7愛しき男たちよ〜富士山は見ている〜 2015.05.30


この国ができるはるか昔から私はこの世の全てを見詰めてきました
私が言うのもなんだけど今も昔も人はみんな私に夢中
古今東西世界中の人たちが私に憧れ私を求め一目会おうと頂を目指します
私にほれた人は星の数ほどいるけれど実は今私が気になってしょうがない男が3人いるんです
1人目は日本一高いところに住んでいるんです
てっぺん近くにトイレがあるのをご存じですか?
その男はここで管理人をしています
(冨田)寒いね今日。
どうもどうも。
お疲れです。
夏の間中下界を離れたった一人ここで住み込みで働いています
標高3,700m。
ひたすらトイレを磨く日々
面白くてちょっぴり謎めいている彼
実は重い過去を背負っていました
(冨田)人間がね。
絶望を抱えて私の元へ逃げ込んできました
立ち直れるのでしょうか?
2番目は富士山一のぼろ小屋を営む男
実は元警察官
しかも機動隊員として最前線で体を張っていました
彼のせいで家族はめちゃくちゃ
無鉄砲なやつなんです
やっぱり罰が当たったのでしょうか?
大きな試練が
それでも男は山小屋を目指します
そこには下界では決して得られなかった彼だけの幸せが待っているのです
ところではるか室町時代から富士山に道を開き馬で物資を運んだ男たちがいたことをご存じですか?
馬方衆と呼ばれる彼らの末裔が今も生きています
知ってました?
ちょっと乱暴だけど憎めない男
私はことし大きな試練を与えました
かつてないほどの豪雪。
打ち勝てるのでしょうか?
美しくも厳しい自然に向き合いながら生きる私のいとしき恋人たち
たっぷりお見せしましょう
男の哀愁ってやつを。
ねっ
私は日本一の山
時折頂上で見せる御来光は世界一の絶景ともうたわれます
息をのむ美しさに毎日たくさんの人が祈りを捧げます
御来光を満喫した後みんなが列を成して向かう場所があるんです
それは日本一高いところにある公衆トイレ
環境省が環境対策のため2006年に建てたもの
木のぬくもりを感じる立派なトイレでしょ?
ここで管理人をしているのが私の第一の恋人冨田さん
夏の間住み込みで働いています
(冨田)女性は左側です。
男性右側ね。
利用客はチップとして300円を支払います
管理人室の前になぜかさい銭箱
トイレの維持費用に充てられています
(冨田)ウンがつきますよ。
(男性)あと10年長生きします。
(冨田)宝くじ買ってください。
時に冗談を言いながら利用客を招き入れる冨田さん
人呼んで…
(冨田)あんたにはトイレ貸さないと言われたら大変なことで。
もしかしたら…。
しょうもないことを誇りに思うおちゃめなおっちゃん
8日間トイレの裏手に寝泊まりし3日間麓のアパートに帰る暮らしを続けています
山頂では水と食料は貴重品
(冨田)水がもったいないので1回ゆすいだやつをまた戻して。
お風呂だってもうねずっと入ってなくても平気になりましたね。
もちろんトイレも水洗ではありません
水も洗剤も使えないので一苦労
毎日ひたすら磨きに磨きます
環境に配慮し微生物でし尿を分解するバイオ式
でもこのところ利用客が多くてね
処理しきれないんです
(冨田)自分で…。
ねえ。
(冨田)なかなかしてくれない…。
10日に一度はくみ取り業者を呼んでいます
何といってもここは標高3,700m
トイレの掃除もコストと人手がかかるんです
この人がいてくれるから私の美しさが保てる
冨田さん。
感謝してます
トイレを閉める時間です
ヘルメットをかぶって裏手の寝床に帰ります
(スタッフ)いつも必ずヘルメットですね?いやぁ。
もうね。
実は冨田さんの青春はヘルメットと共にありました
時は1971年。
学生運動に明け暮れわが物顔で街を闊歩する日々
そこで出会った仲間たちとデザイン会社を立ち上げました
1980年代。
政党ポスターのデザインがウケ会社は大成功
時はバブル真っただ中。
時代の流れに乗って大もうけ
しかし…
よい時代は長くは続きませんでした
バブルも崩壊。
冨田さんの会社は解散しました
それまでたくさん知り合いがいてたくさん友達だと思ってた人たちがやっぱり。
いろんなことに巻き込まれるのも嫌だろうしみんな離れちゃいました。
結局は家とかも何もなくなったし。
多額の借金を抱えて地をはうように見つけたのが債権回収の仕事
皮肉にも借金を取り立てる仕事でした
ある意味何か自分をそこで見てるような。
相手がこういう訳でお金が払えないんですよというときに言われたことに対してもそれは自分だってこういうときこうだったよなって。
確かに僕もお金に困ったときに取り繕って嘘を言ったこともあるしなとかいろんなそういうことが自分に返ってくるわけですよ全部。
取り立てる相手が自分に見えました
矛盾にさいなまれ引きこもるようになりました
めんどくさいこと何もできないっていう感じでしたね。
そのころはね。
今は離れて暮らす会社員の息子さんが当時の冨田さんの様子を鮮明に覚えています
(純平)父本人は非常に根は優しい人間だと思いますのでそういう部分でつらいっていうのは言ってた記憶があります。
(純平)結局辞めてからもほぼ一日中部屋にこもりっ放しで。
こう言ってくれたことは今でも覚えてます。
居場所をなくした冨田さんは自ら選んでこの最果ての地に逃げてきたのです
午前3時を過ぎれば仕事始め
ここは富士山頂
真夏でも夜明け前は冷え込みます
(スタッフ)3℃?
(冨田)3℃ですね。
昨日はあったかかったのに。
