ここに集まった各国の首脳に日本からの贈答品として贈られたのが…
東京の下町亀戸にある小さな工房で作られたものです
このガラス製品は「江戸切子」と呼ばれる江戸時代後期から続く伝統工芸品です
しかし工房で働く人を見ると…
伝統を受け継ぐモノづくりの世界
若いスタッフが多いこの工房でなぜ一級品を作り上げることが可能なんでしょうか?
そして1点数万円もする高価なガラス製品が売れる秘密はどこにあるんでしょう!?
今回その現場を訪ねたのはカメラマンの土屋勝義さん
よいしょっにっこり歯出してありがとうございます
土屋さんは江戸切子と向き合う人たちを一体どんなふうに切り取るのでしょうか?
そして…
会長から出された初めての課題に取り組みます!
入社して初めての作品づくり
企業でさまざまな夢を抱き働く人々
それぞれの夢を重ね織りあわせて作られる企業の物語に気鋭のクリエーターが迫ります
スカイツリーのおひざ元東京の下町…
今回の現場は江戸切子と呼ばれるガラス製品を作る工房
自宅の1階が「江戸切子の店華硝」です
工房の前身は1946年
茂吉さんが設立した熊倉硝子工芸
大手ガラスメーカーの下請けからのスタートでした
茂吉さんの息子・隆一さんが2代目の社長に就任したのは1990年
1年後下請けをやめ「江戸切子の店華硝」を設立
現在は会長職に就いています
やっぱり自分の思ったようにできない
当初江戸切子は1日に一つ売れる程度でした
そこで会長はグラスにとどまらないある製品を生み出すのです
それは江戸切子のお皿
さらには有田焼とコラボした照明
それが話題を呼び一気に業績を伸ばしたのです
アイデアだけでなくその技術も国内外で高く評価されました
それが2008年洞爺湖サミットでの日本からの贈呈品へとつながったのです
芸術性を兼ね備えた逸品です
一つ1万円以上するガラス製品をひとつき500個以上販売する工房に成長させました
今回江戸切子の工房を訪ねるのは…
こんな閑静なところにあるんですね普通の住宅街にちょっと期待していますね〜江戸文化
土屋さんは築地生まれの築地育ち
人情あふれる下町を舞台にしたポートレート作品で一目置かれているカメラマンです
ここだここだあっこんにちははいこんにちは閑静なところにあるんですねちょっとね静かなところに不思議なところにあるんだけどへぇ〜こんなところにまあこんなところで作って販売するとこでやってますからね
江戸切子に使うグラスは内側が透明
外側に色の付いた2層のものを使います
外側の色付きのグラスをヤスリで削り落とすことで無色のグラスが現れきれいなデザインになるのです
江戸時代後期に始まったといわれ当時は手挽き摺り
明治時代にはグラインダーが導入され現在のような切子が作られるようになりました
江戸切子の文様は伝統的なもので竹などで粗く組んだ柵をモチーフにした矢来文
魚の卵がつながっている形をモチーフにした魚子文
竹で編んだ籠の網目をモチーフにした籠目文などがあり江戸時代からの美しさを今に伝え角度によって見え方の変化を楽しめるのも江戸切子ならではの魅力です
(土屋さん)お〜
(隆一さん)まあこんな雰囲気でやってますから
(土屋さん)へぇ〜まずあのう…
カットの基準となる線を引く割り付け
これは新人が任される作業です
やってどれぐらいですか?まだ先月からなんで先月?じゃあことし…新入社員ってやつ?そうなります世間で言うそうですねにっこり歯出して…ありがとうございます
(隆一さん)ここでは何もない素材に今切子してる最中ですよね
粗摺りは割り付けで書かれた線にそって太く深く削っていく工程
諌山さんは入社14年目のベテランです
江戸切子の削りはグラス越しにグラインダーを見ることになるので作業は技術だけでなく経験に裏付けされた勘も重要なんです
14年で一人前?まだ…まだまだですか?はいいい笑顔だいい笑顔なんですよイサちゃんいい笑顔だよ今度は次の工程として大ざっぱに摺ってあるものをここでもっとちょっと…
粗摺りのあとは細い線を入れていきます
なんと下書きはなし!
