焦点:巨艦・ゆうちょ銀の進路変更、思わぬ横波に警戒の声
[東京 1日 ロイター] - 年内にも株式上場が予定されている「ゆうちょ銀行」の運用姿勢見直しに、市場の注目が集まっている。「国債傾斜」から株式、外債などのリスク資産の比率を上げることになるが、焦点はそのテンポ。
200兆円超と巨額の資産運用を変更するには、一定の時間がかかるとの見方が多いものの、「巨艦の進路変更」による思わぬ横波の発生に、市場は神経をとがらせている。
<利害重なるゆうちょと日銀>
日本郵政の西室泰三社長は5月29日の記者会見で、リスク管理を強化しながら、国債中心の運用体制を見直す方針をあらためて表明。同時に日銀の黒田東彦総裁と1週間前に会談した事実を明らかにした。黒田総裁との話し合いについて「国債そのものの運用を大幅に変えると話したが、それについて別に指示はなかった」という。
大規模な国債買い入れを進める日銀と、国内最大の機関投資家である日本郵政のトップ同士の面談。異例ともいえる動きに、SMBC日興証券・金融財政アナリストの末澤豪謙氏は「保有国債を減らして運用多様化を進めたい郵政側と、国債買い入れを軸にした異次元緩和の枠組みを維持したい日銀との間で、協力関係を確認することが目的だったのではないか」とみる。
日銀にとって、限界説もささやかれる国債買い入れの枠組みを維持する上でも、国債を大量保有する投資家の協力は重要ともいえる。
<すでにハイテンポの国債売却進む>
もっとも、ゆうちょ銀による脱国債の流れは既定路線だ。決算資料によると、ゆうちょ銀行の国債保有残高は2015年3月末現在、106.7兆円と前年同月比19.6兆円減少した。 続く...