淡路島で人気の古民家レストラン
味わえるのは和のテーストを取り入れた独創的なイタリアン
いにしえから季節の移ろいを表す二十四節気
それに合わせた旬の味覚がシェフのこだわり
食材はもちろん器や調味料も淡路産
夫婦二人三脚で切り盛りしています
そんな2人の生活に大きな変化が
熊本に住む両親が淡路へ移住することに
感謝を込めた新作メニューをお披露目
今回は淡路にとことんこだわるシェフの夢のカタチ
淡路島の北東部に位置する淡路市・釜口
この自然豊かな集落に今話題のレストランが
海を見下ろす畑の中にある1軒の古民家
その名もラカーサヴェッキア
イタリア語で「古い家」
築80年の農家を改装した開放感あふれるレストラン
全部で16席というテーブルには淡路島特産の瓦を使った特注のプレートが
客席のしつらいにも淡路の魅力があふれています
料理を作るのはオーナーシェフの米村幸起さん
2年前にこの店をオープンさせました
「何?」って聞かれたらイタリア料理なんですけど自分の中では淡路島料理っていうふうに思ってます
淡路島にこだわるシェフを支えるのは妻の梨恵さん
夫婦2人だけですべてを手作りしているんです
(スタッフ)大変なことないですか?
(幸起)もともと職場が同じだったんで厨房に入ったら後輩です
(梨恵)上下関係はしっかりと
オープンと同時にお客さんがやって来ました
この日も予約で満席
地元の人だけでなく県外からもお客さんが詰めかけます
そしてシェフみずから料理の説明
熱意と繊細な心配りが伝わってきます
当店は
なんとシェフは二十四節気に合わせて2週間ごとにメニューを変えているんです
この時の清明という季節は若葉が萌え全ての命が輝く季節とされています
旬の味を追求する料理はコース1種類のみです
まずは前菜
この日は朝採れの新鮮な野菜と自家製生ハムのサラダ
すべて淡路島産の食材で生ハムは14ヵ月も熟成させているんです
旬の桜鯛も地元で水揚げされたもので塩も淡路産
シェフは魚もその時のメニューに応じて熟成させています
(幸起)カルパッチョとかやったらその日いいのがもちろん…人にもよるんですけど僕は好きなんですけど焼きに関しては今の鯛だったら2日が一番…
こだわりは器にも
お店が古民家っていうのもあって器は積極的に和の器を使っていてなおかつ淡路島の陶芸をやってる作家さんたちの作品も少しずつではあるんですけど増やしてます
夫婦ならではのコンビネーションもこの店の持ち味
あうんの呼吸で次々と料理が
お客さんの反応は?
失礼致しますお待たせ致しましたこちら2品目の料理でございますどうぞふたをお取りくださいご説明致しますこちらが地元・仮屋産の今旬の桜鯛ですね
地元・仮屋漁港で水揚げされた桜鯛のソテー
絶妙の塩加減とトマトの酸味が1つに
塗りの椀物
中には特産の新玉ねぎのスープが
淡路の牛乳を使ったコクのあるスープです
この時季ならではの味が続きます
旬のヒイカと日替わり野菜の自家製手打ちパスタ
鯛のアラで取っただしが味に深みを加えています
メインは淡路島産の和牛ステーキ
添えられているのは節気食材のたけのこやたらの芽などまさに春の味
デザートは妻の梨恵さんが担当
淡路島牛乳のブラマンジェはソースのいちごも淡路島産です
たった2週間だけの献立
淡路島を味わい尽くす料理です
島の食材にとことんこだわる米村シェフ
しかし生まれたのは実は熊本県
23歳の時社会福祉士として赴任したのが淡路島だったのです
その時島の人々の温かさと食材の豊富さに魅了されました
その後転職し京都市内のイタリア料理店で修業