しかもグラスの曲面を削っていく繊細な作業すごい!
(土屋さん)設計図みたいなのは自分の頭の中の?…だけで?設計図というかあの今細かい模様を入れてるんですけど細かすぎて下書きができないんですねなので…
(泉水さん)下書きはない下書きがないってもう…本番?
(泉水さん)あの本番というか自分の感覚で線を引いて削っていってる感じになるのでちょっと振り向きざまに一枚いいですか?あっはいえーと向こうから振り向いて明るいほうからはい!こっちですか?はい!どうですか?やりはじめてそうですねまだまだ道が長いと思います道が長い?長いです
こちらは会長の息子さん
将来会社を背負うことになる隆行さんです
入社して13年少しずつキャリアを積み上げてきました
そうそうあのう…まあ物によっては分担作業やってく1人で全部仕上げる場合と両方あるんだけどまあこれの場合にはある程度…
量産品とは言え一つ1万円以上する商品
こちらの工房では割り付けや納品前の洗浄を若いスタッフが行い…技術が必要な工程はキャリアを積んだ者が行う分業制をとっているのです
江戸切子は一人で作り上げるのが一般的
会長は企業として生き残るために分業で芸術品といえるものを量産する体制を整えたのです
目ぱっちり!ぱっちり〜あっいい笑顔だ
(土屋さん)ここで今やってたのと洗って…ガラスの破片を全部落としてる?そうですね磨かれた粉ですとかすべて落としてありがとうございましたじゃあこれで一応全景っぽいの撮ったし一人ひとり若者も撮ったし
土屋さん納得の写真が撮れたようです
仕上がりを楽しみにしていますよ!
若いスタッフの多い華硝ですがいったいどんなふうに切子職人を育てているのでしょう
会長と背中合わせに働くのは小坂さん
もの作りに関わりたいと1年半前に門をたたきました
これまで1人で作品を作ったことはありません
実は今会長からある課題を出されていました
今回1個自分でデザインからやって1個商品作ってみろってことで課題をいただきました
その日の晩
職人たちが帰ったあと小坂さんは1人作業場に残っていました
1人で一から作るのは初めてのこと
ステップアップするためにも重要なものです
デザインはだんだん決まっています花をモチーフにした感じにしようと思ってて少し写実的なものっていうよりもちょっと抽象的な感じにはしようかなと思っています
いったいどんな作品になるのでしょうか?
小坂さん頑張って!
朝8時半工房の一日は朝礼からスタートします
仕切るのは会長の息子…
(泉水さん)でもきょうもたぶん入れると思います合間合間に場所変えてやっていくって感じにしますミニワインの…これ手配しないとないので…
会長はあまり口を挟まないようです
若いスタッフを育てるために責任を持たせる
それが会長の考えのようです
納品はなるべく3時まで終わらせることじゃあ質問ある方どんどんこれきょう納品まず進めていきましょうじゃあよろしくお願いします
朝礼が終わると小坂さんは隆行さんのもとへ
会長から出された課題をどのタイミングで行えばいいのか相談していました
3時…いやそんなもっと前に終わらせていかないとあぁ…わかりましただから午前中に回しきっちゃえばいいじゃんきょうほとんど回ってるんだから今それでいこうよわかりました
課題は午前中から始めてなるべく早く終わらせてほしい
会社としては少しでも多く製作したいのですから
隆行さんの考えはごもっともなところ
会社に迷惑をかけないようにすぐさま課題に取り組みます
作品のイメージは「花をモチーフに抽象的なデザインにしたい」と話していましたが…
さぁ小坂さん腕の見せどころですよ!
