ちょっと立証は難しいかなといわれていましたけど。
（美砂）「親愛なる警察の諸君へ」「私は悪魔の手を持つ者である」「その手を使えば自在に人を葬ることができる」
（美砂）「警察には私を止めることはできない」「悪魔の手は人間には見えないからである」「警察は被害者の死を事故と判断するしかない」「愚かな君たちはこの警告文を悪戯と決めつけるだろう」「そこでまずはデモンストレーションを行う」
（美砂）「それによって君たちは私の力を思い知ることになる」
（太田川）何だ？それ。
（美砂）犯行声明。
（太田川）いや。
悪魔の手ってお前。
いたずらじゃねえか？
（美砂）「自分たちでは手に負えないと思うなら例によってＴ大学のＹ准教授に助けてもらえばいい」
（太田川）えっ？
（美砂）「これはどちらが真の天才科学者かを決める勝負でもある」「では准教授によろしく。
悪魔の手」
（太田川）Ｔ大学？
（美砂）Ｙ准教授。
（美砂）岸谷です。
（湯川）僕のところに妙な手紙が届いた。
（美砂）手紙？
（落下音）
（女性）うわっ！
（湯川）差出人は…。
（湯川）悪魔の手。
（一同）うわー！キャー！また届いた。
これで２通目だ。
ああ。
警察にも今日２通目の手紙が。
「予告どおり悪魔の手のデモンストレーションを行った」「上田重之なる男を転落死させた」
（栗林）うちに来たのと同じ内容ですね。
ねえ？これ何やってんの？
（栗林）ばねを使って波の伝わり方を見る波動実験なんだよ。
あっそう。
実は最初の手紙が届いた日に上田重之さんという方が転落死されていることが分かりました。
（栗林）えっ！？上田さんはガラス窓清掃員で品川のパチンコ店のガラスを清掃中に転落したんです。
私たちはその死亡事故との関連を調べていますが今のところまだ何も分かっていません。
えっ？事故が起こった後にこの手紙が届いたんだからニュースを見て書いたいたずらなんじゃないの？たぶんね。
だいたい悪魔の手なんて名前が嘘っぽいんだよな。
でも実は最初の手紙。
警察に届いた方にはこんな記述が。
「例によってＴ大学のＹ准教授に助けてもらえばいい」帝都大学の湯川准教授！？だから僕のところにそんな手紙が来たのか。
どっちが本物の天才科学者か勝負するって。
何？君のせいだ。
えっ？こんな記事が出たのは警察の誰かが僕のことを週刊誌に漏らしたからだ。
漏らしたのは私じゃありません。
僕は警察に協力しているわけじゃない。
不可思議な現象の正体が知りたいだけだ。
ああ。
知ってます。
でも私じゃないんです。
先生はこんな形でマスコミに出るのは嫌いなんだよ。
だから謝ってんでしょ？いや。
謝ってないよね？ああ。
この記事の件はすいませんでした。
でも悪魔の手がこれを見て思い付いたいたずらなら事件性はありませんよね？僕に届いた２通目の手紙の裏を見ろ。
（美砂・栗林）えっ？裏？２通目の手紙。
どこ？さっき持ってた。
あっ。
裏？貸して。
えっ？インターネットのアドレス？そのサイトにアクセスしてみた。
そこに。
『小さな祈り』映画の公式サイト？こんな書き込みがあった。
「私は３日に見に行きます」「感動のあまり落ちないようにしないと」「品川のパチンコ店より愛をこめて。
窓拭き清掃員」これが書き込まれたのは６月２日。
えっ？６月２日！？上田さんが転落死する前日。
これを犯人からの犯行予告と読めなくもない。
悪魔の手は本物ってことですか？何をもってして本物と言えるかどうかは分かりませんが。
事件前日に犯行予告が書き込まれてそのとおりに人が死んだとなったらもういたずらとは言えないじゃない。
湯川先生の知り合いの科学者でそういうことをしそうな人はいますか？誰だ？分からない。
僕が知ってるのは彼らの実績だけであって人間性についてはほとんど何も知らない。
思い付かない。
ただ手紙の差出人が科学者を名乗るのであれば悪魔の手はオカルトではなく何らかの根拠のある科学的な方法である可能性は高い。
そうですよね。
