歴史館にある「戦争と暴力」コーナー前の壁では、「1923年デュイスブルクで生まれたエリザベス・ハイデルベルク、1941年リガ・ゲットー(ユダヤ人強制居住区)に追放された後、シュトゥットホーフ収容所で死亡」というように、ナチスに殺された人々の情報が繰り返し再生されていた。
ユダヤ人であることを示すマークだった黄色の「ダビデの星」や、ナチスの宣伝・扇動ポスター、1920-33年のルール地方におけるナチス党員の割合を分析したグラフもあった。 2008年に死去した元強制労働者が寄贈したスケッチ2点は、動物のように扱われた労働者たちの生活が描かれている。
シューマイヤーさんは「ツォルフェアアインも保全作業に集中していた90年代はナチスの歴史にきちんと言及していなかった。しかし、25年にわたりドイツ政府と自治体が3億1550万ユーロ(約430億円)を投資して歴史文化団地に変え、現在のようにすべての歴史を見ることができようになった」と言った。ツォルフェアアインは今でも強制労働に関連する遺物を分析し続けている。そして研究が終わり次第、追悼記念碑を設置する計画だ。
■登録時、周辺国の反発なかった
興味深いのは、ツォルフェアアインが2001年に世界遺産に登録された時の周辺国の反応だ。駐独韓国大使館関係者は「当時、すでにドイツの各地に強制労働犠牲者のための記念壁や展示館があり、過去に対する反省・清算作業が活発に行われていたので、ツォルフェアアインの世界遺産登録過程は外交的な問題にならなかった」と話す。
今年ユネスコ総会議長国を務めているドイツは、こうした理由で韓国・中国の反発を買い、歴史認識問題で確執を「自ら」招いている日本の姿勢を理解できずにいる。ドイツ最大手日刊紙フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング日曜版は17日、日本が端島炭鉱(軍艦島)をユネスコ世界遺産に登録しようとしていることに関する特集記事で、「日本は現在、他の部分はじゅうたんの下に隠したまま、近代化の歴史の一部分だけを語り、他の国々がきちんと理解していないと主張している。このため、端島炭鉱はいまだに陰惨とした場所のままになっている」と指摘した。