トイレの神様冨田さんは夜明け前のこの時間帯をきっかけに私にほれ込んだの
この時間帯って結構いいんですよね。
山の形がだんだんと見えてきて。
明けない夜はないっていう雰囲気が。
何なんだろうね。
切なさがいいですよ。
(スタッフ)切なさがいい?
(冨田)切なさがいいですね。
山って僕はそれがいいな。
一人でいて切ないなっていう。
何なんですかね?気持ちが清められるような。
自分の中に入りこめるような気しますよね。
とことん一人を愛する男
そんな彼に私はいろんな表情を見せてきました
かさ雲は嵐の合図
雲の中は風速20メートル。
ここでは日常茶飯事です
こんなときはトイレの神様の出番です
トイレの中を臨時の避難所にして客を招き入れます
(冨田)どうぞ。
時にはあったかいお茶のサービスも
悪天候の日は体調を崩す客も多くいます
(冨田)頭痛い?気持ち悪い?
(女性)吐きそう…。
(冨田)もうね下りるしかない。
下りてくと…。
たぶん高山病だから。
下りれば治るから。
とにかく下りないと駄目。
(男性)はい。
(冨田)まだ動けるうちに下りた方がいいよ。
(男性)ありがとうございます。
とっても優しいトイレの神様
とはいえ生身の人間
一番しんどいのは冨田さん自身なのよね
(スタッフ)やっぱり鎮痛剤は?
(冨田)鎮痛剤はもう駄目ですね。
離せないね。
(冨田)もう下りた方がいいよ。
高山病は低い場所に下りさえすればすぐに治るもの
それは分かっていても冨田さんは下りるわけにはいきません
ここからは頭痛との闘いです
(冨田)寒い。
(冨田)嫌だね。
この寒さ。
冨田さんはもう9年間この暮らしを続けているんです
夕方4時から明け方まで誰とも会わずに過ごします
下界とつなぐものはテレビすらありません
標高3,700mにたった一人
静寂の中で孤独と向き合う時間です
朝4時すぎ。
一番客がやって来ました
(女性)冨田さん!
(男性)また来たぞ。
(女性)来た。
覚えてる?
(冨田)こんな早くに。
覚えてるよ。
(男性)また来たよ。
(男性)冨田さんいい男だからな。
優しくてさ。
(女性)そうだよ。
そうだよ。
(冨田)ありがとう。
ありがとう。
親友かと思いきや…
(スタッフ)古くからの知り合いというよりはここで?
(女性)ここ。
(男性)ここだけの知り合い。
(スタッフ)富士山つながり?
(冨田)ねっ?
1年に一度会うか会わないかの付き合い
地上でなら薄い付き合いかもしれません
でも一度社会に捨てられた冨田さんにとってこの関係が今はとても貴重なものに思えるのです
(男性)行ってくるね。
(冨田)いってらっしゃい。
これがあるかもしれませんね。
お互いそうかもしれないです。
それはあるかもしれないですね。
そういう気持ちが。
富士山に来る人たちは富士山に対して思い詰めたものをみんな持って上がってきてるんだというのは最近非常に感じますね。
そうやって考えると僕なんかよっぽど理由はなかったかもしれない。
最初は。
その分時間を重ねる中でその人たちからいろんなものをもらってるのかもしれないですね。
少しずつ変わり始めた冨田さん
この日数少ない友人と待ち合わせをしていました
実はこの人が私の第二の恋人
(冨田)すごそうな。
(冨田)街の食べ物。
(スタッフ)豪勢な。
(伊倉)養わなきゃなんねえから大変なんだよ。
(スタッフ)伊倉さんが養う?
また後でね。
冨田さん
2番目の男はちょっと豪快
実は私にとってなくてはならない人なんです
ことし2014年はかつてないほどの雪が私に降り積もりました
ブルドーザーを巧みに操る運搬業者
この人が伊倉秀雄さん
(伊倉)富士山が好きっていうか関わっちゃったから好きでしか…。
好きじゃなきゃやってらんねえだろうね。
彼の仕事は資材や食料を運ぶこと
開山前の6月。
登山客が来る前に山頂まで道を開かなくてはなりません
そんな彼にことし私最大の試練を与えました
(スタッフ)雪ですね。
それは歴史に残る豪雪
これからだよ。
これから。
今こんなとこで撮ったってしょうがねえよ。
これからだよ。
この先頂上までは異次元の闘いです
雪の深さは6mを超えました
これ6月ですよ
ブルドーザーに取り付けたブレードで雪を切り崩していきます
狭い山道。
急勾配の除雪作業
一つ操作を間違えればスリップして転落します
(スタッフ)手くたびれませんか?すごい力いるんじゃ?これ重たいの。
機械式だから。
だからねホントにうち帰ってね何もしねえわ。
あちこち痛え。
実はこのブルドーザーは50年前から伊倉さんのお父さんが使っていたもの
父範夫さんは馬方衆の棟りょうでした
馬方衆とは馬を使って人や荷物を山へ上げる仕事をしていた人々
富士山では室町時代より500年の長きにわたって続く伝統ある稼業でした
明治30年あの文豪小泉八雲が富士山に登った際も手を貸したのが馬方衆でした
そんな彼らに変化が起きたのが今から50年前のこと
富士山レーダーの建設に伴い500tを超える資材の運搬を迫られたのです
そのとき馬を捨てブルドーザーの導入を決断した人こそが父範夫さんだったのです
うるせえな。
文句ばっかり言われてってなったけど一つだけ感心するのはよく当時今現在使ってる道を親父らが造ったなって。
38歳までサラリーマンだった伊倉さん
険しい道と知りながら父の後を継ぐと決めました
彼はあえて宿命を受け入れたのです
そんな彼に最近耳の痛い話が持ち上がっています
