今戦後日本の安全保障政策が大きく転換しようとしています。
安倍政権は日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増しているとして安全保障関連法案を国会に提出しました。
集団的自衛権の行使を可能にし外国軍隊への後方支援でも自衛隊の活動を大幅に拡大するものとなっています。
この動きに反対し憲法の危機だと訴える声も上がっています。
専守防衛を基本方針として発足した自衛隊。
戦争放棄を定めた憲法9条との関係が常に問われてきました。
アメリカ軍との協力はどうあるべきか。
自衛隊の海外派遣の是非は。
節目ごとに国民的な議論が巻き起こってきました。
そして今ミサイルや核の開発を続ける北朝鮮や海洋進出の動きを強める中国。
また国際社会を脅かすテロ。
こうした中で新たな法整備に私たちはどう向き合えばいいのか。
戦後70年自衛隊の活動はどうあるべきか。
私たちの命と暮らしに関わる安全保障の問題について討論します。
(2人)こんばんは。
戦後70年日本の安全保障政策を転換させる動きが本格化しています。
安倍内閣は今月15日に安全保障関連法案を国会に提出しました。
その内容は歴代の内閣が憲法上できないとしてきた集団的自衛権の行使を可能にするなど自衛隊の活動を大幅に拡大しようというものです。
安倍総理大臣は決めるべきは決めていくとして関連法案を今の国会で成立させる考えを強調しています。
ただ今回の法整備について国民の理解が広がっているとは言い難いのが実情です。
そこで今夜は防衛大臣で安全保障法制担当大臣も務める中谷大臣と専門家の皆さんに自衛隊の大幅な活動拡大に賛成反対の両方の立場から討論をして頂きます。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
まずご覧頂きたいのがこちら。
今月行われたNHKの世論調査です。
安倍内閣が進めている安全保障法制の整備の内容をどの程度理解しているか尋ねたところ理解しているが45%理解していないが49%となっています。
既に届いたご意見でもこちら。
難しいよく分からないというご意見が多数届いていましてまだ理解が十分に浸透していない事がうかがえます。
まず自衛隊の活動拡大につながる今回の法整備の全体像を整理しておきたいと思います。
松村さんお願いします。
はい。
安倍政権が進める安全保障法制に関連するのはこちら。
合わせて11の法律です。
まず一つは新しい法律である国際平和支援法案。
そしてこちら左側自衛隊法など10の法律を改正するものでこれを一括して一本の法案にまとめて平和安全法制整備法案としています。
政府はこの2つの法案を国会に提出し今年夏までに成立させたいとしています。
法案の中身を具体的な自衛隊の活動内容に即して見てみますと目的によって大きく2つに分かれます。
日本の平和と安全に関わるものと国際社会の平和と安全に関わるものこの2つです。
まず日本の平和と安全については集団的自衛権の行使を可能にする事に加え外国軍隊に物資の補給などを行う後方支援を拡大。
また武力攻撃に至らないグレーゾーン事態では離島に武装グループが上陸した場合などでの対処を強化するとしています。
一方国際社会の平和と安全についてです。
こちらの外国軍隊への後方支援では新たに法律を制定し自衛隊を迅速に派遣できるようにするとしています。
また国連PKOなどへの協力ではこれまで認めてこなかった住民の安全を確保するための活動もできるようにして武器の使用基準も緩和するとしています。
このように安全保障法制は非常に多くの分野に及んでいます。
この中で特に大きな柱は一番上の集団的自衛権と両方にまたがる外国軍隊への後方支援です。
まず中谷元防衛大臣に聞きます。
中谷さん今回の安全保障法制の担当大臣も務めるお立場ですが今視聴者から寄せられた声を見ましてもね分からないという声がやはり実に多いんですね。
こうした声も踏まえながら今なぜこうした法整備が必要かこの点いかがですか?それは国民の命と幸せな暮らし平和な暮らしこういう事を守る事は政府の最大の責務でありましてだからたくさん法律ありますけれどもあらゆる事態に切れ目のない対応ができるようにするため今までの法律を今の時代に合わせて修正をしていくという事です。
冷戦が終わって25年。
そして9.11テロ事件から14年。
非常に今グローバルなパワーバランスの変化が起こっておりましてこのアジア太平洋地域においても問題や緊張が生み出されるような状況でもありますしまた北朝鮮のミサイル核開発それから国際テロの脅威そして海洋宇宙サイバーといった空間におけるリスクも深刻化をしておりましてもはや世界中で起こった出来事が我が国の安全保障に非常に大きな影響もありますしまた一国のみでこの国を守っていけれるような時代にもなってきてないと。
ですからあらゆる事態に切れ目のない対応をする法律整備が必要でこれによって紛争を未然に防ぐ力つまり抑止力これを高めるという事が必要でありまして法律の改正をお願いをしてるところでございます。
次に澤協二さん元防衛官僚で小泉政権では内閣官房副長官補を務め自衛隊のイラク派遣の実務を担いました。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
澤さん政府の一員だった訳ですけれども今回のこの法整備には明確に反対の立場。
それはなぜですか?いや政府の一員だったからね特にイラクで自衛隊が大変厳しい状況でしかし一人の犠牲者も出さずに済んだんだけれど私は本当に実感としてこちらから積極的に武器を使ってないんですね。
だから地元と敵対もしない。
結果的に安全に帰ってこれたという側面があるのでそれ以上の事をやったらこれはもう危ないというのが本当に率直な実感なんですね。
今度の安全保障法制を見るとあらゆる事態に切れ目なく対応すべきだがそれは全て自衛隊の役割という事でもない訳でね。
特に地理的な拡大や何かが議論されてるけど私はやはり一番問題なのは武器の使い方が今までと全く変わってくる抑制的だったものがより積極的になる。
そしてそれは隊員も危険になるしそれから日本自身もより戦闘的なポジションをとらざるをえなくなると。
そういうところを本当にしっかり踏まえて議論をしないと国を誤るという心配があります。
順を追ってその話はまた聞いていきましょう。
次に拓殖大学特任教授で元防衛大臣の森本敏さんです。
よろしくお願いします。
(森本)はいよろしく。