そこでアルバイトをしていた梨恵さんと出会って結婚
夫婦で淡路島に移住しお店をオープンさせたのです
午後3時ランチタイムが終わり2人はお出かけ
実は去年の10月に待望の長男が誕生
保育所にお迎えに行くのが夫婦の日課になっています
(スタッフ)大変じゃないですか?育児とお店とでもすごい周りの方に協力してもらっているので助けてもらいながらやってます
家族3人で自宅に戻りようやくお昼ごはん
部屋の中には梨恵さんの姉・彩さんが
時々2人をサポートするために京都から来てくれるそうです
じゃあいただきますいただきま〜すありがとう
2人だけで店を切り盛りする米村さん夫婦
こうした支えが必要なんですね
見てて楽しいです自分の将来的な夢を思い描く中でいきなり淡路島に今来いって言われても…
シェフを支えるのは身内だけではありません
やって来たのは店の近くにある仮屋漁港
ここで魚を仕入れているんです
あぁいいっすねこれ今からどんどん増えてきます
(幸紀)これがカワツエビですね・これ赤貝刺身にするとおいしいですね・
こちらの水産会社ではシェフが調理方法を相談することも
その高い品質を信頼しているそうです
うれしいですよね淡路島に来てお店してくれてね地元との魚ばっかり使いたい地元の素材を大事にしたいっていう感じでしてくれてるんでねほんとにうれしいかぎりです
淡路の食材にほれ込む米村シェフ
この春新たな試みも
この間ここにワイン用のぶどうを…シャルドネを植えたんですけどこれはまだ試験的に20本植えただけなんですけどゆくゆくは来年10倍の200本ぐらいは別の場所に植えてとりあえずいいぶどうを育てることを仲間と話しています自分たちが作ったワインを飲みながら淡路の食材でその料理食べて目の前にぶどう畑があったらこんなすばらしいことはないと思います
午後6時ディナータイムがスタート
料理はランチを基本に3品が追加され今が旬の新鮮食材をふんだんに味わえます
シェフはこうしたメニューを常に模索しその可能性を広げているんです
仕入れたばかりの丸アジもその1つ
早速仕込み
(幸起)お客さまにそのよさが伝わるような調理法を心がけてます
梨恵さんはデザートの試作
節気食材のヨモギを使います
彼女も常に新メニューを生み出さなければならないのです
(梨恵)お菓子の時はいつも淡路島牛乳を使いますさとうきびだけは…
日々営業しながら試作
2人が納得できるまで何度も繰り返します
(梨恵)シェフ厳しいのでなかなかOKがいつも出ないんです
次のメニューで使う丸アジは開いて一夜干しすることに
昔ながらの料理法を自分なりにアレンジ
その作業は深夜に及ぶことも
そして翌日新しい2週間が始まりました
この日からまたすべての料理が新作に
一夜干ししたあの丸アジは香ばしく焼き上げられていました
一度干すことによってうまみを凝縮させる水分を飛ばしてうまみだけ残すという状態ですね
メニューが変われば調理もサービスも段取りが一変します
2人のコンビネーションで乗り切らなければ…
・
(梨恵)いらっしゃいませお待ちしておりましたどうぞ・
新メニューのランチタイムがスタート
節気は穀雨春の雨がたくさんの穀物を潤す季節とされています
ますますうまみが出てきたヒイカはトマトベースの煮込み料理に
スープは和牛のスネ肉と淡路新玉ねぎを5時間煮込んだもの
そしてアジを使ったパスタが
(幸起)鯛のアラでとったおだしです玉ねぎのピューレですねソースにアジのうまみを出してあげる
和の器に盛られたシェフ渾身のひと皿
手間暇かけた食材のうまみが凝縮
お客さんの反応は?