あっ。
じゃあ科学者の中で湯川先生を嫌いな人は？もちろんいるだろう。
だが僕はそういうのは気にしない。
気にしないんだよなあの人は。
湯川先生のことを知っていて嫌っている人。
一応科学者。
えっ？栗林さんって先生がここの学生のころから助手だったんですよね？そうだけど？でも今は先生に追い越されて先生の助手をしている。
何言いたいの？先生に嫉妬してるんでしょ？してないよ。
恨んでる？恨んでない。
嫌いなの？嫌いなわけあるか！好きだよ！大好きだよ！えっ？これ？いや。
そういう意味じゃなくて。
男として。
男として！？続きは警察で聞きましょう。
行きましょ。
ちょっ。
助けてください。
先生！栗林さんにそんなひどいことができるわけないだろ。
先生。
栗林さんがそんなひどいことできるわけないだろ？湯川先生にしては何の根拠もない非論理的なご意見ですね。
お前な！私は冗談を言っているんじゃないの！悪魔の手は実際に人を殺してるかもしれないんです。
だからといって僕たちを巻き込まないでくれ。
そうだ。
巻き込むな！もう巻き込まれてるでしょ？悪魔の手は先生に挑戦してるんです。
先生はもう事件の渦中にいるの。
僕に挑戦して何の意味があるんだ？犯人ならば警察に挑戦すればいい。
僕に勝ったところで何の名誉も得られなければ何の賞品も出ないんだ。
そうだ。
出ない出ない。
駄目です！先生には絶対に勝ってもらわないと駄目なんです！また人が死ぬかもしれないんです。
あそこです。
上田さんは毎週月曜日この建物の窓拭きを担当されていたそうです。
ベテランだったから自信があったんでしょう。
転落したときに安全ベルトを装着されていなかったそうです。
でもそのとき上田さんの近くには誰もいなかったことははっきりしています。
つまり誰かに突き落とされたわけではない。
はい。
建物を揺らすような衝撃は？いいえ。
突風のようなものがあったという事実はありません。
ここからでは安全ベルトを着けているかどうか分からない。
ハァー。
ここからなら作業をしている人間がよく見える。
何してるんですか？３０ｍの高さから落ちたわけか。
３０？何で分かるんですか？僕の腕の長さは５９ｃｍ。
親指の長さは６．６ｃｍ。
つまり親指の先から根元まで僕の目から見ると６．４度の角度。
こうやってビルに親指を合わせればビルの高さは親指１７本分。
計算すれば３０ｍということになる。
はっはー。
数学を日常的に使ってる人初めて見た。
さすがです。
これは数学じゃない。
ただの算数だ。
どうやったら事故に見せ掛けて人を突き落とすことができるのか？まさか目に見えない力があるとか？目に見えない力ならいくらでも存在している。
例えば磁力。
さらには万有引力。
こうやって今話してる僕と君との間にも引力は存在してるんだ。
しかし今回犯人が使った見えない力はそのどちらでもない。
磁力ならば作業員以外のものが落下していないと不自然だ。
さらに引力だとしても。
仮にブラックホールのようなものをつくったとしてもそれは同じことだ。
実に面白い。
「さて悪魔の手の存在を証明したところで私から要求がある」「警察が記者会見を開き私の存在を広く世間に知らせることだ」「ただそうなれば悪魔の手をかたる偽者が現れるだろう」「偽者を見分ける方法を教える」「それが同封した乱数表だ。
悪魔の手さ行Ｇ列９６」乱数表。
これがそのコピーです。
なるほど。
暗号の一種か。
さ行のＧ列は９６。
これがあれば今後の手紙が本物か偽物か君たちはすぐに判別できる。
実に親切な犯人だ。
自分の存在を世間に公表しろなんて相当に自己顕示欲の強い人間です。
しかも偽者が出てくることまで心配しちゃって。
犯人は自分の要求が通ると思ってる。
記者会見を開くのか？警察が？開くわけないでしょ。
これ以上図に乗らせるわけにはいきません。
あっ。
犯人は手紙の最後にこう書いてます。
「追伸近日中に第２のデモンストレーションを行う」「Ｙ准教授によろしく」
