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ORIGINAL LOVEが語る「今の状況は渋谷系の頃と似てると思う」

インタビュー・テキスト:金子厚武 撮影:豊島望(2015/06/02)

ここ数年のインディーシーンにおけるポップスのブームを牽引してきたceroが新しいフェイズを示した素晴らしい新作を発表し、彼らの作った磁場ともリンクしつつ、よりオーバーグラウンドを目指すShiggy Jr.がメジャーデビューを果たすその中間で、ORIGINAL LOVEの新作『ラヴァーマン』がリリースされるということには、とても意味があるように思う。1960~70年代のソウルなど、ブラックミュージックをベースにしつつ、ときにはワールドミュージックを大胆に取り込むなど、折衷的なサウンドを展開しながら、あくまでポップスを追求してきたORIGINAL LOVEは、まさに上記2バンドの大先輩にあたる存在。そして、彼らが示しているのは、アーティスト性を重視するのではなく、楽曲そのものの構造的な面白さこそを重視しようという、時代の移り変わりである。

『ラヴァーマン』の最大のトピックは、1994年発表の名盤『風の歌を聴け』のリズム隊である佐野康夫と小松秀行の18年ぶりの参加であり、素晴らしいファンクネスを聴かせてくれるということ。ただ、田島貴男がこの方向性を選んだのは、Negiccoへの曲提供をはじめ、ポップスを志向する若手との交流があったからこそである。そして、本作において田島は、近年行っている一人でのツアーの経験を基に、元来のプレイヤー的な資質をより強めることで、独創的でありながらも極めて洗練された、ORIGINAL LOVEにしか鳴らせないポップスを見事に作り上げてみせた。田島は最近影響を受けた映画として『バードマン』を挙げ、その主人公をドン・キホーテに例えたが、田島貴男こそが日本のポップス界におけるドン・キホーテなのだと言っても、決して大げさではないだろう。

PROFILE

ORIGINAL LOVE(おりじなる らぶ)
1966年4月24日、東京生まれ。1985年冬、田島貴男を中心に前身バンド「レッドカーテン」を結成。1987年にバンド名を現在のORIGINAL LOVEに改名。現在は田島貴男のソロユニットとして活動。1991年6月にシングル『DEEP FRENCH KISS』でメジャーデビュー。同年末にリリースの1stアルバム『LOVE! LOVE! & LOVE! 』は日本レコード大賞ニューアーティスト部門を受賞。1993年の5thシングル『接吻』が、日本テレビ系土曜グランド劇場 『大人のキス』 主題歌に起用され、大ヒットを記録する。1994年発売のアルバム『風の歌を聴け』はチャート1位を獲得。近年では、サントリー角ハイボールCMで「ウイスキーがお好きでしょ」を歌唱。ドラマの主題歌やCM音楽の担当、アルバムプロデュースなど、その活動は多岐に渡る。2015年6月10日、17thアルバム『ラヴァーマン』を発売。
ORIGINAL LOVE OFFICIAL WEB SITE

スタンダードとして残る曲って、すごくいい曲だけど、謎が隠されていて、その謎はきっと人間の本性みたいなものなんです。

―『ラヴァーマン』には『風の歌を聴け』以来18年ぶりに、佐野康夫さんと小松秀行さんのリズム隊が参加しています。まずはこの起用の理由について話していただけますか?

田島:このアルバムの発端となった曲が“ラヴァーマン”なんですけど、実はこの曲は6~7年前ぐらいに書いた曲で、手応えを感じていたので、ずっと温存してたんです。そんな中、一昨年くらいにスタッフから、「『風の歌を聴け』の頃のサウンドを、新曲として求めてる人は多いですよ」っていうことを言われたり、あとここ最近「ネオ渋谷系」と呼ばれる若いミュージシャンの存在を知ったり、ソウルミュージックを聴く若い人たちが増えているということを知ったりして、この曲のリリースタイミングは今なんじゃないかと思い、久々にこのメンバーでレコーディングをしようと思いました。



―2011年に発表した『白熱』はすべてお一人でレコーディングをされていましたが、今再び生バンドの肉体性を求めたということでしょうか?

田島:『白熱』は、「もうアルバムの時代じゃない」と言われる中で、ミックスからマスタリングまで一人で全部やってみた作品だったのですが、今回はスタジオミュージシャンを使って、メジャーで大ヒットしているサウンドプロダクションと同じクオリティーのサウンドを作ろうと目指しました。もちろん、ORIGINAL LOVEの一番の強みは肉体性で、『風の歌を聴け』はまさにその強みが出た作品だったので、そういうことをやろうという意図もありました。

―まさに、今回の作品は生バンドならではのグルーヴに溢れていますね。

田島:このアルバムは、もう1回真正面からポップスを、ヒット性のあるアルバムを、思いっ切り作ってやろうと思って取り組んだんです。実際ヒットするかは別として(笑)、たくさんの方に聴かれるポップスの商品を作ろうとしたってことですね。

田島貴男
田島貴男

―『風の歌を聴け』の当時も、「ポップスを作る」ということが一番の目的だったと言えますか?

田島:はい、それは変わってないです。ただ、ポップスという言葉には幅があり過ぎる。僕の言い方で言うと、「わかりづらいポップス」を作りたいんですよ。スタンダードとして残る曲って、すごくいい曲だけど、謎が隠されていて、その謎はきっと人間の本性みたいなものなんです。僕はそういう何年も聴けるスタンダードが大好きで、PIZZICATO FIVEをやってた頃から、そうした曲はどういう構造になってるのかということばかり考えてきました。Facebookで「いいね!」されても、次の日には忘れられるようなものではなくて、何年経っても「この曲はここがいい」って感じられる曲が、僕がポップスに見るロマンであって、曲を書く上でもそういうことを求めてるのは昔から変わってないんです。

―簡単に消費されない、聴くたびに発見があるスタンダードを作りたいと。

田島:スタンダードになる曲と、そのときは大流行したけど、何年か後には全然聴かれなくなる音楽があるわけで、その違いは何なのかをずっと問うているというのかな。例えば、“Stand By Me”と同じ時期にヒットした曲はいっぱいあるはずなのに、ほとんど忘れ去られてしまっているわけですよ。なぜ“Stand By Me”は今に残ったのか? なんとなくでも、いつもそういうことを念頭に置いて曲を作りたいという気持ちはあります。


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