警視庁捜査一課9係 #5 2015.05.27


(警察官)「こちら110番。
事件ですか?事故ですか?」「もしもし?どうしました?」
(丸岡若菜)殺してしまいました。

(小宮山志保)青柳さんたちは被害者の身元の確認を。
(青柳靖・矢沢英明)はい。
(志保)で係長たち…係長…!?
(青柳)あらら?浅輪君は係長を連れて周辺現場目撃者がいないかどうかあたって。
(青柳)連れていって。
(浅輪直樹)はい。
連れていきます。
係長!
(加納倫太郎)はい?突然襲ってきたの?はい。
夢中で抵抗してるうちに…。
(刺す音)
(井上広人)うっ…。
(志保)彼とはどういう関係?全然知らない人です。
(矢沢)「井上広人」…。
(矢沢)あっピントマのファンクラブの子なんだ。
ピントマ?え?知らないんすか?人気アイドルグループ「ピンク・トマト」ですよ。
略して「ピントマ」。
ハハハハ…。
(矢沢)であの子がそのメンバーの丸岡若菜。
略して「マルワカ」。
略すの好きだね。
(矢沢)ええ。
あ…ちなみになんですけどうちの福太郎この子が大好きなんですよ。
この子。
田畑クルミちゃん。
(青柳)略して「タバクル」?いやいやこれ略さないですよ。
普通に「クルミちゃん」です。
(舌打ち)チッ…て。
うるせえよ矢沢。
略して…ウザイ。
ええ?いや…うるせえ矢沢じゃウルヤザ…。
ウザイじゃない。
(志保)どうして夜更けに一人で出歩いてたんですか?コンビニに行こうと思って…。
私のマンションこの近くなんです。
コンビニ…。
(安孫子由希)若菜大丈夫なの?怪我は?してない。
マネジャーの安孫子さんです。
私が連絡しました。
だから気をつけるように言ったじゃないの。
あんなのいたずらだと思ったから…。
あんなのって?若菜のブログに脅迫めいた書き込みがされてたんです。
「丸岡若菜ピンク・トマトから出て行けでないと殺す!」「殺す」?犯行予告でもしていたのかしら。
若菜は正当防衛ですよね?
(村瀬健吾)まあ彼女が嘘をついてなければそうなりますかね。
嘘なんてついてません!本当に襲ってきたんです。
この子は襲われた被害者です。
もう帰ってもいいですよね?仕事がありますので。
(村瀬)バカな事言わないでください。
彼女の正当防衛が証明されるまでうちで身柄を預かります。
(由希)そんな…困ります!今日もスケジュールが目白押しなんです。
お願いします。
(警察官)はい。
(村瀬)なんだあのマネジャー。
こんな時にもタレント働かせる事しか考えてないや。
随分おしゃれな格好して。
(村瀬)えっ?
(志保)コンビニに行くだけなのにメイクもばっちりしてた。
それはアイドルだからだろ。
寝巻き姿でコンビニに行く君とは違うよ。
寝巻き?あれはね外用のおしゃれジャージー…。
っていうかなんで知ってるの?時間が時間だから目撃者見つけるの難しいかもしれないですね。
あら?浅輪君。
ああ…。
失礼します。
失礼します。
ああ…すみません。
先ほどこの先で事件があったんですけども何か見てないですか?いや。
なんかあったんですか?あっ…いやあの…。
あっ…。
ちょっとすみません。
あっちょっと…。
ちょっとすみません。
これ…。
あのピザ焼く何窯って言いましたっけ?これ。
石窯…ですけど。
開けていいですか?熱いんで気をつけてください。
あっピザ焼いてないじゃないですか。
いやもう店じまいなんで網焼ききってるんですよ。
ああ〜…。

(矢沢)息子さん仕事は何をなさってましたか?
(井上真知子)無職です。
一日中部屋でゲームをしているかアイドルのイベントに行くか…。
それだけの生活です。
(井上広忠)もうすぐ30にもなるっていうのに…。
昨日はどんな様子でしたか?いつもどおりです。
昼過ぎに起きてきて…。
お母さん松戸のおばあちゃんのところに行ってくるけど。
今日はあなた家にいるの?
