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シリーズ 戦後70年
第3回 家なき子たちの戦後 ―戦争孤児から虐待まで―

  • 2015年6月2日(火曜)再放送2015年6月9日(火曜)

放送内容

  • 「家族を知らない」「親と暮らせない」などの
    心の傷をどうケアするか。京都の施設では、
    より家庭的な中で育てる取り組みが始まっている。
  • 戦後、町にあふれた[戦争孤児]対策
    として児童福祉法が制定。
    大人数制の養護が始まった。
  • 「両親の離婚」や「行方不明」、「虐待」など、
    施設に入る子どもが抱える問題は時代によって
    複雑化していった。

戦後70年を迎えた今、日本の福祉は様々な課題とぶつかっています。超高齢化や貧困、児童の虐待などなど、福祉の課題はどう扱われてきて、なぜ解決が難しいのでしょうか…。そこでこの節目に、「ハートネットTV」では、戦後の歴史を顧みることを通して未来への提言につなげる年間企画「シリーズ 福祉の戦後70年」をスタートさせました。1月の第1回「障害者はどう生きてきたか」、第2回「高齢者とどう向き合ってきたか」に続く6月のシリーズでは、(3)「児童養護」(4)「精神障害」(5)「ハンセン病」の歴史を紐解きます。

第3回のテーマは“児童養護”。様々な事情で親と暮らせない子どもたちを、日本はどう社会で育てようとしてきたのでしょうか。終戦直後、町には戦争で親を失った戦争孤児たちが溢れていました。こうした孤児を収容するために戦後多く作られた「児童養護施設」は、その後、親の離婚や蒸発で家庭を失った子どもたち、非行や不登校に陥った子どもたち、虐待を受けた子どもたち、と受け入れる子どもを次々と変え、今に続いています。先進各国では親と暮らせない子どもの多くが里親などの家庭的な環境で育てられていますが、日本は今も9割が施設暮らしです。どうしたら子どもの利益を最優先にした児童福祉に立ち返れるのか、考えます。

関連情報

★VTRでご紹介した 児童養護施設「舞鶴学園」について

戦後まもなく、親を失った子どもたちを地元の新聞記者らが養育したことに始まる。
1947年の児童福祉法の制定によって社会福祉法人「舞鶴学園」となり、現在に至る。
2001年に施設を移転し、それまでの大人数の養育から現在の小規模(1棟に6~8人)の生活単位を基本とした養育に転換。
児童養護施設のほか、児童家庭支援センター「中丹こども家庭センター」も開設。子育てに対する不安や心配、子ども自身の悩みについて、専門の職員(相談員・心理担当者)が、24時間体制で電話相談や来所相談に応じている。またショートステイ(短期間)、トワイライトステイ事業(夜間)も行っている。
社会福祉法人 舞鶴学園  
〒625-0026 京都府舞鶴市泉源寺立田223番地
電話:0773-62-1315 FAX:0773-62-2159

★1947年制定の 「児童福祉法」について

戦争孤児や養護が必要な子どもに限らず、すべての児童の福祉を保障することが掲げられ、国と地方公共団体は、保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任があることを定めている。
しかし実際には制定された当初は、戦争によって出現した孤児・浮浪児対策に役割を果たした部分が大きい。

★1989年 「子どもの権利条約」について

すべての児童(18歳未満)の人権尊重や権利の確保のために定められた国際条約。1989年国際連合総会で採択された。社会的養護については、20条で、子どもが家庭環境を奪われたり、その家庭にいることが子ども自身の利益にならない場合、「国が与える特別の保護及び援助を受ける権利を有する」と規定。その方法として、「里親委託」「養子縁組」または「必要な場合には児童の監護のための適当な施設への収容を含むことができる」として、施設よりも家庭的な養護(里親委託や養子縁組)が優先されるべきだという考えを示している。日本は1994年に批准。しかし、里親などよりも施設での養育が圧倒的に多い日本の状況は中々変わらず、国連子どもの権利委員会から1998年、2004年、2010年と3度にわたり見直しを求められている。国は2011年、基本方針の見直しを図り、『社会的養護の課題と将来像』を発表した。
*具体的な条文などについては、下記 外務省のホームページでご覧になれます。

★猫のキャラクター(ふくにゃん)が出題するクイズ「施設出身の主人公が活躍するマンガは?」について

1)『キャンディキャンディ』(1975~79年少女マンガ雑誌『なかよし』に掲載)
主人公の少女キャンディは、アメリカ・ミシガン湖の近くにある孤児院で育ったという設定。明るく前向きなキャンディが周囲からの偏見に負けず、色々な人から愛情を受けながら成長する過程を描いている。
2)『タイガーマスク』(1968~1971年少年マンガ雑誌『週刊ぼくら』『週刊ぼくらマガジン』『週刊少年マガジン』に掲載)孤児院で育った主人公「伊達直人」がプロレスラーとなり、収入の一部を自分が育った孤児院に寄付するというストーリー。
3)『あしたのジョー』(1968~1973年 少年マンガ雑誌『週刊少年マガジン』に掲載)
ドヤ街をさまよっていた主人公の矢吹丈(やぶきじょう)が、元ボクサーの指導者と出会いプロボクサーとなって活躍していくストーリー。矢吹丈は生後間もなくからずっと施設で育ち、脱走してドヤ街へやってくるという設定。

出演者

サヘル・ローズさん(タレント・女優)
山縣 文治さん(関西大学 人間健康学部教授)
戦後70年キャラ「ふくにゃん」

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