「世宗庁舎に移ってから2年が過ぎたにもかかわらず、いまだに週5日の半分以上は『無頭節』だ」
「優れた業務力を持つ局長は多いが、どれほど良い局長であっても、不在の局長にはかなわない」
このところ世宗庁舎には、本気半分ジョーク半分でこんなことを言う4-5級の公務員が大勢いる。「無頭節」とは、上司が不在で休日のように平穏な一日を過ごせる、という意味の造語だ。世宗市の公務員らが「直属の上司に当たる室長・局長級の高官がソウル出張などさまざまな理由で不在になることをひそかに楽しむ」という意味で、この言葉を愛用している。
「1級公務員は週5日のうち1日は世宗市で勤務しよう」と言っていた最初のころに比べるとやや改善された。しかし、世宗市に移った全ての部処(省庁に相当)で、世宗市に毎週2日以上滞在する1級公務員の数は最近でも5人にも満たない。1-2級の高官の半数以上が世宗庁舎を離れている日も、数え切れないほど多い。ほとんどは国会から呼び出されての外出で、たまに青瓦台(韓国大統領府)の仕事も交じっている。ある公務員は「長官を補佐するため局長・室長がついていき、局長・室長が行くと今度は実務課長らが同行する、という構造が繰り返されている」と語った。
世宗市の経済部処に務めるA室長は、5月の第2週、庁舎で仕事をしたのはたった二日だった。「子どもの日(5月5日)」を除く四日間の勤務日のうち、半分を国会で過ごした。1日は、同部処が発議した法案を審議する法司委に出掛け、もう1日は、国会予算処の昨年度予算に関する決算審査に呼ばれて出掛けた。別の部処に務めるB局長は、同じく5月の第2週、世宗市で1日しか勤務しなかった。7日は青瓦台主催の経済対策会議に出席し、8日はソウルにある関連団体と再び対策を話し合った。
問題は、こうした高級公務員の不在が、ほかの職員のたるんだ雰囲気を生んでいることだ。上司がおらず、若い職員だけでぎっしりのオフィスに入ってみると、かつての果川庁舎時代のような緊張感は見当たらない。逆に、退勤を知らせる午後6時の時報が鳴ると、たちまち庁舎各階のエレベーター前が大混雑する。ある公務員は「業務を監督・指揮する局長・室長・課長までソウルに出掛け、幹部がいないオフィスで一日ずっと仕事をしていると、まるで海外研修生活をしているかのような余裕すら感じる」と語った。
こうした風土が1-2年、いやもっと続くとなると、公務員社会から真剣さや緊張感が消え、行政府自体の政策開発や政策進行能力が大きく損なわれることは火を見るよりも明らかだ。今年になって世宗市の公務員と何度か会ったという、経済部処の次官出身の人物は「公務員社会から、かつてのような厳しさは消え、定時退勤文化だけが残ったようだ。こんなことでは、公務員個人の競争力はもちろんのこと、行政府全体の力量が急速に弱まる」と語った。たるんで生産性の低い政府が、どうして民間企業などを相手に「生産性を高めてベルトを締めよう」と督励できるだろうか。これ以上、上司不在でがら空きになった世宗庁舎を傍観していてはいけないと思う。