イッピン「足元涼やか おしゃれ履物〜大分 日田下駄(げた)〜」 2015.05.31


(ふさ)萩にも異国が攻めてくるって…。
ここは戦場じゃ!女にできる事なんぞない!守りたいんです。
萩の町を。
家族連れでにぎわう東京・二子玉川の百貨店。
夏になると注目を集めるイッピンがあると聞いてやってきました!それが…こちら!大分県日田市で作られる下駄です。
そもそも下駄とは板に鼻緒が付いた履物のこと。
最近はファッショナブルなものも少なくありません。
毎年日田から職人が出張。
好きな鼻緒を選ぶとその場で挿げてくれます。

(職人)どうですか?
(客)このぐらいで。
人気は鮮やかな色彩や立体的な模様を持つ女性用の下駄。
自由にコーディネートできる下駄が次々と登場しています。
浴衣はもちろんのこと。
スカートに合わせてもいい感じ。
カジュアルなジーンズにだってピッタリです。
もちろん女性向けだけではありません。
思わず欲しくなって作ってもらいました!夏のオシャレにピッタリ!日田下駄の魅力に迫ります。
杉の産地として知られてきた大分県日田市。
林業と木工の盛んな町です。
江戸時代の面影を残す通りには10軒以上の下駄屋さんがあります。
女優の美波さん。
今年の夏は下駄を履きたいとリサーチにやってきました。
日田ではおもに杉材を使って下駄が作られています。
なんかすてきね木目が。
(店)そうですね…重さも軽くてですね。
あ軽い!はい。
履き心地もいいので。
最もよく作られているのがこの「右近」。
サンダルのような形が男女ともに人気です。
こんにちは。
70年続くという老舗に下駄作りの職人を訪ねました。
ここにはたくさんの下駄が。
おっきい!すごいですね。
圧倒されちゃった。
日田は下駄の町なんでいろんな種類や形がたくさんありますね。
へぇ〜。
これ何ですか?天狗の下駄になります。
一本歯になりますね。
実際に歩く…。
(伊藤)履かれてみます?いやいや…。
ちょっと見てから。
アハハハハ!いきなりだから。
修験者が履いたという一本歯。
せ〜の!
(下駄の音)そうそうそう。
うまいうまい。
すごいすごい。
うん。
うまいうまい。
へぇ〜これもかわいい。
ここでも気になるのが定番の下駄「右近」です。
すてき。
右近は歯がないので階段や段差に引っかかることもなく歩きやすい下駄。
日田で作られる右近は杉の年輪が浮かび上がっているのが特徴です。
こういうふうに杉って年輪が凸凹浮き出てるじゃないですか。
履いた時に年輪の凸凹のおかげで木と足の間に隙間ができるんです。
日田って特に暑い所なので汗かいたりするじゃないですか。
凸凹があるおかけで表面の凹凸がサラッとた履き心地を生みます。
広いですね。
工房を見せてもらうことにしました。
かっこいい!オブジェみたいですね。
「輪積み」という伝統的な木材の乾燥方法です。
隙間をあけ高く積み上げることで風通しをよくし効率よく乾燥させることができます。
結構大丈夫。
本当だ。
昔はもっと高く積んでたんですけど今は屋根があるのでこの高さまでなんですけど。
すごい。
半年かけ十分乾かしてから加工します。
お〜。
伊藤さんが手にしているのはあれ?ガスバーナー。
すご〜い!そうなんですよ。
これを焼くと…。
1000℃を超えるバーナーの火で素早く焼いていきます。
一体なぜなんでしょうか?全面を焦がした材を金属製のブラシで磨きます。
木目の線の部分は燃えにくいためそこだけが残り年輪のくっきり浮き出た凹凸ができるのです。
しかし杉は1本の木でも部分によって燃えやすさが違います。
木の繊維は外側にいくほど密度が低くなり燃えやすいという性質があるのです。
職人は材が丸太のどの部分から取られたものなのか判断し焼く時間を変えていました。
外側の密度が低い部分はおよそ4秒。
一方より密度が高い内側の部分は燃えにくいため…。
7秒近く焼きました。
僅か数秒ですが焼き方を変えることで木目の出し方を調整していたのです。
こうして作られた凹凸がサラッとした履き心地を生み出します。
もっと時間をかけじっくりと焼くことで全く違う表情を作ることもできます。
これを柔らかいシュロのブラシで軽く磨くと…。
黒地に木目が浮かぶシックな下駄ができあがります。
こちらもご覧のとおりちゃんと木目の凹凸があります。
木を知り尽くした職人の技です。
かっこいいですねこれ。
台に合わせて鼻緒を選びます。
すてき。
足の甲に合わせてピッタリと調整。
気持ちいい。
(伊藤)いいんじゃないですか。
指が抜けないぐらい。
へぇ〜。
気持ちいいですねやっぱり木って。
ちょっとひんやりしてですね。
あぁ確かに。
よくじいちゃんが…すてきそれ。
でも確かに分かる。
蒸し暑い夏のひととき。
杉独特の肌触りが快適です。
日田は降水量が多く江戸時代から盛んに杉の植林が行われてきました。
それとともに木材加工の技術も育まれてきました。
日田の下駄は建材には使われない杉の根元部分を活用して作られます。