(真知子)…いってきます。
(真知子の声)私が戻った時には家にはいませんでした。
なんで…広人はなんでアイドルの子を襲ったんですか?ああいや…動機はまだわかりませんが…。
日頃から暴力的な行為などはありませんでしたか?
(広忠)いつまですねかじってるつもりだ!バイトでもなんでもいいから仕事見つけて少しは自立しようと…なあ広人!少しは…。
(広人)うるせえ!広人!説教は聞き飽きた。
なんでそんな子になってしまったのか…。
あれ?あの〜…。
あの…この人誰ですかね?
(真知子)知りません。
ピントマのファン仲間じゃないですか?ライブの時に応援するうちわ持ってますし。
(青柳)あっこれだ。
そっか…。
だからマルワカちゃんを襲ったんだ。
(青柳)ああ…。
え?え?え?浅輪君。
はい。
これ…。
(早瀬川真澄)お待たせしました。
お疲れさまです。
傷口は1カ所のみ。
心臓まで達してました。
ほぼ即死だったようです。
正当防衛ですかね?それとも過剰防衛ですかね?そんな事私にはわかんない。
ただ微量だけど傷口周辺に別人の血液が付着してました。
別人の血液?
(真澄)遺体の血液型はO型なのにB型の血液反応も出たの。
B型…。
それから胃の内容物これです。
たい焼き?小豆と未消化のたい焼きの尻尾のようなものがありました。
(青柳)係長ぐらいになるともう区別つかないんじゃないですか?ひどい…。
イテッ。
ハハハハ…。
やっぱりわかんないんだ。
あのね…。
(青柳)あっわかるんだ。
そう丸岡若菜。
略してマルワカ。
マルワカ?はい。
もうすぐ人気投票があるんですよ。
人気投票?
(矢沢)ええ。
ほらよくやってるじゃない。
アイドルグループの中で一番人気があるのは誰なのかファンが投票で決める…。
(村瀬)ああ…。
ピンク・トマトで一番人気がこの丸岡若菜。
略してマルワカ…と。
で井上広人が推していたのがこの田畑クルミ。
(青柳)田畑クルミ。
略して…?タバクル?…と思うでしょ?クルミちゃんなんですよ。
(矢沢)常にこれ二番手なんですよ。
マルワカちゃんがいなくなればクルミちゃんが一番になれる。
そう思った井上広人は行動に起こした。
なんだそのバカバカしい犯行動機は。
いやいや我々にとってはバカバカしくても彼らにとっては愛の証しなんですよ。
クルミちゃんへの一方的な愛。
単に目立ちたかっただけなんじゃねえの?俺がアイドルを殺した殺人犯だってネットにアップしたりしてさ。
…あれっ?
(志保)何?
(青柳)いやなんでもない。
狂信的なファンによる暴挙か。
若菜さんの正当防衛で決まりかな?うん…。
お疲れさまです。
お疲れさま。
係長やっぱり付いてましたナイフのほうにも。
皆さんこの凶器で使われたナイフなんですけども井上広人とはまた別の人物の血液も付着しておりました。
えっ?
(志保)何それどういう事?井上広人が刺される前に何者かを切りつけた可能性があるって事なんですよね。
(村瀬の声)丸岡若菜は怪我なんかしてなかったよな。
彼女の血液型はA型なんです。
でここに付いていたもう一つの血液というのがB型なんです。
あの場所にもう一人誰かがいたって事か?だとしたらなぜ彼女は私たちにその人の事を言わないわけ?言えない相手…。
男だ。
すみません9係ですが丸岡若菜取調室に呼び出してください。
…え?釈放された?
(志保)ええ!?わかりました。
あのマネジャーだ!
