こんばんは。
「ハートネットTV」です。
今日は昨日に引き続きNHKハート展の入選作品をご紹介します。
ハート展は障害のある人が書いた詩に各界で活躍する著名人がアート作品を寄せるというまさに心と心のコラボレーションです。
では早速今日のゲストをご紹介します。
漫才師の宮川大助さんです。
どうぞ。
よろしくお願いします。
どうもこんばんは。
よろしくお願いします。
宮川さん今回初めてハート展に参加されたという事でしたね。
全然僕知りませんでした。
実際どうですか?このハート展に参加されて。
最初はね「どうして僕なの?」というのがまずあったのと女房が絵を描くもんですから「えっ嫁はんと違って…僕?僕なの?」って思って。
ほんで作品集を見せてもろうた時にはまず「えっすごい!」と思った。
詩が?はい。
「ああ…これ僕には書けないな」というのがね。
それがまず感動の始まりだった。
本当に奥深い作品が多いですよね。
だから自分で途中から僕は描きたくなって。
大助さんの絵は後ほどご紹介したいと思います。
では早速いくつか入選作品ご紹介します。
まずはこちらです。
知的障害のある城田果帆さん17歳が書いた詩です。
タイトルは「トマトのような私のかお」。
「たいようにあたってトマトのようにあかくなっちゃいました。
ともだちや先生はミルク。
私だけトマト。
ちょっとはずかしかった。
また、あかくなっちゃった」。
この詩に絵を寄せてくれたのは女優の井上真央さんです。
井上さんは「トマトのような私のかお」を果帆さんのハートに置き換えて描いてみましたという事でした。
何か乙女だね。
僕も畑やってるんでトマトが食いたくて畑やって。
もう本当パッともしるんです…。
パッと取ってガブッとかむ。
それがやりたくてやって。
汁がピ〜ッと飛ぶようなね。
あのトマトの赤の色がほっぺの色と一緒でね。
それが日焼けで…ああいいな〜。
何かかぶりつきたいような感じのね。
ハートですよね。
いい詩でした。
詩も本当に温かみのある作品でしたね。
さあ続いての作品です。
こちらです。
発達障害のある山川晃樹さん16歳が書いた詩です。
タイトルは「つけあわせの力」。
「ネギです。
目立たないことが多いです。
そんな私は表舞台を陰から支えます。
目立つことが本当の力とは限らない。
どこかにあるはず、本当の力を出せる所そこで生きよう。
ネギです。
」と。
作品を寄せてくれたのはクリエイティブディレクターの箭内道彦さんです。
こんなイラストを送って下さいました。
箭内さんもネギが好きですという事でしたが。
大人になったらネギの味が分かるよね。
なかなかネギって主役になりにくいなと思うんですけど。
みそ汁でもすき焼きでもやっぱりネギがなかったら何かおかしいじゃないですか。
ほんで僕のしゃべりがもともと下手だったもんで女房を表に出して日本一の下手くそなネギで…だから今この詩を読んだら師匠の言葉と全く一緒だなと思って。
そういうね。
16歳でこれから楽しみですよね。
いや〜すごいですね。
月を鏡にして描いたような感じがします。
ああ本当…。
箭内さんの作品は非常にすてきです。
では今日特にご紹介するのはこちらの作品です。
足に障害のある奥津博士さん65歳の作品です。
この詩の朗読は宮川さんお願いします。
はい。
宮川さんがこの詩に絵を寄せてくれましたけども。
いや〜これが僕だったんですね。
タイトルは「質問に答えて」。
これ…まあ親父像でね。
僕はもう亡くなったんですけど自分の親父が浮かんできて。
…でその親父の生きざまが自分も分かるような年になってきたんでう〜ん…いい親父で一仕事終えたのかなというようなね。
だからほっとした。
恐らくこの奥にはいい家庭があるんだろうなというほっと感がものすごい僕は感じましたですわ。
では実際に奥津さんどんな生活をされているのか。
そしてどんな思いを詩に込めたのか。
こちらの映像をご覧頂きます。
訪ねたのは…3月。
積もった雪が少しずつ緩み始めていました。
(取材者)おはようございます。
どうぞ。
妻の由美子さんが出迎えてくれました。
駄目駄目…慎ちゃん慎ちゃん慎ちゃん。
(奥津)おはようございます。
慎ちゃんおいで。
犬の慎之介と夫婦の2人暮らしです。
5年前に定年退職した奥津さん。
今は夫婦2人で過ごす時間が増えました。
奥津さんの長年の趣味は文章を書く事。
日々の出来事やその時の気持ちを書き留めています。
地元の新聞や雑誌にエッセーを投稿してきました。
(取材者)ほかにもいっぱい?これ全部ですか?