森本さんは先ほどの中谷大臣の安全保障環境が大きく変化しているからこれが必要なんだと。
その言葉に更に言葉を加えるとなぜ今と。
どう答えます?今回の11の法案はどこから出てきたかというと昨年7月の閣議決定の内容を法律の形で実現する事。
もう一つは先月の日米防衛協力ガイドラインの結論を実際に実行するためにどうしても法律がいると。
その2つのテーマを実際の法律で担保するために11の法律が必要だという事になった訳ですね。
でもその背景は大臣がおっしゃったように安全保障環境の変化というのはあるんですけど私はもう一つ重要なのはやはり今の国際社会っていうのはアメリカがいわゆる分かりにくいですけどリバランスといってアジア太平洋に2020年2030年までに約全体の兵力の6割をアジアに重点的に施行するが財政的には厳しい。
こういう環境の中でアメリカの足らざる機能を同盟国として補完してやらないといけない。
そういう役割を果たすっていう事がもう一つの目的だというふうに考えるのが正しいんではないかと思います。
そこが大きなポイントになってくるという事ですね。
そして首都大学東京准教授の木村草太さんです。
よろしくお願いします。
(木村)よろしくお願いします。
木村さん憲法学者の立場から今回の法整備どう見てます?やはり法整備憲法学の立場からするとこれは非常に手続きが重要な問題になってくる。
また憲法9条との関係も問題となってきますがまず自衛隊の活動には世論の賛同が不可欠ですがただ今のところ自衛隊に戦闘行為の援助や警護名目での現地武装勢力との交戦といった今より危険な業務をもっとやってほしいという世論の高まり盛り上がりはあまり感じられないという点が一つ。
次に日本国憲法が禁止している軍事権の行使にあたるのではないかという懸念のある活動も今回の法案の中に含まれている訳ですが政府はいわゆる新3要件を繰り返すばかりで何ができ何ができないのかを明確に判断する基準がまだ示せていないと思います。
これが2点目。
そして最後に活動範囲が広がれば当然リスクは増える訳ですけれどもこの点について政府は安全に配慮すると繰り返すだけで危険があってもあえてやらなくてはいけないという覚悟を示す発言覚悟が示されていない。
これでは国会軽視というふうに言われてもしかたがないでしょうし説明も不十分ではないか。
この点で賛成できないと考えています。
中谷大臣今木村さんからですね平和憲法の考え方からいくとあまりにも問題点が多いんじゃないかというご指摘ですけどもいかがでしょう?いずれの対応も憲法の範囲内という事です。
これからの世界を考えてみますとですねどのような事態がいつ発生するかこれ見通す事はなかなか困難なんですね。
しかし法律が出来てない法律がないという事で国民の命や平和な暮らしを守る事ができないという事はあってはならない事でありましてじゃあどうやって我が国の安全保障を確立させるかというとやはり日米安保日米同盟これを強化をする。
そして地域や世界のパートナーこれとの信頼関係協力関係を強めていく。
まあこういった事であらゆる事態に対応できるような体制を作る。
すなわち紛争を未然に防ぐ力これ国際的な協力もそうです。
つまりそういう事でこのテロの問題もありますけれども抑止力を通じてですね世界の平和と安定こういった事も対応を求められているのに対応する事も考えておかなきゃいけないと思います。
そこでですねここから一つ一つ具体的に議論を進めていきましょう。
このうちまず日本の平和と安全のために行われる外国軍隊への後方支援。
これはアメリカ側も日本に対して期待している部分なんですけどもこの点については松村さん。
はい。
この後方支援とは自衛隊が直接武力を行使するのではなく武力を行使している外国の軍隊に物資の補給や輸送医療支援などを行う活動です。
現在日本の平和と安全のための後方支援については周辺事態法で定められています。
この周辺事態法がどんな経緯で作られたのかまずご覧下さい。
1998年北朝鮮が発射した弾道ミサイルが日本上空を通過。
東アジアの緊張が高まる中制定されたのが周辺事態法です。
日本周辺で日本の平和と安全に重要な影響を与える事態を周辺事態と位置づけたこの法律。
主に想定されていたのは朝鮮半島有事でアメリカ軍に対して自衛隊が後方支援できるようにするものでした。
周辺事態の周辺とはどこまでを指すのか。
政府は地理的な概念ではないと説明しました。
ただ当時の小渕総理大臣は「中東やインド洋ましてや地球の裏側ということは考えられない」と国会で答弁。
政府は自衛隊が活動する地域にはおのずと制約があるとしてきました。
それを今回の法整備で変えようとしています。
今回の法整備でこの周辺事態法がどう変わるのかといいますとまず法律の名前が重要影響事態法に変わります。
VTRでご紹介した自衛隊が後方支援を行う所は日本の平和と安全に重要な影響を与える事態が日本周辺だけで起こるとは限らないとして地理的な制約がない事を明確にしました。
例えば政府の担当者はインド洋周辺のシーレーンで日本に原油を運ぶタンカーが国際的なテロ行為によって被害を受けるような状況が想定されるとしています。
これは日本の平和と安全に関わる重要影響事態にあたる可能性がありこのタンカーを守るアメリカの軍艦を自衛隊が後方支援できるとしています。
更に法案ではアメリカ軍以外への支援もできるようにするとしています。
例えば防衛協力が進んでいるオーストラリア軍などに対してです。
またこれまでは認めてこなかった弾薬の提供もできるとしています。
自衛隊の後方支援の活動範囲について視聴者からのご意見です。
中谷大臣に聞きます。
先ほどのVTRの中にありました小渕総理の「地球の裏側に行く事はない」というあの答弁について今回の政府の法案の決定の際に政府見解としてあの答弁は今は違うんだというふうに明確に否定はしました。
これはやはり地球の裏側もありうるという事ですか?そうですね。
世界が脅威の問題においてどの地域で発生してもそれぞれの国に影響しますが我が国の安全保障を考えてもこの脅威が世界中のどの地域において発生しても影響を及ぼすという事でこういった我が国の平和と安全に関わる事でありますので発生する地域をあらかじめ特定をしておく事という事についてはやはりそういう状況でもないという事で今回地理的概念を周辺という言葉を外したという事でございます。
あくまでも米国の言われるままというのではなくてまさに我が国の安全に重要な影響を与える事態でありまして当然我が国として主体的にこの重要性を判断して行動するという事になります。