(志保)行きましょう!青柳さんたちは井上広人の身辺調べてください。
係長と浅輪君はもう一度目撃情報現場でお願いします。
わかりました!おい矢沢これ。
ああごめんなさい。
ちょっと待って。
えっ?このおっさん…。
(矢沢)ああ…!井上広人の部屋にあった写真の男。
(青柳)うん。
え…これに載ってるって事はピントマの関係者?俺らこっち調べよう。
はい。
係長。
はい?井上広人のズボンの裾に付いていた白い粉これ小麦粉でした。
小麦粉?犯行前に彼がいた場所でなんらかの形で付いたんですかね?ピザも小麦粉ですよね?たい焼きも小麦粉で作るよね?「チェンジこのままじゃいけない」「チェンジ一歩前へ踏み出そう」随分強引な手使ってきましたね。
私は優秀な弁護士さんに相談しただけです。
逃亡の恐れも証拠隠滅の恐れもない。
事情聴取にはいつでも応じるという条件は必ず守らせます。
外出を控えるという条件は守られていませんが。
私は家で休むように言いました。
でも若菜本人が仕事へ行くと言い張ったんです。
彼女には深夜に人目を忍んで会いに行くような交際相手がいるんじゃありませんか?いませんよ。
いるわけがない。
ピンク・トマトのメンバーは恋愛禁止です。
若菜に限ってそのルールを破るとは考えられません。
あの子はアイドルで居続けなければならないんです。
どういう事ですか?
(由希)九州にいる家族を養ってるんです。
(由希)お父さんが亡くなって女手一つで頑張ってるお母さんを助けたいって。
「チェンジこのままじゃいけない」「チェンジ一歩前へ踏み出そう」弟たちは大学まで行かせてやりたい。
お母さんに家を建ててあげたい。
その思いで10年間頑張ってきた。
(由希)若菜のひたむきさがあったからこそピントマは人気グループへと成長出来たんです。
(由希)それじゃあみんな休憩。
(5人)はーい。
(由希)若菜。
警察が来てるけど大丈夫だからね。

(志保)本当に一人でコンビニに行くためにあの場所を通ったんですか?そうです。
警察はマスコミとは違います。
約束は守りますから本当の事話してください。
本当の事を話してます。
どうして信じてくれないんですか?あの場所にはあなたと井上広人さん以外にもう一人何者かがいた可能性が出てきたんです。
誰もいません。
私は本当に一人でした。
(若菜の声)あの男に襲われた時も本当に怖くて必死で抵抗したんです。
あっ…。
昼やってないんだ…。
どうします?他の聞き込みしてからまたここに来ましょうか。
行きましょう。
その事件と関係あるかわからないんだけど青いスポーツカーが止まってたんだよね。
あんな高級車夜中に路上駐車なんかして傷つけられたらどうするんだよって思ったんだよね。
あの地区の配達が終わってもう一度戻ったらもう止まってなかった。
わかりました。
ありがとうございました。
失礼します。
ああっあの…。
この近所でたい焼き売ってるとこ知らない?たい焼き。
(田畑昌志)チェンジチェンジ…チェンジ!チェンジ!ホイホイ…。
(青柳)こんにちは。
お兄さーん。
(青柳)お兄さーん。
はーい…あれ?はい?田畑昌志さん?ピンク・トマトの田畑クルミさんのお父さん?ああごめんなさい。
娘のファンの方ですか?どうも…。
あれ?それともあれかな?マスコミの方ですか?ハハハハ…マスコミの人間なわけないじゃんこいつが。
あ…どうも…。
あの…この方ご存じですか?
(田畑)いや知りませんけどはい。
(青柳)えっ知らないわけないでしょ。
一緒に写真撮ったりしてますよね。
いや…ゲッツ。
実はですね私娘のコンサートよく見に行くんですよ。
そうするとそこでファンの方に頼まれるんですよね。
実は娘が自分のブログに私との写真載せてますから私結構有名でね。
クルミのパパ略して「クルパパ」なんて今言われてるんですよね。
ですから写真お願いしますって言われたら断れませんよ。
だってファンは大事にしなくちゃいけませんからね。
ですからかなりのカット撮ってますから写真。
お顔いちいち覚えておりません。
はい!
