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 韓国の朴槿恵(パククネ)大統領の名誉を記事で傷つけたとして在宅起訴された産経新聞の加藤達也・前ソウル支局長の公判が1日、ソウル中央地裁で開かれた。加藤氏が記事で引用したコラムの執筆者に対する証人尋問が行われる予定だったが、「取材過程は明らかにできない」などとして欠席した。

 加藤氏側が証人申請していたのは、韓国紙「朝鮮日報」の崔普植(チェボシク)記者。昨年7月、同紙に「大統領をめぐる風聞」との見出しのコラムを執筆。加藤氏はそのコラムを引用し、証券業界の情報も加えながら、朴大統領が旅客船沈没事故当日に誰と会っていたのかという「うわさ」を書いた。

 崔氏は欠席する理由書で自身のコラムについて「朴大統領の周辺の不適切な対応で誤解とうわさが量産されるということを指摘した」と説明。加藤氏の記事は「低級な内容を付け加えて大統領の名誉を傷つけている」として、趣旨が違うとした。

 一方、加藤氏側は韓国で長年、記者活動をしている米国人記者のドナルド・カーク氏とメディアの倫理や法制度が専門の田島泰彦・上智大教授を証人申請し、認められた。カーク氏を申請した理由について、今回の事件では日韓の感情的な問題もあるため、第三者的な観点から証言できると説明した。(ソウル=東岡徹)