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【国際情勢分析】AIIBの陰で中国政府ファンド「シルクロード基金」の“やりたい放題” 国際社会に乏しい警戒感

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【国際情勢分析】
AIIBの陰で中国政府ファンド「シルクロード基金」の“やりたい放題” 国際社会に乏しい警戒感

4月20日、パキスタンを訪問し、フセイン大統領(左)、シャリフ首相(右)と歓迎式典に臨む中国の習近平国家主席。この際、「シルクロード基金」の初の投資案件が決まった=イスラマバード(新華社=共同)

 基金の運営母体となる「シルクロード基金有限責任公司」の董(とう)事(じ)長(ちょう)(会長)には、人民銀行の総裁補佐で女性の金(きん)●(=王へんに奇)(き)氏(1955年生まれ)が就いた。金氏は全国人民代表大会(全人代=国会)の開催に合わせて3月12日、北京で記者会見し、「取締役会や監事会、幹部層の陣容は(中国国内で)整えた」と説明。国外からは運営に口を挟めないことが明確に示された。

「収益目的」に固執

 シルクロード基金はまず100億ドルでスタート。外貨準備から65億ドルを拠出したほか、残りは国家開発銀行など中国の公的機関が出資した。国際金融筋によると、基金の運営はプライベート・エクイティ・ファンドと呼ばれる投資ファンド形式で行われ、AIIBが目指す比較的低利の融資とは一線を画す。

 対象と選定したプロジェクトごとに中国国内の金融機関や機関投資家などからも資金を募って資金を組成し、発電所などの事業体に投融資。事業を育成した上で10年程度をかけて資金回収する中長期の国家級ビジネスだ。この基金へは将来的に、収益を狙う国外の投資家にも参加への機会を開く方針だ。いわゆる政府系ファンド(SWF)とも異なる性質の金融となる。

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