（踏切警報機の音）
（踏切警報機の音）
（石塚）あれ？
（石塚）うん？ああ。
うわー！
（警笛）
（高藤）物理学は身近なところにあるんです。
例えばあれ。
健康のためにお使いになってる方も多いでしょう。
歩数計です。
最近のものは。
ほら。
こうやって振ってもカウントされないのに歩いたときだけ数がカウントされる。
不思議だと思いませんか？
（女性）そうなの？
（男性）いやー。
（高藤）実はこの中に加速度センサーというものが入っていて歩くリズムをマイクロコンピューターが判断して他の振動と区別しているんです。
面白いと思いませんか？
（男性）マイクロコンペーター？
（高藤のせきばらい）あっ。
えー。
これはピエゾ素子とも呼ばれ…。
（栗林）ピエゾ素子なんて言ったって分かんないよ。
高藤君。
老人相手なんだからさ。
（高藤）いいんですよ。
あんなのどうせ８，０００円ですし。
（栗林）１回で８，０００円！？結構いいバイトじゃない。
（高藤）バイト？本職ですよ。
（栗林）えっ？
（高藤）あっ。
これ頂きます。
（栗林）えっ？会社は？
（高藤）辞めました。
（栗林）ええー！？
（高藤）僕の研究は商品化できる見込みはないって。
どいつもこいつも何にも分かっちゃいないんだ。
（栗林）えっ？大丈夫なの？奥さん何て言ってんの？
（高藤）ああ。
由美は仕方ないねって言ってくれてます。
看護師だっけ？奥さん。
手に職を持ってくれてるとこういうとき助かりますよね。
やっぱ僕帰るわ。
（高藤）えっ？栗林さん。
（栗林）いくら友達だってさ奥さん留守の間に上がりこんで酒飲むっていうのは。
（高藤）いや。
いいんですよ。
あの。
由美だって今日夜勤で朝まで帰ってこないんで。
それに僕栗林さんとホントに差しで飲んでみたかったんです。
今日は付き合ってください。
（栗林）やけになっちゃ駄目だぜ。
高藤君。
フフッ。
食っていけない科学者はたくさんいるんだから。
（高藤）世の中どうかしてますよね。
だって栗林さんなんてもうとっくに教授になっててもおかしくないわけでしょ。
（栗林）いやいや。
湯川先生がまだ准教授だからね。
相変わらず警察に協力してるんですか？あの先生。
（栗林）困ったもんだよ。
実は最近もさ悪魔の手とかいうやつから挑戦状が来ちゃって。
あ…悪魔の手？
（栗林）迷惑してんのは僕なんだよね。
生意気な小娘刑事から容疑者呼ばわりされちゃって。
湯川先生も振り回されてんだ。
どうかなぁ？あの人はホントは興味ないんじゃないの？悪魔の手なんて。
えっ？
（栗林）警察だってホントは相手にしてないのかもね。
犯人は自分のことを世間に公表しろとか言ってるらしいけど無視してっから。
へえー。
（栗林）ハァー。
この部屋にはさ本とかないの？
（高藤）専門書はそっちの部屋に。
（栗林）ちょっと見せてよ。
（高藤）そっちは寝室ですから。
あっ。
ごめんごめん。
ハハハ。
ハハハ。
・
（栗林）ちょっと押しちゃいましたね。
お疲れさまでした。
あっ。
また来ました。
（栗林）またぁ！？「６月７日夜。
石塚清司という人物が電車にひかれて死んだ。
私の悪魔の手の力だ」「Ｙ准教授によろしく。
悪魔の手て行Ｏ列８８」
（栗林）悪魔の手。
確かに４日前の７日。
大田区大森で石塚清司という２５歳の男性が電車と接触し亡くなっていました。
踏切で転んでそのまま電車に。
あっ。
今度は転落死じゃない。
先日届いた乱数表の数字も合致。
本物の証明か。
そして今回警察に届いた手紙の裏にアドレスが。
プロ野球チームアースリーズの公式サイトでした。
その掲示板に？こんな投稿が。
「今日の試合はボロ負け。
もう今年の優勝は絶望」「あーもう生きる気力ゼロ」「明日電車に飛び込んじゃうかも。
ｂｙ２人目のファン」２人目。
投稿時間は６月６日２３時８分。
事故の前夜です。
またしても犯行予告が存在していたわけか。
