2013年 03月 19日
Dスコアの算出方法 |
Calculation of D-Score
体操競技における演技の決定点はDスコアとEスコアの合計によって算出されます。DスコアはDifficulty、すなわち演技内容の難しさを表したもので、EスコアはExecution、すなわち演技実施の完成度を表しています。2006-2008年ルールではそれぞれAスコア、Bスコアと呼ばれていましたが、基本的には同じものです。
このDスコアの算出方法について、具体的に解説したページがあまり見当たらないため、「ただの体操好き」向けにちょっとまとめてみたいと思います。なお、跳馬については一つ一つの跳越についてDスコアが定められています。ここでは跳馬以外の5種目(ゆか、あん馬、つり輪、平行棒、鉄棒)のDスコアの算出方法について解説します。
まず最初に各種目の全ての技はI~Vの5つのグループに分類されている[1]ことを知っておかなければなりません。例えば、鉄棒の技のグループは、
となっています。ちょっと分かりにくい言葉もありますが、グループIは車輪技、グループIIIはシュタルダーやエンドーのような技と思っていればいいでしょう。手放し技は数多くの技がありますが全てグループIIです。
本題に入りましょう。Dスコアは難度価値点(DV)、組合せ加点(CV)、要求グループ点(EGR)の合計によって算出されます。
・難度価値点は、難度の高い9技と終末技の合わせて10技の価値点の合計点です。同一グループの技は4技まで認められます。同じ技(採点規則における同一枠の技)を繰り返してもDスコアには計上されません。各技の価値点は以下のとおり。
・組合せ加点は、ゆかと鉄棒において適用されます(2006-2008年ルールではつり輪にも適用されていました)。詳しくは次の記事にまとめます。
・要求グループ点は、各グループの技を最低1つは演技に含めることを目的とするものです。I~IVの各グループの技が演技に含まれていれば各0.5点が、終末技(グループV)はD難度以上について0.5点が与えられます。終末技がC難度の場合は0.3点、A・B難度の場合は0.0点となってしまいます。したがって、要求グループ点は最大で2.5点となります。
つまり、演技はトップ10技を各グループ1技以上4技以内でバランスよく構成し、終末技はD難度以上であることが要求されているということになります。
それでは、2011年の世界選手権・東京大会での内村航平の種目別鉄棒を例に、具体的にDスコアの算出方法を確認してみましょう。ルールは2013年版を適用します。
鉄棒の演技の採点は選手の足がマットから離れた時点から開始されます。この演技で内村が実施している技は繰り返しを除くと以下のとおり。
ここから難度の高い9技と終末技の合わせて10技を抜き出すと以下のとおりとなります。
A難度技はもちろん、B難度のエンドーも消えました。同一グループの技は4技以内に収まっています。
組合せ加点として、3と4、6と7の組合せにそれぞれ0.1の加点が付きます(2009-2012年ルールではそれぞれ0.2点でした)。各技の価値点を書き加えると以下のようになります。
要求グループ点は、I~IVの各グループの技が含まれ(0.5点×4G)、終末技はD難度以上(0.5点)なので2.5点が与えられます。したがって、
となります。
次の記事では、種目ごとの組合せ加点や演技構成上の制限などについてまとめます。
体操競技における演技の決定点はDスコアとEスコアの合計によって算出されます。DスコアはDifficulty、すなわち演技内容の難しさを表したもので、EスコアはExecution、すなわち演技実施の完成度を表しています。2006-2008年ルールではそれぞれAスコア、Bスコアと呼ばれていましたが、基本的には同じものです。
このDスコアの算出方法について、具体的に解説したページがあまり見当たらないため、「ただの体操好き」向けにちょっとまとめてみたいと思います。なお、跳馬については一つ一つの跳越についてDスコアが定められています。ここでは跳馬以外の5種目(ゆか、あん馬、つり輪、平行棒、鉄棒)のDスコアの算出方法について解説します。
まず最初に各種目の全ての技はI~Vの5つのグループに分類されている[1]ことを知っておかなければなりません。例えば、鉄棒の技のグループは、
I ひねりを伴うまたは伴わない懸垂振動技 Long Swing II 手放し技 Flight III バーに近い技 In Bar IV 大逆手・背面技、バーに対して背面の技 El-Grip V 終末技 Dismounts
となっています。ちょっと分かりにくい言葉もありますが、グループIは車輪技、グループIIIはシュタルダーやエンドーのような技と思っていればいいでしょう。手放し技は数多くの技がありますが全てグループIIです。
[1] ゆかは終末技のグループ(V)がないためI~IVの4グループに分類されています。
本題に入りましょう。Dスコアは難度価値点(DV)、組合せ加点(CV)、要求グループ点(EGR)の合計によって算出されます。
