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 物価による影響を差し引いて賃金の実力をみる実質賃金指数が、4月は前年4月より0・1%増え、2年ぶりにプラスに転じた。厚生労働省が2日、毎月勤労統計(速報)として発表した。春闘や人手不足を背景に賃金が伸びたうえ、消費税率が8%に上がってから1年が過ぎ、物価を押し上げていた増税の影響が薄れたことが大きい。

 パートを含む労働者がもらう1人あたり平均の現金給与総額は、前年4月より0・9%増の27万4577円。上昇率が、実質賃金指数を計算する際に使う物価の伸び(0・8%増)を上回った。過去2年間にも現金給与総額が増えることはあったが、実質賃金指数は前年4月以降は2~4%減と落ち込みが続き、「物価上昇に賃金が追いついていない」と指摘されていた。

 4月の現金給与総額を業種別にみると、労働者の2割近くをしめる卸売業・小売業は0・3%増、飲食サービス業などが1・2%増、運輸業・郵便業が2・7%増などと、多くの産業で前年を超えた。製造業は賞与などがマイナスになり、0・5%減だった。