4哲子の部屋「どうしたら“恋”できるの?」 2015.05.30


(マキタスポーツ)さあまたねえ…。
閉じ込められてしまいましたね。
(千葉)この状況ね。
一年に一回定期的に閉じ込められてる。
(清水)そうですね。
私はちょっと楽しみにしてる。
相変わらずですね先生は。
いやありがとうございます。
でもちょっとずつ年取ってきてるんで嫌なんですけど。
見えない見えない。
清水さんもね今朝のドラマの「まれ」にご出演で…。
ありがとうございます。
活躍の幅を広げてらっしゃる。
いやぁ必死ですよ〜。
必死です。
もう今やね国民的女優の清水さんにこんな事をお聞きするのはちょっと恐縮なんですが清水さんは最近どうですか?「恋」はしてますか?うわっ!こういう話大好き!好きなんですか?大好き!こういう話。
事務所とか大丈夫?大丈夫大丈夫です。
…っていうのも今「恋」って何だっけ?みたいな感じにちょっと…。
もう…。
もう哲学しちゃってるんだ。
もう始まっちゃってるんです。
30代のOLが言うような事だよ。
教養と娯楽を融合する…
情報があふれる現代社会。
そこで失われる…
今宵も…
まあ今回は現代のあるちょっと不思議な現象というのがあってそれをきっかけに哲学してみたいと思います。
その現象データがあるのでちょっとどうぞ。
「未婚で異性の交際相手がいない」。
…のデータ。
どうなってますこれ?えっと上がってってますねだんだん。
つまりつきあわなくなってるっていう事なんですよ。
恋しなくなってる?半分が?これはゆゆしきデータですよ。
ゆゆしきデータですか。
今よく「草食系」なんてね…。
言いますよね。
もうほんと恋しなくなってるというか「絶食系」なんていうね。
(マキタスポーツ清水)「絶食」!?…言い方すらされてると。
これ清水さんとかどうですか?若い世代としてこのデータ見て。
いやでも分かりますよ。
でそうなっちゃってるから今こういうふうに「恋」って何だっけ?みたいになっちゃってるから。
絶食系?あなた。
今絶食系ですよ。
だからもうじゃあいいやみたいな。
恋はしばらくもうちょっと大人になってからでもいっか…。
先延ばしになってる?先延ばしになってる。
恋のしどき惚れどきでしょ?いや思うんですよ。
マキタさんの世代なんかからしたら全然理解できないんじゃ?理解できないですよ。
えっしてました?恋。
20とか。
僕なんかもう惚れまくりですよ。
ちょっと目が合っただけで「あ俺の事に好意持ってる」ってすぐ勘違いしたりとかして。
へえ〜。
絶食系はじゃあありえないって事ですか?マキタさん。
考えづらいですねぇ。
うそ〜。
いや僕の世代なんかもこのデータからすると今から15年前とかはもっともっと恋するっていうような雰囲気があったと思うんですよね。
結構この10年ちょっとで結構変わった感じが。
まあともかく恋をしなくなってるというのが一つの現代の大いなる謎としてあるわけなんですよ。
でいろんな事は言われてんですよね理由は。
今日はですね一つの角度なんですけどまあ大きく言ってね今この現代っていうのはもうものもあふれてる情報もあふれてる非常に便利な社会ですよね。
でも何かがおかしい。
「便利な社会」っていう状況と「恋をしなくなってる」って事も関係してるかもしれない。
はあ〜。
豊かで便利な社会っていう事はいい事だと思うわけですけど恋する事っていうのも失われてるんじゃないのかなと僕は思うわけなんですよ。
う〜ん。
もっと言うと…だから今日はですねその「情報過多社会をどういうふうに生きるか?」という事の一つの切り口として「恋」について考えようと。
なるほどなぁ。
今回も次回も。
とりあえず身近なとこから入っていきますよ。
今日はその第一回で今回の「恋」するっていうのは人を好きになるという事だけじゃなくてね何かに夢中になるとかすごい広い意味で捉えてもらいたくてだから若い人だけの話でもないし。
さてそれで哲学。
哲学はものの見方をガラッと変えてくれるそういう考え方をですね与えてくれるそういうロゴスを与えてくれるものですね。
出た。
「きょうのロゴス」を発表したいと思います。
はい!どうぞ。
ん!?「この世界には『出来事』しかない!」。
「出来事しかない」?そうそう。
「出来事しかない」?全ては出来事だと。
まあちょっと考えてってみましょうか。
こういうような事を言った哲学者がいるんですよ。
はい!誰だ?ドゥルーズ?お〜清水さん分かった!ドゥルーズですよ〜。
やった〜!はい。
「現代哲学の巨人」ジル・ドゥルーズ
ここから「恋」するための「出会い」の哲学がどう展開されるのでしょう?
