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【神奈川】

市の教科書採択、注視を 母親ら市民グループが学習会

各社の教科書を比較して話し合う参加者たち=多摩区で

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 川崎市教育委員会は今夏、二〇一六年度から四年間、市立中学校で使う教科書を採択する。教科書の内容が子どもたちに与える影響は大きく、市内在住の母親や元教員らが市民グループをつくり、この動きを注視する学習会を始めた。 (山本哲正)

 採択を控えて市教委は今月から来月にかけ、市内七会場で対象となる教科書の見本を展示する。その後、市民らから意見も聴取する。四年前、川崎市では採択されなかったが、横浜市と東京都大田区で、歴史と公民に「新しい歴史教科書をつくる会」系の育鵬社版が採択された。

 市民グループ「のぼりとピースカフェ」の初の学習会は五月二十九日、川崎市多摩区のフリースペースで開かれ、約十五人が参加。都内で社会科教員を勤め、最後の任地が大田区だった川崎市幸区の斉藤光子さん(69)が講師を務めた。斉藤さんは採択のうわさがなかった区で育鵬社版が採択されたことに衝撃を受けたそうで、母親らは聞き入っていた。

 斉藤さんは一一年版の育鵬社版、東京書籍版の公民教科書の資料を用意し、比較しながら説明。憲法についてキーワードを比べると、育鵬社版には東京書籍版にある「立憲主義」「国民主権」「平和主義」がなく、逆に東京書籍版にない「憲法改正」があった。

 多摩区の元小学校教諭の女性(74)は「公職選挙法が変わり、十八歳以上で選挙権が得られると、横浜ではこの公民を正しいと思って学んだ子がすぐに選挙権を持つ可能性がある。社会全体で考える話だ」と指摘。カフェ実行委員の一人、広川紀子・元相模女子大教授(73)は「教科書展示会で意見を出していきましょう」と述べた。

 問い合わせは、のぼりとピースカフェ=044(911)3339=へ。教科書見本の展示会場と展示期間の詳細は、市教委総合教育センター=電044(844)3600=へ。

 

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