亡くなった石塚さんは秋には結婚も控えていて人生に悲観するようなことは何もなかったそうです。
それに熱烈なサッカーファン。
悪魔の手の仕業ですよ。
でも僕じゃないぞ！ああ。
はいはい。
悪魔の手は私たちには想像もつかないような方法で高所に一人でいるベテラン作業員を転落させ自殺する理由なんてないサラリーマンを電車に飛び込ませた。
なぜだ？なぜ？なぜ犯人はネットを使う？身元を悟られる可能性があるというのに。
ああ。
でも実際には送信元はまだ突き止められていません。
たぶん海外のサーバーを経由してるんですよ。
そんな面倒なことをしなくても犯行予告は郵便で行えばいい。
犯行前に手紙を出し犯行後に届くようにすればその方がずっと犯人にとっては安全なはずだ。
確かに。
あっ。
失礼。
もしもし。
何でしょう？
（太田川）すぐ戻ってこい。
悪魔の手がマスコミに声明文送りつけてきたんだよ。
マスコミ！？
（栗林）マスコミ？
（記者）悪魔の手が犯行声明をマスコミに送ったので警察は会見を開かざるを得なくなったということですね？
（間宮）まあそれは…。
（記者）毎日のように起きている鉄道の人身事故は実は悪魔の手によるものという可能性はあるわけですか？
（間宮）そういう世間の不安をあおるような解釈はやめてください。
今は専門家の協力を得て捜査を続けています。
（記者）その専門家というのは悪魔の手が名指ししている物理学者ですか？
（間宮）そういう質問にはお答えすることはできません。
（記者）ごまかさずに教えてください。
（記者）犯人の目的は何でしょうか？
（間宮）ああ。
現段階では断定することはできません。
（記者）Ｙ准教授とは何か関係があるんでしょうか？
（間宮）われわれはあらゆる角度可能性から捜査を進めております。
（太田川）おうおう。
とんでもねえことになってきたなぁ。
（間宮）Ｙが付く名前の准教授は日本に何万人もいる。
現段階で見当をつけること自体困難…。
マスコミが湯川先生のところに押し寄せるかもしれません。
あっ。
でも何もしゃべらないで大丈夫です。
自分は知らないと言い張っていればいいですから。
しゃべるつもりはない。
そもそも僕は彼らに付き合う時間も理由もない。
それは分かって…。
（通話の切れる音）もしもし？湯川ですが。
・
（高藤）さ行Ｇ列９６番。
・
（高藤）て行Ｏ列８８番。
君の目的は何だ？・
（高藤）く行Ｎ列２０番。
ハハハ。
用があるなら直接僕に言えばいい。
（高藤）ね行Ｆ列６１番。
それが科学者を名乗る人間のやることか？
（高藤）う行Ｐ列１７番。
ハハハ。
（通話を切る音）・
（不通音）ここです。
共通点。
今ごろ犯人は笑いが止まらないでしょうよ。
犯行の前日にネットで犯行予告。
ああ。
ムカつく。
なぜだ？はい？なぜ予告はネットで行い犯行声明は手紙で送りつけるんだ？またそこにこだわるんですか？さらに疑問は事故が起きたのは７日。
犯人が石塚さんを殺したという犯行声明文をポストに投函したのは１０日。
つまり犯行から３日もたっている。
この間犯人は何をしていた？何って。
疑問はまだある。
普通は犯行予告があって犯行声明文が出てくるのにこれじゃまったく逆だ。
殺すことにこだわってたからじゃ？ああいや。
さっき先生が言ってたこの３日間です。
実は石塚さんは意識不明の重体が続き３日後。
つまり６月１０日に亡くなったんです。
それをニュースで確認してから犯行声明を出したからじゃ？なるほど。
悪魔の手なんて名乗るからには犯人は殺さないと気が済まないんですよ。
違う。
えっ？犯人がコントロールできない何かが存在している。
はあ？少なくとも犯人は意のままに事故を起こし人を殺せるというのは嘘だということだ。
嘘！？
（高藤）《これは画期的な研究成果です》《これが実用化されれば２１世紀を迎えた今この国の科学力をあらためて世界に見せつけることと僕は確信しています》