木村さん。
今大臣が言われた事それがまさに政府が重要影響事態という新しい考え方を作った訳ですけどどうご覧になってます?やはり安全に重要な影響を与えるというだけではなかなか基準として不明確でその点についてもっと詳細な基準詳しい基準具体的な基準を示してほしいというふうに思います。
そうしないと相互衡量の名の下に実際には無限定になるというおそれがありますし今のタンカーの例にしても船の個別の安全が安全に重要な影響という事なのかそれとも日本全体の国としての安全という事なのか今の例ですと非常に曖昧だと思うんですけどその点を明確にしてほしいと思いました。
これはちょっと森本さんに聞いてみましょう。
森本さんその点についてどのようなお考えですか?無制限に世界中どこでもという事ではなくてこれはあくまで地理的概念ではなく事態の性格に立脚して作った概念なのですが…。
悪い言葉で言うと歯止めっていうのはどこにあるかというと「米軍米軍」と言いますけどもこの場合の米軍は日米安保条約の目的の達成に寄与する活動を行っている米軍というふうに米軍を制約してるという事と実施する区域もこれは防衛大臣が実施区域を指定する事になっていてその指定する区域とは現に戦闘が行われてる場所では実施しないという事になっているので無制限無制約に地球どこでも行くとかという事ではありません。
きちっとした基準を法律の中で設けて実施できる活動区域を指定しその中で活動をするという事なので後方支援の相手も中身も法律の中できちっと限定をしているという事だと思います。
澤さん。
先ほどの木村さんのご指摘にもつながるかもしれませんが日本の平和と安全を守るという事が日本から遠く離れた場所でありうるのかどうか。
この辺どうでしょう?法律の条文にはそのまま放置すれば我が国に対する直接の攻撃に至るなどっていう例示が示されてるんですね。
…で今さっき絵に出てきたテロリストがインド洋でタンカー攻撃してる。
そのまま放置すれば日本に対する武力攻撃につながるおそれがあるのかってないですよそんなものね。
だからこの話はそのシーレーン。
特にガイドラインで合意した時にアメリカの国防長官が言ってたようにこれで日米共同で南シナ海で中国をけん制できる。
そこに私はねらいがあると思うんですね。
そこで存立危機事態というこれも分からんがそこに至らなければ集団的自衛権は行使できないがそれよりもうちょっと軽いところで米軍への支援はできるという事でやはり日米の共同のオペレーションができるという事をやろうとしてるのがこれの本質だと私は思っています。
ちょっとご意見がまた来始めてるようなのでどうぞ。
まず支援の対象についてです。
一方で弾薬の提供については…こうしたご意見が届いています。
木村さん。
はい。
今弾薬の提供の話が懸念として示されましたけどもこの辺はどう見ます?確認をしたいところなんですけれどももともとこの弾薬の提供とかあるいは作戦行動に飛び立つ戦闘機への給油というのはもともと需要がないという理由でやってこなかったはずですけれどもそこに新たな需要が生まれたという事なのかという点をまず確認したいです。
ちょっとそれ聞いてみましょうか。
中谷大臣…。
澤さんが当時担当してましたけどこれは米側から具体的な弾薬のニーズ。
これはなかったという事です。
今回は新しくガイドラインを見直しを致しましたがその間の協議の中で弾薬を含む後方支援の要求要望こういったものは米国からあったという事です。
(木村)なるほど。
木村さんどうぞ。
ただ今回の規定でも当然武器の供与はしないというふうになっていて武器の供与はしないんだけれども弾薬は提供できるというのはちょっと分かりにくいように思いますしまたこの点について詰めた国会論議はまだないかと思いますがやはり戦闘に直接つながるので日本自身の武力行使と同じであり武力行使と一体化するのではないかという憲法論もありうると思うんですけれどもその辺りは大臣どうお考えなんでしょう?まず武器の提供のニーズ。
これはありませんでした。
やはりいずれの国も武器というのは非常に大事なものだと考えてるという事だと思います。
武力行使の一体化については今回も現に戦闘行為が行われている現場以外で行われるという事でありまして。
これやはりその現場というところから時間的にも地理的にも一線を画されてるという事で武力行使の一体化をするという事はないという事で今回も弾薬を含む後方支援を可能にしてるというところでございます。
澤さん。
弾薬の提供問題どうですか?まああのね…多分アメリカ軍の方がたくさん弾持ってますからなけなしの自衛隊から弾持っていくような事は私は現実にはないと思うんだけどね。
ただ法律全体の形を整えるためにそういう事も入れてるという事だと思うんですけども。
ただ問題は前線部隊に弾運ぶって事ですからこれめちゃくちゃ危険なんですよね。
その相手は前線部隊よりもその後方支援の部隊を狙う方がたやすいのでそういうところも非常に今までと質的に違ったミッションになるしまたリスクも出てくるという事ですね。
さっき世界中どこでもやるべきだっていうご意見ありましたね。
それは日本を守るためならそうなんです本質的にね。
武力行使自衛権行使というのは際限があってはいけない。
しかしだからこそ我が国が武力攻撃を受けたという事を歯止めに今までしてきてる訳ですね。
それをダブルで外しちゃうというところはこれは非常に慎重に見なきゃいけないと思います。
森本さん。
そこでお聞きしたいんですけどその弾薬の提供これ日本を守るために日本の周辺…例えば日本海とか。
そういう所での日本を守るアメリカ軍のための弾薬提供には納得する人は結構いると思うんですけども遠く離れて果たして本当に日本を守る行動かどうかというような事象の時に弾薬提供っていうのはいかがなもんなんでしょう?あくまでこれはさっき申し上げたように事態の性質に立脚して作った概念なんでそういうニーズがあるかどうかという事なんですけども全くないっていう事はなかなか言えず…。
アメリカの例ではないですけど例えばスーダンに出ている自衛隊がたまたま一緒に出ている韓国軍が弾薬がないので日本に提供してくれと言って日本が一時的に提供した事があるんです。
でもあれってPKOですよ。
そうです。
あれはだからこの概念とは全然違うんですけど部隊が実際に弾薬が無くなってほかの国から提供を受けるという事はそれはありうるっていう事を僕は申し上げてるんです。