富士山の世界文化遺産登録に伴い父が造りあげたブルドーザー道が環境破壊だと非難の声が上がっているのです
伊倉さんの前に立ちはだかる現実
雪を削り道を通さなければ人も荷物も上がれないというのに
そうこう言ってるうちに…
大変。
前を行くパワーショベルに異変が
17tの鉄の塊が滑り落ちてくる
ことし夏のことでした
ことし6月。
馬方衆の末裔伊倉さんが雪と闘っていました。
標高3,000m地点
17tのパワーショベルが滑り落ちてきます
どうする?伊倉さん
危険を見極めることこそ本能のなせる業です
伊倉さんはすぐに作業の中止を決断しました
7月1日。
無事私が与えた試練を乗り越え山頂まで道を開いてくれました
馬を捨てブルドーザーを導入した馬方衆
彼らがいなければ私の夏は始まりません
開山後ここからが大忙しの日々の始まりです
大量の荷物や人を乗せ毎日頂まで往復します
(伊倉)これ全部はかったの?
(男性)どれですか?
(伊倉)リュック全部はかった?
(男性)リュックはかってません。
馬方衆の末裔伊倉さん。
気が立っています
そんな中ひときわ幼い少年がいました
孫の廉人君です
カワイイ孫が後を継ぎたいと言いだしたのです
(廉人)おじいちゃんの仕事のこと話すとやっぱ「いいじゃん」「すごいじゃん」って周りに言われて。
(スタッフ)自慢のおじいちゃん?
(廉人)はい。
(スタッフ)カッコイイなと思うの?
(廉人)はい。
(伊倉)手伝いというか見習いもいいとこだな。
危なくてしょうがねえ。
危なくてしょうがねえ。
伊倉さんには娘が2人
馬方衆の誇りは形を変えて受け継がれていくようです
(スタッフ)あと何年ぐらいって?
(伊倉)ないね。
今んところ。
廉人君。
私は厳しい女よ
おじいちゃんみたいについてこられるかしら?
ある日伊倉さんのブルドーザーにこわもての男が乗っていました
この人こそ私の3番目の恋人なんです
夏は毎年たくさんの登山客でにぎわいます
私には山頂に続く登山ルートが4本あるのをご存じですか?
そのうち一番の難ルートは何といっても御殿場ルート
最も距離が長く見渡す限りの荒れた砂地
月面みたいでしょ?
一歩一歩砂に足を取られ体力が奪われます
その道を歩くこと6時間
最初に到着するのが…
自他共に認める富士山一のぼろ小屋です
(スタッフ)こんにちは。
(一同)こんにちは。
お疲れです。
(スタッフ)こんにちは。
こんにちは。
来ました。
この小屋の主人が橋都彰夫さん
実は元警察官なんです
休業していた小屋を借り受け4年前たった一人で営業を始めました
そんな橋都さんにほれ込んだ風来坊たちがいつの間にか手伝い始め夏の間居着くようになりました
橋都さんのモットーは金よりもてなし
利益は出なくても料理に手は抜きません
具材たっぷりのカレーは何度でもお代わり自由
しかもデザートに本格スイーツまで頂ける
パティシエの肩書を持つスタッフが腕を振るいます
おいしい。
もちもちでおいしいワッフル食べたの初めて。
(男性)お世話になりました。
(一同)ありがとうございました。
(女性)また帰り寄るから。
(一同)お待ちしてます。
いってらっしゃい。
あれ?でも肝心のあるじの姿が見えませんね
実は大変なことになっていたんです
七合目でぼろ小屋を営む元刑事
橋都さんが病院にいました
冬の間働いていたスキー場で3階の屋根から転落
瀕死の重傷を負いました
両手両足の骨が砕けた四肢粉砕骨折
普通の人なら確実に死んでいたといいます
でもさすがは元警察官
鍛え上げた肉体のおかげで一命を取り留めました
そんな彼が完治もしていないのに退院していました
(スタッフ)大丈夫ですか?
(橋都)うん。
まあこんなもんで。
あした山へ行くというのです
(橋都)あそこは職場だから別に山の部類に入ってないというか。
夏の自分のうちでもあるし。
うちへ帰るだけなんだなって。
それだけのつもりで…。
そんな息子を母は心配していました
(道子)見るのつらいからね。
母にとって自慢の息子のはずでした
優秀な警察官だった橋都さん
機動隊や刑事を歴任
銀行強盗を逮捕し表彰されたこともあります
そんな橋都さん。
厳しい訓練のさなかある光景を目にしました
それが橋都さんの人生を大きく変えたのです
(橋都)翌日目が覚めて…。
辞めてやろうと。
山小屋やろうと。
何と突然警察を辞めたのです
(スタッフ)周りの人にも相談は?女房にその日の朝に言っただけだよ。
辞めるよって。
起きてきたとこ言ったから何だか分かんなかった。
(スタッフ)それはやっぱり突然?お母さまも突然?
安定した職を突然捨てた無鉄砲な息子
何を言っても「もう決めた」の一点張りでした
4年たった今も奥さんはまだ許していないそうです
そりゃそうよね
(橋都)じゃあ行ってくるよ。
行ってくるよ。
家族を振り回してまで山に行くのはなぜなの?
ぼろ小屋の元刑事さん
大変なお荷物で困っちゃうね。
馬方衆の末裔伊倉さんに頼み込みブルドーザーの荷台に乗せてもらいます
(一同)あとずって。
後ろへ。
よいしょよいしょって。
よいしょ。
いつもは豪快な伊倉さんも心配そう
あるじを心配したスタッフも山を下りて付き添いに来ています
(橋都)何とか間に合ったよ。
もう7カ月。
刑務所入ってるようなもんだよあれ。
みんなを振り回して一人上機嫌
ホント自分勝手な人
ブルドーザーに揺られること1時間半
わらじ館が見えてきました
懐かしい風来坊たちが主人の到着を待っていました
子供のようにはしゃいでいました