（拍手）《ちょっとよろしいでしょうか？》《どうぞ》《帝都大学の湯川と申します》《高藤さんのご研究は大変面白いと思うのですが一つ欠点があるのでは？》
（ざわめき）《欠点？》湯川。
（栗林）もうえらいことになってるよ。
マスコミからがんがん電話がかかってきて大学は対応に大わらわ。
（高藤）悪魔の手ＶＳ湯川先生のことで？
（栗林）そう。
中にはさ湯川先生の自作自演じゃないか？売名行為じゃないかなんていうひどい電話もあってさ。
（高藤）へえー。
（栗林）このままじゃ湯川先生は大学にいられなくなるかも。
（高藤）いいじゃないですか。
後釜に栗林先生が座れますよ。
いや。
そんな蹴落とすようなことはさ。
（高藤）科学者の世界も結局は運と政治力でしょ。
実力は僕らも湯川先生も変わりゃしないんだ。
いや。
それは高藤君。
ごめん。
雑巾ある？ああ。
あっあっ。
ヤバい。
ヤバいヤバい。
あいつじゃない。
僕が認められるべきだったんだ。
（栗林）ごめんね。
（高藤）ああ。
大丈夫っすよ。
（栗林）やっちゃったよ。
何じゃ？こりゃ。
何させてるんですか？これ。
悪魔の手の痕跡を捜している。
痕跡？犯人はニュースで被害者の死亡と名前を確認して犯行声明文を送っているとするなら。
つまりこういうことだ。
あっ。
文系の私に分かるように説明してください。
犯人は犯行予告をネットの掲示板に書き込み翌日そのとおりに実行した。
はい。
しかし必ずしも全てが成功しているわけではないんだ。
はい？うまくいかなかった場合は犯行声明文を警察には送らず犯行予告の存在を知らせることもない。
うまくいかなかった場合？事故を起こせなかったら犯人にとっては当然失敗だ。
しかし事故を起こせたとしても被害者が死亡しなかったらそれもまた失敗なんだ。
ああ。
あっあっ。
どういうこと？おそらく被害者の死亡を確認しないと犯人にとっては何か都合の悪いことがあるんだろう。
都合の悪いこと？死亡しなかった被害者は悪魔の手について何かを知っている可能性があるということだ。
意味がもう全然。
（折川）先生。
ありました。
この画面です。
（宇野原）さくら学院の堀内まり菜の応援サイト？さくら学院？
（萌子）アイドルユニット。
（折川）えっと。
あった。
「毎日車で聴いてます」「明日は高速を走って銀座に買い物」「音楽に夢中になって事故らないよう気をつけないと。
２人目のファン」２人目のファン？石塚さんが亡くなったときの犯行予告と同じハンドルネームだ。
（萌子）書き込まれたのは６月４日２０時１３分。
この書き込みが悪魔の手による犯行が失敗したときのものだったとするなら２人目の犠牲者となる候補者が他にもいたということになる。
えっ？えっ？岸谷君。
調べてくれ。
６月５日に銀座につながる高速道路で起こった事故全てを。
死亡事故全てを？違う。
死亡しなかった事故全てだ。
事故ではありませんが６月５日の午後３時すぎ首都高５号線の側道で停車している乗用車を通り掛かったパトカーが発見し運転していた女性を保護したという報告がありました。
保護。
はい。
あっ。
ここです。
（紀子）はい。
道路が波打ったんです。
波打った？
（紀子）ええ。
昔の映像で地震の揺れで大きな橋が波を打つ映像があったでしょう？ああ。
見たことあります。
（紀子）ああ。
あんなふうに高速道路が波打ったように見えたんですよ運転してたら。
それで？
（紀子）他の車は普通に走っててこれは目まいだなって気が付きました。
目まい？
（紀子）ええ。
それから耳鳴りもして。
耳鳴り。
（紀子）っていうか頭の中でものすごい音が響いて。
（紀子）がーんって。
それで何とか側道に車を止めたんです。
メニエール病の症状に似ている。
（紀子）病院にも行きましたが何の異常もないって言われました。
どこも悪くないって。
ああ。
よく車を止められましたね？目まい。
耳鳴り。
道路が波打った。
まずいまずいまずい。
あっ。
ちょっと待って。
これに書いて。

