<タリウム事件>薬局捜査 宮城県警不十分か
劇物の硫酸タリウムを同級生2人に飲ませたとして、殺人未遂容疑で名古屋大の女子学生(19)=宮城県出身=が再逮捕された事件で、宮城県警が「捜査の柱」と位置付けるタリウム購入ルートについて、河北新報社が仙台市内の毒劇物を扱う薬局など全94店に県警から照会があったかどうかを聞いたところ、約7割の店が「照会はなかった」と回答していることが1日、分かった。「照会があった」と答えた店はなかった。県警の初期捜査が不十分だった可能性があり、女子学生を容疑者から外した根拠が揺らぎそうだ。
河北新報社は、県警が販売履歴を照会したとする仙台市内の毒劇物を取り扱う薬局とドラッグストア94店に取材。被害者の男性(19)がタリウム中毒と診断されて市内の警察署に相談した2012年12月から、女子学生が殺人容疑で逮捕されることし1月までの間、県警からタリウムの販売履歴に関する照会があったかを聞いた。
その結果、94店の約7割に当たる64店が「照会はなかった」と回答。「覚えていない」「無回答・不在」が30店だった。宮城県と仙台市によると、県内の毒劇物取扱店数はここ数年、大きく変動していない。
県警の板宮伸司捜査1課長は1日、取材に「基礎捜査の段階で市内の大半の薬局に当たった」と説明した。横内泉本部長もこれまで「捜査に抜けた部分はなかった」としてきた。
県警が販売履歴を照会したと具体名を挙げたドラッグストアの全国チェーンの担当者は「県内外の全店について履歴の照会はなかった」と断言した。
河北新報社は、県薬剤師会や県毒劇物協会など県内の業界5団体にも聞いた。いずれも県警から照会の有無について「なかった」と回答した。
県薬剤師会の幹部は「毒劇物を販売した店は客の氏名や住所を書面に残し、5年間保管する義務がある。どこかの店が照会を受けたという話は全く聞こえていない」と話した。
県警は女子学生が容疑者として浮上しなかった理由の一つに、犯行現場の仙台市内にある毒劇物取扱店にタリウムの販売履歴を照会したが、購入先を解明できなかったと説明している。
2015年06月02日火曜日