(スタッフ)帰ってきましたね?
(橋都)うん。
夢の館
もう二度と来られないかもと一度は覚悟したわが家です
(従業員)おかえりなさい。
どこ座ります?こんなに狭かったっけか?
久しぶりに見るとなぜか小さく感じました
橋都さんには何よりも先に確認したい色があったのです
(橋都)この色だよね。
(橋都)ふっと振り返って山頂がぽんと抜けてるときが好きなんだよね。
藍色なんだよね空がね。
下で見る空の色と全然違うっていうのがたまんなくいいんだよ。
ぼろ小屋の元刑事が私に夢中な訳
それは私のこの景色
次は早速お客さんの相手です
警官時代は若者たちと自由に戯れるなんて無縁だった橋都さん
(従業員)そうですね。
いいと思います。
誰が敵で誰が味方か常に見極めなくてはならない厳しい世界
緊張の連続でした
警官時代の部下が遊びに来ていました
(スタッフ)どういう上司の方だった?
(男性)厳しい方でした。
貫禄っていうかそういうのがあったんですけど。
何か山小屋に来てから全然人間が変わっちゃったような。
(一同)ありがとうございました。
また来ます。
(スタッフ)ありがとうございました。
(スタッフ)警察時代の人も来てくれるんですね。
(橋都)ああもう。
警察を辞めたことを後悔してないと言えば嘘になるかもしれません
自分でも最後まで警察官やるのは意味があることかなとも思ってたんだけど。
ただ1回の人生だからできれば別のこともしてみてえなって。
仕事の合間に山小屋のいろんな小屋の親父さんと話をしたり。
小屋をふっとのぞいたら半分居眠りしながらストーブにまきを入れてたんです。
それを小屋の外から見てね…。
そのときふと思ったんです。
たったそれだけがきっかけで人生を変えたんですこの人
世のためでも人のためでもない
ただ自分だけのために
無鉄砲な夢追い男。
でも私は好きなのよね