・難度価値点は、難度の高い9技と終末技の合わせて10技の価値点の合計点です。同一グループの技は4技まで認められます。同じ技(採点規則における同一枠の技)を繰り返してもDスコアには計上されません。各技の価値点は以下のとおり。
難度 A B C D E F G 価値点 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7
・組合せ加点は、ゆかと鉄棒において適用されます(2006-2008年ルールではつり輪にも適用されていました)。詳しくは次の記事にまとめます。
・要求グループ点は、各グループの技を最低1つは演技に含めることを目的とするものです。I~IVの各グループの技が演技に含まれていれば各0.5点が、終末技(グループV)はD難度以上について0.5点が与えられます。終末技がC難度の場合は0.3点、A・B難度の場合は0.0点となってしまいます。したがって、要求グループ点は最大で2.5点となります。
つまり、演技はトップ10技を各グループ1技以上4技以内でバランスよく構成し、終末技はD難度以上であることが要求されているということになります。
それでは、2011年の世界選手権・東京大会での内村航平の種目別鉄棒を例に、具体的にDスコアの算出方法を確認してみましょう。ルールは2013年版を適用します。
鉄棒の演技の採点は選手の足がマットから離れた時点から開始されます。この演技で内村が実施している技は繰り返しを除くと以下のとおり。
| 技名 | 難度 | グループ | |
| 1. | 懸垂振り出し倒立 | A | III |
| 2. | 後ろ振り上がりひねり倒立 | A | I |
| 3. | 後方車輪 | A | I |
| 4. | カッシーナ | G | II |
| 5. | シュタルダーとび3/2ひねり片大逆手 | D | III |
| 6. | 前方車輪 | A | I |
| 7. | アドラーひねり | D | IV |
| 8. | ~伸身トカチェフ | D | II |
| 9. | 後方とび車輪3/2ひねり | C | I |
| 10. | アドラー1回ひねり片逆手 | D | IV |
| 11. | ~ヤマワキ | D | II |
| 12. | エンドー | B | III |
| 13. | 前方車輪ひねり倒立 | A | I |
| 14. | コールマン | F | II |
| 15. | 後方とび車輪1回ひねり | C | I |
| 16. | 後方伸身2回宙返り2回ひねり下り | E | V |
ここから難度の高い9技と終末技の合わせて10技を抜き出すと以下のとおりとなります。
| 技名 | 難度 | グループ | |
| 1. | カッシーナ | G | II |
| 2. | シュタルダーとび3/2ひねり片大逆手 | D | III |
| 3. | アドラーひねり | D | IV |
| 4. | ~伸身トカチェフ | D | II |
| 5. | 後方とび車輪3/2ひねり | C | I |
| 6. | アドラー1回ひねり片逆手 | D | IV |
| 7. | ~ヤマワキ | D | II |
| 8. | コールマン | F | II |
| 9. | 後方とび車輪1回ひねり | C | I |
| 10. | 後方伸身2回宙返り2回ひねり下り | E | V |
A難度技はもちろん、B難度のエンドーも消えました。同一グループの技は4技以内に収まっています。
組合せ加点として、3と4、6と7の組合せにそれぞれ0.1の加点が付きます(2009-2012年ルールではそれぞれ0.2点でした)。各技の価値点を書き加えると以下のようになります。
| 技名 | 難度 | グループ | 価値点 | 組合せ加点 | |
| 1. | カッシーナ | G | II | 0.7 | |
| 2. | シュタルダーとび3/2ひねり片大逆手 | D | III | 0.4 | |
| 3. | アドラーひねり | D | IV | 0.4 | |
| 4. | ~伸身トカチェフ | D | II | 0.4 | 0.1 |
| 5. | 後方とび車輪3/2ひねり | C | I | 0.3 | |
| 6. | アドラー1回ひねり片逆手 | D | IV | 0.4 | |
| 7. | ~ヤマワキ | D | II | 0.4 | 0.1 |
| 8. | コールマン | F | II | 0.6 | |
| 9. | 後方とび車輪1回ひねり | C | I | 0.3 | |
| 10. | 後方伸身2回宙返り2回ひねり下り | E | V | 0.5 | |
| Total: | 4.4 | 0.2 | |||
要求グループ点は、I~IVの各グループの技が含まれ(0.5点×4G)、終末技はD難度以上(0.5点)なので2.5点が与えられます。したがって、
| 難度価値点 | 4.4 |
| 組合せ加点 | 0.2 |
| 要求グループ点 | 2.5 |
| Dスコア(合計) | 7.1 |
となります。
次の記事では、種目ごとの組合せ加点や演技構成上の制限などについてまとめます。