当初予定してなかった事がありうる。
これ弾薬っていうのも小銃とかの弾だけではなくて例えばミサイルの弾も含めている訳で非常に広範な範囲の提供だというふうに考えるべきだと思います。
まあ今ここまで日本の平和と安全を守るための後方支援。
そこについて議論をしてきました。
この後方支援についてはもう一つ先ほども見ましたように国際社会の平和と安全のための活動に対して行う後方支援というものにも…。
(中谷)協力支援といいますけどね。
今大臣は正しくは協力支援だというふうにおっしゃいましたけど中核となるのはやはり後方支援部分というのは含んでますので後方支援と私は言い続けます。
…でどうぞ。
はい。
こちらの国際社会の平和と安全のための後方支援活動について政府は新たに国際平和支援法案という恒久法を国会に提出しました。
これまではそのつど目的や期限を定めた特別措置法で対応してきました。
どのような活動が行われてきたのか。
その経緯をご覧下さい。
これをきっかけに国際貢献として自衛隊の後方支援が始まります。
政府はテロ対策特別法を制定しインド洋で外国軍の艦船に燃料などを補給。
その2年後にはイラク支援法が成立。
アメリカ軍兵士の輸送などを行いました。
政府は自衛隊の活動範囲は非戦闘地域に限られ憲法が禁じる…この非戦闘地域という自衛隊の活動範囲が今変わろうとしています。
はい。
はい。
これまで政府が自衛隊の活動範囲としてきた非戦闘地域とは戦闘とは一線を画したこの白い部分を指します。
ここでは活動ができるとしてきたんです。
それが今回の国際平和支援法案では自衛隊の活動範囲は先ほどの議論の中にもあった表現です。
今白で示した所です。
どこが変わったのかといいますとこの灰色の部分です。
ここは活動期間を通じて戦闘行為が行われる可能性がある地域でこれまでは自衛隊が活動をしないとしてきました。
それが今回の法案では活動ができるとしています。
ただ活動場所やその近くで戦闘行為が始まった場合または戦闘行為が始まると予測される場合には活動を一時休止するなどとしています。
中谷大臣先ほどのVTRでかつては中谷さんも非戦闘地域に限定するという事で歯止めがかかるんだという国会答弁をしていた事がありますよね。
それが今回は新しい法律を作るという事で現に戦闘を行っている場所では行わないとしてかなり可能な範囲を今広げる方向性が示されている。
これはやはり明らかに活動できる範囲を広げる事を明確に意図してやった事ですか?はい。
当時私防衛庁長官だったんですがそもそもこれ何のためにやってるかというと9.11のテロ事件。
これアメリカで2,977名の民間人が死んでる。
日本人も70名死んでるんですね。
国連決議もあったんでこういった国際社会のテロに対する懲罰とか制裁これを目的として予防行為なんですが当時憲法からしますと武力行使をしてはならないという事でじゃあどこまでできますかという事で非戦闘地域を設けました。
これは活動期間を通じてとまた将来も発生する事がないと。
しかし場合インド洋で燃料補給をしましたが非常に限定をされておりました。
今回は現に戦闘行為が行われている現場と致しましてその時点で戦闘行動が行っている場合で2つでどう違うのかというと活動期間を通じて戦闘行為があるかないかという事でありますが実際戦闘が行われているエリアというのは非常に動くんですね。
ですから戦闘が終わった地域において非常に十分実施ができうる所もですね活動の期間中はできないという事でこういった面において非常に柔軟性を持ってですねしっかりと見ながらですねしっかりと期待される活動ができるようにという事が違うところです。
つまり危なくなったらそこから逃げると。
これが一番の歯止めだという事ですよね。
中断もしますし活動のエリアの変更も致します。
それに森本さん加える事があれば…。
いや特にありません。
つまり要点は地域と現場というのは概念としては地域の方が少し広く現場は狭いんですがどうやって判断するかっていうと相当に情報収集をきちっとしてそのつど大臣が実施区域を指定できるという事なので指定の変更もできるしあえて言うならば撤退させる事もできる。
さっきの話のように柔軟に対応できるというところにポイントがあってそこが非戦闘地域という概念と違うという事だと思います。
澤さん冒頭のご発言でも澤さんはこうした概念の拡張こそが危険だとおっしゃってました。
改めて…。
さっきの重要事態法はつまりこれは同盟協力ですね。
今度のは何だっていったら多国籍軍協力なんですねありていに言うとね。
で何を支援してるか。
そういう軍隊の武力行使をしている軍隊を後方支援するという事なんですよね。
だから非戦闘地域に限定した方がいいのかとかいう話をしてた訳ですね我々は。
当時のイラクの状況でいけば自衛隊がいたサマーワは私は非戦闘地域だと思います。
しかしファルージャとかこの間のISILに取り戻されちゃったラマディのようなところはあれは戦闘地域だと思うんですね。
ただその中でも今戦闘が行われていなければ行けるっていうのはこれは今までとリスクが質的に違うという事ですよね。
大臣その辺…。
長年見てきた澤さんも心配だと言うんですけど。
当時はしっかりと情報を入手して的確に作業ができたと思いますが当然これには国会の承認が必ず要るという事です事前に。
その際政府は計画を作りますがなぜこの支援が必要なのか国際社会はどういう状況なのか活動期間や部隊の規模また場所これを基本計画に変えてそれを添えて国会承認を得ますしまた防衛大臣は実施要綱において活動地域が非常に安全規定があってその中で活動しうる地域を活動範囲として指定をしてこれ総理に承認をもらって自衛隊を派遣する訳ですから非常にさまざまな面で安全に活動できるかできないかこういう事も勘案して指定をするという事です。
今のですね新しい戦闘が現に行われていない場所では活動できるとする点。
これ木村さんはどのように見ます?もちろん大臣がおっしゃったように政府は隊員の安全を確保する義務があると思いますしそのためにいろいろ手はずを整えているというのは分かるんですけれどもただ後方支援はやっているうちにまさに状況拡大していって憲法や法律に違反してしまうようなおそれもある訳で現にイラクの時には傍論ではありますが名古屋高裁が戦闘員を戦闘地域に送っていたという事を認定して違憲だという判断もしていて事後的な検証という事も非常に重視されると思うんですけれども事が終わったあとにきちんと法律を守ったのか憲法を守ったのかという事を検証する仕組みは十分にあるとお考えですか?私はこれは不十分だと思うんですけれども。
