よいしょ!わあ〜!知美ちゃんもう少し。
柴さんと西村さん何を頑張って坂道を上っているのかというと…?相当上ってきましたよ。
柴さん見て下さいよ!茶畑が波のうねりのように広がる斜面はまるで大海原。
ここは京都府の南にある宇治茶の産地。
旬を迎えた5月はお茶作りをする人々が待ち焦がれる季節です。
初夏の息吹と人々の高揚感に心弾ませた2人は思わずあの歌を…。
トントン。
今回の「えぇトコ」はお茶好きの2人が宇治茶を満喫!宇治茶の里で2人が見つけるのはお茶を通して触れる事ができる古きよき日本人の心です。
茶作り名人の技と誇りを支えるおもてなしの心とは?煎茶発祥の地で味わう郷土料理で感じた分かち合いの心とは?その背景には煎茶を発明した人物の情熱がありました。
ありがたいです。
本当に。
その思いは今も産地で大切に受け継がれています。
宇治茶と共に生きてきた人たちとの出会いだからこそ体感できる日本の心再発見の旅。
始まり始まり〜!2人が訪れたのは宇治茶の産地宇治田原町。
茶を生むという事。
こだわりっていうからよっぽどプロフェッショナルな方って事ですよね。
誰か聞いてみましょうかね?地元の方だったら詳しいんじゃないですか?ご家族ですかね。
あちらにいらっしゃるの。
こんにちは!あっ逃げられちゃいました。
ちょっと聞きたいんですけど…しもおかさん。
その方はすごいこだわりの名人の方なんですか?もうとにかく…地元の人が名前を挙げるしもおかきゅうごろうさんとは?こんにちは。
こんにちは〜。
よろしいでしょうか。
こちらが下岡久五郎さん。
お茶作り一筋50年の大ベテランです。
お邪魔致します。
早速出てきたのはお茶のもてなしセット。
この辺りではお客さんにはまずは一杯のお茶でもてなすのが習わしだとか。
はいありがとうございます。
ありがとうございます。
差し出されたのは小さな茶わんにぬるめのお茶。
またきれいな色で。
頂きます。
はあ〜。
これは…。
僕なんか普通…。
2人が驚いたのは飲み慣れた煎茶でした。
ほかに抹茶や玉露などがありますが訪れたのは煎茶の最盛期です。
ではどうしたらおいしい煎茶ができるのか謎解きのスタートです。
あっここで。
あららどうも。
こんにちは。
こんにちは。
すごい。
いい色してますね。
この日は快晴。
絶好の茶摘み日和です。
茶摘みは雨が降るとできません。
晴れの日に一気に行います。
特においしいお茶作りでは機械でなく今も手摘み作業なんです。
ここで西村さんさっき頂いた甘い煎茶の香りを確かめてみる事に。
おっ。
葉っぱのいい香りがするんですけどね口に広がってますけど。
頂いた煎茶が甘い訳はこの手摘みにあります。
皆さんの作業をよ〜く見てみると…。
どうやら先端の葉だけを摘んでいるようです。
へえ〜。
おいしい茶葉が出来るのには宇治田原町の気候風土も大きな役割を果たしています。
おいしい茶を育みます。
更に…下岡さんが受け継ぎ長年苦楽を共にしてきた茶畑。
旬を迎えると不思議な事にお茶の方から呼びかけてくるといいます。
あっ今年は…言ってます?はい言ってます。
お茶が話かけてくれるんですか?そうです。
そんな下岡さんですが50年間作り続けてきた今でも最高の味と香りを目指して努力を惜しみません。
お茶の匂い充満してますやろ。
ここでは蒸し揉み乾燥という作業を経て仕上げます。
ここで製品が決まると。
大切に育てた茶葉…そこでバルブを微妙に動かして蒸気の圧力を調整。
ここぞというタイミングで蒸気を逃がします。
蒸した葉を手で触り香りも嗅いで状態を確認。
蒸す時間はおよそ30秒。
しかしその日の具合でなんと1秒単位で蒸し時間を変えます。
50年の歳月が培った…結構熱いですよ。
蒸されたてだから。
匂いで下さい。
もう既に…蒸したあとは茶葉を揉みます。
これは味や香りを均一にするため。
それを乾燥させるとようやくお茶が出来上がります。
出来たての新茶を下岡さんのご家族と頂く事に。
お孫さん3人もいらっしゃるんですか?ええ。
へえ〜ウフフ。
こんにちは。
