をしましょう。
少しは落ち着きましたか?もう二度と夏実に近づかないで。
あなたには神津敏子という愛人がいるんでしょ?重役にする。
どうしてそのことを…。
まあしかし私は夏実とは離婚しませんよ。
あなたに私が殺せますか?はははは…!
(刺す音)ああっ…!私はわかってもらえなかった時脅すつもりでナイフを持っていった。
その時のナイフがこれですよ。
5000万ならこのナイフ安い買い物ですよ。
夏実さんはあなたがいなくなったら困るでしょう。
(うなり声)レイラステイステイ…。
早坂!来るな!お前達今の話を聞いていたのか。
早坂よせ。
彼女を放せ。
来るな!俺は何もやっちゃいない。
稲村社長に致命傷を負わせたのはお前だ。
えっ?違う。
俺はやってない。
もう全てわかってる。
確かに稲村社長の背中を彼女は刺した。
しかしその後で…。
あっ…うう…。
早坂…!早坂救急車…。
助けてくれ早坂!救急車…救急車…!ああっ…。
早坂助けてくれ!助けてくれ!
(刺す音)ああっ…!稲村社長の検視報告書によれば女にはできない深い刺し傷があった。
彼女の共犯は相馬かと思ったがお前がやったんだな。
早坂。
(早坂)動くな。
神津敏子をマンションから突き落としたのもあなたですね。
あいつは社長が死んだ後すぐに俺にすり寄ってきて自分と組んで会社を2人のものにしようって言ってきたんだ。
俺を脅迫してな。
稲村はね犬を使ったトリックで放火して夏実を殺そうとしたのよ。
自分の妻を殺そうとした男の会社だなんて知れたら終わりよねぇ会社も。
私と組めばあなたが会社のお金を使い込んでいること誰にもばれないわよ。
わかった。
2人の会社にしよう。
ふふっうれしい。
乾杯。
(早坂の声)この女は信用できない。
だからあの夜…。
キャー!私に協力してくれた時あんなにバロンの死を悲しんでくれたあなたがなぜ?俺は…俺はこんなことをするつもりはなかったんだ!あいつだ…。
神津敏子が現れて全てが狂っちまったんだ。
何でだ…くそっ…。
わかった…わかったからもうこれ以上罪を重ねないで!来るな!
(レイラのうなり声)ああっ!レイラ!
(鳴き声)危ない!うわっ!
(ナイフが刺さる音)うっ…。
おい!大丈夫か!?レイラを…レイラをお願い!早く…レイラをお願い…。
大丈夫?大丈夫?しっかりして!
(レイラのうなり声)レイラ!もう大丈夫ですよ。
ありがとうございました。
よかったな。
大事に至らなくて。
ホント。
ああ相馬は?相馬は逮捕した。
誰かれともなくお金をゆすってたそうだ。
(房子)こら待ちなさい!そっち行ったらダメ!ダメよこら!こら待ちなさい!そっちに行ったらダメ!ダメよこらー!レイラ!ああ…いい子だ!ダメですよ。
早く連れ出してください。
すみません。
レイラはははっ。
よく来たね。
(鳴き声)何?レイラ。
(鳴き声)わかったよ。
(鳴き声)レイラ行くよ。
(ため息)
(鳴き声)ふふっもう痛い。
あははは…。
わかったわかったわかった…!ふふふっ。
(鳴き声)夏実…意識戻ったのね。
(鳴き声)夏実…。
夏実…。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
ありがとうございました…!よかった…。
レイラありがとう。
ありがとうねレイラ。
ホントよかった。
よかった…。
あはは…いくよ!えーい!康代さんが帰ってくるまで夏実さんのこと頼むよレイラ。
情状酌量されてすぐ戻るよ。
(鳴き声)ありがとうレイラ。
あなたにはホント助けられた。
ふふっ。
助けられたのは自分だってレイラ言ってるんじゃないのか。
ええー?犬のこと何もわからないくせに。
ちょっとおい!どうするんだよ。
俺猫のほうが好きなんだよ。
おい!おいおいおいちょっと…。
ちょっと…イテテテテ。
おい!ちょっと何とかしろよ!ふふふふ…。
おい!おいちょっと…。
(鳴き声)わかった…。
イエーイ!こっちこっちこっち!いやそっち…。
いくよレイラ!2015/05/26(火) 14:00〜15:51
ABCテレビ1
犬は見た[再][字]
炎に包まれた資産家の美しい若妻、殺人放火か?愛犬に託された完全犯罪!!
詳細情報
◇番組内容
物言わぬ“犬”が事件の目撃者という斬新なミステリー。警視庁捜査一課のエリート警部・芦田裕子は、住宅火災の現場で犬嫌いの刑事・釜本公平と顔を合わせる!!この火災で入院中の主婦が命を落としそうになり、主婦の愛犬の仕業だと判断されるが!!
◇出演者
吉本多香美、東幹久、秋本奈緒美、渡辺裕之、春田純一、渡辺典子、松澤一之、井之上チャル、望月太郎、寺田千穂
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
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