その点一点ちょっといかがですか?実際隊員が安全に活動を致しましたしまたイラクの復興支援でしたけれども非常にイラクの国からですね日本の活動については評価もされてますし地元でも非常に歓迎もされたというような事で私は憲法違反はなかったというふうに思います。
森本さん。
さっきの後方支援2つあるんですけども重要影響事態法における後方支援とそれから今議論をしてる国際平和支援法の協力支援とは根本的に根拠が違ってこのあとの方の外国軍隊への後方支援今我々が議論している後方支援なるものは全てが国連安保理決議というものがあってそれに基づいて行う外国軍隊の活動に協力支援をするという事になってる訳ですね。
初めのは国連安保理決議がなくても米軍に活動が支援できる事になってた…。
日本の問題ですからね。
今度は国際社会の問題ですよね。
という事は国連で安保理決議が通るという事は相当事態がいろいろ変化して調査も行われ時間もかかって安保理決議ってそんなに何時間とか何分では通りませんから。
相当国際社会が事態を深刻に見て情勢の分析をして我が方も十分情報を取れるという状況下で行われるので国会でもちろん例外なき国会承認というのが必要でその前に国連の活動っていうものを我々は考えてみないといけない…。
手続きの事はまたあとで議論するとしてご意見いっぱい来てるんですね。
視聴者の方から頂いています。
う〜ん大臣。
やっぱり素朴な心配ってこの点だと思うんですけども。
はい。
基本的にこの支援活動というのは戦闘の前線で行うものではなくて前線から離れた安全が確保された所で補給基地とかありまして支援を行うものでありますのでやはり前線から距離が離れているところであります。
実施に際しては安全に非常に気を付けながら実施する隊長が危険な場合においては活動を中断したりまた避難したりしながら大臣もよくこの状況を見ながら活動を続けていくという事です。
議論をね同じ国際社会像の平和と安全のための後方支援活動。
ここについて別の角度から。
これまではイラクの時…先ほどから例が出てるように特別措置法でそのつどそのつどの立法でやった。
それが今度は恒久法という形でいつでも法律が存在している中で行うと。
この事について議論を進めたいと思います。
政府は恒久法として国際平和支援法案を国会に提出した理由についてこれまでのようにそのつど国会審議を経て制定する特別措置法に比べて自衛隊を迅速に派遣するためだとしています。
ただ派遣の際には例外なく事前に国会承認を得る事を義務づけています。
この点についてもご意見頂いています。
これ木村さんに聞きましょう。
木村さん。
この国会…例外のない国会の事前承認という事が一つのですね正当性の担保にもつながるというふうな考え方が政府の側にあります。
いかがでしょう?もちろん国会の事前承認をするという事は悪い事ではないと私は思いますけれども先ほど強調させて頂いたように事後的な検証あるいはやっている間の外部からの確認とか監督という事も必要なはずで例えばイラク戦争の時には確かにその根本にある国連決議のようなものはあった訳ですけれどもただ実際大量破壊兵器を理由にアメリカを支持したんですが結局なかった。
その「なかった」という事をどう日本国として受け止めるかという事について政府の外からきちんと検証したのかというと私これは不十分だと思います。
また現場での合憲性合法性の監督も中谷大臣は先ほど確かに政府の中では違憲な事はやってないという認識であったという事ですけれどもただそれはやはり外から検証して頂くっていう手続きも必要なはずでこの事前承認以外の部分つまり後の検証という点も十分に審議してほしいと思います。
中谷大臣に聞きましょう。
イラクの問題で確かに今木村さんご指摘のように結果としてアメリカの誤った情報の下に関係国がですねあそこにいろんな協力をしたと。
イギリスでは大きな議論になって公聴会開かれたりもしてますよね。
日本ではあまりそういう…政府の外ではなかった。
この点を何か新しい仕組みを作るべきじゃないかというご指摘にはどう答えます?はい。
あの場合は戦闘が終了してですねイラクの復興の国連の決議に従って実施をしたという事であります。
であの〜日本はこういった戦闘行為に後方支援もしておりません。
え〜まああの〜この判断等につきましては政府としても状況に応じてですね適切に対応してきたというふうに思っております。
あのちょっと客観的に言うとバグダッドでですね後方支援の輸送をですね自衛隊が行った事は人道復興支援とは別に存在してましたよね?はい。
あれは法律に基づいてこう実施をしました。
しかしあの〜その時の対応等につきましては非常にイラクの復興を目的としておりました米軍でありますのでその目的は達成できたというふうに思います。
ちょっと今の点については恐らく国会で改めて議論になると思います。
そちらにちょっと任せましょう。
で議論を前に進めるために続いてですね安全保障関連法案の中のもう一つの柱。
もう一つというよりも憲法と関連する最も大きな柱であります集団的自衛権についての議論を進めます。
松村さんお願いします。
はい。
集団的自衛権に大きく関わっているのが憲法9条です。
この中では武力による威嚇または武力の行使は国際紛争を解決する手段としては放棄しています。
また戦力は保持しないとしています。
ただ自衛権については明確な規定がないためこの憲法をどう解釈するかが問われてきました。
これまで日本は自国が攻撃された場合に反撃する個別的自衛権は憲法上行使が許されるとしてきました。
一方自分の国が攻撃されていなくても同盟国などに対する攻撃を武力を使って阻止する集団的自衛権。
歴代政権は持っているが使えないとしてきました。
これに対して去年7月安倍政権は従来の憲法解釈を変更。
集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を行いました。
去年の閣議決定を受けて今回出されている法案では集団的自衛権の行使が可能となる事態を存立危機事態と定義しています。
どのような事態かといいますと…そして他に適当な手段がなく必要最小限度にとどまるという要件を満たした場合に集団的自衛権に基づいて武力を行使する事ができるとしています。
集団的自衛権について視聴者からのご意見です。
中谷さん今のように存立危機事態非常に理解がしづらいという声が来てるんですが具体的にどういう事態の事を指してるんでしょうか?はい。