こんにちは。
恐縮でございます。
下岡さんが手間ひまかけて育て自らいれてくれる新茶。
あるじ自らいれる事が最高のおもてなしだといいます。
頂きます。
頂きます。
もうこんな離れててもすごいお茶の香りがしますね。
いやまたこれ…甘さが五臓六腑にしみわたる。
お茶を飲んで…私は思ってます。
感動してもらえないお茶はお茶ではない。
自分が作ったお茶をお客さんに喜んでもらうために一年かけて育てる下岡さん。
そこには…そんな下岡さんの職人魂を受け継ぐために息子さんもおよそ20年前から一緒に働いています。
頑張んなきゃ。
大きくなったら。
(笑い声)茶名人が大切にする究極のおもてなしの心は厳しいながらも家族の温かい絆で受け継がれようとしています。
この辺の?こんにちは。
ちょっと伺いたいんですけれども…「ながたにそうえん」って一体誰?それは地元の谷村さんがご存じでした。
私たちがよく飲む煎茶の発明者は宇治茶の産地にいました。
江戸時代にその一身を茶にささげました。
宗円は宇治田原の山あいの里で生まれ育ちました。
生家があった場所には地元の人たちによって資料館が建てられています。
宗円さんの生家。
ねえ〜。
わらぶき屋根ですよ。
貴重ですね。
どうぞ。
(2人)お邪魔します。
復元なんですね。
はい。
宗円の生きた江戸時代。
武士や貴族が飲むのは高価な抹茶。
一方庶民は質の悪い茶葉を火で煎って作る味も香りも薄い粗末なお茶を飲んでいました。
それを憂いた宗円は庶民でも気軽に楽しめるおいしいお茶を作る事を決意。
作るのに一手間かかりますが庶民にも手の届く安くておいしい煎茶が出来上がったのです。
それだけ違うて…おいしいお茶を…煎茶の製法を独り占めする事なくほかの産地にも広めてお茶を庶民のものにした宗円。
こうした宗円の功績をたたえた神社が資料館の近くにあります。
ありがと。
ありがと。
お願いします。
煎茶の発明者宗円が大切にした分かち合いの精神は今も人々の尊敬を集めています。
煎茶発祥の地では茶摘みの合間に家族や仲間が一緒に食べる郷土料理が生まれました。
それは…。
(2人)茶汁!?そんな茶汁を谷村さんのお仲間と共に作って頂く事に。
材料は畑で育てた身近な野菜。
せ〜の…うん!いいですねまたスーパーで買ってくるのと全然違いますね。
ほかにほうれんそうみそかつお節とろろ昆布。
そしてにしんの干物をだしや塩気として使います。
じゃあこれから作りましょう。
はい。
鍋にみそを入れねぎとほうれんそうを加えます。
更ににしんとかつお節を入れてそこに流し込むのは熱々の京番茶。
これで茶汁が完成です!果たしてそのお味は?京番茶は一般的な番茶よりも香ばしくあっさりしていて子どもでも飲みやすい番茶です。
やっぱりこうやってね…はんちゃっていうんですか?ここで拝見したのが戦後手作業で茶摘みをしていた貴重な写真です。
おきれいじゃないですかおかあさん。
お若い。
ねえ!結構大人数で…。
1234…2030名ぐらいいますね。
煎茶発祥の地にはみんなで共に茶を作りながら苦楽を分かち合う心がありました。
宇治田原町を出た2人は隣の和束町へ。
はい。
そうでしょ?もう一面緑っていう何か本当に…こんにちは。
あっこんにちは。
どうもすいません。
和束町の景色に魅せられ趣味で写真を撮影している宮村さん。
ほかの町から足しげく通い続けている方です。
実は宮村さんと出会った場所も茶源郷の一つなんだとか。
そうなんですか?それをちょっと…。
これちょうどここの所です。
えっ!?え〜きれい!本当に雲海ですね!この雲海は5月の晴れた日の朝に撮影したもの。
宮村さんは春夏秋冬にさまざまな表情を見せる茶源郷の美しい瞬間を求めて撮影し続けてきました。
(宮村)今こうしてても……という事は分かってるんですけどそれでもやっぱり…2人は早速宮村さんに教えてもらった場所を目指します。
柴さんは和束町の中でも一二を争う絶景円形の茶畑を見に行く事に。
どんなにすばらしい景色なんでしょうか。
和束町の原山という地区にやって来た柴さん。
