電源構成:原発比率20〜22%了承…30年度政府案

毎日新聞 2015年06月01日 21時44分(最終更新 06月02日 01時36分)

電源構成実績と2030年度政府案
電源構成実績と2030年度政府案

 2030年度の総発電量に占める電源ごとの割合(電源構成)を議論する経済産業省の有識者会議が1日開かれ、原発を20〜22%、再生可能エネルギーを22〜24%とする政府案が了承された。「原発依存度を可能な限り低減すべきだ」と主張する一部の委員は最後まで反対したが、経済成長を重視した「バランスのとれた電源構成」が優先された形だ。ただ政府案の実現には、原発の運転期間延長や新増設、再生エネの拡大のための送配電網の整備など課題は多い。

 同省は4月末に今回の政府案を提示。運転期間を原則40年とする原子炉等規制法を厳格に適用すると、30年度の原発比率は15%程度まで落ち込むため、原発を新増設するか、運転期間を延長しなければ政府案の実現は困難で、「原発回帰」の政府の姿勢が鮮明になった。

 これに対し、前回5月の会議では3人の委員が再生エネの水準について、「少なくとも30%程度をめざすべきだ」とする意見書を提出し、政府案に異論を唱えた。しかし、坂根正弘委員長(コマツ相談役)は、「電力コスト全体を抑えようとすれば、原発を再稼働しないと成り立たない」と政府案に理解を求めた。

 原発の比率を低減させ、再生エネルギーを拡大するには電力料金などのコスト上昇が不可避で、経済成長への影響を懸念する経済界は強い懸念を示してきた。坂根委員長はこの日の会議で、「福島第1原発事故以降、原発が一基も稼働していない状況では、安全性、安定供給、経済効率性、環境適合のバランスの中でしか答えを出せない」と述べ、今回の構成が最適との見方を崩さなかった。

 反対派委員は、「意見書が反映されていない」などと最後まで反対を訴えたが、最終的には坂根委員長に一任する形で政府案を了承することになった。政府案は2日にもパブリックコメントにかけられ、1カ月間の意見募集などを経た後、7月中旬ごろに正式決定する。

 ただ、原発の再稼働には相当な時間がかかることが予想されるほか、運転延長には厳しい審査をクリアする必要があるなど政府案実現のハードルは高い。再生エネ普及についても、太陽光発電などの利用拡大のためには既存の送配電網の強化が不可欠で、巨額のコスト負担が課題になりそうだ。【高橋慶浩、安藤大介】

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