(矢沢)じゃあ丸岡若菜さんのブログに脅迫文が届いたのはご存じですよね?いいえそれは…知りませんよ。
知らないわけないでしょ?自分で送っといて。
あのコンピューターであなた脅迫文送ってますよね?いいえ知りません。
あなた血液型は?B型です。
その傷マルワカちゃんに襲われた時にこのナイフの刃先が当たった傷ですよね?はあ?あなたクルミちゃんの大ファンである井上広人と結託してマルワカちゃん殺そうとしたでしょ?ハッ何言ってるんですか?マルワカちゃんがいなくなれば娘さんが一番になれるんですもんね?ちょっと待ってくださいよ!大体これはねヒゲ剃りの時の傷ですよ。
ヘッヒゲ剃りって…。
まさかメンバーの父親に命狙われたなんてマルワカちゃんも言えませんもんね。
あのですね…命なんか狙ってませんよ!あなたはブログに「殺す」って予告してますよね。
あれはですね…言葉のあやですよあや!あや?何言ってるんですかあんた方は。
大体ね若菜ちゃんはピントマを辞めるべきなんですよ。
掟破ってるんですから掟を…。
あっまずい…。
掟を破ってる?いや…。
(矢沢)ピンク・トマトは恋愛禁止。
丸岡若菜は掟を破っていた。
つまり男がいたって事です。
ほらやっぱりいたんだよ。
マネジャーは彼女に限ってそんなはずはないって言ってたけど…。
いやメンバーは気づいてたみたいですよ。
ほらほらほらほら…。
ハッハッハ…。
(記者)今回の新曲『チェンジ!』についてどんなメッセージがありますか?はい。
今何か悩んでいたり迷ったりしている人に一歩踏み出してほしいという気持ちがこもっています。
(田畑クルミ)純情ぶっちゃって。
本当は彼氏いるくせに。
いるの?誰よ?わかんないけど付き合ってるのは間違いない。
掟破ってるのにピントマのトップなんておかしいよ。
娘の思いをくんで父親がグループを抜けろって脅迫文を送ってるんですよ。
親バカ親父な。
井上広人に襲われた時やっぱり若菜は男と一緒だったんだよ。
そうなると井上広人を刺したのは若菜さんとは限らないわね。
そのマルワカの…カレシ?が刺したのかもな。
男同士なら過剰防衛って事もありますからね。
問題はマルワカの彼氏…カレシ?がダレナノカ?って事だよな。
(矢沢)いやそこ普通でいいじゃないっすか。
お疲れさまです。
えー…事件当日の夜青いスポーツカーの目撃情報がありました。
(青柳)なぬ?でその車体のボディーカラーがオーダーメイドだったために持ち主がすぐに判明しました。
樋口栄です。
(志保)知ってる!バラエティーとか情報番組によく出てくる2世タレント。
2世?父親が有名な俳優のあの樋口栄太郎ですよ。
そうそう。
本当芸能関係詳しいな。
(矢沢)うん好きですから。
浅輪樋口栄の血液型は?公表されているプロフィールではB型です。
はいサンキュー。
行くぞ。
(矢沢)はい。
ちょっと…。
まあいいまあいい。
こっちは丸岡若菜の口絶対割らせてやる。
割るかな〜?男の存在認めたら彼女はアイドルではいられなくなる。
そこを割らすのが俺らの仕事だ。
行くぞ。
(携帯電話)はいもしもし係長今どこですか?…たい焼き?あっ浅輪君浅輪君!浅輪君。
ああ〜係長!ああすみません。
美味しいよ。
ああ〜すみません。
ありがとうございます。
あの店のご主人井上広人の事覚えてた。
面識はないんだけどもここに2時間ぐらいずーっと立っている。
2時間も?ほら〜見てて見飽きないよね。
ご主人の手際見事だし美味しそうに焼き上がってくるしさ。
時間潰しでもしてたんすかねえ?その丸岡若菜を待ち伏せする前に。
うん。
閉店間際に1つ買って行ったらしいよ。
現場の方角じゃないっすか。
あっ!あっ…すみません。
ごめんなさい。
(女性)こんにちは。
しかし2時間たい焼き焼くの見てたなんてその…井上広人って一体何考えてたんですかね?すみません。
この青年がこの店来なかったですか?
