トップページ社会ニュース一覧世界一周中 太陽光発電の飛行機 愛知に
ニュース詳細

世界一周中 太陽光発電の飛行機 愛知に
6月2日 6時00分

世界一周中 太陽光発電の飛行機 愛知に
k10010100041_201506020552_201506020552.mp4
太陽光発電だけで初の世界一周に挑戦しているスイスの団体の飛行機が、中国からハワイへ向かう途中、悪天候を避けるため、当初の計画を変更し、1日夜遅く、愛知県内の空港に着陸しました。
愛知県の県営名古屋空港に着陸したのは、ジャンボジェット機に匹敵する72メートルある両翼に、1万7000個余りの太陽電池が取り付けられた、1人乗りのプロペラ機です。
1日午後11時50分ごろ、ほかの飛行機の離着陸に影響が出ないように空港上空をしばらく旋回したあと、ゆっくりとした速度で滑走路に進入して着陸しました。
プロペラ機はことし3月に中東のUAE=アラブ首長国連邦を出発し、およそ5か月かけて世界一周する計画で、成功すれば、化石燃料を使わない飛行機によるものとしては世界初の快挙です。
プロジェクトを進めているスイスの団体によりますと、先月31日、経由地の1つ、中国・南京を離陸し、6日間ほどかけて一気にハワイまで飛ぶ計画でしたが、途中、悪天候が予想されたため、いったん日本で待機することになったということです。
スイス人のパイロット、アンドレ・ボルシュベルグさん(62)は着陸後の会見で、「ハワイに直接行けないのは残念だが、かつて仕事の関係で住んだことのある日本にまた来ることができてうれしい。急な着陸にもかかわらず、積極的に対応してくれた日本の関係機関に感謝したい」と話していました。
プロペラ機は、2人のスイス人パイロットが経由地で交代しながら操縦することになっていて、今後、天候や機体の状況を見て、再びハワイへ向けて飛び立ち、世界一周を目指すことにしています。

「ソーラー飛行機世界一周」プロジェクトは

プロジェクトを提唱したのは、1999年に気球による無着陸世界一周を達成したスイスの冒険家、ベルトラン・ピカール氏で、環境に優しい再生可能エネルギーの本格的な利用を実現することが大きな目的です。
プロジェクトの総予算はおよそ1億5000万スイスフラン(日本円でおよそ190億円)で、民間企業が出資したりスイスの大学などが技術支援したりしています。
太陽光発電だけで飛ぶ飛行機「ソーラー・インパルス2」は、両翼の長さはジャンボジェット機に匹敵する72メートルあり、最高速度は時速140キロだということです。機体に1万7000個余りの太陽電池を貼り付けて、日中に余った電気を小型で軽量なリチウムポリマー電池に蓄えて、夜間の動力源にすることができます。完全に充電できれば、発電量が少ない曇りや雨の場合でも10時間程度飛行できるということです。
操縦室は大人1人が乗り込むのがやっとの広さで、暖房や気圧を調節する装置はありません。食事は特別に作った流動食で、操縦席で済まさなければならないほか、トイレは操縦席の下に備えつけられ、密封性のある専用の袋を利用しています。

南京ーハワイ間は難関の1つ

「ソーラー・インパルス2」は、ことし3月にUAE=アラブ首長国連邦を出発し、インドやミャンマーなどを経て、4月21日に6番目の経由地、中国・南京に到着しました。
飛行機はジャンボジェット機に匹敵するほどの両翼の長さがある一方で、乗用車ほどの重さしかないため、強風などの悪天候に弱いとされています。このため、これまでの総飛行距離を上回る8000キロ余りの距離を飛び続ける必要がある、南京から7番目の経由地・ハワイへの道のりは、世界一周計画の難関の1つとされていました。
このため、当初の計画を延期するなどして、気象予報や航路などを慎重に検討し、南京到着から1か月余りがたった先月31日未明、ハワイに向けて出発したところでした。
飛行機は今後、ハワイを経由する太平洋の横断や、ニューヨークからの大西洋横断などを予定していますが、「化石燃料を使用しない乗り物での世界一周」という挑戦は、大きな山場を迎えていると言えます。

関連ニュース

k10010100041000.html

関連ニュース[自動検索]

このページの先頭へ