あのトイレの神様に私はすてきなプレゼントを用意していました
9月半ば。
もう冬支度。
私は閉山間近です
この時季の夜明け前山頂にいるのは冨田さんただ一人
(冨田)参ったな。
凍っちゃった。
下界はまだ夏の暑さが残るころ
(冨田)寒い寒い寒い。
寒いっす。
寒さと孤独と向き合い続ける彼に私は取って置きのプレゼントを用意しました
(冨田)雪。
雪が積もってる。
(冨田)雪が積もってますよ。
私は静かに雪化粧を始めました
そこへ…
若者たちがやって来ました
(冨田)友達ですか?どうもどうも。
(冨田)さっき友達になったの?
(男性)僕初登山がここなんです。
(冨田)今幾つなの?年。
(男性)19です。
無謀な冒険の真っただ中
(冨田)今日Tシャツで来た人は死ぬね。
(冨田)うわー。
バカだ。
レインコートの下はTシャツ。
足元には素肌がのぞいています
僕らは日本をヒッチハイクで一周してるんです。
(スタッフ)そうなんですか?
(冨田)楽しそうだね。
そのときに富士山を登りたいなと思って。
(スタッフ)一番しんどい?
(男性)御殿場から来たんですけど。
めっちゃしんどいです。
(冨田)じゃあね。
気を付けてね。
(男性)ありがとうございました。
あったかぁ。
(冨田)こけないように。
「山の厳しさを知らない愚かな小僧たちめ」
そう叱りたい気持ちもありました
でも冨田さんは思い出していたんです
自分にできないことはないと信じ青春を謳歌していたあのころ
俺の人生間違ってなかったよな
(一同)バイバイ。
(冨田)バイバイ。
完全に打ちのめされてなくしてましたからねそういうものを。
それが…。
自分の居場所ですよね。
たかだかホントに一つの山の上で排せつするっていうだけじゃない。
そっからつながりがまた出てくるっていうね。
富士山と共に生きる男たち
人に流されずこうと決めた道を突き進む男たち
だけど橋都さん
男のロマンもいいけれどそれで食べていけるの?
伊倉さん。
本当は優しいんでしょ?
冨田さん。
この仕事は好き?
人にはやりたくないっすね。
渡したくない。
死ぬまでやりたい。
人生はたった一度きり
だからこそわがままに思うとおりに生きてもいいんじゃないですか?
皆さん。
初夢でお会いしましょう
2015/05/30(土) 04:01〜04:51
関西テレビ1
愛しき男たちよ〜富士山は見ている〜[字]