デザートはほんのり緑色をした「ヨモギのプリン」
優しい甘さと風味が絶妙です
それぐらいおいしかったです
結局この日も予約で満席となりました
こちらは地元・淡路島のお客さん
淡路のもんやと思ってふだんそんな食べてないですけどそう思って食べるとやっぱりごはんとか自分で作ってても季節のものとか旬のものとかそんなに感じられないんですけどこうやって出してもらったら今これがおいしいんやとか分かるしすごいいいなと思いました
晴れ渡ったこの日お店は定休日
シェフは1人で外出
おはようございます大きいねこれ今朝抜いたやつ?そう
(幸起)うちの専属専属って…あれかもしれないですけど僕の味の好みを砂川さんに伝えて話ながらこんなたまねぎっていうのを作ってくれてる方です僕の中では日本一
こちらのたまねぎはほかにはほとんど出荷していないんだそうです
昔ながらの露地栽培で肥料を工夫
うまみの強いたまねぎになっているそうです
やっぱそんだけシェフの情が芽生えてくれたんかな思て
淡路島に移住して6年
米村シェフの情熱がこの島で物作りに携わる人たちを動かしてきました
二十四節気の料理をひらめいた時は淡路の土による本物の器を使いたいと考えたのです
こんにちは・こんにちは・あぁどうぞお邪魔します
こちらは淡路島の土を使って器を作る工房
店で使う食器を作ってもらっています
和食の経験は多いんですけどイタリアンっていうのが…刺身入れるような皿に肉が盛ってるいうのはちょっと不思議な感じでしたね
(幸起)大前さんが僕の料理に合わせるんじゃなくて大前さんの器に僕が合わせるというか想像を膨らまして盛りつける
二十四節気で使う器をいつかはすべてこちらのものにする予定なんだそうです
淡路島にほれ込み移住した生産者はシェフだけではありません
島の西側にたたずむ1軒の工房
ここにシェフにはなくてはならないものが
それが神戸から移住した末澤さんが作る塩
余分なものを一切加えない昔ながらの製法にこだわっているんです
やっぱいいものを作ろうっていうのはお互い一緒やし俺こんなことをしたいってこんなこと思ってるんですってやっぱそこで…
(末澤)料理人の方がね見に来てもらってでこうやって話をさしてもらって僕としてもすごいうれしいですしなんかこうしたいなって思うじゃないですか
食材以外にもこの島には魅力があふれているようです
夫婦で移り住み新しい命が増えた米村家にまた大きな動きが
2人は自宅とは別の家をリフォームその理由は…
僕の実家から親がちょっと淡路島に…子ども生まれたことやし面倒見てくれることになって淡路島に引っ越してくるんですけど自分たちで仕事が終わったあとに夜な夜なちょっとずつ壁紙を貼り直したりやってて
(スタッフ)ご両親とここで同居なさるって…
(幸起)そうなんですそういうことなんです
(スタッフ)奥さんはどうなんすか?私はすごいほんとによくしてもらっててだからもう私とおかあさんの話でじゃあ一緒に住もうかってなったぐらいほんとに感謝の気持ちとこれからよろしくお願いしますって気持ちを込めてなんか
数日後両親が淡路に
あぁ〜疲れたなぁ
熊本から車でやって来たシェフの父・世志治さんと母・須美子さん
もう遠路はるばるここまで来てもうた
(スタッフ)いよいよ今日からこっちという…やっぱり俺たちはもう70になっとるけんねだから十分やまぁそれぐらいなもんだろうと…主人と子どもたち一緒だからですね
この日は家族5人で近くの居酒屋へ
これからお世話になりますよろしくお願いしま〜す遠いとこありがとうねお願いしま〜す草むしりやら任しておきなさいいただきます
何十年も暮らした故郷から息子のもとへ
少しでも手助けするために
だから先生にですね米村幸起を探すのいうたら人だかりがおるとこに必ずおるとみんな集まってくるわけですねせやけど間違うなよって1人じゃできんとだからあの店の大きさからして1人じゃできないそれは梨恵ちゃんがおるからねそれができるだから梨恵ちゃんのありがたみをねしっかりと…やっぱり気持ちそういうとこにあってよ
(スタッフ)梨恵さん今お父さんが…
(梨恵)うれしいですなんか米村の…幸起の奥さんである前に私たちの娘だからっていうふうに言ってもらってなんかすごい温かいですよねほんとに