聞いてみますかね。
あそこの…このね上がられて。
あっそうですか?すいません。
地元の方の親切さに思わず感激の柴さん。
どうもすいません。
どうも。
見てこれ!これ見たらもう上がるの嫌になっちゃった。
67年間。
アハハハハ!うれしそうな顔して!最高ですか。
地元で70年近く過ごした方が誇りに思う町和束町。
この町では…坂道を歩く事15分。
いやっ!うわ〜!なるほどねえ。
鮮やかな緑の波模様。
円形の茶畑は斜面を利用したすり鉢状の作り。
狭い土地の中で地形に沿って茶畑を作っているうちにこのような形になったといいます。
斜面を切り開き茶を育てる農家の営みによって生まれた茶源郷。
ここには日本の古きよき原風景が残っています。
茶源郷は人々の心のよりどころとなる風景として暮らしに息づいています。
一方の西村さんは和束町の石寺という地区へ。
古くから使われているユニークな茶作りの道具を持っている農家があると聞き探す事に。
あらっ。
ちょっとお邪魔しましょうか。
こんにちは!こんにちは。
あら〜。
こんな所で会えるなんて!会合場所!金曜で肉の売りはる日やねん。
今肉な売りに来はってたけんな…ちょっとお伺いしたいんですけれども…あるわ!お名前は?もとやさん。
そうなんですか。
じゃあちょっと伺ってみたいなと思うんで。
本当ですか?じゃあすみませんお邪魔しました。
皆さんお元気で〜。
(拍手)茶作りの長い歴史を持つ和束町。
ここでは今も残る古い道具から…あっさっきおかあさん方がおっしゃってた方ってあの方ですかね?こんにちは!あっこんにちは!どうも。
ちょっとね機械の行かないとこをね…昔はこればっかりで使てたんですわ。
昔の道具です。
このハサミは分かるんですけどこれ何かくっついてますけどこれ何ですか?本当そうですよね。
そこで西村さんもやってみる事に!カチカチとハサミみたいなもんです。
カチカチと。
あ〜!あっこれは結構…いいですか?はいどうぞ使って下さい。
こんな素人が切っちゃっていいですか?大丈夫ですか?いいですね。
今にも通じる知恵がある古い道具。
この地区にあるのはハサミだけではありません。
それがこちら。
茶葉を入れるかごとてんびん棒です。
30キロ30キロで…。
これはね昔…3キロの距離を!?はい。
上って上って…。
もう若い時やからできたんですけどねもう今やったらとてもとてもこんな事はできないです。
うわ〜っ。
でおとうさん…これ棒ですよね?はい棒です。
何か使いみちが?えっ!?例えばこうやって運んでる時に山賊とかが出てきた時にこの棒で…。
いやいやいや…。
え〜分かんないですね。
何でしょうね?果たして…急斜面で重い茶葉を運ぶ途中かごを担いで立ったまま休めるよう生まれた…西村さん60キロもあるけど大丈夫?あ〜ちょっと待って!アタタタタッ!これ肩結構痛いですね。
うわ〜!あっもう肩が…。
いや〜相当な…大変な仕事で本当にね昔は…。
でもこういうねつっかえ棒を使うとか…そうですね。
いや〜本当に長年ご苦労さまでした。
本当に。
古くから使われてきた道具。
そこからは厳しい環境で懸命に茶作りを続けた人々の姿がかいま見えました。
例えばね渋みであるとか…そうですよね。
あちらにあれ茶畑ですよね?フォーリナーですね。
ちょっと行ってみますか。
茶畑に集まる外国人。
なぜこんな場所に!?皆さんは日本の茶文化に引かれて来日。
和束町でインターンとして勉強しているんだとか。
今ね僕らは…大体みんなそうなんですけど…この地元の…和束町の茶を製造販売しているこちらの会社では4年前から外国人インターンを受け入れています。
面白いと思いますよ。
お邪魔します。
どうも。
働いてらっしゃる方が。
Howareyou?こんにちは。
Verygood,thankyou!この外国人女性は実はインターンではありません。
社員として働くシモナさん。
ヨーロッパのリトアニア出身です。
仕事の内容はなんと和束町のお茶を30か国以上に輸出する事!年々輸出を増やしているんだとか。