(店員)いや〜見た事ない。
うちの客じゃないよ。
すみません。
あの…こちらで使われてる小麦粉ちょっと分けて頂けますか?いいっすよ。
いえいえいえ…。
ほんのちょっとほんのちょっと。
これがピザ屋さんから分けてもらった小麦粉。
こっちがたい焼き屋さんから分けてもらった小麦粉。
この小麦粉とあの青年のズボンの裾に付いてた小麦粉と科捜研で成分比較してもらう。
はい。
あれ?係長。
テレビで犯罪を犯した若者のニュースを見るとその子の親はよほど駄目な育て方をしてきたんだろうと思ってました。
私も駄目なほうの親だったんですね。
(真知子)高校を卒業するまでは普通の子だったんです。
志望の大学にも受かって張り切ってたのに雰囲気になじめないって休学してそれからは勉強もしない仕事に就く気もない。
部屋に引きこもったままのあの子をとにかく外に出そうとそればっかり考えてた時期もありました。
ピンク・トマトを応援し始めたのはいつ頃からですか?
(真知子)2年ほど前からです。
コンサートなどに出かけるのはいい傾向だと思ってました。
外に出ていれば何か変化があるかもしれない。
だから要求されるままにお小遣いも渡してました。
甘すぎたんでしょうかね私たちが。
(広忠)一体どうすればよかったんだ…。
どういう親だったらよかったんだ…。
(樋口栄太郎)ブラックで飲んでもらえますか。
(栄太郎)妻が旅行中でねコーヒーシュガーがどこにあるかわからない。
(青柳)あっお構いなく。
あのー…息子さんの血液型はB型で間違いありませんか?
(栄太郎)ええ。
うちは家族全員B型ですよ。
(車のエンジン音)
(栄太郎)あ…帰ってきましたよ。
樋口栄太郎に淹れてもらったコーヒー頂いてもいいですか?頂きなさい。
はい。
渋いなあ。
え?いやまだ飲んでないじゃないですか。
声が渋い。
ああ…。
あっ…コーヒーも渋い!本当?渋い。
刑事の役とかやってますよね。
(青柳)向こうドラマだろ。
こっちは本物だからな。
あっこんにちは。
あれ?怪我されてますけどどうなさいました?
(樋口栄)ああこれは…。
あ…昨日の夜から朝にかけて車でお出かけされてますけどどちらに行かれましたか?どなたと一緒だったかも併せて教えて頂けませんか?
(栄)ああ…やっぱ日本の警察って優秀なんですね。
(矢沢・青柳)はい。
樋口栄さんがあなたと交際してる事を認めました。
2人でデートしている時に井上広人がナイフで切りつけてきたと言っています。
彼といた事はマスコミには絶対話さないでください。
事務所にも…。
お願いします!刺したのは丸岡若菜のほうだと樋口栄は言っています。
大した深い傷でもねえのにビビったんだってよ。
(栄)俺血が苦手なんですよ。
自分の血見て腰抜けちゃって…。
彼女の手にはナイフがあってそれで俺どうしようどうしようってただ混乱して…。
ああそれでその場から逃げたんだ。
逃げたわけじゃありません。
一緒にいるのはまずいって若菜が…。
俺と付き合ってる事は秘密にしなければならない。
アイドルですからね彼女は。
(志保)結局丸岡若菜の正当防衛か…。
しかし樋口栄の証言をうのみにしていいのか?でもどっちにしたって悪いのは井上広人だろ?まあナイフで襲ってきた加害者ですからね。
ただいま。
(一同)お疲れさまです。
(青柳・浅輪・志保)あれ〜?あれ?ちょっと…2人でどこに行ってたの?用があって科捜研に行ったらばったり。
一緒に帰ったらご飯でも連れていってくれるかと思って期待したんだけど真っすぐここに帰ってきただけ。
浅輪君。
はいはいはい…。
ちょっとすみません。
ちょっとすみません。
なんすか?あの…たい焼き屋さんの小麦粉もピザ屋さんの小麦粉も彼のズボンの裾に付いてた小麦粉とは違うものだった。
えっ?じゃあ彼はどこで小麦粉を付けてきたんですかね?科捜研で詳しく調べてもらったら彼のズボンの裾に付いてた小麦粉にはカンスイが含まれてた。
カンスイ?中華麺作る時の材料。
じゃあラーメン屋でも行ったんですかね?かもね。
ねえ何?これ。
(志保)ああこれ井上広人に切りつけられた人の傷。
切りつけられた?