これは法律にも書いてますけれども我が国の存立が脅かされそして国民の命自由そして幸福追求の権利…これは憲法13条ですけれどもこの権利が根底から覆されるという明白な危険があるというのが定義なんですがこの根底にあるのは我が国の自衛をするという事なんですね。
我が国が必要最小限の自衛権がある。
で今までは個別的自衛権にとどめておりました。
我が国が武力攻撃を受けた時だけだと。
まあしかし今回はそれだけじゃなくて我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生をした場合も入れましたがこの中でもあの〜我が国の存立のためにですね重大な事態もありうる訳ですからそれを認めた訳で通常集団的自衛権というと自分の国に関係のない他国の防衛をするという意味も含まれてますけれども今回限定的に認めたというのは我が国が存立に関わる事態だけですよという事です。
澤さん政府のまさに今中谷大臣の説明は今の政府の基本姿勢なんですけどいかがですか?いやだから私がいた頃の政府は全く違う考え方だった訳ですね。
あの〜さっきの視聴者の声の中でもねアメリカを守れないじゃないかと。
しかしながら日米安保条約にもあるようにね日本の施政権下におけるいずれか一方への攻撃については共同防衛できる訳ですね。
だから日本有事ならばアメリカの船だって堂々と守れる訳ですね。
今まで政府はそういうスタンスでいた訳ですね。
だから本当にアメリカの船を守らなければ日本の存立が保てないような状況っていうのはね私は多分ほとんど日本有事と重なるだろうと思うんですがではそうでないものがあるというならねこれは立法事実の問題ですからこういう事があるという事をねきちんと議論して頂かないと。
「ないとは言えない」って…「ないとは言えない」ってこれはね法律を出す側がそういう事を言っちゃいけないと思うんですね。
ない事をあんた説明…証明しなさいって言われたってそんな事はできない訳ですからね。
森本さんかつてはですね例えば周辺事態法を最初に作る時なんかも例えばこんな場合というね政府見解ってのをきちんと出してますよね。
それがこれまでのところ政府から全然出てきてない。
ここも非常に不思議なんですけどどうでしょう?まああの〜2つだけその例を挙げておられますけどご承知のとおり…。
邦人輸送の米艦それからまあペルシャ湾岸の話と出てますけれどもあの〜私はこの集団的自衛権なるものは国際法上いう集団的自衛権とは程遠いものであって結果として我が国の防衛のために必要不可欠だと考える場合の自衛権行使なんです。
ただ日本が攻撃されてない時つまり日本が武力攻撃を受けてない時でも行使できるっていうので非常に集団的自衛権の特殊な概念として採用してるんでそれで分かりにくい訳ですね。
つまり繰り返しになるけどもアメリカが攻撃されてる時にこれを守るのはアメリカの自衛のためアメリカを守るためではなく我が国の自衛のためにアメリカを助ける事がひいては我が国の自衛になるという集団的自衛権の行使なんです。
我が国を守ってくれるアメリカ軍だから手伝うんだという事ですね。
手伝うというかそれを手伝わなかったら我が国も危うくなるという場合に限ってこの集団的自衛権なるものを行使するんだっていうですね。
国際法上の概念とは相当違う概念です。
分かりやすい日本語で議論を更に深めましょう。
そうしないとなかなかこれは国民の皆さんに分かってもらえない。
木村さん分かりやすく今の話を聞いてどういう疑問を持ちました?結局森本先生のご説明を伺っているとこれは個別的自衛権と従来呼ばれてきたものの中でその範囲でアメリカを守らなければいけない時にそれができるよという事を確認しただけなんですよというふうに聞こえますし実際存立が脅かされるってかなりハードな言い方をしているのでそういうふうに読める文章であると思います。
日本国憲法には先ほど強調したように軍事権の規定はないので自衛隊の活動も防衛行政か外交協力の範囲で行わなくてはいけないはずでそれを超えたらこれは軍事権の行使です。
木村さんその軍事権というのはつまり戦争する権利っていう意味ですね。
そうです。
外国の…日本の主権を守るとは関係なく外国の意思を制圧してしまおうという場合の権限ですね。
ですから…。
ちょっと待って下さい。
で?軍事権の規定はないのでこれは防衛行政の範囲でしか日本の自衛隊というのは権限を行使できないはず。
そうしないと憲法違反。
とすれば存立危機事態というのも防衛行政個別的自衛権の範囲で解釈をする必要があると思います。
森本さんどうでしょう?我々が議論しているこの集団的自衛権なるものは個別的自衛権ではないんです。
個別的自衛権っていうのはあくまで我が国が武力攻撃を受けた場合なんです。
この集団的自衛権なるものは我が国が武力攻撃を受けてるのではなく我が国と密接な関係にある国が武力攻撃を受けていてそれを放置して見ていると結果として我が国の自衛もできない。
我が国も守れない。
例えば我が国の周辺で米国艦艇が我が国の自衛のために活動してる時にその米国艦艇が第三国から攻撃をした時にじ〜っと見てるというのでは結果として我が国の自衛ができないという時に限って集団的自衛権なるものを行使するという非常に限定的な集団的自衛権なんです。
ただ国際法上いう集団的自衛権を行使してアメリカが世界中どこで活動してる時でも攻撃をしたら助けに行くというのは今や今の憲法では無理だろう憲法改正しないといけないという事だと思います。
お二人の言ってる事の違いがほんの僅かでしか感じられないんですよ。
澤さんどうですか?今森本先生がおっしゃったように我が国の自衛のために活動しているアメリカの船がいるとすればそれは日本有事だという理解をずっと我々してたんですね。
日本有事であるがゆえに自衛のため。
ただ今度の法律の中では後方支援の要件として我が国の防衛に資する活動をしている米艦艇というような概念が出てきてる。
この「資する」っていうのも実はよく分からないんだけれども多分これはだからまだ平時の警戒監視のような話をしてるんでしょう。
そして我が国のそこの自衛のためと言ってしまうとまさに武力攻撃を受けてる時にしか自衛権が発生しないという従来の理解からするとそこが木村さんの話と重なるようなずれるようなそういう印象になる。
そこの概念をはっきりさせないと国会審議の中でもこの議論はかみ合わないんじゃないかなと思うんですよね。