まあこのドゥルーズ先生がですねぇこんな言葉も本の中で紹介してるんです。
はいどうぞ。
出来事?「巨大なピラミッドも出来事だ」。
えっ出来事じゃないですよね?ものですよね?お〜「もの」と「出来事」って今出てきましたね。
どうですか?ズデーンと巨大なピラミッドは。
まあともかくも石の塊ですわね。
巨大な建築物ですよ。
これを出来事だとして考えてみるとしたらどう?出来事として考えてみるとしたら。
出来事。
出来事として考えるとしたら。
どういう考え方ができる?まあ王様がいて人にいっぱい造らせたという出来事?…でもありますよね。
またもっと簡単に考えるとすっごい長い時間のスケールで考えたら…。
あ〜。
地球がこれから何万年何億年とこれある時にピラミッドっていうのは人間がわちゃわちゃっと来てポコッと出てそのあと崩れてってなくなっちゃうんじゃないですか。
ある時期だけに起こっていた事になるんじゃないですか?そうかぁ。
単なるものとか物理的なものだけじゃなくて確かに出来事っちゃ出来事だわ。
出来事?まだちょっとつかめないんですけど…。
どういう事?造ったという事?富美加ちゃんも「出来事」なんじゃない?えっ!?どういう事ですか?出来事じゃないですよ!いやいや出来事ですよ。
出来事じゃないです!ある時期に発生してある時期に終わっていくだろう出来事じゃないんですか。
そうか。
ん!?もう少しいろいろ考えていきましょう。
ただこの「出来事」って言葉をドゥルーズはある独特の深い意味で使ってるんですよ。
この「出来事」っていう言葉にもう一つドゥルーズの概念をちょっと付け加えて考えてみたい。
はい!「これ性」?これ…「これ性」?「これ性」って読むんです。
「これ性」。
聞いた事ない。
聞いた事ないでしょうね。
どういう事かっていうと…はい。
ちょっと堅い言い方ですねぇ。
何?「これ」?「これこそ、これだ!」。
すげえ抽象的な…。
「これ性」ですか?「これ性」。
謎の概念「これ性」。
出来事が持つ唯一無二の特異性とは?これから分かりやすく具体的に解説していきます
今日は具体的に考えるためにいろんな例を持ってきたんです。
まずじゃあ1つ目まいりますねその例を。
はい。
お母さ〜ん。
(マキタスポーツ清水)ん?
(母の声)は〜い。
ええ!?お母さん来てるんですか?新手のなんかがね仕掛けがある。
いやいやいやいや。
もちろんねうちの母親じゃなくてですねお二人にあるものを考えてもらいたいとものを考えてもらいたいって事なんです。
まずじゃあ清水さん早速今みたいにですね自分のお母さんだと思って呼びかけてみてもらえますか。
はい。
お母さん。
(母の声)は〜い。
富美加ちゃんお仕事お疲れさま。
富美加ちゃんが大好きなあれ作っておいたからね。
大好きなあれ作っておいてくれたって何でしょう?え?何を思いつきました?から揚げ!あっから揚げ。
はい。
へえ〜それどんなから揚げ?なんかうちのは普通のから揚げと違ってちょっと大ぶりなんですよ。
ちょっと時間も結構かけて揚げてるので結構黒い…黒い大きいから揚げみたいな。
おいしそうですねぇ。
うんうまそううまそう。
じゃあ次マキタさんも同じようにちょっとやってもらえます?いいんですか?はいどうぞ!ママ?