(志保)うん。
凶器のナイフ見せて。
凶器?ああこれだ。
はい。
ん?ん?ん?うわ〜っ!そのまま。
何よ?何するのよちょっと…!ナイフで襲われた時の瞬間的な防御創は腕の外側につくはず。
でもこの人の傷は腕のここ。
という事は恐らくこれは自傷。
自傷?これよりもう少し小さな刃物でこうやって自分でつけた傷だと思う。
(矢沢)樋口栄が自分でつけたって事ですか?なんでそんな事する必要あるの?そんなの自分で考えなさいよ。
フッ!ヤーッ!
(矢沢)もうやめてくださいよ。
じゃあ浅輪。
ヤーッ!あーっ!君!すみませんでした。
取り上げられた。
じゃあ井上広人が切りつけたB型の人物っていうのは樋口栄とは別の人物だって事ですよね。
B型…。
そのB型の人物の事を丸岡若菜も樋口栄も絶対に私たちに知られたくない。
偽りの怪我までして隠し通したい。
誰なんだ?それ。
B型といえば…。
まさかあの人?ん?まだ私疑われてるんですか?いやマルワカちゃんが付き合ってる男が誰なのかをあんたの娘さんに聞いてほしいんですよ。
ですからクルミはね相手が誰なのかは一切知らないと言ってます!いや親のあなたに言ってなくても本当は知ってるかもしれないじゃないですか。
あのですねクルミは私になんでも話してくれるんですよ。
大体ね5歳の時まで一緒にお風呂に入っていたぐらいとっても仲のいい親子なんです。
いや5歳は普通でしょう。
なあ。
あっそう?はい。
いやともかくね男の事は一切知りませんよ。
ねっ。
しかしね若菜ちゃんよく言ってましたね。
クルミとパパがうらやましいって。
私もねお父さんに甘えてみたかったって。
ほら彼女ね小さい頃父親亡くしてますからね。
だからファザコンっぽいところがあるかもしれませんね。
ファザコン…。
あったあったあった。
あった。
ほら「富士麺研」。
犯行現場のお寺から2駅も離れてるんですよ。
大体井上広人が製麺所に立ち寄る理由なんてあります?ラーメン屋ならまだわかりますけど…。
まあまあ確かに彼の胃の中にはたい焼きしか入ってなかった。
ラーメンは食べてなかった。
だけどラーメンを作るカンスイの付いた小麦粉が付いてた。
お邪魔しました。
ご苦労さまでした。
あっ。
あの人…。
あっ!あっ…すみません。
あっ…すみません。
あなたあの時の…。
はあ〜!
(青柳)あっ怪我してる。
(矢沢)本当だ!息子さんの傷は自分でつけたやつでしたけどそれは誰につけられた傷ですか?井上広人さんに切りつけられたんですか?若菜の相手が樋口栄太郎のほうだったとはな…。
(志保)そりゃあ必死で隠すわね。
親子ほど年の離れた大物俳優。
しかも不倫。
映画の共演がきっかけで2カ月前から付き合い始めてるらしいですよ。
誰にも気づかれてはいけない関係ですから…。
慎重に行動していました。
自宅のマンションへは絶対に行かない。
送っていくのをあの場所までと決めていました。
それじゃあまたね。
はい。
(栄太郎)うわっ!ああっ!