（記者）《悪魔の手が名指ししている物理学者…》《それをニュースで確認してから犯行声明を出したから》
（紀子）《道路が波打ったんです》なるほど。
人のうちに。
あっ。
ちょっちょっ。
湯川先生！
（犬の鳴き声）消します。
（キャスター）湯川先生。
これはいったいどういうことなんですか？脅迫に従わなかったとしても犯人からの報復を受ける心配はないということです。
（キャスター）今回の事件でわれわれが最も恐れているのはそこなんですが。
犯人は特定の場所で事故を起こすことはできても特定の人物を事故死させることはできないということです。
犯行声明文に書かれてある被害者の名前は報道によって知り得たものです。
つまり犯人はどこの誰かも分からずに殺害しているんです。
後から辻褄だけを合わせてるんです。
まあただの後出しじゃんけんとでも言いましょうか。
そして犯人が使った手段は単純な従来科学です。
（キャスター）従来科学というのは？昔からあるありふれた技術ということです。
（キャスター）なるほど。
かなり次元の低い事件ということですね？《高藤さんの研究は一つ欠点があるのでは？》
（ざわめき）《欠点？》《はい》《ヘリカルギアだとごく限られた条件下でしか有効に機能しないのではないでしょうか？》
（高藤）《条件管理は将来的には困難ではなくなるはずです》《条件管理が困難でなくなるのであれば僕が考案した磁界歯車方式の方が効率的かつ経済的だと思います》
（ざわめき）《僕は経済性だけを追求しているわけではありません》《だとすればそれは従来科学の域を出ていないと言えるのではないでしょうか？》《もちろん高藤さんのご研究の全てを否定しているわけではありません。
アプローチそのものは大変面白いと思いました。
どうもありがとうございます》悪魔の手というネーミングはその犯行に用いる方法の不確実性からくる。
そしてそれを補うための誇張された表現でしかないのでしょう。
とにかく悪魔の手などというものは存在しません。
どうしてあんなことしたんですか？勝手にテレビに出て捜査内容に関わることをメディアに明かすなんて。
そもそも湯川先生はマスコミを嫌がってたじゃないですか？これを見てくれ。
えっ？「磁性物理と」違う。
ポイントはここだ。
葉山キャンパス？そこで実験を行う。
実験？テレビでの僕の発言で犯人はプライドを傷つけられたはずだ。
次は特定の個人を狙う。
つまり僕を。
えっ？
（栗林）やっぱり気になるんですけど。
先生。
どうしてさっきからこっちばかり見てるんですか？気にしないでください。
右側の景色が好きなんです。
大して変わんないと思うけど。
このまま左側の車線でお願いします。
左？あっはい。
（栗林）でもわざわざ葉山で研究会なんて。
あそこは交通の便が悪過ぎますよ。
車でしか行けないし。
だからいいんです。
（栗林）どうしてですか？湯川先生の特別講義なんだからもっとたくさんの人に来てもらいたいじゃないですか。
死ね！もっと便利なところで…。
えっ？
（栗林）ああっ。
栗林さん。
（栗林）ああっ。
栗林さん。
（高藤）湯川死ね！
（栗林）ああっ。
ハンドルを。
あれ？ああ。
今の白いワンボックスカーだ。
ナンバーは品川６４２５。
（栗林）何だったんだろう？今のは。
・
（サイレン）すいません。
急に目まいがしちゃ…。
あれ？何…何だ？これ。
あっ。
すみません。
突然失礼しました。
（栗林）えっ？何じゃ？こりゃ。