会長に課題を出した狙いを聞いてみました
今のスキルで何ができるかスキルが足りなかったらその分をまた補給していけばいいしまだまだ2年3年それでもってお客様に提供するような商品は無理今やってるのは自分がどこまでチャレンジしたことができてるかただ欠陥だらけなんだけどねそれはちゃんとポイントアウトして「こうするんだよ」っていう言い方をすれば直ってくるからまた次再度挑戦すればよくなるかもしれない
会長自身が小坂さんの技術を見極めたいのはもちろんですがいちばんは小坂さん自身に今の自分の技術を知ってほしいそして確実にステップアップしていってほしいそんな思いがあるようです
若い職人集団を作りあげた会長のふだんの様子を見てみました
お前離してみろほら押すなよ怖いからあっ!すみません大丈夫ですか?遊んでんじゃねえよお前!遊んでないです!あ〜割れた!なんだよ「あ〜」どこ割れた?端っこです
何だか若いスタッフととても気さくに接しています
ここには職人の世界にありがちな厳しい上下関係はないようです
あのね…そうだね
小坂さんたち若い職人に少しでも早く成長してほしい
そのためにコミュニケーションをとりやすい環境を作る
それは彼らへの思いであると同時に経営者としての考えでもあるようです
小坂さんにもこの思い届いてるかな?
昼休み
「早く終わらせてほしい」と言われていた課題の進み具合を聞いてみました
直したいところもやっぱあるんですけどやっぱりカットのバランスとかですね同じようにやってるつもりでも力加減がちょっとズレてたりとかするんでそういうところを意識してやってますね
遅くても夕方までに課題を仕上げて会長に見せなければなりません
午後はペースを上げて仕上げの作業です
ことば少なにアドバイスを送る会長
小坂さんもこの期待に応えないと男が廃りますよ
さぁ果たして仕上がりはうまくいくんでしょうか?
もうひとふんばりです
♪〜これはもうケシのこのままいくのね?そうですあぁそうあとはバランスをこういうところなちゃんと見てな基本的にはねまぁまぁなんだよただいろんなところ見て粗いよねわかるよね?仕上げ台のかけ方とか磨きはきれいにお前磨けるからねありがとうございますただデザインのバランスも自分なりにはいいんだよただこれはまだお前のテクニックじゃ…そうですねありがとうございますありがとうございましたやっぱり出来上がるとすごいうれしいですね達成感というか最初ラフ考えたりする時とかも結構考えてなんかもう…感じにやってたんでそのぶんやっぱりこういう感じで出来上がるとやっぱりうれしいですね
こちらが今回小坂さんが初めて1人で作った江戸切子
よく見てみると左右のバランスがとれていないのがわかります
会長の厳しい評価も最もです
これが今の小坂さんの実力
でも己を知り日々成長すればいいんです
誰だっていきなりできるわけじゃありません
職人への道はまだ始まったばかり
小坂さんいつか会長をうならせる作品を作ってね
土屋さんの事務所を訪ねました
今回撮影した写真はおよそ800枚だそうです
ボクは初めて現場行ってみたんですけどもああいう若い人たちにちゃんと継承されているんだなっていうのがうらやましかったですねちゃんと昔の親方から若い20代くらいの人たちずいぶんいていいの撮れましたよかっこいいですよ照れてこうやって撮られることもないと思うんですよ記念撮影っぽくね撮ってみんないい笑顔して照れたりとかしていい表情しぐさ勉強中だけどやっぱこういうふうに撮れてるのは自信を持ってやってるんだと思いますねみんな「平成の江戸切子」かなタイトルをつけるならば若い人たちならではの…
職人さんの世界で最初の1〜2年は掃除や雑用に追われる
そんなことが当たり前かと思っていました
でもここには若い力を信じ新たな伝統を生む土壌がありました
江戸切子の店華硝
未来にもきっときれいな花が咲きそうです
2015/05/30(土) 12:30〜13:00
テレビ大阪1
日経スペシャル 夢織人 〜小さなトップ企業〜[字]
「世界に誇る逸品!江戸切子を進化させる古くて新しい経営術▽写真家 土屋勝義が下町伝統の職人技に迫る▽国賓のお土産
ナレーション キムラ緑子
詳細情報
番組内容
洞爺湖サミットの土産に採用されたワイングラス▽職人の工房に若手入門者が耐えない秘密の人材育成術▽篠山紀信の弟子が江戸の粋に迫る!
出演者
ナレーション キムラ緑子
写真家 土屋勝義
音楽
「Cheer Up!」(作詞・作曲)田中雄也
制作
【製作】テレビ大阪 BSジャパン 日経映像
ホームページ
www.tv−osaka.co.jp
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
ニュース/報道 – 経済・市況
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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