(奥津)そうなんです。
こんにちは。
2人の子どもを育て上げた奥津さん夫婦。
孫たちが遊びに来るのを楽しみにしています。
(取材者)激しいですね。
激しいです。
奥津さんは2歳の時にかかったポリオが原因で右足に障害があります。
ポリオは1940年から60年代子どもたちの間で広がった感染症です。
ウイルスが脊髄に広がると神経が破壊されて体にまひが現れ死に至る事もありました。
命は取り留めた奥津さん。
しかし右足にまひが残り60年以上補装具をつけて生活してきました。
ここまでですかね。
だからこういう状態なんだけど…こんなんなって。
ここ金になってて。
(固定される音)
(取材者)ガクンってならないよう。
そうですそうです。
障害のためつらい思いもしました。
小学校では目立つ補装具をからかわれたりみんなと同じ事ができないと悩みました。
そんな奥津さんの気持ちを大きく変える事になったのが母親トシさんの言葉です。
奥津さんは補装具が目立つのが嫌で長ズボンをはきたいと訴えました。
しかし母親は突き放すように言いました。
母親のひと言により吹っ切れた奥津さん。
自転車や野球などそれまでできないと諦めていた事に挑戦するようになりました。
障害を言い訳にせず何事にも挑戦してきた奥津さん。
高校を卒業後親元を離れ関東の大学に進学。
大手通信会社で定年まで勤め上げました。
「足だけ隠してもダメ」と励ました母親のトシさんは去年89歳で亡くなりました。
奥津さんは感謝の思いをつづりました。
奥津さんにはもう一つ人生を変える出会いがありました。
妻由美子さんです。
ずっと暖かいんだろうかね?2人は28歳の時職場で出会いました。
しっかり者で面倒見のいい由美子さんに引かれ1年後にプロポーズ。
幸せな新婚生活が始まるはずでしたが…。
自分の中にも甘えがあった。
由美子さんに気付かされた奥津さん。
それ以来少しずつ自分でできる事は自分でやるように変わっていきました。
単身赴任の時も家事は全て自分でこなしました。
今では料理をするのは奥津さんの役割です。
今晩のメニューは肉じゃが。
(奥津)本当に手早いね俺ね。
由美子さんの大好物です。
奥津さんと由美子さん連れ添って35年がたちました。
由美子さんの肩にはいつも奥津さんの右手。
時にけんかをしながらも共に歩んできました。
由美子さんがいたから今の自分がいる。
ふだんはてれくさくて言えない感謝の思いをエッセーに込めました。
(奥津)「独占期間三十五年に感謝感謝」というのを書いたんです。
へえ〜こんな事書いてくれたんだ。
ありがとう。
ありがとう…ありがとうか。
ありがとうって言われる話でもないけどね。
ああ…えらくてれくさいもんだね。
2人でてれくさがっててどうすんの。
定年後奥津さんには新たな楽しみができました。
この日向かった先は…。
バイバ〜イ。
こんにちは。
はいいらっしゃい!小学校時代の同級生との飲み会。
皆近所に暮らしているため還暦を過ぎた頃から会う事が増えました。
今回NHKハート展に寄せた詩は仲間と飲んでいた時にふと思いついたものです。
仲間との話題はいつもお互いの健康の事。
そこからヒントを得ました。
みんな自分と変わらない。
今障害者という肩書を下ろしただの親父としてみんなと並んでいる。
そんな実感を詩に込めました。
奥津さんどのように映りましたか?あの…おとうさんのクリーンヒットね。
クリーンヒット?奥さんを射止めたというのがおとうさんのクリーンヒットでほんで今晩年はあの幸せな会話の中から親父しか出てこないもんね。
気ぃ付いたら俺もいい親父になってたみたいな。
老後だったら誰でも足腰悪くなって俺と一緒だよみたいなノリで幸せに語れる振り返れる…。
やっぱりクリーンヒットやね。
奥さんを得たのがね。
大きかったですよね。
最高のクリーンヒットでしたこれは。
そして奥津さんと同じ世代ですからね。
65でもう同じ年で。
本当は最初にあの詩を見た時には僕親父を見て。
親父というのは自分も親父なのに自分の親父を思い出してね。
ほんでちょっと痩せてたもんでそれとちょっと重なって。
それとやっぱり親父の晩年がもう65になってくると分かりますよ。
子どもはもう独り立ちしていきますし女房と残ったら2人きりで「あ〜ようここまで来たな。
秋の実りの収穫も終わってあ〜ほっと一息だな」って…。
じゃまさにその辺りを描いた絵をご覧頂きます。
大助さんが描いた絵です。
こちらです。
これは僕んとこの家の庭なんですけど家は正面真東に向いてまして朝日がああいう具合に昇ってくるんですね。
これそれで大きな柿の木があってカラスがとまって…。
方位で言うと西で人生で言うと夕方。
夕日ですね。
だから東の朝日をバックにこれから夕日を見て生きる姿をちょっと描いたんですけどね。
そしてかかし。
かかしは田んぼの中で立って実りの親父として自分がそのポジション立てばいいなというぐらいで。
かかしはもう大好きなんで。
そしてベンチに座ってるかかしが持っているのが?これは杖ですね。
かかしは歩けないんで。
ほんで杖を持たしたらかかしは歩けるだろうと思って。
僕から見たらもう嫁はんです。
杖が?はい。
もう頑丈な女房…。
(花子)お待たせ致しました。
嫁はん来ましたよ。
こんばんは。