（太田川）ええっ！？《犯人がこのホームページを見つけたらきっとチャンスだと思うはずだ》《葉山キャンパスは不便な場所にあるから湯川はきっと車で移動するはずだと》《湯川先生がおとりになるっていうんですか？》《そこを君たちが逮捕すればいい》《そんな危険なまねさせられません》《僕以外の誰にもこの役は果たせない》
（クラクション）加藤由美さんと連絡が取れません。
あなたの同居人ですよね？
（高藤）妻です。
ハァー。
籍は入っていませんよね？指輪をしているのもあなただけ。
加藤由美さんはどこにいるの？奥多摩の山の中に埋まってます。
えっ？由美は半年前に殺されました。
殺された？あなたが？僕じゃない。
由美は…。
僕の妻を殺したのは湯川学だ！あいつさえいなけりゃこんなことにならなかったんだ！
（栗林）ええー！？高藤英治４７歳。
自称物理学者。
もともと東京工業化学大学で物理の講師をしていましたが１０年前に退職。
それから転職を繰り返し今はカルチャーセンターなどで一般人に科学の講義をしていますがほぼ無職といってもいいでしょう。
（栗林）高藤君！高藤が使ったのはロングレンジアコースティックデバイス。
イラクやアフガンなどの紛争地域で使われたものと同じものでＬＲＡＤと呼ばれる非殺傷型の音響兵器だ。
２３キロヘルツ程度の特殊な超音波を以前君に見せた超指向性のスピーカーで照射し相手の平衡感覚を狂わせるというものだ。
亡くなった人たちは栗林さんと同じ目まいや耳鳴りに襲われたってわけね。
高藤君。
何で？あっ。
でもこのヘッドホンで元に戻るっていうのは？これで微弱な電流を内耳に流し栗林さんの平衡感覚を元に戻したんだ。
ああ。
つまりこの程度で防げる現象だったってわけ？どうして高藤君が湯川先生を？ハァ。
（せきばらい）高藤は取り調べでこう言っています。
自分は優秀な物理学者だった。
でも１０年前に湯川につぶされたって。
つぶされた！？１０年前？何かの学会で画期的な研究成果を発表したのに湯川先生が余計なことを言ったって。
ええー？まったく覚えていない。
だいたいそんなことでいちいち恨まれたらこっちの身が持たない。
私は想像できますけどね。
湯川先生に煮え湯を飲まされた人間の気持ちは。
そもそもなぜ高藤が今ごろになって僕に復讐しようなどと考えたんだ？理解できない！同棲相手と口論になったそうです。
半年前。
あなたは自分の境遇を他人のせいにしかしてないって。
もう別れるって言われてかっとなって殺したんです。
殺した！？高藤はそれすらも湯川先生のせいにしてますけどね。
結局今回の事件はそれが引き金になったってわけ。
ああ。
実に残念な話だ。
ところで栗林さん。
はい。
高藤は栗林さんが湯川先生の助手だと分かって近づいたそうです。
えっ！？つまりそれは…。
そんなことは知らなかった。
栗林さんは共犯者？違います！私は彼に何の協力もしてません！ああ。
それはホントです。
高藤も栗林さんからは有益な情報は何も得られなかったって言ってます。
ただの愚痴り合いだけだったって。
愚痴？まさか湯川先生の愚痴を？愚痴なんか言ってない。
湯川先生を蹴落としてやるって愚痴ってたんじゃないの？お前何でそれを？はっ！？失礼します。
どうぞ僕を蹴落としてください。
許してください。
湯川先生。
講義の時間だ。
いってらっしゃい。
いってらっしゃいって何でお前が？待ってください！すいませんでした！ううー。
2015/05/28(木) 14:55〜15:50
関西テレビ１
ガリレオ　＃０９[再][字]