(母の声)スポーツや。
ほれあんたの大好物のごっそう作っておいたから食べろし。
これ山梨の方言ですよ。
山梨の方言。
僕の地元山梨の方言。
「ママ」って言った割にはすごい年寄りの声が出てきて。
…でしたね。
何想像しました?今ので。
「ほうとう」ですね。
ほうとう?山梨の郷土料理でほうとうってのがあってね…。
うちのおふくろが作るほうとうはもう亡くなってんですけどほうとう大好きだったんで…。
ああそうですか。
じゃあ思い出深い…。
思い出深いやつですねぇ。
まあ今お二人に想像してもらったのは「おふくろの味」ってやつですよね。
おふくろの味。
そうですね。
ですねですね。
それはきっと富美加さんの黒いっていうのもそうだと思うんですけど他に置き換えられないような唯一無二の味でありだからねこんなふうに言えると思うんです。
はい出して下さい。
(マキタスポーツ清水)ああ!あ〜はいはいはいはい!来た?来た?はいはいはい!確かに。
例えばね。
他にないですもん確かにおふくろの味は誰にも出せないし似せて作られたとしても違うんで。
違うでしょ?違う。
多分ね同じお米を使って同じお塩を使って同じのりを使っておにぎり作るじゃない?でもこれはおにぎりなんだけどだけどうちのおふくろが作ったおにぎりと他のでは多分違うって思うと思う俺。
何が違うかって「これ性」が違うんです。
それが「これ性」なんだ!「これ性」が違うんですよ。
同じおにぎりでも「これ性」が違う。
出来事としてのそのおふくろの味っていうのはこれはもう置き換えられないわけですよ。
まあ今の母親の料理というのはもちろん一例であって別に母親の料理じゃなくてもいいわけですけどいろんなどんな大好物とかねそういうものでもよくてそれぞれに「これだというもの」っていうのはいろいろあると思うんですよね。
で完全にコピーできないものだと。
「出来事」っていうのは一個一個「これ性」を持ってるんですよ。
「世界は『出来事』でできてる」。
それだけじゃなくて一個一個の「この出来事」っていうので全部できてるわけですよ。
だからまあこの「これ性」って言葉でいくともう世界っていうのは至る所「これ性」だらけだと。
「これ性」だらけ。
そうか!でもピラミッドもそうですよね?あれはあれで「これ性」がありますし今こうやって僕らで共有しているこの空気この雰囲気も「この雰囲気」っていう「これ性」です。
おお。
でもまあ今回使ってる「出来事」っていうのは特別な事が起こらなくてもなんかその辺の普通の事でもみんな特別なまあ言ってみれば全部特別な出来事だという発想で今考えようとしてるわけなんですよ。
さてそこら辺をもう少し深めていきたくてですね。
「これ性」っていうのはそれぞれあるわけなんで何かを基準にして比較して考える事じゃないんですね。
ここをちょっと理解したいと思います。
比較で考える事じゃない…。
それ実感してもらうためにですねお二人に今からですね「これ性」を生み出してもらおうと思います。
「これ性」を生み出す。
(ノック)はいはいなんか来ました。
清水さんお願いします。
えっ何だろう?「これ性」を生み出すのに…。
何が来たかなぁ?スケッチブックが出てきました。
これで何をしてもらおうかっていうとお二人に「記憶でお絵描き」をしてもらおうと。
記憶でお絵描き?記憶スケッチか。
絵かぁ…結構苦手なんだよな。
で何を描いてもらおうかっていうとですねNHKのBSのキャラクターの「ななみちゃん」っていうのが…。
え〜…。
え〜「どーもくん」じゃなくて?どーもくんじゃない。
どーもくんがいい。
なんかね白くてかわいい感じのやつ。
ちょっと待って下さい。
僕全然分かんないですよ。
ななみちゃんって最近じゃないですか?ななみちゃん最近ですか?割と。
なんかとにかくななみちゃんという事で描いてみましょう。
はいじゃあどうぞ!ななみちゃんNHKのイメージキャラクター。
え〜…。
ななみちゃんでしょ?確かね…。
割かしどーもくんの横にいる感じでしたっけ?うんうんそうかなぁ…どうかなぁ?全然分かんないなぁ。
(笑い声)こんな感じじゃ…。
ではお二人の作品を見る前にまず正解を出しましょう。
はい!あ〜惜しい!えっ?