今何を言ってるんですか?私が杖ですか?本当に。
ありがとうございます。
もう一生杖になっとくよ。
花子さんにはこの今の奥津さんご夫婦どういうふうに映りました?いいですよね。
夫婦のあれでは私たちの方がもう来年40年ですから先輩なんですけど奥津さんの今の詩本当に普通の親父っていうのはすごく感じましたね。
親父しかもう見えないもんね。
障害とかいろいろありましたけど自分もこの漫才…漫才をするにあたって漫才師としては生きたくなかったんですよ。
普通の夫普通の妻として生きたかったからそれが何か今すごく実感してますね。
重なってるところですし。
あとは肩を貸してという…。
それね。
彼も8年前に脳出血になった時にその時なかなか歩かれなくってリハビリする時にいつもどの肩?こういう肩
(方)もね…。
そうそうそう。
奥方で。
頭上がらないです。
でもそれってね別に重いとかそういうのすごく感じなかったですね。
大助が私の肩に手を当てて歩いてる姿を周りの人が「いや夫婦仲いいね。
羨ましいわ」とか言って頂いて本当は大変なんですよ。
皆さん普通に楽しく手つないではる方が羨ましいんやけど何かこの肩に手を置いてもらってる分だけ何かいい感じしましたね。
いいですよね。
本当にちょっとした時に自分の体がちょっと悪くなった時に感謝の気持ちって本当に生まれますよ。
嫁はんってこんなにありがたいし子どもってこんなに勇気を与えてくれるもんだし自分が住んでる町の中の人の優しさも本当に分かるようになってきたんですね。
そこでまさにこの気持ちが…。
そう。
だからもう地上最強の杖ですよ。
女房って地上最強の杖だしね。
感謝の気持ちでいっぱいな訳ですね。
いっぱいですね。
女房なしでは駄目ですね。
いやでもねさっきの最後の言葉で奥津さんが奥さんに「感謝感謝」言われてそれに対して奥さんが「ありがとう」っていう言葉を返してはりました。
それに対してまた奥津さんも何かありがとうというのも変な感じやねんけどっていうのはそのやり取りがすごくすてきでしたね。
文章だからまた言えるところもあるしな。
そうか。
だから奥が分かるやんか。
人生でずっと何十年間の事が1行に…「ありがとう」の中入ってるからな。
そやな。
ふだんそういうふうに文章で…?僕が文章で書いて渡す時には「すまん昨日は悪かった」。
そういうのは朝起きたらテーブルへ食卓へよう載せてました。
よう載せました。
ほんで私がまた手紙だけ見て「手紙だけ?」って。
下に何も載ってなかったよとかいろいろ言いながらね。
夫婦っていいですよね。
お母様のおなかから生まれて奥様が横に添えられてるって幸せやなと感じました。
では奥津さんから実はメッセージを頂いていますのでこちらの映像をご覧頂きます。
大助さん本当にどうもありがとうございます。
この度はつたない詩にイメージの絵を描いて頂きましてありがとうございます。
すてきな絵でしたね。
本当に。
ありがとうございます!…で北海道何もありませんけども是非とも旭川来る時がありましたら是非とも奥様と一緒にいらして下さい。
お待ちしてま〜す。
いかがでした?いやいいね。
あの…奥さんがパ〜ンと突き放すところなんかはうちと全く一緒で。
僕も育てられたような教育されたような感じなんでもう恐らく…いや〜今の旭川からのご夫婦の笑顔が最高のやっぱり自分らのプレゼントになりました。
ありがとうございました。
最後に奥津さんにひと言何かメッセージあります?逆に。
おとうさん。
西には金星があります。
愛の星です。
ビーナスです。
それを大切にしましょう。
そこで交流が生まれたらと思います。
このNHKハート展ですが今月下旬は京都で開かれます。
そのあと松山。
そのあと全国に巡回していきます。
是非ご覧下さい。
今日のゲストは大助・花子さんでした。
どうもありがとうございました。
(2人)ありがとうございました。
2015/05/27(水) 13:05〜13:35
NHKEテレ1大阪
ハートネットTV 第20回NHKハート展6「“質問に答えて”奥津博士さん」[解][字][再]
「NHKハート展」の入選作の中から、ポリオが原因で右足に障害がある65歳の男性の詩を紹介。この歳になり初めて悟った自分の障害の意味とは?ゲストは宮川大助・花子。
詳細情報
番組内容
障害がある人が作った詩と、著名人の絵や写真をコラボレーションする「NHKハート展」。今回はポリオにより右足に障害がある奥津博士さん(65)の詩を紹介。幼少期はいじめられたが、母親や妻など周りに支えられ人生を切り開いてきた。今や、小学校時代の同級生も歳をとり、体を動かしづらくなった。そんな姿と自分の障害を重ね、思いを詩につづったという。ゲストは詩に絵をつけた漫才師・宮川大助さんと、相方の花子さん。
出演者
【出演】宮川大助,宮川花子,【司会】山田賢治
ジャンル :
福祉 – 障害者
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
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日本語(解説)
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