それをきっかけに茶道を習うようになったシモナさん。
日本にはお茶の背景にヨーロッパとは異なる独特の文化がある事を知り更に興味を抱くようになりました。
よく勉強してるね。
一つだけ教えましょう。
今では日本の伝統的な着物や住まいなどに秘められた質素の中にある豊かさのとりこになったというシモナさん。
その入り口となったのがお茶だといいます。
旅の中での一期一会。
そこには外国の方に改めて気付かせてもらった日本人が大事にしてきた侘び寂びの心がありました。
続いては「茶育で紡ぐおもてなしの心」。
あれここは…。
何でしょうね?カフェって書いてますよ。
ちょっと面白いから行って聞いてみますかね。
こんにちは。
こちらは和束町のお茶を使った商品を扱うカフェ。
なんと130種類ものお茶を販売しています。
こんにちは。
こんにちはどうも。
どうもこんにちは。
日本茶インストラクターの松石さん。
茶育って何ですか?子どもにするんですか?はい。
大人にはしてくれないんですか?大人にも一緒に。
大人にもしてくれるんだ。
茶育指導士松石さんは関西の学校や講演会に出向いてお茶で心を豊かにする活動を行っています。
松石さんは地元和束町の中学生にも教えています。
こちらでは農家から借りた茶畑で中学生がお茶作りを一から体験。
自分たちで育てたお茶を地元の人々に振る舞います。
松石さんはこうした取り組みを助けながらおもてなしの心を育む事に努めているんです。
そんな授業に柴さん西村さんも参加。
この日のテーマは…。
ここで松石さんに教えてもらったおいしいお茶のいれ方をご紹介!皆さんご参考に!自分の体温より少し温かいのが目安です。
この15秒がうまみがしみ出すちょうどいいタイミングです。
果たしてそのお味は?う〜ん。
(松石)いかがでございましょう?おいしい。
僕おいしい?うん。
おいしい?松石さんはお茶のおいしいいれ方だけを伝えている訳ではありません。
急須でお茶をいれる時に待つ時間も日本人のおもてなしの心を育むために大切だと教えています。
こういう活動を致しております。
本当にねあんなにおいしくお茶が頂けるとはもっと早くに私は習いたかったなというふうに思いましたけれども。
いい事言うて頂きました。
まあ僕はそういうふうに思います。
感動してもらえないお茶はお茶ではないという信念の名人が一年かけて準備する究極のおもてなし。
庶民においしいお茶を飲んでもらいたいと永谷宗円が育んで広めた分かち合いの心。
宇治茶の里で触れる事ができたのは古きよき日本人の心です。
お茶を飲むのはおいしいですけれども…僕もそれを感じます。
それとね…それが日本に広まって。
それだけじゃなくて…優しさとかね。
なるほど。
今日は感じましたね。
そうですね。
ありがとうございました。
ごちそうさまでした。
2015/05/29(金) 20:00〜20:45
NHK総合1・神戸
えぇトコ「京都・宇治茶が育む“和”の心」[字][デ]
初夏、最も忙しい時期を迎える宇治茶の里。極上の茶を生む名人の技を堪能し、茶を使う郷土料理に舌鼓。茶と共に生きる人の営みを通して日本文化の奥深さを体感する旅。
詳細情報
番組内容
今回の旅の舞台は初夏に最も忙しい時期を迎える宇治茶の里。丹精込めて育てた茶葉を極上のお茶に仕上げる名人の技を堪能。日本人になじみ深い煎茶を開発した偉人の心に触れながら、郷土料理に舌鼓。茶畑が広がる絶景に癒やされた後は、古くから伝わる茶作りの道具に込められた先祖の知恵を体感。そして、急須にお湯を注ぎ、お茶を待つ時間の豊かさに、心和む時を満喫します。宇治茶を通して、日本文化の奥深さを実感する旅です。
出演者
【出演】柴俊夫,西村知美,【ナレーション】島よしのり,橋本のりこ
ジャンル :
バラエティ – 旅バラエティ
情報/ワイドショー – グルメ・料理
趣味/教育 – 旅・釣り・アウトドア
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