その感謝の気持ちがこのあと1つのカタチに
翌日熊本からご両親の荷物が届き引っ越し
いよいよ新生活がスタートすることに
そのころ店では空き時間を利用し2人が何やら相談
実はご両親を店に招待し特別メニューでもてなそうと考えていたのです
今僕たちがやってることを感じてほしいというか私たちにできることっていったらね…
(幸起)料理しかないんで
淡路島へ移住したご両親への2人の思い
そこには感謝の気持ちがあふれていました
畑の中にたたずむ古民家レストランラカーサヴェッキア
この日店内にはたった1席だけが用意されていました
そこに座るのは招待したシェフのご両親
果たしてどんな料理で2人をもてなすんでしょうか
(幸起)これはカッチュッコっていうてトスカーナの郷土料理ですね淡路島の海のおいしいもののグッと凝縮したものを食べてもらおうと思って
この日のメニューは野菜もたっぷり
淡路島では今さまざまな西洋野菜が栽培されているんです
(梨恵)結構お野菜とかがたくさん…あっさりと食べられるかなって思います
午後5時いよいよご両親が来店
お店がオープンしてから2人が店で料理を食べるのは実はこの日が初めてだったのです
そんな2人にシェフは…
誠にありがとうございます当店は1年365日を24に分けた二十四節気という旧暦をもとにメニューを立てておりましてただいまの節気が立夏といいます
あえていつもどおりの接客
こうしてディナーがスタート
シェフと妻の梨恵さんは自分たちがふだんしていることも両親に見てほしかったのです
ところが母の須美子さんなぜか箸が進みません
梨恵さんは息子の世話をしながらのおもてなし
シェフもみずから料理を運びます
こちらは淡路の魚介類のうまみが凝縮された「カッチュッコ」
足赤エビやホウボウなどどれも目の前の海で取れた旬の味
最初箸が進まなかった母・須美子さんは…
息子が作った料理に思わず笑顔が
その様子にシェフもひと安心したようです
この日の料理は二十四節気に基づいた季節のメニューを少しアレンジしたもの
量や味の濃さなどシェフならではの気遣いが器の中に
…利いとるなほんともう
どのお皿にも淡路島の魅力が盛りつけられていました
ほっとしたっていうのが僕の正直なところですね自分が持てるものを出し切りたいって気はあったんで
すべての料理が終わり2人はご両親のもとへ
今日はありがとうございますいつも家のことや清正のことで私のいつも相談に乗ってくれたりとかほんとにいつも感謝していますこれからもよろしくお願いします小っさい頃のあの悪ころ坊主がね一端にもうほんとお疲れさん
家族が5人となり新たなスタート切った米村シェフ
夢のツヅキは?
淡路島でしか作れない料理を僕が作り続けて30年・40年・50年たった時に僕がやってきたことが1つの新しい文化になれるように頑張っていきたいです
築80年の古民家で味わうラカーサヴェッキアの創作イタリアン
そこには夫婦の熱意と淡路島に対する愛情が注がれているようです
2015/05/30(土) 11:00〜11:30
ABCテレビ1
LIFE〜夢のカタチ〜[字]/佐々木蔵之介 「淡路島の旬!24節気で彩る創作料理!」
人生はいろんな夢でできている…夢追う人の輝く瞬間を佐々木蔵之介の語りで描きます。
今回は「淡路島の旬!24節気で彩る古民家の創作イタリアン」です。
詳細情報
◇番組内容
淡路島で人気の古民家イタリアン「ラ カーサ ヴェッキア」。オーナーシェフの米村幸起さん・りえさん夫妻が、陰暦で言う24節気にこだわってコース料理を提供しています。今回、熊本から淡路島に移住してくる幸起さんのご両親へ感謝の料理を手がけます。夫妻の奮闘に密着します。
◇ナレーション
佐々木蔵之介
◇おしらせ
この番組は、朝日放送の『青少年に見てもらいたい番組』に指定されています。
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
趣味/教育 – その他
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
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