(ななみちゃん)ななみ。
あっでも見た事あるかも!あ〜あるある!全然ありました。
これこれ。
これがななみちゃんか。
じゃあ清水画伯のななみちゃんをはいどうぞ。
私結構惜しいですよほら。
惜しくないだろ。
惜しい惜しい!ほら。
あっでも丸い丸い!丸くて耳が黒くてなんか犬みたいな感じっていうの…。
あ〜口のとこね。
はい。
目がちょっと怖いなぁ。
決定的にね目が怖いんだ。
寝てない人の目になってる。
じゃあマキタ画伯どうぞ。
僕はかわいいですよ。
はい。
(千葉清水)あ〜!「N」…。
ちょっとロゴが入ってる!もう全然分かんないんで。
NHKだから「NK」なんですか?そうです。
ここ「H」になってる。
腕がね。
全然違いましたね。
まあ全然違うんですけどこれを基準にどっちがうまいとか下手とかっていうそういう比較をするんじゃなくて「これ性」の観点でこれを見てみようとそうすると清水画伯マキタ画伯それぞれのななみちゃんの「これ性」が今ここに生み出されたわけなんですよ。
あ〜そうか。
でそれはね本物に比べて別にいいでも悪いでもないんですよ。
そっか。
「これ」なんです。
単に単に「これ」なんですよ。
はあ…単に「これ」って事か。
「これ」なんですよ。
ああ今この場所で…。
生み出された…。
指定されて思い出して私が描いたななみちゃんっていう「これ性」。
ああなるほど。
というわけでだんだん「これ性」という概念が具体的に少しは分かってきたのかなぁとは思うんですよね。
(ノック)おっ今度次の何かが投入されましたよ。
さあ清水さん…。
あ〜!ああこれ!どうした?これ!何ですかそれは?これはあのあれですよ。
これは私の大好きなお気に入りのCDですこれは。
おお。
なぜこれが…。
ちょっと聞けるのかな?渋いの聴くねぇ。
私あの16ビートの感じがカッティングとかすっごい好きで。
跳ねてますねいい感じに。
いやいいですね。
お〜。
そうそうそうそう。
これどういうこだわりがあって?これは音楽番組をローカルでやってましてそこで教えて頂いてそれで聴いてすごく気に入っちゃったんで買いに行こうと思ったんですけど置いてなかったんですよ。
でわざわざ店員さんに聞いたところ在庫にあるので取ってきますって言って「最後の一個でした」って。
もう一個しか残ってなかった。
特別ですね。
それ「出来事」じゃん。
「出来事」ですね。
ほんと一個しかないのを…。
そうですねぇ。
もうそれあれだよ…「ブギー・トレイン」じゃない?じゃないよ。
この「ブギー・トレイン」。
そうですそうです!これはそうですよ。
私はこの…このファンキー・ビューローのこのアルバムがいいっていう。
なるほど。
思い出が…。
(ノック)はいはいはいはい!
(千葉清水)あらら?あれあれ?それちょっと僕に渡してもらえます?はい。
これがね同じCDなんですよね。
これはディレクターさんにお願いして同じものを買ってきてもらったんですけど。
さあ同じなんだけどもうね「これ性」の概念を理解した清水さんだったらもうこれが同じものなんだけどでも違うっていう事はご理解頂けますよね?え?これって私のですか?そう。
先に出てきた方が私の?ちょっとごっちゃになると怖いよね。
はい。
紙入れときます。
紙入れとく。
それぐらい間違えたくないので。
間違えたくないんだね。
間違えたくないよね。
うん分かる分かる。
もうほんとだからはっきりしてるように同じものでも「これ性」が違う。
はい全然違います。
全然違うわけだよね?だって入ってる曲同じですしでもそっちのファンキー・ビューローの「ブギー天国」はいらない。
(千葉マキタスポーツ)うん。
こっちじゃないとやだから。
こっちはこっちでまあディレクターさんが買ってきてくれたそこにいろんな事情があるわけでそういう別の「これ性」を帯びてるわけですよね。
はい。
そうそう。
それはそれでこれはこれなんですがそっちはそっちでこれはこれなんですよ。
だって考えてみて下さいよ。
CDを買いに行くっていうのはたかがCDを買いに行くですけどわざわざ家から最寄り駅まで歩いて電車に乗って一番気に入っているCDショップで買いに行ったところ「もうない」「置いてません」って言われて在庫にあるかもしれないので探してもらってしかもあったらそれが一つしかなくってもう運命だし私はこれにこのCD一枚にそれだけの熱量を使ってるわけですよ。
それ大事だよ。
…という一枚なんですよ。
すごく大事だと思う。
かなり「これ性」ですよねこれは。
ことごとくだってその過程が「出来事」ですよね?出来事…あっそうですね。
出来事ですよね。
だから大量生産品だって全部同じってわけではないわけですね。
うん!全然違う。
同じじゃない!全く同じものなんだよな。
やめて下さいよ!混ぜないで下さいよ!ねえほんとに怒りますよ!
