【コラム】韓国の教育、絶賛の影で取り残された課題

【コラム】韓国の教育、絶賛の影で取り残された課題

 今月19-21日に仁川市松島地区で行われた「2015世界教育フォーラム」は、国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長をはじめとする国連機関のトップなど、167カ国から約1500人が出席し、教育関連のイベントとしては世界最大規模になった。

 とりわけ、20日に行われた「韓国教育特別セッション」には多くの人が出席した。韓国教育開発院のペク・スングン院長は、韓国の教育が経済発展をけん引してきた点を強調した。ペク院長の発表に合わせ、スクリーンには1950年代の6・25戦争(朝鮮戦争)直後、テントの下で子どもたちが勉強する写真が映し出され。それが一瞬にして「漢江の奇跡」という文言とともに数千もの照明が輝く漢江の風景に変わると、会場からは歓声と拍手があふれた。ペク院長は韓国の教育が成功した要因として、優秀な教員、政府の投資、教育を重視する社会の風土、親たちの教育熱を挙げた。

 パネラーたちも韓国の教育に対する賛辞を惜しまなかった。座長を務めた米国コロンビア大学のジェフリー・サックス教授は「韓国の経済発展は過去に類例がない成果で、教育こそが経済発展の燃料の役割を果たしたという点に疑いの余地はない」と述べた。経済協力開発機構(OECD)のアンドレアス・シュライハー教育局長は「学習到達度調査(PISA)の点数を見ると、韓国の貧困層に属する20%の子どもたちが、米国の富裕層に属する20%の子どもたちよりも点数が高かった。韓国は教育の社会的な平等を実現したという点で、フィンランドと並び世界の先頭に立っている」と評価した。

 ところが、1時間30分ほど行われたセッションの終盤、会場にいながら発言の機会を得られなかった韓国人女性が、肉声で話し始める一幕があった。市民団体に所属するこの女性は「韓国の教育の影の部分には全く言及せず、1時間30分もの間賛美し続けることが、どうしてできようか。多くの子どもたちが成績のために苦痛を抱え、親たちは教育のために借金をし、その借金を返済するために一生苦しむという問題に対しては、誰も言及しようとしなかった」と話した。一部の参加者たちはこの発言に拍手を送り、一瞬にしてこの女性の周りに人々が集まった。だがこの発言が討論に発展することはなく、セッションは終わった。

キム・ヨンジュ記者
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