日本を代表する国産下駄の産地として輸入材に頼らず地元の日田杉を使った下駄作りが続けられてきました。
そんな日田で生まれたちょっと変わった下駄が人気を集めています。
訪ねたのは市内のセレクトショップ。
あらかわいい。
日田杉などを使い地元で作られた木の雑貨を取り扱っています。
さてその下駄とは…。
(店主)部屋履用の…。
部屋履もあるんですか。
わすごい。
日田杉を使った室内履です。
すごい。
初めて見ました室内用の下駄。
気持ちよさそう。
汗も吸ってくれるのでスリッパとかよりも蒸れなくてすごく快適です。
こんな下駄があるんですね。
はい。
もともと杉でたくさん下駄を作る町で「日田の下駄」という下駄の産地の一つなんですけど。
今ではこういう部屋履ができて杉の板を表面に貼った室内履。
さらっとした肌触りを家の中でも楽しめます。
薄い杉板は足の動きに合わせクッション材と共にしなやかに曲がります。
開発したのは地元の下駄職人。
こんにちは。
おじゃまします。
日田杉の室内履を作っております。
杉の良さを生かした履物作りに積極的に取り組んできました。
気持ちいい。
(杉塚)素足が一番です。
いいですね。
あぁすごい。
足にくっついてくる。
はいすごい気持ちいい。
使われているのは厚さ1.5ミリの杉の板。
ここにある秘密が。
これですね。
これが表面材。
はい。
これがこの材料なんです。
薄い!0.3ミリという薄い板は日田の木材加工工場でスライスしたものです。
縦。
で横。
頑丈にしてね…。
これで割れないように…。
それでこうか。
そうですそうです。
この薄い板を5枚。
木目を互い違いに重ね合板を作りました。
なぜこのような合板を作ったのでしょうか。
ある実験をしてみました。
1.5ミリの1枚板をクッション材に貼り力を加えると。
大きな割れ目が入りました。
一方5枚重ねの合板は…。
2倍の力をかけても割れません。
同じ厚みを持つ板でも丈夫さに大きな違いがあったのです。
日田の木工技術を活用し新しい可能性を切り開いたイッピンです。
美波さん日田で「下駄王子」と呼ばれる人物がいると聞き会いにいきました。
(音)カタカタカタカタカタカタ。
すごい音がする。
何してるんだろう?扉を開けると…。
すごい…。
あっ!音楽に合わせ踊る子どもたち。
足元は全員下駄!地域を盛り上げるため祭りやイベントで踊るダンスチームです。
(一同)こんにちは!どちらが下駄王子?そうなんですか?はい。
「下駄王子」って呼ばれているんですか?じゃあ王子と呼ばせて下さい。
(2人)よろしくお願いします。
タップみたいでね。
そうですね。
裏ゴムを貼ってない下駄を履いてるんで。
下駄職人の本野雅幸さん。
日田の下駄を広めるためさまざまな活動を行ってきました。
楽しいですか。
(一同)はい。
楽しいです。
本野さんは下駄職人の3代目。
現在32歳。
日田の職人の中では最年少です。
両親はともに下駄職人。
父の廣明さんは加工から鼻緒作りまでこなす達人。
母保子さんは鼻緒付けのベテランです。
一家で月に作る下駄は1000足。
そのほとんどが若い女性向け。
(王子)着物のきれを貼ったりとかして。
すごいきれい。
ラメっていうかそういうのも入ってるんで。
わぁすてき。
こういった見た目をちょっと華やかにしてカジュアルにジーンズとかでも夏場に履けますよっていう感じでうちから提案させてもらってる。
いいですね。
なかなか洋服とのふだん靴を履いてると何履こうかどれにしようかってちょっと難しいですよね最初は入り口がね。
そうですね「下駄」っていう響きだけで皆さんやっぱり浴衣着物しか履けないっていうイメージを持たれてるのでちょっと見た目から…おしゃれでかわいい下駄を作るため本野さんは意外なパートナーと組みました。
ここ?はいこちらです。
どうぞ。
こんにちはおじゃまします。
案内されたのは…?何だろう?こちらはネイリストさんなんですけどこの方と一緒に。
美波です。
西村です。
(王子)新しい下駄を。
下駄とネイルをコラボしてるんですか。
(2人)はい。
へぇ〜。
ネイリストの西村朝美さん。
大人っぽいエレガントなネイルアートを得意としています。
2年前その技術を下駄の装飾に生かしてほしいと頼まれました。
最初から鼻緒と下駄の台をお渡ししてこの鼻緒に合うようなイメージで。
好きなように描いて下さいって。
多分感性は西村さんのほうがあるので。
そしてできたのがこれ。
(西村)キラキラ黒いので。
失敗できないわけでしょ?そうです。
ネイルのデコレーションが一見地味な下駄を華やかに引き立てます。
使うのはネイルアートと同じ材料。
立体感を出すアクリルパウダーはすぐに固まってしまうため筆先を使って素早く花びらの形に整えていきます。
歩く時に人目に触れる踵を中心に装飾していきます。
すご〜い。
爪をやるのと違いますか?そうですね…。
こちらの方が大ぶりだからある程度大胆に作っていいので。
女性の心をとらえて離さないおしゃれな下駄の誕生です。