(笑い声)怒りますよ。
こういうわけでだいぶ「これ性」っていう概念は随分分かってきた?もうだいぶ分かりました。
だから「きょうのロゴス」で「世界には『出来事』しかない!」っていう事をまず言ってもっと言うとその出来事は唯一無二の出来事で至る所「これ性」だらけである。
我々はいつも無数の「これ性」と出会ってるんだというまあそういうまとめに一旦なるわけ。
でそこですね。
ここまで踏まえて「あれ?『恋』の話どこ行っちゃったの?」っていう。
あ確かに。
そうなんです。
そこでもう一回最初のテーマに戻ってきたいと思うんですね。
つまり「情報過多社会」情報もものも多すぎる社会の中で何が失われてるんだろうかという事ですよ。
で冒頭では便利で豊かであるが故にかえって「恋」するための「出会い」が失われていると。
それってどういう事か…。
情報が多いとなんか出会い増える気がしますけどね。
例えばなんかすぐに連絡取れたりとか取れそうにない人とかとも連絡取れたりとかするから。
まあ可能性はいっぱいあるわけですよね。
可能性はいっぱいある。
「可能性」っていうのはちょっとキーワードなんですけど。
「可能性」がねここでね。
今例えばデジタル化ですごく便利な社会で何でもスマートフォンで検索できる。
例えば僕がリアルのお店に行って何か気に入ったものをたまたま見つけるとするじゃないですか。
何でも小物でも本屋さんでもいいけど。
そういう時ってついつい「あれ?これってどういうものだっけ?」って検索しちゃったりとかしません?するする。
しますよね?特に本屋とかだとレビュー見ちゃったりとかねあるし。
ちょっと分からないというのがねすぐ調べられるんだよ。
確かに。
だからテレビとか見ててもよく知らない人がテレビで出てくると自分で検索し始めるんですよ。
でウィキペディアとかがすぐ分かるからそこで見るんですよ。
そうするとすごく気持ちが浄化されて落ち着くんです。
ああ…。
それでそれ以上僕深追いしない。
分からないっていう事が一瞬の恐怖っていうかな…。
不安定じゃなくなるわけですよね。
そうそう。
でもそれって「恋」っていうのは不安定だっていう話と関係してくるんです。
そうだ。
もうそこで何かを調べて安心するって事は「恋」から遠ざかってるっていう事に。
そうか!ごめん。
ちょっと声でかくなっちゃった。
今「そうか!」はちょっとビックリしちゃいましたけど。
つまりその場での「たまたまの出会い」っていうのがあるわけですよよく分からないものとのね。
ところがそれをネットで調べちゃうとすぐ分かっちゃうし。
分かる。
浅い理解でねしかも。
しかも似たような商品が次々に検索で出てきて比較とか始めちゃうわけ。
そうなんだよ。
「今これ買わなくたってあとでも買えるでしょ」とか「もっといいものあるんじゃない?」とか。
どこが一番安売りかを調べるサイトとかそういうもので…ちょっとまだ分かんない。
何で先延ばしになるんですか?それは「可能性」が広がって今ここで買わなくてもいいやって今ここで結論出さなくてもいいやってなるわけ。
「またあるだろう」みたいな。
「またあるだろう」それから「他にもっといいのがあるかもしれない」。
ああ。
「またいつか買えばいいか」って感じになっちゃうかもしれない。
いつまでもカタログがネットにはあるわけですよね。
「いつでもいいや」とか。
そうそう。
すぐに違うものに横滑りしてっちゃうんですよ。
(マキタスポーツ清水)横滑り。
情報化で。
それが情報化の怖さですよ。
俺「横スベラー」だわ。
横スベラー?すぐ横滑るだわ!だから情報化で「出会いの可能性」が広がれば広がるほどかえって出会いが先延ばしになって失われるっていう逆説があるわけですよ。
ああ。
これはまさに…パラドックス。
逆説ですよ。
一見可能性が広がれば出会いはできるようになりそうですけどところが逆にむしろ出会いが失われるっていう。
一見したところと逆の事が起こってるっていう事ですね。
そっか。
だから出会いの可能性が広がったとは確かに言えますけど現代の便利な社会で。
ところが結局一回の「これ性」に向き合わないでなんか薄っぺらな比較ばっかりしてるんじゃないですかね。
私正直映画で感想とかなんか先に読んじゃったりとか「こういう感じでした」みたいなの見たりとかしてその日「じゃあ今日やっぱ映画館行くのやめてもう帰ろ」みたいな感じになっちゃったりとかしてますね。