富士山を守る3人の男達。トイレの管理人、元刑事の山小屋経営者、馬方衆の末裔。哀愁を帯びた男の人生と富士山が見せるさまざまな表情を織り交ぜて送る。

詳細情報
番組内容
 古来より人々を魅了し続けてきた山、富士山。世界文化遺産登録に沸く日本最高峰の山で働く3人の男たちに密着取材した。
 遠目から愛でる美しさも、一生に一度、登る感動もない。富士山で働く男たちにとって、富士山で生きることは、すなわち容赦ない自然と向き合うことだ。それでも彼らが富士山にこだわる訳は何なのか。好き嫌いということを超えた、そこで生きることそのものが、人生である男たち…。
 ある男は500年の
番組内容2
歴史を持つ馬方衆の末裔という「宿命」を背負い、もがきながらも己の道を切り拓く。「世界文化遺産」のプレッシャーが、思わぬ形で男に重くのしかかる。その先に待つ未来とは一体何なのか…。
 また、ある男は破綻した元バブル紳士。バブル崩壊と共に壊れた自分自身の心に渦巻く「絶望」から逃れるため、日本の最高峰=最果ての地でもある富士山頂に辿り着いた。そこに「救い」は、あったのか…。
 もう1人の男は元マル暴の
番組内容3
刑事。ある日突然警察を辞し、富士山一のボロ小屋のオヤジになることを決めた。四肢粉砕骨折という瀕死の重傷を負いながらも執念で山に戻ろうとする。男が渇望する「夢」とは…。
 型破りでありながらも己に忠実に生きようとする男たちを、富士山は厳しく、しかしおおらかな懐に包み込む。ほぼ全編、様々な自然の表情を見せる富士山中で撮影、男たちの生きざまをじっくり見つめた異色のノンフィクション。
出演者
【語り】
寺島しのぶ
スタッフ
【チーフプロデューサー】
味谷和哉(フジテレビ) 

【構成】
李玉美(ハイクロスシネマトグラフィ) 

【プロデューサー・撮影・演出】
辻智彦(ハイクロスシネマトグラフィ) 

【制作協力】
ハイクロスシネマトグラフィ 

【制作著作】
フジテレビ

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ドキュメンタリー/教養 – インタビュー・討論

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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