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 中国国営新華社通信によると、1日午後9時半(日本時間同10時半)ごろ、湖北省荊州市監利県の長江で、乗員乗客458人が乗っていた大型客船が転覆、沈没した。武装警察などの救助船や漁船など100隻以上が捜索に当たり、2日午前までに10人の生存が確認された。ただ、救助活動は難航しており、犠牲者が多数に上る恐れがある。

 国営中央テレビによると、救助された船長らは「急な竜巻に襲われた」と話している。転覆した船内から救助を求める人の反応もあるという。400人余りの残りの乗客の安否は依然不明だ。

 現場は湖北省と湖南省の省境を流れる長江中流域。江蘇省南京から重慶市に向けて航行していた大型観光船「東方之星」(定員534人)が転覆し、水深約15メートルの川底に沈んだ。

 乗船者のうち、乗客は406人、ガイドなど随行員5人、船員47人。団体でツアーに参加した高齢者が多いとの情報もある。外国人が含まれているかは不明。

 長江の景観を、船でクルーズしながら楽しむ「三峡巡り」は人気の観光ルートで、日本人観光客の間でも知られている。

 在北京の日本大使館によると、日本人が乗っていたとの情報は入っていない。

 中央テレビによると、救助された船長は「竜巻に遭って船が激しく揺れ、傾いて沈んだ」と話し、転覆までには一定の時間があったとしている。

 一方、通信社の中国新聞社は、長江海事局幹部の話として、客船は竜巻に遭ってから1~2分で転覆。乗客の多くは船室で休んでおり、客船から救助を求める信号なども出されていなかったとしている。

 転覆した「東方之星」は1994年に建造され、客室部分が4階建てで、全長76・5メートル、船幅11メートル。重慶市の「重慶東方輪船公司」が運航していた。

 習近平(シーチンピン)国家主席は国務院(中央政府)と湖北省、重慶市などが救助活動に全力を挙げるよう指示。2日朝、李克強(リーコーチアン)首相らが現地に向かった。(武漢=金順姫)