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幼い頃に愛読していた昆虫図鑑に「ツルグレン装置」なるものの作り方が載っていた。
なんとその装置を使用すれば、顕微鏡を使わなければまともに見えないほど微小な虫を土の中から採集することが出来るらしい。とても面白そうだが、当時の僕には「土壌動物装置の自作」なんてハードルが高すぎるように思えた。そもそも顕微鏡も持っていないから採っても観察出来ない。 …だが20年以上の時が経ち大人になった今なら、まあなんとか出来るのではないか。 > 個人サイト いきものいきもの エイリアンのつかまえかた 土を集めるまず、ツルグレン装置で処理を行う土を集める。
花壇や草むらの土でもいいらしいが、せっかくだからここは森の地面に広がる腐植土を使ってみよう。そっちの方がなんか色々いそうだし。 いかにも土壌の豊かそうな照葉樹林の土をチョイス
林床に積もった落ち葉は分解されて、微小動物の好む腐植土となる。
500mlほど採取。実験後に観察した生物とともに元の場所へ返す。
落ち葉をかき分け、その下に溜まった土を採取する。森の香ばしい匂いが生物の存在を予感させるが、一見した限りは特に何も見つからない。大丈夫かこれ。
制作時間は5分おいおい、まだ装置自体が無いのに土を集めるなんて順番が逆じゃないか。
そんな読者の声が聞こえてくる。確かにその通りなのだが、実際はたいした問題でもない。 なぜなら、ツルグレン装置の製作にかかる時間なあっという間だからだ。 ではその一部始終を見ていこう。 ツルグレン装置の材料たち
今回用意した装置の材料は画用紙、電気スタンド、ふるい、コップ、そしてキッチンペーパーである。特に変わったものは必要無い。
ノッポさんやわくわくさんでもたいしたものは作れそうにないラインナップであるが、これでいいのだ。あの頃読んだ図鑑が正しければ。 画用紙を丸めて漏斗状にする
漏斗の内側にふるいをはめ込む。今回は網の目が2ミリ程度の物を使用。
画用紙で漏斗を作ってふるいをはめ込み、湿らせたキッチンペーパーを入れたコップに刺す。さらに漏斗を上から照らせるように電気スタンドを配置すればツルグレン装置の完成である。
うわ、二行で作り方の説明ができてしまった。実際、たったの5分で製作も終わってしまった。 見た目がチープすぎる。
何とも言えぬ安っぽい装置が部屋の中に鎮座している。
でもまあ、小学生の自由研究感があってこれはこれで良い。 電気スタンドには必ず白熱球を使用する。LED球はNG。
ただし、これは経費を削減して必要最低限の機能を確保した簡易版のツルグレン装置である。本格的な物はもう少しハイテクでサイエンスでメタリックでラボラトリーな雰囲気を醸し出していて格好がいいのだ。
まあ、電球+漏斗+ふるい+受け皿という基本的な構成は変わらないのだが。 光と熱であぶり出すさあ、さっそく装置を使ってみよう。
漏斗に土を注ぎ、スタンドの電源を入れる。このとき「ツルグレン装置、起動!」と心の中で叫ぶと一瞬盛り上がるけど、電球が点いた瞬間にとてもむなしくなるのでおすすめだ。 ジリジリと照らされ、熱される土。紙で漏斗を作る場合は火事に注意。
漏斗を照らす電球は熱を放ち、炙るように土の水分を奪っていく。
察しの良い人ならもう分かったかもしれない。この装置は光や熱、あるいは乾燥を嫌う土壌動物を土中から追い出し、受け皿であるコップに集めるものなのだ。 実験終了後に回収したキッチンペーパー。一見、何もいないようだが…。
数時間かけてあぶり出し作戦を敢行したら、コップの中からキッチンペーパーを取り出す。
ここに1?2ミリ、あるいはそれ以下の微小な動物達がうごめいているはずなのだが。 ハンディー顕微鏡を持ち出したが、あまり役に立たなかった。
よく目を凝らすと、確かに何やら小さな物体がちょこちょことキッチンペーパー状を動き回っている。おお、本当に採れてるぞ。
急いで携帯顕微鏡で観察を試みるが、対象が動き回るのでとても観察出来ない。 仕方ないので、デジカメの拡大機能で代用する事にした。 オリンパスのTG?3というカメラ。顕微鏡モードという撮影機能がある。
1?2センチしかない昆虫のすね毛まで撮れる。これなら顕微鏡代わりになるかも。…言っておくが、僕はオリンパスの回し者ではない。
拡大接写モードに設定したデジカメでキッチンペーパーを撮影すると、想像以上に素敵な世界が写し取られていたのだった。
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