5月26日に中国の国防白書が公表されました。
中国は2年に一回、この白書を出します。今回は巨視的な立場から中国の防衛戦略を述べた、包括的な内容でした。
世界のビジネス・シーンにおける中国のプレゼンスが高まっています。その関係で、単なる地域防衛だけでなく、中国の利害をグローバルに擁護する必要がたかまっていることを同レポートは指摘しています。
中国は、そのような役割の拡大を「ヘゲモニーの構築を意図するものではない」と強調しています。
実際のところ米国の地政学サイト、ストラトフォアは「中国には未だ世界の広範囲なシアターで効果的に戦えるような海軍の運用能力を持っていない」という立場を取っています。すなわち中国の脅威を、必要以上に誇張することに対して反対の意見というわけです。
翻ってアメリカ海軍を見るとスプラトリー諸島などの南シナ海で中国の動きを完全に封じ込めるだけのプレゼンスはありません。
大日本帝国海軍が第二次世界大戦開戦前夜に持っていたような、圧倒的な優位ならびに運用スキルは、現時点では誰も持ち合わせていません。
言い換えれば南シナ海の状況は「煮詰まっていない」わけです。
ストラトフォアは「中国による岩礁埋立てや施設建設は、軍事テクノロジーが進化したので、昔のような戦略的な意味は殆ど無い」と主張しています。もちろん領土主張のシンボリックな意味合いは失われていないと思いますが。
その一方で中国が南シナ海で自身の影響圏を定義しようとする行為は、経済的、政治的コストを伴います。当面はそれらのコストとの兼ね合いで、様子を見ながら領土主張を進めてゆくと思われます。
中国経済が世界経済に占める割合が大きくなるにつれ、中国は昔より大きな利害や責任を負い始めています。そのことは中国をしてパッシブに状況を座視するだけではなく、好むと好まざるにかかわらず時には自己主張をしなければいけない状況に追い込まれることを意味します。
これは中国に固有な事ではなくて、大国が成長の過程でいずれ直面する問題です。
かつてアメリカもテディー・ルーズベルトの時代に経済圏の考えに目覚め、カリブ海で戦争ごっこをやった歴史があります。

(出典:ウィキペディア)
イエロー・ジャーナリズム(扇動的報道)により「アメリカのご婦人たちが、スペイン兵によってハダカにされている」というでっち上げがなされたのです。

(出典:ウィキペディア)
この米西戦争では、有志を集めたテディー・ルーズベルトが「西部劇風のノリ」でキューバのスペイン軍を成敗しました。

(出典:ウィキペディア)
その時の誉(ほまれ)をテコにして、彼は後に大統領になったわけです。
中国は大国としての自我に目覚めているだけで、これを中国特有の現象であると決めつけることは危険です。同様のことはかつてイギリスも、ドイツも、アメリカも、日本もやってきたわけです。
これは大国に普遍的に見られる自己主張の一環であるというリアリティに根差した認識を持たない限り、この近隣の国とうまく付き合ってゆくことはできないと思います。
中国は2年に一回、この白書を出します。今回は巨視的な立場から中国の防衛戦略を述べた、包括的な内容でした。
世界のビジネス・シーンにおける中国のプレゼンスが高まっています。その関係で、単なる地域防衛だけでなく、中国の利害をグローバルに擁護する必要がたかまっていることを同レポートは指摘しています。
中国は、そのような役割の拡大を「ヘゲモニーの構築を意図するものではない」と強調しています。
実際のところ米国の地政学サイト、ストラトフォアは「中国には未だ世界の広範囲なシアターで効果的に戦えるような海軍の運用能力を持っていない」という立場を取っています。すなわち中国の脅威を、必要以上に誇張することに対して反対の意見というわけです。
翻ってアメリカ海軍を見るとスプラトリー諸島などの南シナ海で中国の動きを完全に封じ込めるだけのプレゼンスはありません。
大日本帝国海軍が第二次世界大戦開戦前夜に持っていたような、圧倒的な優位ならびに運用スキルは、現時点では誰も持ち合わせていません。
言い換えれば南シナ海の状況は「煮詰まっていない」わけです。
ストラトフォアは「中国による岩礁埋立てや施設建設は、軍事テクノロジーが進化したので、昔のような戦略的な意味は殆ど無い」と主張しています。もちろん領土主張のシンボリックな意味合いは失われていないと思いますが。
その一方で中国が南シナ海で自身の影響圏を定義しようとする行為は、経済的、政治的コストを伴います。当面はそれらのコストとの兼ね合いで、様子を見ながら領土主張を進めてゆくと思われます。
中国経済が世界経済に占める割合が大きくなるにつれ、中国は昔より大きな利害や責任を負い始めています。そのことは中国をしてパッシブに状況を座視するだけではなく、好むと好まざるにかかわらず時には自己主張をしなければいけない状況に追い込まれることを意味します。
これは中国に固有な事ではなくて、大国が成長の過程でいずれ直面する問題です。
かつてアメリカもテディー・ルーズベルトの時代に経済圏の考えに目覚め、カリブ海で戦争ごっこをやった歴史があります。
(出典:ウィキペディア)
イエロー・ジャーナリズム(扇動的報道)により「アメリカのご婦人たちが、スペイン兵によってハダカにされている」というでっち上げがなされたのです。
(出典:ウィキペディア)
この米西戦争では、有志を集めたテディー・ルーズベルトが「西部劇風のノリ」でキューバのスペイン軍を成敗しました。
(出典:ウィキペディア)
その時の誉(ほまれ)をテコにして、彼は後に大統領になったわけです。
中国は大国としての自我に目覚めているだけで、これを中国特有の現象であると決めつけることは危険です。同様のことはかつてイギリスも、ドイツも、アメリカも、日本もやってきたわけです。
これは大国に普遍的に見られる自己主張の一環であるというリアリティに根差した認識を持たない限り、この近隣の国とうまく付き合ってゆくことはできないと思います。