「攪乱す（みだす）狙われた湯川！！悪魔の手の恐怖実験」
福山雅治　吉高由里子　渡辺いっけい　澤部佑　生瀬勝久　ほか

詳細情報
番組内容
　帝都大学の湯川学（福山雅治）と、岸谷美砂（吉高由里子）を通じて彼に捜査協力を求めている貝塚北署に、『悪魔の手』を名乗る人物から犯行予告が届く。その人物は、『悪魔の手』を使って人を自在に葬ることができるとし、警察の手に負えなければＴ大学のＹ准教授に助けてもらえばいい、これはどちらが真の天才科学者かを決める勝負でもある、と挑発していた。
　ほどなく２通目の手紙が届く。犯人は上田重之（岡本正仁）を
番組内容２
転落死させた、と記していた。美砂によれば、最初の手紙が届いた日、品川のビル建設現場で建築作業員の上田が転落死したという。そして、湯川に届いた手紙には、インターネットのアドレスが記載されていた。それはある映画のサイトで、書き込み欄には「感動のあまり落ちないようにしないと。品川の建設中のビルより愛を込めて」という投稿があった。書き込まれたのは事件の前日だった。
　湯川は、美砂とともに事件のあった
番組内容３
建設現場を訪れる。だが、事故に見せかけて人を突き落す方法は存在するものの、犯人がどんな方法を使ったのかはわからなかった。
　一方、栗林宏美（渡辺いっけい）は、友人の物理学者で、いまはカルチャーセンターなどで講義をしている高藤英治（生瀬勝久）と一緒に酒を飲む。その時、湯川が『悪魔の手』の事件に関わっていることを話していた。
　そんな折、２０代の男性会社員が電車に接触して死亡するという事件が起こり…。
出演者
福山雅治　
吉高由里子　

澤部佑（ハライチ）　
渡辺いっけい　

ほか
スタッフ
【原作】
東野圭吾　

【脚本】
福田靖　

【企画】
鈴木吉弘　

【プロデュース】
牧野正　

【演出】
西坂瑞城　
澤田鎌作　

【音楽】
福山雅治　
菅野祐悟　
『ガリレオ　オリジナルサウンドトラック』（ユニバーサルミュージック）　

【主題歌】
ＫＯＨ＋『恋の魔力』（ユニバーサル　Ｊ）　

【制作】
フジテレビドラマ制作センター

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
ドラマ – その他

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード（ステレオ）
サンプリングレート : 48kHz

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