そもそも下駄は江戸の昔から大切なおしゃれアイテム。
こんな下駄を履いていたのは…花魁!さまざまな形の下駄が生み出され女性たちをとりこにしてきました。
こちらは結婚前の若い娘が好んで履いた「小町」。
花街の名前がついた「芳町」。
そして昭和初期に誕生した「右近」。
今下駄はここまで進化。
高さ9センチのヒールを持つ下駄です。
流れるような美しい木目が魅力です。
この下駄も「下駄王子」本野さんの新しい発想から生まれました。
美波です。
よろしくお願いします。
手がけたのは木工職人の後藤文生さんです。
後藤さんがふだん作っているのは木製のカトラリーや器。
これ大変そうですね作るの。
食器作りの技はどこに生かされているんでしょうか?これが下駄?そうです。
ヒールがあるんだ。
そうですね。
隠れたところに工夫があって本当だ。
かわいい!すごい。
曲線とかはいつも作ってる…こういったものは手で彫るんですか?一応機械は使っていくんですけど自分の手が定規っていう言い方はあれなんですけど正確に動くかで曲線とかは。
直線だと機械が正確であればまっすぐに切れるんですけど美しい曲線を削り出す後藤さんの技術。
それがこのハイヒール下駄に必要でした。
これが材料となる杉。
最初1本もっと長いんですけど。
左右の木目をそろえるため同じ1本の角材を使います。
2つに切り木目が対称になるようにそろえます。
ここから1組の下駄を切り出すのです。
下駄作りは経験がなかった後藤さん。
全て手探りで始めました。
まずは機械を使い木に引いたガイドの線に沿って不要な部分を大きく切り落とします。
しかしヒールの部分だけはガイドの線より大きく残しています。
どうしてなんでしょうか?実はヒールの大きく膨らんだ部分だけは手で削っているのです。
ポイントになるのはこの頂点の部分。
ここに向かって手の感覚だけで削り出さなければなりません。
上下に動かしながら少しずつ削り正確な曲線を出していきます。
左右対称の美しい木目が後藤さんの手作業によって見事に浮かび上がりました!いいですねぇ。
きれいね。
完成した下駄の台を持って本野さんの作業場へ。
塗装とかをやってるんですけど。
こんにちは。
これに母に鼻緒をつけてもらいましょう。
ぜひお願いします。
本野さんの母保子さんに鼻緒を選んでもらいました。
どっちが…。
ああそうね。
確かに。
(保子)このくらいあっても。
かわいいですね。
うんそうです。
これがいいです。
これでいいですか。
いいですよね。
うん。
いいですね。
(保子)スッと入る。
いい!やっぱり木の上って。
(保子)いいでしょう。
しかもヒールを履いてるみたいに背筋が伸びますね。
(本野親子)そうですね。
小指が半分…フフフフ。
(保子)本当は小指落ちるんです。
え!そうなんですか?
(保子)小指が落ちて踵が出るのが。
え!不思議。
どうですか?
(保子)いいです。
なんかこうやって…。
(下駄の音)
(保子)アハハハハハ!鳴らしたくなります。
ちょっと木の所で。
あぁ気持ちいい!いいですね!美波さんお気に入りのイッピンが見つかりました。
もう3週間ぐらいなるかしら。
きれいね。
下駄に合わせてるんですね。
下駄を履くので「シンプルに」って頼んでます。
へぇ〜すてき。
全然シンプルじゃない。
アハハハハハ…!結構ギラギラしてますよね。
若い職人の感性と熱意が生み出したウキウキするような日田下駄です。
涼やかな履き心地。
ふだん使いにぴったり。
魅力的に変化を続ける日田下駄。
あなたもこの夏おしゃれな下駄を楽しんでみませんか?2015/05/31(日) 04:30〜05:00
NHK総合1・神戸
イッピン「足元涼やか おしゃれ履物〜大分 日田下駄(げた)〜」[字]

おしゃれな下駄(げた)が夏のファッションアイテムとして人気。発信しているのは大分県日田市。他ジャンルを巻き込み出来た最新形とは…?女優の美波が徹底リサーチ。

詳細情報
番組内容
おしゃれな下駄(げた)が夏のファッションアイテムとして、女性に人気。華やかに装飾されたファッショナブルな下駄が次々と作られている。発信しているのは大分県日田市。杉の産地として知られ木工の盛んな町だ。浴衣だけでなく、スカートやジーンズにも合うげたを作りたい。そんな思いから他ジャンルのプロフェッショナルを巻き込んできた。そこから生まれた新しいげたとは…?女優の美波が、げたの最新形を徹底リサーチ。
出演者
【リポーター】美波,【語り】平野義和

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化

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音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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