(矢沢)井上広人を刺したのはどちらですか?若菜です。
この期に及んでまだ彼女に責任なすりつけるんですか?事実を申し上げているんです。
刺したのは若菜です。
もちろん正当防衛ですよ。
私が正当防衛を証言すると言ったのですがあの子は2人が一緒にいた事を絶対に公に出来ないと言って…。
私はその場を立ち去るしかなかった…。
で息子さんに経過を話したと?帰宅して傷の手当てをしているところを見られてしまい…。
病院へ行ったほうがいいと心配してくれる息子に話さざるを得なかった…。
守る?万が一捜査が及んできても若菜と付き合ってるのが栄だとすると独身の栄だから若菜はダメージが少ない。
そして樋口家も不倫騒動に巻き込まれない。
(青柳)そう言って息子は自分の腕傷つけてくれたんだって。
素晴らしい親子の絆だよ。
なあ気持ち悪くない?気持ち悪いわよ。
気持ち悪い。
親父のスキャンダル隠すためとはいえさ切る?自分の腕。
切る?ううん。
切る?切るわけないじゃん。
(電話)はい9係。
俺たちは間違ってました。
えっ?この事件根本から間違ってたんです。
この事件根本から間違ってたんです。
わざわざお呼び立てしてすみません。
あの…ご夫婦にぜひ会って頂きたい人がいらっしゃいます。
(本多美香)井上広人さんの職業相談を担当していました本多です。
職業相談?あの…息子さん先月からこのハローワークに通ってらっしゃいます。
いつまでもこのままじゃいけない。
でもバイトすらした事のない僕を雇ってくれるところがあるのか…。
未経験者でもいいと言ってくれている職場はあります。
井上さんはどんな仕事がしたいですか?どんなって…?子供の頃興味を持った仕事などはありませんか?子供の頃…。
家族でお祭りに行った時お父さんとお母さんと3人でずっと見ていた。
全く違う形の材料がうまそうな食べ物になっていく。
職人さんたちの手際が見事で…。
お父さんにすごいって言われるような仕事したいって…。
あの子…。
彼の希望に沿って本多さんはお仕事を紹介したんですよね?はい。
事業主の高齢化に伴い製造を任せられる後継者を育てたいと申し出てくれている職場だと説明したら井上さんは続けられるか不安だと尻込みされている様子でしたが…。
あの日息子さん本多さんに推薦された就職先こっそり見に行ったんです。
一番最初に見に行ったのは製麺所。
ちょっとあんた何?なんか用?ねえ。
いえ…。
その次に行ったのがたい焼き屋さんでした。
「このままじゃいけない」「チェンジ一歩前へ踏み出そう」製麺所たい焼き屋…。
さらにもう一軒ハローワークから紹介された仕事場がありました。
それがあの現場近くのピザ屋です。
どの仕事が自分に向いているか?続けられるのか?「チェンジこのままじゃいけない」「チェンジ一歩前へ踏み出そう」
(広人)「チェンジこのままじゃいけない」「チェンジ一歩前へ踏み出そう」「きっと大丈夫だから私たちに不可能はない」彼は自分の生きる道を見極めるために歩き回ってたんです。
そんな日にあなたをナイフで襲ったりしますかね?
(志保)私たちはあなたの証言によって井上広人があなたを襲った加害者だと思い込まされていた。
でも本当は違うんじゃないの?何があったのか真実を話してください。
先月ピンク・トマトの新曲が出たんですよね?歌詞の中に「このままじゃいけない」っていうフレーズがあるって聞きました。
「答えなんて誰もわからないのに」「勝手に決めつけてた」「チェンジこのままじゃいけない」「チェンジ一歩前へ踏み出そう」「きっと大丈夫だから私たちに不可能はない」「チェンジこのままじゃいけない」「チェンジ一歩前へ踏み出そう」なんか自分に言われてるような気がしてきて…。
ピントマの子たちは本当に頑張ってるんです。
だから俺も一歩前に踏み出そうかなって。
ピンク・トマトのファンになってよかった。
自分を変える勇気を彼女たちにもらった。
彼はそう言っていたそうです。
そんな人を悪人のままにしといていいの?本当の事話してくれますね?あの夜私は樋口栄太郎さんといました。
そして…。
俺とは付き合えないって言ったくせになんで親父と付き合ってるんだよ!?栄!
(栄)あんたもいい年して何やってるんだよ!2人して俺をバカにしやがって…。
(栄太郎)ああっ!
(若菜)あっ!大丈夫ですか!?
(栄太郎)栄!そんなに親父が好きかよ。
(栄)なんで俺じゃねえんだよ…。
(栄)若菜の事好きだよ。
大好きだ。
なのにお前恋愛禁止だからって言ったよな。
もうあの時親父の女になってたのかよ!クソッ…。
(刺す音)
(広人)うっ…。
(刺す音)うっ…。

(栄)なんなんだよ?こいつ…。
あの男がいけないんです。
あの男がいきなり飛び込んでくるから…。
栄は若菜を刺す気なんてまるでなかった。
ただちょっとおふざけでナイフを向けていただけなんです。
そうだな?俺は本気だったよ。
栄!あのストーカーの青年がいなければ俺が若菜を刺し殺してた!