そこでその概念がはっきりしない部分の象徴的な例として集団的自衛権の行使が可能な例安倍総理大臣は国会審議などで繰り返し中東のホルムズ海峡での機雷の掃海活動これは紛争中の機雷の掃海活動という事を挙げています。
そのホルムズ海峡というのは中東のペルシャ湾の出口に位置していて日本へ原油を輸送するタンカーなどの多くがここを通過します。
この近くで紛争が発生して機雷が敷設された場合タンカーの航行に影響が出ます。
武力紛争が行われている間に機雷を掃海する。
つまり取り除く事は国際法上武力の行使にあたるとされています。
こうした事態では日本は直接武力攻撃を受けている訳ではありませんが安倍総理大臣は深刻なエネルギー危機が発生し存立危機事態になりうるとしています。
そのため機雷を掃海できるよう集団的自衛権の行使を可能にする必要があるとしているのです。
澤さんホルムズ海峡での紛争中の機雷掃海どうですか?これは軍事的に現実的にできるかどうかっていう話を置いておけばそもそもこれはこういうケースが存立危機事態になって集団的自衛権としてやる事ありうべしという議論をするのであればそこに至るまでの政府の政策さっきのエネルギー危機が発生しないためにいろんな手だてがある訳ですね。
武力行使以前に。
そういうものが全て失敗する蓋然性が高いんですという事を前提にしないと立法事実としての説明にならない訳ですね。
つまり政府が真面目に仕事をしないから集団的自衛権使わないといけなくなっちゃうんですよという事を言ってるにすぎないのでね。
そういうところを政策の優先順位という事も含めてやらなきゃいけないかどうかっていう事をちゃんと議論しないといけないと思いますね。
つまり必要性というものを土台に置いての政策決定に今なっていないという事ですか?そうそう。
だから事態の蓋然性とそこにおける政策の優先順位からくる必要性の問題ですね。
これをちゃんと分析しないといけない。
そこで中谷大臣に伺いたいんですけれどもこの前高村自民党副総裁は例えばあそこで機雷封鎖が行われて日本に油が入ってこなくなってそして北海道で冬の間にバタバタと凍死する人が現れると。
こういう事になったらまさにこれは国家の存立の危機だと。
こういう時が該当するんだというなんとも分かりやすい事例を示されたんですけど政府はどのぐらいの事を国家の存立を危うくする事態とお考えなんですか?石油が長期間入ってこないとなりますと中東から8割石油を輸入しておりますので深刻な本当エネルギー危機に陥ります。
今でも停電になったら首都圏大混乱になってるようにこれが半年以上も続きますと相当国民生活に死活的な影響が及ぶ事態が発生しますし日本経済も大混乱になります。
基本的にはやはりこの定義として我が国が武力攻撃を受けたと同様な深刻重大このような被害が及ぶ事が明らかな状況にあたりうるという事でありますのでそういった事態になったという事につきましては機雷の除去が必要になってくるという事です。
森本さんも基本的には大臣と同じお考えだと思うんですが高村さんがそのようにおっしゃった時に日本には180日ぐらいの官民合わせての備蓄があるから凍死者が出ない春にすぐなるんだと。
その間はこらえられるという指摘をする方も大勢いらっしゃいました。
そういう細かい話をするならばあえて言うならばその石油の8割ですけども天然ガスが3割弱ぐらい入ってくるんです。
この天然ガスは日本のある特定の地域のガスを供給してるんでその地域がバタッとガスの供給が止まるという事があるのでそれは容易な事ではないと思うんです。
そういう議論をするよりもこの例が分かりやすいかどうか分かりませんけど私はもっと深刻に実は考えてる例っていうのは…。
どんなものですか?例えばご承知のとおり中国は自国の排他的経済水域の中を海洋国土といって国家の主権を主張している訳です。
これは領海の外ですよね。
領海12海里。
排他的経済水域は200海里ですから。
その中に例えば日本のタンカーが入ってくるとかあるいはアメリカの船が入ってくるとかっていった時に主権を行使してこれを排除するっていう行為があった時にこういった妨害活動があった場合の方がむしろ私は深刻…。
今のつまり南シナ海の話ですね。
そうです。
それはそれとして木村さん安倍総理が強くこだわっているホルムズ海峡の機雷掃海これについてひと言どうぞ。
やはり機雷掃海というところにこだわるというのはよく分からない点で武力行使の中には機雷掃海以外にも空爆でありますとか地上軍の派遣とかいろいろなものがあって今回の新3要件というのはあくまで機雷掃海じゃなくて武力行使の要件のはずなのでなぜ機雷掃海の話ばかりするのか機雷掃海以外はやらないというふうにどこに書いてあるのかが分からないというふうに思います。
従ってこの例というのは非常にミスリーディングであると思います。
中谷さんどうなんでしょう政府の説明のしかたとしては…。
はい。
これは3要件というのがありましてまあ一つは先ほど説明をした存立が脅かされて国民の権利が根底から覆されると。
2つ目はこれを排除して我が国の存立を図るためにほかに国民を守るために手段がないという場合。
そして3つ目は必要最小限の実力行使にとどまると。
この3つが全て認められないと集団的自衛権これを行使しないんだと…。
逆に3つがあれば基地の攻撃も行うという事ですか?ええ。
それで国会でも答弁したように一般にはですね海外派兵は禁じられてますのでしないという事でありますのでしませんがこの3要件に合致すればですね他国の中で…行使する事もありうるという事です。
日本が攻撃を直接受けていなくても集団的自衛権の行使として結果が日本に影響を及ぼすんであればというこういう論法なんですね。
これが3つの条件の定義です。
澤さん。
うん。
あの〜まあだからこれはねいろんな理解のしかた…だから第1要件の国の存立が脅かされるという事をどういう基準で判断するのかという事を立法で書き込まないと結局去年の7月1日の表現そのまま来ちゃってる訳ですね。
閣議決定の。
だからこれはね結局そこが基準が示されなければ事実上政府の判断にかかってしまうという事ですね。
まあ当然そりゃ国会の承認というのがあるけれどもやはりその立法というのはそういう政府が考える基準を明らかにするためにある訳ですからねそこがない法律という事であれば私はもう基本的に欠陥の法律だというふうに思います。