ああそうですか。
出会ってないですねこれは。
そうするとですね逆にどうやったら「これ性」との向き合いができるかっていう事。
確かに知りたい!そう。
それは逆に考えればよくて情報が多すぎるからそうなるんだから意図的にですよむしろ限定された状況の中で「これ性」と出会うという事になるんじゃないですか。
限定された中で…。
可能性を限定するという事ですよ。
それが対人的な恋愛とかにも先生これは…。
関係してくる。
関係してくるんでしょうか。
だから恋するっていうのも他の人他のものの…カタログ的な発想でいたら…「偶然の出会い」に向かってジャンプする。
「偶然の出会い」に賭けるって事ができなくなるわけですよ。
それはある限られた状況に身を置かないとその偶然の出会いって起きない。
う〜ん。
いくらでも…出会いが増えていくとなんか比較はすごくしちゃいますね。
「ああもう気が利かないなぁ」みたいな。
だからちょっとカタログ性ですよね。
人をちょっとものとして見ちゃってる部分とかってあったと思います。
うわ最悪な女だ〜!二十歳にして…。
いやいやいやそう見る時はありますよ。
あ〜…ちょっと私余計「恋」が怖くなっちゃいました。
これでも職場恋愛みたいなものとか限定された世界の中で当然だよね。
そこにはそれなりの豊かな「出来事」があったんですよ。
きっと。
う〜ん。
というわけでまあ今日は「恋」するための「出会い」っていうのを考えてきたわけなんですがそろそろ本日の結論を出したいと思います。
はい!
(清水マキタスポーツ)はあ〜…。
「これは、これでいい」と。
う〜ん。
「これは、これでいい」っていうのは…やっぱりそれを全部なしにしてベストなものだけ選ぼうと思っていたら何にも出会えないわけですよね。
「これは、これでいい」というものがいっぱいあるんだと。
…が大切だろうと。
僕なんかはもうこういう仕事をしてるとほんときれいな女性とか周りがこういるわけですよ。
で僕は家に帰ってちゃんと奥さん見て「ああこれはこれでいいんだ」。
(笑い声)…というふうに「これ性だな」っていうふうに思いますからね。
比較なんかしません!
(笑い声)「これは、これでいい」。
どうですか?これで「恋」ができそうに?「これは、これでいい」ですか。
ちょっと待って下さいね。
えっとね…。
自分の考えられえない不慮の事が起こったりとかするっていう事そういう事もリスクのうちの一つなんだけどでもそれは恋愛というか恋とかに化けたりするかもしれないしね。
全部が自分の考えられうる予定調和の中にいる事じゃなくなるんだよねなんか恋愛とかさ。
予定調和若者すごい多いと思いますよ。
実際に関わってみたら全然違う事が起きたりとか。
なんかもし次何か出会いがあった時とかはすごい大事にできそうな気がします。
そうですか。
「これ性」に向き合って…。
2015/05/30(土) 15:00〜15:30
NHKEテレ1大阪
哲子の部屋「どうしたら“恋”できるの?」[字][再]

話題の哲学トークエンタメ『哲子の部屋』最新作が早くも再放送!新作第一回は「どうしたら“恋”できるの?」。哲学者・千葉雅也が恋するための「出会い」の哲学を語る。

詳細情報
番組内容
話題の哲学番組『哲子の部屋』最新作は二本立て!テーマは「情報過多社会をどう生きるか?」。モノや情報にあふれ、はやり廃りの激しい現代社会を豊かに生きるための哲学をお届けする。新作第一回は「どうしたら“恋”できるの?」。“現代哲学の巨人”ドゥルーズが唱えた「これ性」という謎の概念を通して、何かに恋できなくなった現代人がもう一度“恋”するための「出会いの哲学」を、気鋭の哲学者・千葉雅也が語る。
出演者
【出演】立命館大学大学院准教授…千葉雅也,清水富美加,マキタスポーツ,【語り】島本須美

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
バラエティ – トークバラエティ
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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