(栄)悪いのは彼じゃない。
俺です。
であなたはどうなんですか?はあ…?あなたは悪くないんですか?
(ため息)
(ため息)父親として責任は感じていますよ。
そういうレベルじゃないよね。
ねえ?青柳君…青柳君!井上さんが刺されたあと…。
なんなんだよ?こいつ…。
栄!知ってる人か?知らない。
全然知らない人。
救急車…救急車呼ばなきゃ。
駄目だ!この状況をどう説明するつもりだ?君と私が一緒にいた事。
栄がした事。
明るみに出しては困る。
君だって困るだろ。
アイドルなんだ。
スキャンダルは駄目だ!それじゃあどうすればいいんですか?よこせ!いいか?この男が君を襲ってきたんだ。
君は夢中で抵抗して逆にこの男を刺してしまった。
正当防衛だ。
さあ握って。
大丈夫だ。
アイドルが襲われる事件は前にもあった。
ここにいたのが君とこの男の2人だけだという事になれば十分正当防衛は成立する。
無我夢中で抵抗した。
あとは何も覚えてないと言うんだ。
(栄太郎)若菜!そうしたらあなたも助かるんですね?私を助けてくれ。
いい子だ。
栄行くんだ。
さらにあんたは息子さんにナイフで自分の腕を切るように命じた。
切るんだ!えいっ!あっ…!それは警察が自分たちに疑いの目を向けた時に自分たちはあくまで切られた被害者であるという事を強調するためだ。
息子の人生を守るためにはああするしかなかった…。
あんたが守ろうとしたのは息子さんの人生なんかじゃない!樋口栄太郎という看板だ!樋口栄太郎という生活だ。
樋口栄太郎という地位を守るために全てを隠蔽し善意の青年を殺人者に仕立て上げた。
あんた人間として父親として最低最悪だ!人間のクズだよ!
(ため息)息子の教育を間違えた…。
(矢沢)「間違えた」だ?ふざけるな。
ピザ作りを見たあと家路に就こうとしていた広人さんは偶然この場所を通りかかって…。
やめろ!
(刺す音)
(広人)うっ…。
その女性がピンク・トマトの丸岡若菜だった事広人さんが気づいていたかどうかはわかりません。
相手が誰であれ息子さん助けたと思います。
まあ親子関係多少ギクシャクした点があったとしてもお二人立派な子育てなさったと思います。
本当に素敵な息子さんです。
ありがとうございます。
広人はどの仕事を選ぶつもりだったのかしら…。
(広忠)たい焼き…かな…。
ピザを焼いているあの子も見てみたかったわ。
青酸性毒物ですか。
服毒自殺ですかね?
(神田川宗次朗)教授の死に北田さんが関わっている可能性があるという事かね?あなたなんか隠してらっしゃる。
(北田丈晴)奴の勝ちだ。
真相を話すのが私の義務だな。
人の心はコントロール出来る。
2015/05/27(水) 21:00〜21:54
ABCテレビ1
警視庁捜査一課9係 #5[字]

人気アイドルが襲ってきた男を刺殺!正当防衛を主張するが、次々と疑惑が浮上。事件当夜、アイドルに寄りそう第三の男が!?さらに、被害者の不可解な行動に事件は迷走し…。

詳細情報
◇番組内容
シリーズ10年目に突入!加納係長(渡瀬恒彦)率いる超個性的な7人の捜査官、ふたたび始動−先の読めない展開、重厚かつ濃密な人間ドラマ!いよいよ磨きのかかった“本格刑事群像ドラマエンターテインメント”へ!
◇出演者
渡瀬恒彦、井ノ原快彦、羽田美智子、吹越満、田口浩正、津田寛治、原沙知絵
【ゲスト】国広富之、吉岡里帆、せんだみつお
◇脚本
真部千晶
◇監督
吉田啓一郎
◇音楽
吉川清之
◇主題歌
V6『Timeless』(avex trax)
◇スタッフ
【ゼネラルプロデューサー】松本基弘(テレビ朝日)
【プロデューサー】峰島あゆみ(テレビ朝日)、金丸哲也(東映)、中尾亜由子(東映)
◇おしらせ
☆番組HP
 http://www.tv-asahi.co.jp/9gakari_10/

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz

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