森本さん今の指摘に対してどうですか?確かに分かりますけどこの概念は非常に何と言うか厳しい要件をたくさんつけて…新3要件と言っているのでこれを全て含む具体的な例をなかなか指し示す事が現実の国際政治の中ではなかなか難しいのでだから説得力のある例がなかなか浮かばないという事だと思うんですよ。
実際にしかし何か起きた場合に国会でこの要件に満たされるかどうかという事を審議して本当にこれが…法律が審議されて通ってこの要件を満たすというような国会で承認が得られるかどうかという事を考えた場合に僕は蓋然性が非常に低いんじゃないかという気がするんです。
ただ憲法において国民の自衛のための必要最小限度の自衛権というのをどう読むかという事で一番基準になってるのは昭和47年の政府見解でありまして今回もその基本的論理を維持した中で今の状況に当てはめてみたという事でありますのでそういった憲法の論理からこれを導いてるという事です。
まあ憲法の論理法理の必然の帰結だという事なんですけど木村さんやっぱりさっき澤さんがおっしゃったように国民にとっては物差しになる基準が見えてないとなかなか分からないですよね。
そうですね。
大臣がおっしゃった昭和47年の見解では存立が脅かされるというのはまさに我が国への武力攻撃まあないしその着手といったレベルでないと駄目だというこういう意味の言葉として使われていたはずでその論理を維持しているというふうに説明をすれば明確になると思うんですけれどもその辺りの説明を全く曖昧なままにしているという点が今の問題なのではないか従って澤先生がおっしゃるように明確な基準が示されていないという事になるのではないかと思います。
中谷大臣今後の国会答弁の中で総理あるいは中谷大臣から澤さんがご指摘する物差しですね判断の基準になるようなもう少しかみ砕いた日本語というのは出てくるんですか?はい。
まあこれから国会が始まりますのでご質問を頂いてお答えをしたいと思っております。
検討してるという事ですね?ご質問が頂いたのにお答えをしていきたいと思っております。
澤さん短くひと言…時間が限られてきました。
さっき森本先生もおっしゃったように私は今考えなきゃいけないのは中国とどう向き合うかという事ですね。
そしてアメリカの船を南シナ海で守ってあげれば抑止力が高まって日本が平和になるという話なのかどうかという事。
日本は中国の中距離ミサイルが届くとこにいる最前線なんですね。
アメリカには届かないミサイルも日本には届く。
その時にアメリカと一緒になって事を荒だてる事がいいのかどうかというここが一番基本的に戦略論として問われなければいけない。
森本さん。
この一連の法体系というのは戦後の憲法の中でもうギリギリここまでしか解釈できないもうこれ以上踏み出すともはや憲法改正を必要とするというところまで来たまあ言うなれば安全保障政策の最後の法案だと私は思います。
非常に分かりにくいんですけど分かりにくい理由はですねやっぱり11の法案にいろんな種類の性格の活動が入っているので一つの法案でないのでなかなか分かりにくいんですけど国会の審議を通じて理解が広まっていくのではないかというふうに期待してます。
木村さんひと言。
個別的自衛権以外は許されないという憲法論と政策論をきちんと分けて議論を見ていく事これが大事だと思います。
これまでの原則というものを総括してからという事ですか?これまでの原則個別的自衛権以外は憲法違反であるという点は憲法上のラインのはずなのでやはりそれを踏まえて議論をするという事です。
大臣に伺う前に今視聴者の方からたくさんご意見来ています。
まずそれを聞きましょう。
今日は8,000件を超えるご意見を頂きました。
本当にありがとうございました。
できる限りご紹介します。
大臣今ご覧頂いたようにやはり国民の側の懸念心配これはかなりのものがあります。
こういったものを受けてどう応えていくんですか?あらゆる事態が起こっても政府としては国民の命とまた平和な暮らしこれは守っていかなければなりませんのでその際きちんと対応できるような法律を制定していくという事でまああまり個別の事に縛られるのではなくてこのあらゆる事態将来起こりうる事態に対して適切に対応できるような法律にしたいと思っております。
こういった安全保障は与党も野党もなくやはり国民をしっかり守っていかなければなりませんので国会でいろんな質問を頂いて法律が成立できるように全力で挙げて取り組んでまいりたいと思っております。
澤さんひと言。
(澤)まあそのためにもねさっき木村さんからもお話ありましたけど自衛隊が安んじて危険な任務に就くためにも国民的なコンセンサスって絶対必要なんですね。
だからこれは数の力だけで国会を通しては絶対いけない法案だと私は思います。
森本さんひと言。
自衛隊は国民の負託を受けて任務をしたいというふうに常に自衛隊は考えているんで彼らがこの法律に基づいて効果的な活動ができるように法律が通ったあとの自衛隊の体制をどうやって整えていくかという事が今後の大きな課題だと思います。
中谷大臣やっぱり国会での答弁これがですね国民注目ですね!ここをどのように政府が責任を果たすか…。
まあ今でも自衛隊というのは命懸けでですね国の防衛をやってきております。
こういった事態にしっかり応えられるような法律を作ってまいりたいと思っております。
今日は自衛隊の活動はどこまで拡大するかについて議論してきました。
皆さんありがとうございました。
ありがとうございました。
2015/05/27(水) 00:10〜01:24
NHK総合1・神戸
NHKスペシャル「自衛隊の活動はどこまで拡大するか」[字][再]
戦後日本の安全保障政策が大きく転換しようとしている。安倍政権が進める安全保障法制の整備で、自衛隊の活動を大幅に拡大させることの是非は?防衛大臣と専門家が討論。
詳細情報
番組内容
戦後日本の安全保障政策の大転換となる「安全保障法制」の整備。安倍政権が関連法案を国会に提出したのを受けて、その動きが本格化する。自衛隊の活動を大幅に拡大する今回の「安全保障法制」。憲法解釈の変更で容認された集団的自衛権の行使を可能にする法整備の是非は?外国軍隊に後方支援を行うための新たな恒久法で、何がどう変わるのか?視聴者からのメールやツイッターなどによるご意見も交え、防衛大臣と専門家が討論する。
出演者
【出演】防衛・安全保障法制担当大臣…中谷元,拓殖大学特任教授…森本敏,元内閣官房副長官補…柳澤協二,首都大学東京准教授…木村草太,【キャスター】島田敏男,松村正代
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